あらすじ
冬の気配が色濃くなってきた11月の京都。真城葵は、今日も店長の孫で“いけず”な京男子、家頭清貴とともに寺町三条商店街の骨董品店『蔵』で働いていた。ある日、人気歌舞伎役者・市片喜助が『蔵』を訪れる。南座での『顔見世』が迫る中、“襲名を辞退しろ”という脅迫状が届いたという。翌日、清貴と葵が見ている舞台の上で、喜助は大怪我をする――京都のクリスマスとお正月を描く、大ヒットキャラミス第3弾!
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安心して読めるけど2人の関係に少しイライラ。タイミングよく現れる邪魔者に空気読めっと突っ込みたくなる。穏やかに流れる2人の日常は少しのスパイスを散りばめて読み終わると癒されて日々の暮らしに戻る。
あと、京都の住民は首都を東京に譲って寺社や歴史的建造物を守ったとプライドを持っているとあり、確かにと思う反面、京都がずっと首都だったら他県ももっと伝統を重んじていたかも知れない。
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特別表紙第2弾。今回は円生。やっぱりこのお話のキーマンなんだ。
今回もはんなり読みやすいお話が多かった。
南座の顔見世、京都の人にとっての思いはいいな。
イケメンカフェ、私も行ってみたい。
年越しの八坂神社のをけら詣り、初めて聞いた。
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あなたは、『蔦屋重三郎』を知っているでしょうか?
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜」。そこには、江戸時代中期の田沼時代から寛政の改革にかけて活躍し、板元として喜多川歌麿や東洲斎写楽らを見出した江戸のメディア王・蔦重こと蔦屋重三郎の波瀾万丈な生涯が描かれています。昨今、光が当てられるようになった蔦屋重三郎ですが、『遊郭のガイドブック』を作ったりする一方で、『才能ある若い絵師を自分の家に寄宿させて、育成にお金をかけたり』と時代を前に進めるために大切な役割を果たしてきた人のようです。
そんな蔦屋重三郎のプロデュースにより、歴史に名前を残した人物の一人が東洲斎写楽です。『二〇〇八年にギリシャのコルフ島』で、そんな写楽の『肉筆画が見つかって、世紀の大ニュースとなった』こともありました。”お宝”として今の時代に引き継がれてもいくお江戸の芸術の数々は、今も私たちをときめかせてくれてもいます。
さてここに、そんな”お宝”を鑑定する側の人物に光を当てる物語があります。『残念ながら、どちらもニセモノですね』と、どこまでも冷静な目で”お宝”を見定めていく鑑定士の姿が描かれるこの作品。そんな鑑定士の『腹黒』な一面を垣間見るこの作品。そしてそれは、『苗字が「家頭」ということから、「ホームズ」と呼ばれていまして』と語る『物腰は柔らかいが、恐ろしく鋭い』という『いけずな京男子』の活躍を見る物語です。
『カランとドアベルが鳴』り、『いらっしゃいませ』と『扉に顔を向け』、『清貴ちゃん、いよいよ明日やで』と『同じ商店街で洋品店を経営する』美恵子さんを見るのは主人公の真城葵(ましろ あおい)。『ええ、勿論、分かっていますよ』と、話しかけられたホームズ=家頭清貴(やがしら きよたか)は『にこりと柔らかな笑みを返』します。『えっと、明日が何か?』と、『ためらいつつ尋ねる』葵に、『何て、明日、顔見世のチケットが、いよいよ販売開始や』と語る美恵子さんは、『顔見世はな、京都人にとって、ほんまに特別やねん』と続けます。『葵さん、「顔見世」とは文字通り、「役者の顔見せ」をするんですよ。歌舞伎の世界では一年に一回、役者の交代をするんです。