河野万里子のレビュー一覧

  • ブラームスはお好き(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    先述の森瑤子の『情事』があまりに読後感が悪いというかしっくりこなかったので似て非なるこちらを。

    これなのよ、これ。
    この小説は1959年に23歳のサガンによって書かれたもの。23歳という若さで39歳という若くもかといって老いてもいるわけでもない女性ポールの心理をつぶさに描いている。
    その心理のキーとなるのは同年代の粗野で浮気性な恋人ロジェと、25歳の裕福な家庭に生まれ、ポールに一途な思いを寄せるぼんぼんシモン。
    長年結婚にも同棲にも踏み切らず、時に寂しい思いをさせられながらも、育んできた時間や愛着からなかなか気持ちを剥がすことができない恋愛と、瑞々しくて照れてしまうようなまっすぐさで求愛して

    0
    2025年06月27日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    女のいやーな感情を如実に表現している。色々な愛があって欲望があって。5人の複雑な関係が退屈しない。嘘をついたり駆け引きしたり、、うんうん、女性はそういう気持ちあるし、いざって時はやるよなあ、、と同じ女として、納得しながら読めた。

    0
    2025年06月16日
  • カモメに飛ぶことを教えた猫

    Posted by ブクログ

    「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ」
    的を得た言葉だよな。
    ここにルーティーン的なものを追加出来るとさらに高く飛ぶことができるんだろう。

    0
    2025年06月13日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    タイトルだけ知っていたが、機会がなくて初読。
    南仏の、林の奥の白い大きな別荘でヴァカンスを過ごす、17歳のセシルとその父。父の若い恋人も一緒に過ごしていたが、父はそこに聡明で知的な女性アンヌを招待してしまう。思春期のシリルがヴァカンスで過ごす一夏の恋と、奔放で魅力的な父が2人の女性と過ごすスリリングさが描かれている。
    フランス映画のような美しさと繊細さ、怠惰で奔放な夏の海辺の雰囲気と、夏の終わりの寂しさと仄暗さ。とても魅力的な作品でした。

    0
    2025年05月30日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    パスカルっぽさ。
    セシルにとって恋愛や策略は、退屈や虚無から逃れるための手段にすぎない。それらは一見感情的な営みだけれど、実際には思考からの逃避であり、自己の情動の空白を覆う仮初の行動だ。掲題の台詞も、感じていない感情を感じているふりをするための形式的な記号にすぎない。
    爽やかだけど残酷で、冷たさが残る美しい小説。

    0
    2025年04月05日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読書会の課題図書だったので読んでみた。
    面白い!
    フランス映画を観ているような美しい俳優と風景が見えてくるようだった。

    父親は現実では私が苦手な人だけど、なんとも憎めない…というより愛されキャラだ。
    性に不真面目だけど、優しい人って厄介だよなー

    訳者後書きで著者のサガンにすごく興味を持った。自由に豪快に遊びながらも執筆を続けるサガン。すごいな。彼女を描いた映画が没後すぐに作られたとのこと。観てみたいな。

    0
    2025年03月29日
  • カモメに飛ぶことを教えた猫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中1の読書感想文で読んだ本。当時は、この本の持つ力が分からなかったが、コロナ禍で再び手にしてみた。すると、このカモメとネコという異なる生き物の組み合わせが感動や学びをもたらすのに最適であるということが分かった。人間がもたらす環境破壊、異なる他者との出会い、そして愛するということ…
    石油まみれという人間の活動によって母親を知れなかったカモメ。海の街で人間と生活をするネコ。本の中でも書いてあるように、相手と話してみなければどんな人かは分からない。もし、母カモメが生き延びたとしたら、母カモメも子カモメも人間を憎むしかなかっただろう。人間に命を救われたという過去を持つ猫から、人間がしたように愛情を注が

    0
    2025年03月15日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    主人公セシルの性格、生き方が恐ろしくも生き生きとして魅力的に感じた。恋愛は人を変えるという話はよく聞くが、変わらずに自分の人生を持ち続ける人もまたいるんだろう。良い意味でも悪い意味でも周囲の人に影響を与えて変化をもたらすアンヌと、それに抗って自己を貫こうとするセシル。お互いに相手を型にはめて概念的に捉え、1人の感情を持つ人間として見ていなかった。でも、それは共に間違いで、ちゃんと心があった。

    0
    2025年01月06日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「木曜日は本曜日」で上白石萌音ちゃんが、人生に影響を与えた本として紹介していた一冊。
    明るい話ではなくて、物語全体にどこか重くて気だるい雰囲気がある。
    矛盾した気持ちを抱えて、そんな自分が嫌になってくる感情や、自分が自分でいられなくなりそうな恐怖心の描写が丁寧でリアルだった。
    風景の説明も鮮明で、セシルが過ごした贅沢で暇なひと夏の空気感が読むたびに伝わってくるようだった。

