あらすじ
百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?
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Posted by ブクログ
初高田崇史作品!
読み始めた頃に丁度「100分de名著」で百人一首が取り上げられている回の録画を見ており、機運に乗じて読むに至った。
百人一首コレクターの男性が亡くなるという事件が起き、その事件の解決をしながら百人一首の謎についても解き明かしていくという作品で、事件の解決はもちろん楽しめたが、百人一首というものに謎があり、それを調べている人が多く存在し、さらにその謎に一つの答えを出しているというのが感動した。
次回作も楽しみだ。
Posted by ブクログ
以前からずっと、読みたくてしょうがなかったシリーズ。
この偏執的に知識過剰な雰囲気が、とにかく好きなのである。
京極夏彦の一連のシリーズしかり、高橋克彦の浮世絵シリーズしかり。
本職の研究者たちが日々研究していることを、エンターテインメントの小説の中で、自らの仮説を立て、検証し、素人には「これしかないのでは」という結論にまで持っていく。
読んでいてわくわくします。
今作では、百人一首のコレクターである人物が自宅で殺された事件というのが一応のミステリ部分になっていますが、7~8割ほどは百人一首自体の謎の解明に費やされています。
なぜ百人百首ではなく、百人一首と名付けられたのか。
その当時の著名な歌人が外されたり、さほどでもない人が選ばれたりしたのはなぜか。
なぜ代表作でもない凡庸な歌が選ばれた人がいるのか。
さらに、選者である藤原定家と、後鳥羽上皇との関係性について言及する。
没落貴族である定家がお家再興をするためには、卓越した和歌の才能を前面に出していくしかない。
当初は後鳥羽上皇とともに和歌を詠み、その解釈などを語り合ったはずなのだが、徐々に二人の間は離れていく。
後鳥羽上皇の口出しが定家には煩わしくなり、いうことを聞かない定家が上皇には煙たくなった。
その後承久の乱で敗れた後鳥羽上皇は、生涯を流刑地で送ることとなり、怨霊や祟りが日常茶飯だった平安人・定家が鎮魂のために行ったのが百人一首の選定ではなかったのか。
と、いう話。
百人一首の謎が解けて初めて、「ん?もしかして被害者も定家と同じことしたのでは?」となる。
そして、探偵役である桑原崇の本職が薬剤師であることも、今回は意味があった。
本当に博覧強記なのは作者なんだよ。くぅ~。
このシリーズ、どれもこのクオリティを維持できているんだとしたら、すごすぎる。
次巻を読むのが今から待ちきれない。
Posted by ブクログ
まず初めに、本書の圧倒的な百人一首の情報と著者の知識に感服致しました。
今まで、何気なく知っていた百人一首にこんな考え方があるのかと驚き、それをミステリーに落とし込んだ著者に拍手を。
Posted by ブクログ
2作目も流れるように聴き終わりました。初読みの作家様です。2作目に難しい歴史学術ミステリを選んだことを少し後悔するくらいには難しかったです。
百人一首( に関わらず歴史上の人物を調べるのが好きですが、今作では歌人の人生 )を調べたりしていたので、割とすんなり理解出来ました( それでも解釈では????となってました )
絡んだ殺人事件を…というより、百人一首の謎を解いて( 解釈や説明 )メインでした。多分半分くらいはそうかな?と言うくらいよく出てきます。歴史が好きなので個人的には最高だったのですが、推理のと犯人のよく分からない動機にうんざりしました。あとトリックとかに何も関係ない…。
作業しながらだったので、たまに頭の中ごちゃごちゃになりましたが、1番好きな式子内親王様の歌を中心に展開していくのは、オタとしてとても興奮しました。
Posted by ブクログ
1998年。第9回。
再読。当時読んだような。確か感想は「!」が多いな。だったような。
百人一首に造詣の深いワンマン社長が殺された。百人一首、マニアックだ。白山通りの御殿に住んでいるが、子供たち秘書は何故かマンションを買い与え、そこにむりやり住まわせている。結界のためだったのだが。
探偵役も百人一首好き。マニアックな。
これシリーズ化されてるんだよな。
Posted by ブクログ
この本は推理小説という形ではあるものの、実際には百人一首のパズル的解釈に殺人事件がオマケ程度に付随しているだけというのが正直なところ(これは解説にも同様のことが書いてある)。
ぶっちゃけペダントリーな部分も多く、これを逐一読んでいくのか、斜め読みで流すのか、どちらであっても本筋に大きな影響はない。
へぇなるほどなぁと思うところが人によってはあるかなという感じ。
好きな人には好き。合わない人には合わない。
Posted by ブクログ
ひさしぶりの百人一首の謎モノ。楽しかった。
ミステリー仕立てになっているけど、実は、それはどうでも良かった。いや、物語構成としては、有りだと思う。ミステリーのカラクリや種明かしだけだと、なんとも普通の、どうでも良さそうな話なので(苦笑)。 かといって、百人一首の謎を解き明かす過程と、その解が、ミステリーの解明に寄与したのか、その関連性は、はなはだ希薄とも言える。
ので、これがミステリーとして面白いのかはさておき、ということになる。
とはいえ、百人一首の謎解きとして信憑性があるのかというものフィクション(ミステリー小説のネタ)としての扱いとなり、結局は中途半端な内容ではあるのだけど、百人一首ファンとしては楽しく読める。
著者の作品は源平の物語を扱った『源平の怨霊』が先であった。その作品とも相通じるように、日本は古来より怨霊(慰撫)信仰に篤かったということと、あらゆることが当時は「呪い」(あるいは”呪い除け“)の発想で成っていたという著者の揺るがない思いが一本の筋となって通っているので、良しとしよう。
改めて、過去に読んだ林直道氏の本や(本書の中でもたびたび触れられる)、織田正吉氏の著作(未読)、十次魔法陣説を唱えた太田明氏の本などを読み返してみたい。
本書の唱える「曼陀羅」説も出来上がりは実に美しいな、と思う。
Posted by ブクログ
百人一首の謎と蘊蓄は興味深かったけど、殺人事件必要だったかなぁ…。
麿の酩酊事件簿で知った作家さんだけど、読みやすさでは麿の方がお勧めかも。
とりあえずあと1~2冊はシリーズ読んでみようかな?