交代後、十二月に、新たな顔ぶれで最初の興行を行うんですが、それを「顔見せ」といいまして、京の冬の風物詩であり京都人にとって冬を代表する一大イベントなんですよ』と、説明してくれるホームズ。『そのチケットが、明日発売なんですね』と言う葵に、『毎年清貴ちゃんにお願いしとるわけや』とホームズを見上げると『嬉しそうに目尻を下げ』る美恵子さんは、『清貴ちゃん、頼んだで』と言うと『バタバタと店を出て行』きます。そして残された二人、という中、『実は、葵さんと「顔見世」を観に行けたらと思っていたんです』と話し始めたホームズは、『僕は伝統芸能も芸術だと思っています。とても良い経験になると思いますし、勉強だと思って、ぜひ』と続けます。そんなホームズに『…その歌舞伎観劇って、夜ですよね?』と訊く葵に『昼の部もありますよ』、『夜は気が進みませんか?』と返すホームズ。『実は、この前の定期試験の結果が悪かったんです。それで今度のテストでも悪かったら、バイトを辞めて塾に通いなさいと親に言われていて…』と理由を説明する葵。そんな葵に、『葵さん、そこに座ってください。今日から空いた時間にここで勉強をしましょう。僕が見ますので』と言い出したホームズは、『そして、顔見世には行きましょう。必ず、あなたの成績を上げてみせますから』と『強い眼差しで胸に手を当て』ます。そんなホームズを見て『頬が熱くなる』葵は、『は、はい。どうか、よろしくお願いいたします』と『頭を下げ』ます。そんなところに、『再びカランとドアベルが鳴』り、『あー、ホームズくん、ほんまにおる』、『遊びにきたよ』と、『数人の女子大生』が入ってきました。『今から三条の映画館に行くんやけど』、『ゼミの飲み会は行ける?』と、『ワイワイと楽しげな』彼女たちの様子を見て『小さく息をつ』く葵。
場面は変わり、『学校の休憩時間』、友人の宮下香織に『顔見世』に行く話をすると『今年の顔見世は盛り上がりそうやな。なんといっても「市片喜助(いちかた きすけ)」がメインやろ?』と語ります。『歌舞伎の名門・市片家の人間で、アッサリした和顔の、二枚目歌舞伎俳優』という喜助は、『ドラマでも活躍していて、女性とのスキャンダルの話も聞こえてくることが多い、旬な芸能人の一人』で、今は『グラビアアイドルと噂になってい』ます。『それにしても、さすがホームズさんやな。デートが顔見世なんて、やっぱりちゃうわ』と言う香織に『デートってわけじゃないよ』と否定する葵は、『ホームズさんは、女性みんなに』『紳士的で優しい』と先日、『大学の女友達が遊びにきて』いた時のことを説明します。『少しミーハーな気分でホームズさんを眺めていられたらいいのかな、なんて思ってる』と自らの思いを語る葵は、『恋愛でつらい思いは、もうこりごりだ。何より、骨董品店「蔵」で過ごす時間は、私の癒しだし、それを失いたくはない』と思います。そんな葵が訪れた『顔見世』でまさかの出来事に対峙していくホームズの姿が描かれていきます…という〈第一章「歌舞伎美人の恋慕」〉。『歌舞伎観劇』という予想外な場でもホームズの巧みな推理が光るのを見る好編でした。
“冬の気配が色濃くなってきた11月の京都。真城葵は、今日も店長の孫で’いけず’な京男子、家頭清貴とともに寺町三条商店街の骨董品店『蔵』で働いていた。ある日、人気歌舞伎役者・市片喜助が『蔵』を訪れる。南座での『顔見世』が迫る中、’襲名を辞退しろ’という脅迫状が届いたという。翌日、清貴と葵が見ている舞台の上で、喜助は大怪我をする…”と内容紹介にうたわれるこの作品。このレビュー執筆時点で22巻まで刊行され、シリーズ累計255万部突破という望月麻衣さんの紛れもない代表作のシリーズ第3作です。望月さんというと『満月珈琲店』シリーズが有名に感じますが、売り上げ部数も発刊数もこちらのシリーズの方が圧倒しています。文字通り、望月麻衣さんと言えば…というのがこの作品です。今回そんなシリーズ第3作を読んでみて、改めてその魅力がわかったような気がします。
