飯田泰之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そこそこ面白い対談集。軸となっている飯田泰之氏の他の著書としては『ダメな議論』を読んだことがあるけど、こっちの方が氏の専門性が発揮されている感はある。
ただ、面白いと思った部分には付箋を貼っていく読書スタイルなんですが、気づいたら序盤の半分ぐらいに付箋が集中。公判が面白くない訳じゃないんだけど、ちょっと物足りないかな。
子どもが教育を受けられるという状況が、とても恵まれた贅沢なことであることは同感。そういう最低限を保障するために貧困をどう撲滅していくか。世界でこの問題に対処する時にはMDGsが掲げられるわけですが、本書で指摘されているとおり、日本国内の貧困に抗するためにも、日本版MDGsを作るべきというのは、面白い主張だと思います。
それなりに経済学の基礎知識がないと読みにくいので、その辺はちょっと評価を抑えました。 -
Posted by ブクログ
教養書を選ぶとき、「自分の知らないことを知る」「何かに役立てる」という目的以上に、「自分が読んで心地よい」ものであるという前提が大きく影響してくる…この話はなかなか深層に迫っていると思った。心地良くないものを最後まで読み通すのは結構辛い。
そもそもその心地よさというのはどこから来るのか。どうやって何かを支持するという心理が生じるのか…を分析した上で、その心理のために論理的に誤った内容の議論でも受け入れてしまう事例の原因が何であるかについて、著者の挙げる5つのポイントを軸に検討している。
ある議論について、その論調や言葉遣いから直感で(何となく信用しがたいな)という気がすることは今までもあった。当たり前といえばそうなのだが、データや用語の定義を調べることで、議論のどこがどう誤っているのかをより説得的に説明することができる。著者はダメな議論を見抜く術として色々と書いているが、他人といかにやりあう(議論しあう)かのヒントにもなると思う。妄信的な◯◯信者で、どんなに論理的な間違いを指摘しても梃子でも動かないような人には、結局効かないんだろうけど。 -
Posted by ブクログ
疑似科学を批判する書籍は多い。この本も例外なく、ゲーム脳、マイナスイオン、水からの伝言、ゲルマニウム・ブレスレットなどの疑似科学に気持ちいい批判を浴びせている。また、マスコミの科学に関する無知による報道の歪みや、「学」と「民」の科学コミュニケーションのあり方、3,11以降の情報リテラシーなどにも触れている。
だが、薄っぺらな科学原理主義とは一線を画す。環境や社会に関する複雑な問題を解決するには、あえて科学以外の「知」も用いたほうが効率的だという主張が印象的だった。場合によっては、哲学や文学などの「非科学」も有効なのだ。注意すべきは、「非科学」なのに「科学」を装う「疑似科学」だ。これは欺瞞以外の何物でもない。
まして「科学が万能でない」ことを理由に「科学は信用できない」と理論をすり替えるのは、カルトか、金儲け主義か、思考停止のいずれかである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ書いてあることは、すごーく真っ当であり、基本的なことです。
ここに書かれているチェックポイントを意識していれば、日々流れ込んでくるニュースや感情に任せた支離滅裂な意見、一見すると破綻してなさそうだけど実はトンデモないことを主張している意見などに惑わされずに、事実を突き止めていくことができるようにはなると思います。
ただ、主張されているポイントそのものには、目新しさを感じませんでした。それは、この本で挙げられているチェックポイントが古くなったという訳ではありません。
むしろ、ここ数年で急増した感がある「デマに惑わされないようにするには」「政府が主張するデータはどこで改竄され、政府に都合のよいように加工されているか」「発表されている事実は、本当に事実なのか」などといった論調の、様々な書籍やブログに触れてきたことで、この本で主張されていたポイントが、自分にとってはもはや「意識して身につけなければならない視点」では無くなった、ということだと思います。
逆に言うと、そういった視点からニュースや報道、政府発表などを疑う習慣を持っていない人にとっては、この本は入門としてはかなり好いのではないかとも思います。
「自分は出てきた情報を鵜呑みにする傾向があるなー」という自覚があるなら、手に取ってみる価値はあります。痩せると報道されただけでトマトジュースを買い占めるようなタイプの人なら、是非読むべきだと思う。 -
Posted by ブクログ
経済に関する本は今まで多くの本を読んできましたが、なぜこの種の本を読んできたかを振り返ってみると、今の経済状態は自分の生活や会社の業績にどのように影響するのかを理解したいというのが背景にあったと思います。
そのような私に取って、この本のタイトルである”経済は損得で理解しろ”というのは私の興味を惹くには十分であったと思います。難しい内容を分かりやすく書くには本当に理解していないと書けないと言われますが、この本は経済についてわかりやすく解説されていたと思います。
特に、サンクコストの解説において、テーマパーク入場前後でサンクコストを考えるポイントが異なる(p30)というのは、他にも応用出来そうな考え方だと思いました。
わかりやく説明されているこの本の後半部分で、名目GDP成長率(0%)<国債の名目利子率(1.5%)が続くと確実に破綻するとあった(p219)のは最も引っかかったポイントでした。
