矢崎存美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ矢崎存美さんの小説はぶたぶたさんシリーズのイメージが強くて、他のシリーズに馴染めるだろうか?とドキドキしながら読んだ。
でも読み終わった今は、食堂つばめの続きも早く読みたくなっている。
ぶたぶたさんとは違う方法で寄り添ってくれる。そんな作品だと思う。
体調が悪い時、何も食べられなくなることもある。
ものすごく落ち込んだ時、何かを食べることさえしたくなくなる。
緊張している時、食事どころじゃないよなんて気分になる。
ご飯が美味しく食べられるというのは、心と体が元気な証なのかもしれない。
だから大切な人が美味しそうにご飯を食べているとほっとする。
「食べ過ぎ」とか「塩分取り過ぎだよ」とか文句を言いながらも。
もし暗い顔をして俯いていたら、美味しいものを食べに行こうと誘うだろう。
大好きなご飯を何としても用意するだろう。
ご飯がその人の元気になると信じて。
『食堂つばめ』はそんな想いが溢れている小説。
目の前を通り過ぎていく今にも死んでしまいそうな人に美味しいご飯を食べましょうと誘う食堂。
あなたの思い出の味を再現します。
だから元気を出して、と。
死の一歩手前まで来たら、そりゃご飯どころじゃない。きっと。
でも、そんな時だって自分に何か食べさせようと一生懸命になってくれる人がいたら、それだけで救われるだろうと思う。
どんな時だってその優しさを受け取れる状態でいたい。
用意してくれたご飯を美味しいと感じられる状態でいたい。
そう思った。 -
Posted by ブクログ
矢崎ありみさんが書かれている人気のぶたぶたシリーズですが、今回も人を中心とした素敵な内容でした。
“森の中の洋菓子店「コション」は、町のスイーツ好きに大人気のお店だ。可愛いぶたの顔形をしたサクサクのマカロン、ほろほろと口の中で溶ける絶品マドレーヌ。ところが、そんな魔法のようにおいしいお菓子を作るパティシエの姿を見た人はいない。どこか秘密の場所で作っているらしいのだが…。心優しきぶたぶたが甘い幸せの輪を拡げてゆく、文庫書下ろしほのぼのファンタジー。”(「BOOK」データベースより)
「ぶたぶたシリーズ」の主人公は"ぬいぐるみの山崎ぶたぶたさん"。
ピンク色のぶたのぬいぐるみなのに動くだけではなくて、歩いて、しゃべって、仕事をしていて、料理が上手な優しい中年男性。綺麗な奥さんと可愛い娘さん二人とで生活していて、奥さんと娘さんはぬいぐるみではなく普通の人間。
そんな"ぶたぶたさん"と知り合った人々は、心に抱えていた悩みや悲しみが徐々に薄れていき、ぶたぶたさんと知り合ったことで幸せになっていくというストーリー展開が一貫しています。
ぬいぐるみが生きているという設定自体が奇抜なのですが、どうしてそうなったかということについては一切触れられていなくて、「ぶたぶたさんは、ぶたぶたさんだから」というキッパリとした割り切りが良いなと思います。
今回はぶたぶたさんが洋菓子のパテシエとして登場し、いろいろな人がぶたぶたさんと出会い、それまで抱えていた悩みを徐々に解決してという内容です。
ひとつひとつの話はぶたぶたさんが中心ではなく、ぶたぶたさんが出会った人々がそれぞれ主人公として物語が展開します。ぶたぶたさんを巡る短編が連なりながら、最後にはひとつの物語を形成しているという連作短編となっています。
今回も心温まる物語詰まった素敵な一冊でした。
気軽にホッと出来る、疲れた心に効くとびきりのサプリメントのような一冊。 -
Posted by ブクログ
ぶたぶたさん、今度の職業はホテルのバトラーさんです。バトラーは執事という意味ですが、要はスタッフの教育係なんだそうです。ぶたぶたさんらしいなぁ、絶対向いてます。そして、高級ホテルだから、いろんな客が来ます。事情を抱えた客、ホテルに関係するお仕事の人、催しを企画する人…みんな様々にぶたぶたさんとの出会いで、ちょっとほっこりして、元気をもらって、前向きになる。家族との関わりをやり直せたり、間に合わないと思った仕事をやり遂げられたり、病気の看病をしてもらったり、知らなかった自分を発見できたりね。わたしのぶたぶたさんは何処にいるんだろう。岐路に立っているってのは、分かってるんだけどなー。背中押して欲しいなー。なんて、このシリーズに背中押されたりしてます。がんばろーと思える。ありがたいことです。
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Posted by ブクログ
徳間書店ver.のシリーズ第二作。あの愛らしいぶたぶたさんが、なんと刑事に!?殺伐とした犯罪者をふんじばるなんて、あの(軽くてキュートな)ぶたぶたさんに出来るのー?!