そんなこの作品の一番の魅力はなんと言っても『京都』の描写でしょうか。この作品の作者である望月さんは北海道に生まれ、京都に移り住まれています。そして、この「京都寺町三条のホームズ」で”第4回京都本大賞”を受賞されていらっしゃいます。望月さんは他の作品にも『京都』を描写されていらっしゃいますが、この受賞のこともあってか、このシリーズにおける『京都』の魅力は格別です。〈第三章「祇園に響く鐘の音は」〉の中から『八つのお寺と神社が並んでいるんですよ』と説明される『新京極通』をホームズと歩く葵という場面で見てみましょう。
『新京極通には、誓願寺、誠心院、西光寺寅薬師、蛸薬師堂永福寺、安養寺倒蓮華、善長寺、錦天満宮、染殿院と八つの社寺があるそうだ』。
『歴史のある』これら八つの寺院を詣ることを『八社時詣り』と呼ぶようですが、物語では、『一年の労いと来年への活力に八社時詣りを』する二人の様子が描かれていきます。
『手前の誓願寺から行きましょうか。誓願寺は主に「芸道上達」のご利益があることで知られているんです。芸事ということで、芸能人の方もよく来られているとか』
ホームズからそんな説明を受け、『すごいですね』と『少しウキウキ』する葵。
『白い門に朱色のラインが鮮やかな、とても綺麗なお寺だ。
「誓願寺は、落語発祥の寺とも言われているんですよ」』
誓願寺へと訪れた葵はホームズの説明を聞きながら中へと入ります。
『門をくぐり小さな境内を通る。靴を脱いで畳が敷かれた本堂に入ると、金色の阿弥陀如来に、天井から吊り下げられた同じく金色の灯籠や天蓋が目に入った』
私は『新京極』に行ったことはありますが『八社時』のことは全く記憶に残っておらず、初めてそんな場所を訪れる葵と同じ視点で実際に訪れていく雰囲気を感じることができました。また、そんな作品にはリアル世界に実在する食べ物のお店も登場します。『森嘉の豆腐って、美味しいんですか?』という葵の質問から始まる場面を見てみましょう。
・『ええ、嵯峨野…、嵐山の方にある老舗の専門店でしてね。ひとつひとつ手作業で丁寧に作ることで知られているんです。柔らかくて腰が強く、とてもなめらかで美味しい豆腐なんですよ』。
・『創業は安政の頃で、天龍寺をはじめ、多くのお寺や料理店に愛されてきたようですよ。たくさんあるので葵さんにもお裾分けしますね。油揚げはトースターで少し焼いて、醤油で食べるのも絶品ですから』
思わず読書の手を止めて、Webで『森嘉の豆腐』の情報を調べてみると立派な店構えの写真からはじまって、そこで売られている『豆腐』の魅力が伝わってきます。まさしくガイドブックの役割をも果たしてくれるようなこの作品。改めて『京都』の魅力がたっぷり詰まった作品だと思いました。
そんな作品は主人公・葵のアルバイト先である『京都寺町三条にある骨董品店「蔵」』が一つの舞台となります。”お宝ブーム”と言われて久しい昨今ですが、この作品の巻末には、そんなブームの火付け役とも言える某鑑定番組で大活躍中の中島誠之助さんの著作が参考文献として並んでいます。『鑑定』というとニセモノを見破る鑑定士さんの姿が印象的です。この作品でその役割を担うのがホームズです。
『現代において掛け軸に「本物」と言われる価値のあるものは滅多にありません。祖父は「世に出ている掛け軸の九割は、ニセモノだ」と断言しているくらいです』。
そんな風に強い説得力で『掛け軸』のことを語るホームズ。そこに記されていく豆知識の数々は、この作品を”お宝鑑定もの”として期待される方を裏切ることなく展開していきます。第1作、第2作では、そんな如何にもな”お宝”の数々が登場しましたが、この作品で興味深いのは、ホームズの住まいでもある家頭邸の内部の様子が描写されていくところでしょうか?
