河野万里子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
立ち寄った本屋でふと目につき、そう言えば、題名は良く聞くけど読んだことなかったよなあと思い、買ってみた。この年になると、死ぬ時に「そう言えば、あの作品ってどんな話だったんだろう・・・」なんて考えることになったら嫌だなと思うのだ。
ポールは39歳の女性インテリアデザイナー。離婚歴があり、今はロジェという恋人がいるが、彼は遊び人でポールはいつも孤独を感じていた。
そんな時、ポールはクライアントの息子、25歳の美青年シモンと知り合う。シモンはポールに熱烈な恋をし、ポールは年齢差もあって最初は軽くいなしていたものの、やがてシモンの情熱に押され、心の隙間を埋めるようにその気持ちを受け入れ始める・・・ -
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最初の数ページ、美しく若い少年のような愛人シェリが、50歳直前の高級娼婦レアの真珠のネックレスを弄びながら、僕にくれよ、僕の方が似合うよ、としゃべっているその場面に、思ったのはよくある大人の女向けのコミックスや安い小説類との、ものすごい類似性だった。
つまり最初に軽蔑し、それでも興味からずるずる読んでしまったというわけだ。
シェリの恋煩いとか、レアの才知ある言動とかそんなものは、それほど魅力を感じないが
レアがついに受け入れざるを得ない老いというものと完全に向き合わされるラスト近くは、ああこれが書きたかったのかと納得した。
評価が全て美と社交界におけるしゃれた知性のみから成る生き方は、さぞや苦 -
Posted by ブクログ
急に古典小説が読みたくなって、いつもお世話になってる光文社古典新訳文庫から青臭い青春小説の『青い麦』と『肉体の悪魔』の2冊を借りた。どちらも16歳の少年が人妻と初体験をしてしまう話で、その対照的な内容を楽しむのが目的だった。
果たして結果は上々。2冊読まないとその違いがわからないので速攻で読んでの感想だけど、まず、フランス文学は難しい(そこかい!)。
抒情的な表現や情景描写がいたるところに挟み込まれ物事は2行で済むのにそういった表現のおかげですごくスローペースなので、ジェットコースターなドラマ慣れしてるときつく感じる。逆にそれを楽しむのがフランス文学なんだろうけど、嵐が丘のヒースクリフとキャサ -
Posted by ブクログ
フランス、ブルゴーニュ地方の断崖が続く美しい海岸に建つ別荘でのひとつ屋根の下での未成年者二人の激しい恋。
純情多感な二人の激しい心の葛藤、目まぐるしく変わる感情の起伏、自分の気持ちを押し止める事ができずストレートに相手にぶつけてしまうが故に起こるすれ違い。不器用だが切なく、もどかしい。
年上の女性に翻弄される青年という設定はフランス映画でよく見た記憶があったが、本書の解説で語られる興味深いフランスの恋愛事情で納得。
夏の終わりの美しい情景が二人の接触を嬉しくも悲しくも演出する。その素敵な風景に浸れました。映画化されているようなので機会があったら観てみたいです。
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Posted by ブクログ
時は19C末~20C初頭のフランス、49歳の元高級娼婦(ココット)が、24コ下の恋人と別れなくちゃいけなくなって色々悩んじゃう話。
正直なところ、何もかも自分の境遇と違い過ぎており、感情移入は難しかった。同じ娼婦を取り扱った小説でも、ゾラ『ナナ』とかデュマ・フィス『椿姫』なんかの方が、ド直球で分かりやすかった。
まぁ、もちろんこの小説はこの小説で面白かった。特徴的なのはやはり主人公のレアが持つ気高さだろう。
現代日本の娼婦(売春婦)ってのがどういう生活をしているのか全く知らないけど、ここで描かれる高級娼婦というのは、フランスの裏社交界の花形で、美人で頭も良い才色兼備な女性で、彼女たち -
Posted by ブクログ
幼馴染と、夏に出会ったマダム。ああ、僕は。
フィリップは別荘で夏休みを過ごしながら、幼馴染のヴァンカとすれ違う自分、マダム・ダルレイに惹かれていく自分をもてあます。大人になりゆく少年の戸惑いをみずみずしく描いた作品。
この作品は、「若い男女の恋」を描いたことで画期的だったそうである。なぜかというと、それまでフランスには「若い男女の恋」がなかったから。恋愛マスターのフランス人をイメージすると「!?」となってしまう。それまでのフランスの恋愛は、若い男と人妻だったり、男と高級娼婦や階級が下の若い娘との金銭的恋愛だったりと、ベテランが若者を導くような恋しかなかったらしい。
本文は「あーはいはいわ