以下は気になったポイントです。
・テーマパーク入場前は、費用:入場料とアトラクション料金、便益:得られる満足度、入場後は、費用:1回のアトラクション料金、便益:各々のアトラクションから得られる満足度、で比較する(p31)
・八ッ場ダム建設で考えることは、これから完成までにかかる費用(残りの事業費)と、ダムができることによってできる利益、いままでに払った費用は無視(p31)
・意思決定をする場合、機会費用は計算に入れるが、サンクコストを取り返そうという思いを捨てるのが、有利な意思決定をする上でのポイント(p32)
・貿易をすることで、比較優位である財を輸出して、比較劣位である財を輸入することで、お互いが得な状態になる(p40)
・競争があると得をするのは消費者、競争がないと得をするのが企業である(p50)
・給料が上がることで費用と便益があわなくなった企業は、賃金というコスト(費用)が上昇した分、何人かの労働者をクビにすることでその変化に対応しようとするので、結果的に失業者は増える(p63)
・質と値段に還元できないところに特徴をもたせることで、iPodは差別化優位戦略が成功した(p75)
・GDPとは、その年に新たに生み出されたというのが条件、土地や骨董品などの今年作られていないものの取引は、取引による手数料のみがGDPとしてカウントされる(p86)
・1970年代の各国は、インフレが起きる実力不足型の不況に対して、デフレを克服してインフレを起こす、ギャップ不況に対する対策(1960年代まで通用)をしたので効果がなかった(p101)
・ギャップを克服する政策の1つ目は、財政支出(公共事業)の拡大、2つ目は、給付金や減税、3つ目は、金融政策で国内に流通するマネー(現金預金)の量をコントロールする、である(p136)
・デフレが進行しているとは、円の価値が上昇(円高)していること(p131)
・1000万円の土地を800万円の借金(自己資本率:20%、レバレッジ率:5倍)をすると、20%の資産価値の低下で、純資産は100%減少となるということ(p152)
・地価=家賃収入÷(利子率+リスクプレミアム-予想値上り率)であるので、利子率=賃貸収入率(:賃貸収入÷地価)+予想値上り率-リスクプレミアム(予想が外れるリスク)となるので、結果として、預金の利子率と土地の売買による収入が同一になる(p159)
・仕事選びにも応用出来るものとして、収益が安定している業種や技能は、競争が少ない業種やワザであることが多い(p177)
・現状の日本は、実力(潜在GDP)が低下している(実力不足型不況)の上に、体調もよくないギャップ型不況、そのうえに海外経済の悪化というトリプルパンチを受けている(p196)
・デフレ下では、新卒採用を目指す学生や、転職活動中の社会人が不利、給料が下がる可能性の低い公務員は得(p209)
・現在の日本の名目GDP成長率は0%、国債の名目利子率は1.5%、この状態が続くと確実に破綻することになる(p218)
・少子高齢化による労働人口が減っていくのが本当に問題になるのは、女性・高齢者の社会参加が十分に達成された後の話(p243)
・日本の潜在GDP成長率が1.5~2%と言われる根拠は、1)同じ作業や類似の作業の繰り返しにより効率性が向上している、2)機械や技術の進歩により生産効率が上昇している、である(p243) -
Posted by ブクログ
第1章はとても面白い。
毎年2%の経済成長というのは実にリーズナブルだ。
たしかに立ち止まるというのは衰退を意味するわけで、0%成長というのはありえない。とはいえ、もういちど高度成長を行うのは無意味なわけで、この成長率は現実的だ。
マクロは良く分からないが、会社経営の視点から見ても、成長期が終わって安定期に入った会社にとって、この程度で成長するのは、妥当なところだろう。
国も会社と同じと考えたときに、GDPは粗利だというのは、非常によく分かる。
粗利が毎年2%成長する。それは必要だし、それができなければ、いろいろと会社全体がきしみ始める。そしてそのきしみは、弱い部署や、新規事業や、生活共同体としての会社の居心地の良さといったものから影響してくる・・・
しかし、赤木智弘や湯浅誠との対談の第2章、第3章は余計だと思う。
面白くないことはないのだが、せっかくの第1章の切れ味のよさが、どこかに行ってしまっているように思う。
赤木智弘、湯浅誠という、いわば「業界の有名人」と対談したからこそ、本としての価値が出たわけで、飯田泰之さんのピンで、この本、という過去の企画が成り立ったかどうかは、いささか疑問はある。
私も手に取ったかどうか。
「赤木智弘や湯浅誠との対談がつまらないわけじゃない、むしろ面白のだけど、なんだろうこのもやもや感は・・・」と読みながら思っていたが、あとがきを読んで腑に落ちた。
著者が論壇を意識しているからだ。それが何だかもどかしいからだ。
「経済学はツールであり、ツールをどのように使うかは外部から与えられる。外部とは社会的合意のことであり、その形成過程に参与するために、論壇に加わる」
という理論である。ここまではいいんだが、
「しかるに論壇は、年寄りくさい、情緒的、非科学的、人文科学的インテリスノッブどもが占拠しており・・・」というようになるから、なにかいたたまれない。
それはそうかもしれないけど、努力や意識の向けどころが間違っている。
ミクロ的に言うと、マーケティング的見地や、戦略が足りないと思う。
素晴らしい著者だけに、それが残念。
へんな沼に足を取られていないで、もっと跳躍してほしいと思う。