『壁にはミュシャのリトグラフが飾られ、扉の横には大きな柱時計…かと思えばオルゴール。出窓にはアンティークな地球儀に、ブリキで作られた車の模型…』
いきなり、壁に『ミュシャのリトグラフ』が飾られているところが、そもそも普通の家ではないと思いますが、物語では、そんな家頭邸で大々的に繰り広げられる、あるイベントが催されていく場面も描かれていきます。まさしく、”お宝エンターテイメント”を見るその展開、つくづく上手く構成された作品だと思います。
そんなこの作品は表紙に描かれた二人の人物を中心に展開していきます。
・真城葵: 17歳、高校二年生、第1作で埼玉県大宮市から『京都』に引っ越してきた先に、『骨董品店「蔵」』でアルバイトとして働くことになった。第3作では、ホームズから勉強を教わる姿も描かれる。
・家頭清貴(ホームズ): 22歳、京都大学大学院1回生。骨董品店「蔵」の店主の孫。『物腰は柔らかいが、恐ろしく鋭い。時に意地悪、”いけず”な京男子』。『「ホームズ」と呼ばれているのは、苗字が家頭「家(ホーム)頭(ズ)」』だから。
そうです。主人公の葵が、アルバイト先の『骨董品店「蔵」』で一番身近な存在であるホームズと行動を共にする中に物語は展開していきます。お年頃の葵という設定もあって、彼女のホームズに対するキュン♡な思いがそこかしこに顔を出すのもこの作品の魅力です。
『「これは可哀相に、氷のようですよ」
優しく私の手を包む、ホームズさんの大きな手。冷たかった指先に、血が巡っていく。指先どころじゃなく心臓がドキドキと早鐘を打って、全身が熱くなる気がした』。
これはもうキュン♡キュン♡です。葵自身も『心臓がドキドキ』なのかもしれませんが、それを読む読者の方まで『ドキドキ』してしまいます。この先もずっとこの『ドキドキ』が続いているのかなあ?と思いますが、いずれにしてもこの感覚はとても好きです!この先も葵の秘めた想いを見守っていきたいと思います!
さて、そんなこの第3作の物語では、〈第一章〉で『歌舞伎』の世界に足を踏み入れていくところが新鮮です。
『顔見世はな、京都人にとって、ほんまに特別やねん』
そんな言葉の先に、物語では『京の冬の風物詩であり京都人にとって冬を代表する一大イベント』とされる『顔見世』の様子が描かれていきます。そこに、”ある事件”が起こり、そこに隠された謎解きをしていくホームズの姿が描かれていきます。”お宝”の鑑定だけでなく、”名探偵”の如く推理を働かせていく様子はとても新鮮な一方で、全く違和感を感じさせないところがこの作品の奥行きの深さを表してもいます。
物語は、〈序章〉に続く三つの短編が連作短編を構成しながら展開していきます。『歌舞伎』の世界に足を踏み入れる〈第一章〉の次は、『蔦屋重三郎って?』という葵の質問の先に魅力溢れるお江戸の浮世絵の話が披露される〈第二章「聖夜の涙とアリバイ崩し」〉、そして、上記で触れたイベントが催される〈第三章「祇園に響く鐘の音は」〉まで、年の瀬迫る『京都』の街を背景に葵とホームズの日常が描かれていきます。そんな中で、少しずつ主人公の葵が成長していく様を見ることができるのもこの作品の魅力です。そう、望月さんを代表するこの作品にはシリーズものとしてパワーダウンすることない魅力たっぷりな物語が描かれていました。
『まあいいぜ!これはズバリ、京都寺町三条のホームズからの挑戦状だ!』
そんな場面も登場する中に、葵とホームズの日常が爽やかに描かれていくこの作品。そこには、第3作になって魅力が益々増すばかりの物語が描かれていました。『京都』の奥深さを改めて感じるこの作品。そんな街に活き活きと動き回る登場人物たちの魅力に改めて魅せられもするこの作品。
読み進めれば読み進めるほどに、物語のさまざまな味がじわっと醸し出されてもくる素晴らしい作品でした。
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今回はたくさんの恋愛譚と浮世絵回だった!!
