【感想・ネタバレ】陰陽師 生成り姫のレビュー

和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月04日

この物語は主人公・安倍晴明の活躍と、その親友である源博雅の悲恋を描いた物語です。

 博雅は12年前のある夜、得意の笛を吹いている時に一人の姫と出会う。
 その後も笛を吹くたび現れる姫。彼は名も知らぬまま彼女に惹かれ、いつしか会えなくなってからも ほのかな想いを持ち続けていた。
 時が流れ、博雅はあ...続きを読むる男から相談を受ける。
 かつて情を通じたが今では疎遠になった姫が、夜な夜な呪いをかけて男を殺そうとしているというのだ。
 博雅は男を救うべく親友・晴明の力を借り、共に姫を待ち受けるが、生成りとなり現れた女…徳子姫は 彼が思いを寄せたその人であった。
 あさましき姿を博雅に見られたことに絶望する徳子姫。自分が介入したことによってより深く彼女を傷つけてしまったことを悟る博雅。
 何とか姫を救おうと彼女の屋敷へと向かった晴明と博雅だが… といったストーリー。

 とにかくクライマックスで博雅が徳子姫にかける言葉がいいのです!
 まず、鬼になって自分を喰らおうとする姫に「我が肉を喰らえ」と。
 そして「そなたが愛しいのだ」と言うのです。
 たとえ年を取って肉がつこうがシワが増えようが、鬼になってしまおうが、そんな貴女が愛しいのだと言う博雅と、 「十二年前にその言葉を言って欲しかった」と返す徳子姫。読みながら思わず号泣しました。
 純粋だけど不器用で男女の仲に疎いせいで、好きな女性と結ばれることができなかった博雅にノックアウトです。
 読んだら瞬く間に博雅の嫁になりたくなること請け合いです。少なくとも私はなりました。
 晴明が何度も言うのですが、本当に『良い漢』なのですよ。
 まぁ、よく考えてみれば博雅は30代後半という設定なので、何だかんだ言ったって平安貴族の常識としては 立派な家柄出身の北の方(奥さん)がいないわけないんですけどね。

 さて、いささか暴走してしまいました。
 陰陽師シリーズは基本的に文春文庫から出ている短編集が主ですが、 これは朝日新聞の連載小説だったため長編です。
 それゆえ読んだことのない人のために、主人公たちの人となりについて十分な解説がなされている安心設計。
 (しかし、これを毎日切れ切れで読んでいたら私も泣けなかったなぁ、きっと)
 いきなり買うのは冒険だという方は、 「陰陽師 付喪神ノ巻」の中の短編「鉄輪」を読んでいただければ大体の感じはつかんで頂けると思います。
 でも『良い漢』っぷりは3割減。(TORY比較)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年03月07日

藤原済時の心変わり、悔しさのあまりに丑の刻参りをして鬼に変わりそうになるが
その姫は、堀川の橋のたもとで 笛を吹く博雅にあわせて琵琶ひいてくれた 博雅の想い人でした。
泣きながら 死にゆく生成りと化した徳子姫をだきしめて「そなたが愛しいのだよ」と告白する博雅が愛しい人でした。

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