あらすじ
大胆な設定、意外な結末。名探偵・二階堂蘭子、颯爽と今日も登場! 豪壮な館が消える「ロシア館の謎」「密室のユリ」「劇薬」3篇。初短編集――バイカル湖近くの豪壮な館が吹雪の中で忽然と消えてしまうトリックの見事な「ロシア館の謎」。コントラクトブリッジのパーティーという衆人環視の中で殺人が行われる「劇薬」。誰も入れない密閉状態の新築高級マンションで殺人事件が起きる「密室のユリ」の計3篇。名探偵・二階堂蘭子の推理が冴える、初の短篇集。
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二階堂蘭子シリーズの初短編集。
ロシア館の謎
クリスティの「火曜クラブ」のオマージュの様な形で進行する物語。
ジュペア老人が語る彼が経験した戦争時代の話。ジュペア老人はロシアの軍人であり、奇異な経験を持っている。また、当時のロシア皇帝とロマノフ朝を巡る浪漫は様々な作品のテーマになる程、魅力的なものだが、今作に置いてもジュペア老人を中心に語られるストーリーはとてもスリリングな逸話でありながらも肝心の「館消失」というミステリー部分も面白く、トリックは壮大であり、楽しめた作品だ。
(数年後に今作を引き継ぐ巨大マンモス幽霊事件が発表されるがこちらも面白かった)
密室のユリ
前作とは違い、本格的な推理小説。密室のトリックとフーダニットがテーマになるが、ある程度犯人を想像しやすく構成されていてライトな作品だと思う。マンションで密室で殺害された女性。警察もお手上げの状態だが、唯一被害者の部屋には彼女が仕事で使用している録音器に残った音声を手掛かりに犯人の推理を行う。
容疑者として2名の人物が挙げられ、かれらとマンションの警備員をふくめ、現場の確認や被害者の人となりを調査し、蘭子は真相に辿り着く。
劇薬
カードゲームを題材にしておりクリスティの「開いたトランプ」のオマージュ的な作品になっている。殺害される男は金の亡者で人物的にも敵が多い、嫌な人間の典型の様な人物で、彼を取り巻く登場人物も、彼に弱みを握られている様な人物ばかり。
蘭子と黎人は不承不承、彼の館に招かれてカードゲームに興じる事になる。
感想として、物語が二転三転するのだが、少しやりすぎの印象があり、二転くらいで完結していた方が完成度は高かった様に思う。
途中、三億円事件への言及があるが、蘭子がこの事件とどの様に関わったのかの方が気になってしまった。
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二階堂蘭子シリーズ
『ロシア館の謎』
シュペア老人が体験した事件。ロシア革命後混乱するロシアで消えた城の謎。
『密室のユリ』
密室で殺害された推理作家。口述筆記の中に隠された過去の殺人事件の秘密。恋人二人と警備員の前で明かされる真相。
『劇薬』
殺害を予告された男の死。コンクラント・ブリッジ中にヒ素を飲まされた毒殺事件。ブリッジの参加した容疑者たち。
2009年7月10日再読
Posted by ブクログ
ロシア革命直後、シュペアが体験した謎。バイカル湖近くの豪壮な館が吹雪の中で忽然と消えた。「ロシア館の謎」。
誰も入れない密閉状態の新築高級マンションでの殺人事件。被害者の女性作家の口述執筆のカセットに録音された事件の模様。「密室のユリ」。
コントラクトブリッジのパーティという衆人環視の中で起きた毒殺事件。「劇薬」。
二階堂蘭子シリーズ。ちょっと大げさでクドい感じが好み。
昔の蘭子シリーズは好きだな。
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「ロシア館の謎」「密室のユリ」「劇薬」の3編が収録された二階堂蘭子シリーズの短編集。この中だと「劇薬」がフーダニット、ハウダニットの要素に加えて、どんでん返しの要素もあって面白かった。
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バイカル湖近くの巨大な館が吹雪の中で一瞬にして消える「ロシア館の謎」
新築の高級マンションでおこる三重密室「密室のユリ」
パーティーの最中に起る毒殺事件「劇薬」
個人的には「バラの迷宮」の方がよかったかな?
ロマノフ王朝の歴史的背景を扱った「ロシア館の謎」もなかなか面白かったですが、アガサ・クリスティーの「ひらいたトランプ」と「エッジウェア卿の死」を彷彿とさせる「劇薬」が一番でしたね。容疑者は全員動機がある(というか被害者が死んでも誰も悲しまない)凶器の砒素がいつ何に混ぜられて飲まされたのか?てっきり白湯に混ぜてあったと思ったのですが・・・まさか根底から覆されるとは・・・・
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ユリ迷宮
二階堂黎人4冊目となり、安心して読めます。
親しみもでてきました。
なんと二階堂蘭子ものの短編集でした。
「劇薬」はどんでん返し。
これまでのものとちょっと感じが違う感じでした。
私は長編が好きなのですが、短編にしては面白かったです。
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「ロシア館の謎」「密室のユリ」「劇薬」
3作のなかでは、「ロシア館の謎」が個人的に一番好き。
正直にいうと、詳細に描かれた人間模様が逆に邪魔をしてしまっている印象。どのようなどんでん返しがあるんだろうと思っていたところに期待の割にはと思ってしまいます。
トリック自体はどの作品も大きな驚きはないけれど、「ロシア館の謎」はトリックだけではない驚きの結末があったので、読み終わった後に満足感。
難しい話ではないので、推理小説の入り口としてもオススメの作品です。
蘭子の存在が薄いのは短編集だからでしょうか。
他の方が書いているように長編も読んでみたいです。
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再読。蘭子シリーズ5作目。3編の短編集。
一番好きなのは「ロシア館の謎」ですね。
広大な屋敷消失トリックが本当にお見事です。
作品自体の雰囲気もとても好み。
後の2編はまあまあですかね。
コントラクトブリッジのルールのくだりは、毎度読み飛ばしてしまう。
Posted by ブクログ
数ある推理小説の中に登場する、数ある名探偵の中で、私が最も敬愛する二階堂蘭子女史が大活躍するシリーズの作品集です。昭和40年代という時代設定が絶妙なのか、このシリーズのもつ独特な雰囲気に浸れるというのは、素敵な読書体験です。それぞれの作品に凝らされた趣向もさることながら、純粋に読み物として素敵な文章に触れるというのも大事なことだと改めて感じました。まだ読んだことのないという方には自信を持ってオススメできます。
Posted by ブクログ
講談社は綾辻作品より有栖川作品より先に二階堂作品の新装版を出すべきだと思うのです…。この装丁は京極作品より怖いよ…手に取りにくいよ…。
内容は相変わらず抜群の安定感です。
表題作の「ユリ」より「劇薬」のほうがフーダニットとしては格段に読み応えがあって好き(*^^*)
それにしても蘭子が相変わらずハマらないなあ…何でだ~(・・;)
●ロシア館の謎…吹雪の中忽然と消失した館の謎。
●密室のユリ…密室状態のマンションの一室で発見された死体。
●劇薬…パーティーが開かれた衆人環視の中でホスト役の男が何者かに毒を盛られて殺害された。