序章『忍ぶ想い』
店長こと清貴の父へ常連上田さんが持ち込んだ掛け軸。その掛け軸の真意は父のお見合いを応援するものだった。しかし店長は葵と2人になると、愛しい亡き妻を忘れらず、見合いは断るという本心を伝えてくれた。そんな美しい恋のはお話に胸が温かくなった…
そして「蔵」にオーナーが『しのぶれど、色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで』の書を飾ってしまうほど葵に対する恋心が隠せず、どぎまぎする清貴の姿が愛おしかった。
第一章『歌舞伎美人の恋慕』
顔見世に行くことになった清貴と葵。そこで顔見世では市片喜助の襲名した歌舞伎役者が舞台中事故に巻き込まれてしまう。しかし清貴は喜助が予め事故に遭うのを危惧していた。なぜなら喜助が清貴の元に脅迫状の件で相談に来たからだ。喜助は女性関係が派手で、最近婚約発表もしたばかりだった。一体誰が彼にこんなことをしたのかー。
第二章『聖夜の涙とアリバイ崩し』
京都のオシャれな通り北山通で、上田さんの親店で客寄せパンダとして4日間働くことになった清貴。その頃葵も試験勉強も教えてくれ、家族からも彼にお礼がしたいということで清貴を家に招待することに…
そして葵の家を後にした後2人は上田の新店に向かうと、そこには清貴の元カノ和泉の姿が…。実は和泉は婚約を破棄し、新しい相手のお見合いをしまた婚約したそうだが、その彼に別の女の影があり悩んでいた。果たして清貴は和泉の悩みを解決できるのか。そして二章の最後に登場したクリスマスの教会シーンは美しかったなぁ。
第三章『祇園に響く鐘の音は』
オーナー邸で大晦日パーティーをすることになった一同。清貴と葵は蔵からパーティーに向かう前に京極八社寺巡りをすることに…そして秋人も偶然合流しオーナー邸に向かう。パーティーでは柳原先生に嫉妬したオーナーが清貴に考案させた「宝探しゲーム」をすることに…そこで思わぬかたちで円生に遭遇する一同。果たして皆は穏やかに年越しを迎えることができるのかー。ここでも最後に登場した哲学の道から八坂神社にかけてのお散歩ルートが幻想的でキレイだったなぁ。
本作を通して、清貴が葵に想いを募らせているのがひしひしと伝わってきた…2人の恋が2人の願ったかたちで成就しますように…
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シリーズ3作目。
ハラハラしたりドキドキしたり、クスッと笑ってしまったり、安定の楽しさ!
