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ニート問題から財政赤字、平成不況まで、いかにももっともらしい議論がメディアを飛び交っている。じつは国民的「常識」の中にも、根拠のない“ダメ議論”が紛れ込んでいる。そうした、人をその気にさせる怪しい議論を、どのようにして見抜くか。そのための五つのチェックポイントを紹介し、実例も交えながら、ダメな議論の見抜き方を伝授する。論理思考を上手に用い、真に有用な情報を手にするための知的技法の書である。
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Posted by ブクログ
常識とは,一般市民が「空気」として「なんとなくそう思う」,あるいは「なんとなくそう信じている」ところから生まれると著者は主張する。その常識は,やがて世間に受け入れられる中で「言説」として成立することになる。そういった傾向が社会のあらゆる側面にみられる中で,著者は,一部の天才と呼ばれる人間を除いては,...続きを読む統合的思考より,分析的思考が有効であり,私たちは分析的思考を駆使して今まで「常識」として受け入れられてきたものを分析しなおし,有用なものを見出す必要があると述べている。著者は,「虚無論法」や「自然論法」にも触れ,なぜそれらがダメな議論なのか,言説として信じられているものを見破る具体的な手立てを提示している。具体的には,5つの基準が導入され,それぞれの基準を実際に著者が応用させ,様々な議論を論破してみせている。大学生,あるいは社会人にとっても非常に有用な著書だと考える。
経済政策の専門家である著者による、現代に蔓延る間違った解釈、無用な議論「ダメな議論」について書かれた本。「ダメな議論」とはどういうものか、どのように生まれるのか、どのように我々はそれを見極めれば良いのか、が解説される。 情報過多で、フェイクニュースやなんちゃって評論家が跋扈する現代において「ダメな...続きを読む議論」を見抜く方法を知っておくことは非常に有用である。 内容の妥当性も高く、理解に易しい。 「ダメな議論」を見抜くためには以下の5つのチェックポイントがあるという。 ①定義の誤解・失敗はないか ②無内容または反証不可能な言説 ③難解な理論の不安定な結論 ④単純なデータ観察で否定されないか ⑤比喩と例話に支えられた主張 どれも冷静に考えれば当たり前のことだが、我々は往々にして「熱」によってこれを忘れてしまう。つまり、我々は自分の信条に沿った言説を無批判に受け入れる傾向にあるし、無意識に都合の良い議論を好んでしまう。 だからこそ、自分が「ダメな議論」に巻き込まれることに常に細心の注意を向けなければならない。そして本書はそのための指針となる本である。 さらに「ダメな議論」を避けるための基本姿勢として下記が有用である。 ①問題を適切に分割し ②個々のターム(用語)の定義を明確にし ③パートごとにデータによる検証を行う 問題に対して適切に対応し、無用の議論に巻き込まれないために、本書の内容を使いこなしたいと思う。
論理的におかしい、内容のない議論は結構多い。政治の世界の議論はほとんどが突っ込みどころ満載だ。会社で行われている会議も結構当てはまる。本書では、そうした「ダメな議論」を解説し、それを見抜くためのチェックポイントを紹介している。また、後半では、実際に「ダメな議論」を挙げ、そのどこがどうダメなのか解説し...続きを読むている。 「議論」というと複数の論者がそれぞれの考えを述べ、論じ合うというイメージがあるが、本書で扱っている「議論」はむしろ「論説」に近い。 自分が詳しい分野についての論説であれば、自然とおかしなところに気がつくが、専門外だったり知らない話だとそうもいかない。そうした場合に5つのチェックポイントに照らし合わせてみることが効果がある。 (1)定義の誤解・失敗はないか (2)無内容または反証不可能な言説 (3)難解な理論の不安定な結論 (4)単純なデータ観察で否定されないか (5)比喩と例話に支えられた主張 著者の主張はリーズナブルで解説は丁寧だが、その丁寧さがかえって文章としての読み易さを損なっている感じを受けた。練習問題としている後半もきちんとページを割いて、実践的なものになっている。
苦手な議論の追い方、やり方について技を得るべく読む。5つの視点は有効そうだ。定義づけ、今何を話しているのか?への注意、等基本ながらつい外す点を、丁寧に記していた。