と思ったら、いやはや、すごいです、ぶたぶたさん。かなり便利屋扱いで、難事件をスピード解決してます。
なんせ燃やさない限り死なないから(縫えばいいだけだし)、銃を持った相手でもぬいぐるみのふりして(ぬいぐるみだけど)近寄っちゃう。
二児のお父さんでもある(!!)から、非行に走りそうな子どもも(その愛くるしさも相余って)簡単に手なづけちゃう。
何よりその懐の大きさが、すぐに人に心を開かせちゃうんだなー。
それに、これ、一応刑事モノなんだけど、最後があったかい終わり方の話が多いんだ。それに結構救われるの。読後感が好きな作品になりましたね。 -
Posted by ブクログ
で、結局少年たちはどーなったのぉぉぉ!!?と、最後の終わり方が気になりすぎて…。その分☆一つ減らしましたが、これはこれでいい終わり方だと思う。
たぶん、優勝は出来なかったんだろうなぁ。でも、素晴らしい思い出と先の展望が出来てよかったねぇ…と三十路に脚を突っ込んだおばちゃんは思いますよ。
なりたいモノを探して、見つからなくてもがく若者は多いのですから。
しっかし、やっぱり矢崎存美さんの小説は、食べ物が美味しそう過ぎる…ぶたぶたさん、かわゆすぎる。おじさんなのに。ぶただけど。
つばめ食堂がよかったので、たまたま新刊が出てたぶたぶたシリーズに手を出してみたけど、やっぱりつばめ食堂と同じで、ほっこりと心温まる何かがありますね。こういう読後感大好きです。
しばらく、ぶたぶたシリーズ、漁ってみようと思います。みんな文庫になってるしね! -
Posted by ブクログ
ネタバレ全て購入しているぶたぶたシリーズの作者のやつだったので、つい購入。昔は(失礼な言い方だが)ぶたぶたシリーズを読んでいても文章がそれほど上手くない、と感じていたのだが、今は非常に読みやすく分かりやすい文章なので、ぶたぶた以外でも面白いのでは、と思って。
面白かったです。うん。
自分が今一番食べたいものが出てきて、それが臨死状態からの復活のきっかけになる、ってのも面白いネタだと思った。
まあ、正直言えば、よくあるネタの詰め合わせかな、と思う部分もなくはない。臨死状態から蘇らせる、実はキーパーソンが肉親でした、そのことを相手は忘れてます、などなど。
でもこの本の本質はそこにはないからねぇ。この本の本質は、「誰もが懐かしい思い出の味、もう一度味わいたい味があって、それが生きる気力を呼び戻させる」というところだから。
ぶたぶたシリーズといい、著者は「食べ物にはそういう力がある」と信じているところが見受けられる。それは僕も同意する。美味しいものを食べるのはもちろん楽しいし嬉しいのだが、それ以上に「自分のために作ってくれた何かを食べる」というのは、本当に素晴らしいことなんじゃないかな、と思う。家族の間だとそれが当たり前になりすぎているきらいはあるが、そうじゃないんじゃないか、と思わさせられた。
そういう意味で、主人公たる秀晴の「誰かが作ってくれたものが好き」というのは、「そうだよなぁ、誰かが作ってくれるっていいよね」と言いたくなるよね。特にそれが、一生懸命に作ってくれたものであれば、たとえ不味いものであったとしても、ね。
そんなことを考えさせてくれる一冊でした。
ただねー、コレを読んでいくと、りょうさんの存在価値ってなんだろう、って思わざるを得ないんだよね。何となくキーパーソンっぽいんだけど、でも実際のところはノエの夫であり、秀晴の祖父でした、ってこと以外に、存在価値があまりないようにも思えてしまうんだよなぁ。いなくてもいいんじゃね?って。
シリーズ化されるようだし、著者のブログには続編を書いている、って書かれてたので、今後りょうさんの重要度がどれくらい高まってくるのか、期待して見ていきたい。
さて、僕の「死ぬ間際に食べたい味」ってなんやろね?基本は美味いざる蕎麦なんだけどなぁ。