秋人さんの無邪気さがいいなぁ(♡ω♡ ) ~♪
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最初から登場する書は
「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」(平兼盛)
平安時代の『歌合会』で詠まれた歌。『ちはやふる』でも有名になったこの歌は私も大好きな歌のひとつ。
子どもの頃、国際文通週間切手の「蒲原」が欲しくてたまらなかった。高くて手が届かなかったけれど。10年ぐらい前に静岡県の東海道広重美術館の浮世絵プチ体験で、その「蒲原」をゲットした時は嬉しかった。
今回の小説は、浮世絵と歌舞伎を通して道ならぬ恋がテーマになっている。ドロドロ感が支配しても、理知的なホームズが解き明かすとカラッと晴れ間が出てくる。そんなホームズも自分の恋の道では迷ってばかり。葵ちゃんとのじれったい関係はきっと継続していくだろうな。
古典の世界と謎解きを大いに楽しませてもらった。
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浮世絵に歌舞伎、好きなものが出てきて更に夢中で読みました。
歌舞伎俳優さんの在り方はなんか誤解を招く感じがありましたが、襲名に関することや顔見世の意味だったりふんわり知識をしっかりと知れて葵ちゃんと同じ感覚になりました。
浮世絵は版画のため、何回か刷っていると彫っている木が削れたりして絵に上手く線が描かれなくなったりするって前展示で見たことがあるので、本物と偽物の区別は大変興味深かったです。
浮世絵は各分野の専門家がやるもの、木版画絵は作家自ら全ての工程を行うものとざっくりな区別を教えてもらったけれど、本当にざっくりな知識だなぁと。
円生さんとの戦い?も今後楽しみだけれど、ホームズさんがいい雰囲気のところで葵ちゃんに伝えられない焦ったさがまた面白い。
京都弁で本音呟いてるから、きっと……と思うのだけど、ここでも邪魔がーーΣ('◉⌓◉’)秋人さんいないのにーーーーー(><)とか勝手に盛り上がりました。早く叶っても面白く無いので、しばらく焦ったさが続いてほしいなぁとも思います。
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内容(「BOOK」データベースより)
冬の気配が色濃くなってきた11月の京都。真城葵は、今日も“いけず”な京男子、家頭清貴とともに寺町三条商店街の骨董品店『蔵』で働いていた。ある日、人気歌舞伎役者・市片喜助が『蔵』を訪れる。南座での『顔見世』が迫る中、“襲名を辞退しろ”という脅迫状が届いたという。翌日、舞台の上で喜助は大怪我をする。その裏には“道ならぬ恋”が…。大ヒットキャラミス第3弾!
令和5年11月15日~16日
匿名
素敵ですね〜
良いですね〜
こんなふうに 時間を過ごせる人達。
古時計が刻む時間の中のお話し。
ミステリー?なのに人が死なない 優しいお話し。こんな世界で過ごせたら 幸せだろうなぁ。
読んでいる時 読み終わった時のしばしの時間 私もこの世界の住人になれています。
Posted by ブクログ
私の地元にご縁のある作家さんの作品。市民だよりで紹介されていたのをきっかけに読み始めたシリーズの3作目。1作目はティーンズ向けかな、と思ったけど、2作目中盤からハマり始めて、この3作目は一気に読んでしまった。
ストーリーの舞台は京都。私も京都人だけど、知らない、知ってるけど行ったことのない場所がたくさん出てきて面白かった。京都をきちんと巡りたい気持ちになった。特に印象深かったのは「京都が東京に首都を譲ったのは、『古都』を護るためだった」という考え。確かにそうかも!と思った。
骨董品を巡る鑑定士と贋作師のライバル争い、主人公のもどかしい恋の行方、どちらも今後が楽しみです。
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中村芝翫が京都で不倫活動してるのは、清貴みたいな歌舞伎役者の浮気に寛大な考えの人が京都には多いからなのかしら。なんて失礼な偏見を持ってしまう今回。最後はきれいに纏まったように見せて食えないなぁ。清貴の元カノも自分が裏切った相手に何度も頼ってきておかしくないか。大晦日のパーティー、主役を清貴と円生に取られてオーナーはいいのか。
葵の鈍感と勘違いで清貴のアピールはイマイチ通じず、葵て天性の魔性の女かも。
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開運!なんでも鑑定団の味と殺人事件にまでは至らない日常の謎を追求する古都・京都ミステリの3冊目です。ミステリとしては薄味ながらも今回は脅迫状やアリバイ崩しの趣向を盛り込んで中々に努力されていますね。男女のドロドロした愛憎ドラマを扱っていながらも最後が悲劇的ではなく希望を残す幕切れなのが女流作家の優しい心遣いですね。ホームズ清貴は永遠のライバル円生との2度目の対決では冷静さを失いエキサイトした物の以前より黒さが減少しているのは自省からでしょうね。葵ちゃんも確実に成長しており将来は良い嫁さんになりそうですね。
Posted by ブクログ
ヒロインにまったく通じてないホームズの好意の今後が気になる。イケメンからの好意に気づかず、どちらかというと距離を取ろうとしているヒロインが珍しいなあ。
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京都について
なるほど、ふむふむ、そうなんだぁという感じで
人についても
なるほど、ふむふむ、そうなんだぁという感じで
骨董品についても
なるほど、ふむふむ、そうなんだぁという感じで
今回も楽しかった。
そして、要所要所でニヤニヤ(*≧∀≦*)
お店の掛け軸が
「しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで」
にかわった。変えたのはおじいちゃん。
いやぁ、バレてますね。
バレてますよ、ホームズくん!、本人以外に!!!