◼️p22-23 私たちは、「自分の知らないことを知る」本を探しながら「自分の知っている(漠然と感じている)ことが書いてある」本を購入し、読書を「自分の役に立てる」ことを目標としつつ、「自分の思想・行動に何ら影響のない(読んでも読まなくても変わらない)」本を読んでいます。つまりは、自分が日頃から抱い...続きを読むている「信仰」にお墨つきを与えてくれる、「自分が読んで心地よいと感じる」本を選んでいるなすぎないというわけです。 なるほど、その通りだ。これは本に限らず、たとえばtwitterなんかでも、無意識のうちに自分に合った言論を発信する人ばかりをフォローしてはいないだろうか?そのような状況下では、既に自分が常識と思っている考えを、それが正しくないかもしれないにも関わらず、どんどん強化していってしまっているだけになっているかもしれない。 本書は次のようなチェックポイントを示し、これらの項目を確かめながら文章を読み進めることで、少なくとも「ダメな議論」を排除できるとしている。 ◼️p53〜 5つのチェックポイント ①定義の誤解・失敗はないか ②無内容または反証不可能な言説 ③難解な理論の不安定な結論 ④単純なデータ観察で否定されないか ⑤比喩と例話に支えられた主張 このようなチェックを行うことで、なんとなく納得してしまうことを防ぎ、文章をより批判的に読む姿勢が身につくというわけ。ただ、本書の後半では実際の言論をこれらのチェックポイントによって検証していくわけだが、文章がいかんせん経済政策の内容に偏りすぎていて(著者の専門の関係だろうが)そこは少しつまらないというか、もう少し多様なテーマの文章を扱ってほしかった。
ダメな議論とは、誤った議論、無用な議論、有害な議論なのだそうだ。 そのチェックポイントを四つに分けて提示していた。 一、定義の誤解、失敗はないか 二、無内容または反証不可能な言説 三、難解な議論の不安定な結論 四、単純なデータ観察で否定されないか そのうち、非専門家には、一と二をまずせよ、とのこ...続きを読むと。 たしかに、定義の確認からやってみよう、とは思う。 もっとも、やってみるときっとそれすら難しいだろう。 定義されるべき言葉と、必要ない言葉をどう線引きするか。 「正しい定義」(本来、定義は「正しい」ものであるはずなのだけれど)を、何に依拠して見分けるか。 やはり、調べるなどの手間を嫌がっていてはだめなのだろう。
1.コールドリーディングという説得方法 詭弁の見抜き方 ・定義の誤解、失敗はないか ・無内容、反証不可能 ・難解な理論の不安定な結論 ・データを伴っていない ・比喩と例話に支えられた主張 ーー
「はじめに」ではこの本が、あくまでも「技術書」であり、「ダメな議論」のフィルターである旨が明らかにされる。でもやっぱり面白いのは「具体例」の部分。ココがおもしろいからこの本は、類書に比べてもホントに「使える」本になっている。 まず、よく使われるマジックワード、内容がないことをごまかすための常套テ...続きを読むクニックが、実例付きででてくるところがイイ。そうそう、「本当の○○」とか「真の○○」とか「自然な状態」とか「夢」とか出てきたら、眉唾だってことっすよ。 つぎに、じっさいに「ダメ議論」が蓄積されてる分野から例文をつくっているのがイイ。たとえばニート論とか、「よいデフレ」論とか、食糧安保論とか、「財政ハルマゲドン」論とか……ぜったいにどっかで「ああ、こーいうの読んだ」というデジャヴュがでそうな例文を、てってーてきにタタいてるところが、この本の痛快なところ。とくに第5章(あやしい「大停滞」論争)のところは、「バブルの原因」「不況の原因」「格差拡大の原因」を絶賛おっかぶせられ中の若者世代必読。 読んでたのしく、役に立つ。ロジカルシンキングとか論理学とかしゃらくせぇというか、めんどくせぇというかな人にも、「ダメ議論フィルター」の使い方がイメージしやすい。お買い得な1冊です。
かなり昔に読んだ本だけど、仕事上の必要があって再読。 いやー、「一回読んだことある」&「読む目的がはっきりしている」と、読むスピードとか理解の速さとかが全然違ってくるね。 初見の際は完全に見逃していた内容を何個か見つけたし、実はかなり緻密な論理構成であることも実感できた。著者は若いのにすごい...続きを読むなあ。 けっこうな名著であると思う。
世の中に多い「ダメな議論」に付き合わされないための方法を紹介している。機械的にチェックできるポイントが5つ紹介されているので引用。 1. 定義の誤解・失敗はないか 2. 無内容または反証不可能な言説 3. 難解な理論の不安定な結論 4. 単純なデータ観察で否定されないか 5. 比喩と例話に支えられ...続きを読むた主張 身の回りだと、「2. 無内容または反証不可能な言説」が多い。話していて不利になると極論持ち出す人や、「結局幸せなんてひとそれぞれじゃん」と言って話を終わらせようとする人はこれ。 それなりに教養と常識があればデタラメとわかるような話でも真に受ける大人が多いのを見ると、こういう本は必要だと思うのだけど、たいていの場合そういう人は自分で気づいていないから、きっと売れないんだろうなあ。
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ダメな議論――論理思考で見抜く
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