    0
    2024年12月18日
  • ブラームスはお好き(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    サガンの文章は非常に美しく、
    その描写は風景や情景を鮮やかに目の前に浮かび上がらせる。
    読むだけで心が満たされるような感覚を覚えた。
    物語には悲しさと切なさが漂っているが、
    それこそが孤独と愛の本質なのだろうかと考えさせられる。

    0
    2024年11月27日
  • 星の王子さま

    Posted by ブクログ

    初っ端から衝撃を受けまくり、読み進めていっても絶えず衝撃を受けた。
    いかに自分が、思考が固くなり、物事の本質が見えておらず、時間やこなさなければいけないタスク消化ばかりに追われて、目先の薄っぺらいことばかり目についてしまっている生活をしているのだと気付かされた作品だった。
    自分はいつの間に大人というやつになっていたんだろうか…定期的に読み返して、忘れていた考え方や感覚をちょっとでも思い出しておきたい。

    0
    2025年09月14日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    セシルの感情の変遷には驚かされる。アンヌについての考えがすぐに変わってしまうのが子供だと思うとともに家族についてずっと葛藤していることは父に対する思いやりと捉えることもできるのでその点は大人になりつつあるというふうに思えるのである。

    0
    2024年11月15日
  • シンプルとウサギのパンパンくん

    Posted by ブクログ

    タイトルがとても小さい子向けのように感じられるので、少し損しているような気もしないではないけど、完全にYA。いわゆる「ヤングケアラー」の物語に、若者たちの恋愛模様をからめつつ、それでいて昔ふうのラブコメみたいな、取り違えとかすれ違いの笑いもつっこんでくる。同じような題材を扱った英米のYAとすごく感触がちがっていてびっくりしたし、おもしろかった。シンプルの純真さが周囲の人びとの心をいつのまにか温めていく様子が無理なく伝わってくるのが好き。

    0
    2024年11月15日
  • カモメに飛ぶことを教えた猫

    Posted by ブクログ

    心温まるストーリーだった。
    とても読みやすい本だし内容も前向きだからぜひ子どもに読んでほしいけどけど大人が読んでも心が浄化されてポジティブな気持ちになれると思う。

    作中の猫たちのやりとりが可愛くて、もしかしたら街中にいる猫たちも彼らと同じように掟やコミュニティがあるのかなって思わず考えた

    0
    2024年10月22日
  • ブラームスはお好き(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    サガンが恋愛と孤独をテーマにしているということがよくわかった。24歳でこれを書いたのってすごい。
    涙で視界が滲んだ時にワイパーを使うっていうユーモアがお洒落だなと思った。

    0
    2024年09月18日
  • シンプルとウサギのパンパンくん

    Posted by ブクログ

    重いテーマを軽やかに描く。シンプルの中で、パンパンくんの占める割合が少しずつ薄れて、他者と肯定的に関わっていけるようになるのがいい。弟のクレベールや寮の仲間たち含め、あまり「正しい」人たちが出てこず、シンプルのことを気にかけながらも、そこそこ自分勝手に生きている感じもよかった。

    0
    2024年09月09日
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    セシルは恋人を利用し、エルザの父への未練を利用し、父の女たらしを利用し、アンヌを結果的に追い出した。
    誰にもそんなことは気取られないよう実行し、そして思い通りになった。
    愛している生活を守るために、正攻法では敵わないアンヌにセシルのやり方で戦いを挑んだ。そういう小説だったかなと思う。よく18歳でこんな心理をここまで描けたものだ。

    0
    2024年08月18日
  • ブラームスはお好き(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『悲しみよこんにちは』の煌めきには劣る気がするが、やはり恋愛小説の極地とも言うべきか。時代と国は違えど、女性が恋愛に際して感じる苦しみはかなり似通っているし、シモンの口説き文句が友達の口調に似ていて笑った。ロジェの行動が愛ゆえでなく所有者ゆえの行動であることや、恋愛をしていても人間がどこまでも孤独であることとか。何度も読み返したい小説。

    0
    2024年08月11日
  • ブラームスはお好き(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    おもしろかった。恋愛小説だが、恋愛要素そのものは「いかにもフランス」ぽさがあって、良い意味で感情移入しなくて済み、純粋に人間模様として読めてよかった。共感性羞恥の恥ずかしいとか裏切られてつらいとかそういうのがない。いっぽうで年齢や人生におけるパートナー、その安定と不安定、みたいな視点は普遍的だと思うし、描写が丁寧で感心した。そして書いた当時作者のサガンは24歳ということで、よくその歳でこれが書けるな…

    0
    2024年06月02日
  • シェリ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    言葉の流れが優雅でオシャレだった。
    高級娼婦という特別な立場だが、レアの気持ちは女性なら誰もが一度は体験するのではないだろうか。

    シェリが去ってゆくラストシーンは悲しい。

    0
    2021年03月23日