さて、次の掛け軸のうたは何かなぁ〜
円生出てこなくて良いかな…
なんか、ホームズくんと円生を対決させなきゃいけない、みたいな感じで、いらんとこで出てくるよね…しかも、今回は三番勝負な上、最後もホームズくんが見破ってるのに嘘ついて「これは本物」って言って反応を楽しんで、「顔が引きつったから引き分け」とか。面倒くさい。
それ以外の、ふつうの事件簿だけで十分面白いのに、円生が面倒くさいせいで後味悪く終わってしまう。
Posted by ブクログ
歌舞伎も見に行きたいし京都で年越ししてみたい。
ホームズの「東京に首都を譲った」発言が、実際に思っているかは別として説として興味深い。
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グッと推理小説らしくなってきた。ライトミステリーである事を中心にしながらも謎解きは深化を遂げている様子がうかがえる。キャラクター達のやりとりの楽しさはそのままに、また前作から引き続いてライバルを登場させる事で物語を盛り上げている。見逃せないシリーズになってきた。
Posted by ブクログ
浮世に秘めた想いという副題から、庶民のドロドロの恋愛をイメージしてしまう。明治の文豪の文学には三角関係がしばしば記述されているが、江戸の庶民文化も男女関係が題材になっていた。
寺町三条のホームズとは似つかわしく無いので、純愛が描かれているのだろうか?浮世絵にまつわるのであれば、複雑な風俗的なものになるのだろうか?と想いを巡らせながら読み進めた。
歌舞伎の花形役者の婚約者の悩みはドロドロさを感じる。清貴の元カノもまた登場する。
清貴の謎解きは探偵らしくなってきた。上田さんの秘めた想いや清貴の父の亡き妻への想いは純愛を感じる。そして清貴と葵の関係は???終始秋人が2人について回っているのが面白い。終盤、円生が登場して盛り上がる。
1作目より2作目、3作目と進むにつれ、ミステリーの要素が深みを見せてくれる。人の行動は恋愛、お金にまつわる事が多い。それは庶民であろうが、芸能人であろうが、会社の重役や政治家だろうが同じである。もう少しこのシリーズを読んでみよう。
Posted by ブクログ
前作に引き続き、面白かったです。
もうずっと何年も京都行きたくて、でも「まぁそのうち行けるよね」と先送りにしていたら、コロナで行けなくなってしまい…止められると余計に行きたくなるので、ヤキモキする気持ちを本で観光してます( そして余計に行きたくなってモヤモヤ )
思った以上に秋人さんが登場してて笑いました。この先も出てきて、もっともっと清貴さんと仲良しになるのでしょうね。もう冬だし、季節の巡りは早い…✩.*˚
今作はなんとなく愛憎ものが多かった気がします。清貴さんが円生の扇子を捨てられずに持っていたのも一種の愛憎だなっと。
色々な専門的なものも難しいものも出てきますが、作中でしっかり説明があるので悩まずにサクサク読めます。清貴さんみたいな物知りさんが近くにいるといいなぁと呑気に思いました。
歳上のいけずな京男子…良きです…。しかも武闘派なのもかっこよくて、そりゃ好きになるよね〜。恋愛が進んでいるような進んでいないような…この感じ好きなので、もうしばらく焦れったくいて欲しいです。
Posted by ブクログ
