飯田泰之のレビュー一覧
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いわばヤバい経済学の日本版。統計的手法を駆使して社会現象をあぶり出していく。
タイトルが「夜の経済学」と言うだけあって、下半身よりの話題から分析が始まる。例えば、風俗嬢の割合を可能な限りの情報を駆使しながら執拗に推定していく(20人に一人が風俗嬢の経験を持つという結論は、肌感覚的には少し控えめにも思えるが)。そのほか大学偏差値別の童貞/処女率とか、まあ下世話な話に事欠かない。
ただ、これはあくまで導入。話題が地域別の風俗価格の分析に入ったあたりから、性風俗産業というのが様々な格差を如実に表すものであることが明らかになる。そこからさらに、生活保護や流言飛語といった社会問題にまで踏み込んでいく。下 -
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☆3
経済学に対する見方が、面白い方向に変わったよ。
自分の中で「何となく」そうなんだろうな~と予想していたことに、これまで知らなかった理論が新しい意味付けをもたらした感じだよ。
大学で専門分野を学ぶ意味に納得。自然にやってた仕事の進め方は、確かに学生時代に作られたものだと思う。
問題を絞りこみ、データ観察、問題分割して仮説を立て、検証し結論を導く。この型は何となく身に付けてると思ってたけど、経済学に利用できること、そして各手順にまだ効率化の余地があることを意識しながら、使っていきたいと思う。
企業のマネージャーは、人を切れるかどうかという権限の違いで、発揮される才能が全然違うことは興味深か -
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経済学者、貧困問題に取り組む人(湯浅誠氏)、格差を論じた人(赤木氏)との対談を通じて、「経済成長」が今の日本にどれだけ必要か?というのを論じた一冊。
資源の制約を完全にクリアしたならば、経済成長=右肩上がりというのは絶対的な解である、というのはこの本を読んで納得する部分である。
しかし現実世界では、資源はやはり有限なものではないかと思うので、ここでいくら経済成長こそ日本の特効薬ともてはやされても、それは実現してはいけない解のように思えた。
また、実質この本の主張のメインである飯田泰之氏が、やや上から目線的に対談を仕切って、さも「経済学は偉い」という印象を与えていることに不快感を感じなくもな -
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そこそこ面白い対談集。軸となっている飯田泰之氏の他の著書としては『ダメな議論』を読んだことがあるけど、こっちの方が氏の専門性が発揮されている感はある。
ただ、面白いと思った部分には付箋を貼っていく読書スタイルなんですが、気づいたら序盤の半分ぐらいに付箋が集中。公判が面白くない訳じゃないんだけど、ちょっと物足りないかな。
子どもが教育を受けられるという状況が、とても恵まれた贅沢なことであることは同感。そういう最低限を保障するために貧困をどう撲滅していくか。世界でこの問題に対処する時にはMDGsが掲げられるわけですが、本書で指摘されているとおり、日本国内の貧困に抗するためにも、日本版MDGsを -
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教養書を選ぶとき、「自分の知らないことを知る」「何かに役立てる」という目的以上に、「自分が読んで心地よい」ものであるという前提が大きく影響してくる…この話はなかなか深層に迫っていると思った。心地良くないものを最後まで読み通すのは結構辛い。
そもそもその心地よさというのはどこから来るのか。どうやって何かを支持するという心理が生じるのか…を分析した上で、その心理のために論理的に誤った内容の議論でも受け入れてしまう事例の原因が何であるかについて、著者の挙げる5つのポイントを軸に検討している。
ある議論について、その論調や言葉遣いから直感で(何となく信用しがたいな)という気がすることは今までもあっ -
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疑似科学を批判する書籍は多い。この本も例外なく、ゲーム脳、マイナスイオン、水からの伝言、ゲルマニウム・ブレスレットなどの疑似科学に気持ちいい批判を浴びせている。また、マスコミの科学に関する無知による報道の歪みや、「学」と「民」の科学コミュニケーションのあり方、3,11以降の情報リテラシーなどにも触れている。
だが、薄っぺらな科学原理主義とは一線を画す。環境や社会に関する複雑な問題を解決するには、あえて科学以外の「知」も用いたほうが効率的だという主張が印象的だった。場合によっては、哲学や文学などの「非科学」も有効なのだ。注意すべきは、「非科学」なのに「科学」を装う「疑似科学」だ。これは欺瞞以 -
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ネタバレ書いてあることは、すごーく真っ当であり、基本的なことです。
ここに書かれているチェックポイントを意識していれば、日々流れ込んでくるニュースや感情に任せた支離滅裂な意見、一見すると破綻してなさそうだけど実はトンデモないことを主張している意見などに惑わされずに、事実を突き止めていくことができるようにはなると思います。
ただ、主張されているポイントそのものには、目新しさを感じませんでした。それは、この本で挙げられているチェックポイントが古くなったという訳ではありません。
むしろ、ここ数年で急増した感がある「デマに惑わされないようにするには」「政府が主張するデータはどこで改竄され、政府に都合のよいよ