河野万里子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とんでもない話です。
多感で奔放な一面のある少女が、彼女をとりまく大人たちから、愛について、家族について、形のないなにかを受け取ったり渡したりしてゆき、ゆっくりと事態が動きながらしかし突然に結末が訪れます。
正直なところ「悲しみよ こんにちは」じゃねえよ、と言いたくなってしまう気持ちもあります。でも、彼女にはどうしようもなかったのではないかという気もします。
そのような、若さゆえともいえる多面的で変わりやすく繊細な心情を、写真のように瞬間でとらえつつ、刻々と移ろっていく様を映像のように巧みに文章に写し取っていて、とても10代が著したものとは思えませんでした。 -
Posted by ブクログ
「シェリ」がとても良かったので、読んでみた。
イイ!たぶん、文学的にいうとこちらの方が評価されるのかしら?若い男女の恋という、当時としては斬新な設定。舞台が海辺の保養地になったことで、風景の描写がさらに豊かにこまやかに。若さが煌めいていて、感情の振れ幅も大きい。そして、ナゾの美女というミステリアスな展開、、、、すごく面白いです。たびたび出てくるツルニチニチソウの青い花というのが、描写としても鮮やかだし、含んでいる意味も深い。短いしスッキリと読めますが、読後感はどっしりして、色んな思いに耽ってしまいます。
ただ、なかなかに残酷度が高まるため、読んでる時のヒリヒリ感が、個人的にはきつい。同じ星4つですが、好みとしてはシェリかな。 -
Posted by ブクログ
海外文学は今までほとんど読んだことがなく、おそらくフランス文学を読むのははじめて。
雑貨屋さんでたまたま見つけ、おしゃれな表紙に惹かれて購入。
主人公のポールは39歳。
「「若い女性」から「若々しい女性」へ女としてのカテゴリーが変わっていく・・」とは、
今年でまさに39歳になる私にとって、
心中穏やかでいられないフレーズ。
ロジェとシモン。二人の間で揺れるポール。
歳を重ねるにつれて、
色々なものでがんじがらめになってしまって
(それが、社会的なものなのか、
自分の意思なのか、なんなのか)、
うまく動けないさまが、
おしゃれな文章とともに語られていて、
あぁ、心がモヤモヤしたり、ドキドキしたり。
うまく言葉では言い表すことができない感情の揺れが、
物語全体を通して表現されていると感じた。
あとがきにも書かれていた「孤独」。
これ、ほんと、どうしようもない「孤独」だな、と。
スラスラ読んでいるようで、実はものすごく心をえぐられながら読んだ気がする。
読後はしばらく物思いにふけりたくなる作品。
何個かドキッとしてしまうお気に入りのフレーズがあり、
書き留めておきたい。
フランス文学って素敵かも。
これから海外文学にも触れていきたいな、と思った。 -
Posted by ブクログ
先述の森瑤子の『情事』があまりに読後感が悪いというかしっくりこなかったので似て非なるこちらを。
これなのよ、これ。
この小説は1959年に23歳のサガンによって書かれたもの。23歳という若さで39歳という若くもかといって老いてもいるわけでもない女性ポールの心理をつぶさに描いている。
その心理のキーとなるのは同年代の粗野で浮気性な恋人ロジェと、25歳の裕福な家庭に生まれ、ポールに一途な思いを寄せるぼんぼんシモン。
長年結婚にも同棲にも踏み切らず、時に寂しい思いをさせられながらも、育んできた時間や愛着からなかなか気持ちを剥がすことができない恋愛と、瑞々しくて照れてしまうようなまっすぐさで求愛してくる若い男との新しい恋愛の間で揺れ動くポールの気持ち。
刻一刻と変わる心理描写が、ただの愛だの恋だのからではなく、女の賞味期限が切れかけているのでは…という不安が相まっていることが切なくて。
明らかに時代背景も設定もセリフの古いのに、ましてや外国文学なのに、でも文章はまったく古くない!これは訳者さんも素晴らしのだろうけど、原文なくして、なのだから。
こういうものを名著って呼ぶのだなと納得。