主人公葵の想い人ホームズはかなり露骨に葵への気持ちを伝えるのだが「こんな素敵な人が自分を好きな訳が無い」と脳内には強固なフィルターがかかっているため漫画のように「鈍感に」二人の関係は固定されるな
今度の話には浮世絵・写楽肉筆画の話です
平成26年、ギリシャコルフ島で発見された肉筆扇面画、見ていないのですがMHKではドキュメンタリー番組も放送された
国際学術調査団が真筆と鑑定し江戸東京博物館でも展覧会が行われた
日本中に謎の絵師として梅原猛先生まで著作をだしていた、最初の出会いは髙橋克彦先生の写楽殺人事件であったが、多くの別人説が飛び交い懐かしい思い出である
結局は写楽は写楽と墓誌から明確になり少しガッカリ
※阿波の能役者(身分は武士)として副業が出来ない彼を、令和の時代なら救えるのに(働き方の問題)
Posted by ブクログ
葵ちゃんの天然小悪魔的な鈍さと、ホームズさんの翻弄される姿やヘタレ感も楽しいし、対円生さんとの白熱したやりとりに大人気なさ全開のふたりも良かった。秋人さんの絶妙なお邪魔具合も定番になってきた。型が出来てきた感じ。
さくさく読み進めたい。
Posted by ブクログ
三股歌舞伎役者、家庭教師清貴、イケメンカフェを手伝う清貴、祖父企画、清貴作の暗号等。頻出するプッと笑う描写に隙を感じる。大晦日のパーティでの円生と清貴のバトルに色気を感じる。既に駄々漏れだけれど葵や、ついでに秋人にも全く通じていない清貴の好意や、ある意味ミーハー的な葵、お互いの部屋訪問が微笑ましい。
Posted by ブクログ
誰の心の中にも秘めた想いがある。
言えること言えないこと、言った方が良いこと言わない方が良いこと、それぞれの想いは他人には推し量れない。切れ者の清貴だって、自分の恋愛には迷う。
清貴が葵に何か言おうとするたびに邪魔が入るお決まりの展開は、それはそれで面白い。
あと、推敲はきちんとしてほしい。ラノベ作家には無理な注文なのか。
でも、イケメンで変人の清貴は魅力的だ。
Posted by ブクログ
葵ちゃんとホームズの付かず離れずの関係が好き。
ここで恋話になってしまったら続かないよね。
今回もなかなか豪華な話が出揃いましたね。
それに季節感ある内容だったし。今読んでる時期とは真逆ですが。
だから京都っていいですよね。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目で、季節もすすみ、冬(クリスマスや大晦日など、恋愛イベントも多数!)ということで、葵と清貴の関係性がどう動くのか、という期待も高まります。
新たなキャラクターとして歌舞伎俳優ともと宝ジェンヌも加わり、作品世界の厚みも出てきました。
「歌舞伎」も芸術のひとつとして取り上げてもらったことは、歌舞伎ファンとしては嬉しいのですが、なかなか理解しにくい芸能、という描かれ方をされていたのが少し残念ではありました。『カブキブ!』のように、誰でも楽しめるような描き方をしてくれれば良かったのに……と思わないでもないです。
大晦日に行われた、家頭誠司オーナー主催のパーティーでは、乱入してきた円生と清貴とのバトルもあり、ハラハラ感もいいスパイスでした。
シリーズ作品を読み進めるごとに、具体的な京都の人気の観光情報がどしどし増えるので、実際に京都に行きたくなりますね。