【感想・ネタバレ】悲しみよ こんにちは(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ……。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。(解説・小池真理子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて読んだのが高校1年の夏とかで、それ以来、毎年夏にこの小説のことを思い出していた。

コーヒーと一緒にオレンジを丸かじりするシーンがやけに印象に残っていて真似っこするんだけど思ってたのと違う、を夏が来る度に繰り返してる。
セシルの父譲りの自由奔放さに憧れたり、フランスのヴァカンスに憧れたり、この作品は小説としてより映画的なアイコンとして私の中に君臨している。
セシルの万能感やわがままっぷりが可愛くてたまらなかった。
父親の子供らしさやいい加減なところもキャラクターとしてチャーミング。
親子共々の子供らしさが素敵なんだけど、それがこの物語の悲劇の輪郭を強くしている。

セシルの言動によって周りの人間が変化していくことに少しの恐怖や不安を感じるのがリアル。
人を愛で弄んではならない、教訓です。

ラスト、セシルからシリルに対しての「この人を愛したことは一度もなかった(中略)この人が与えてくれた快楽は、たしかに愛した」という文章を初めて読んだとき衝撃で身体がびりびりしたのを覚えている。
ラストまで読んだときこの一文を読むとやっぱりびりびりするし、この一文を読む為だけにこの作品を読んでるまである。
それくらい強い印象を残した一文。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

重苦しくて、身が切られるようで、空虚で投げやりな気分にさせるのに、滑らかで冷たい爽やかさと静けさを持つ作品。

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2025年11月10日

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正しいやつは嫌われる、ただし美しければ少しまし、みたいなとこがフランスって感じ〜サガンまじ友達なりたい、て思う。

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2025年10月26日

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セシルは血のつながった父を一人の男性として意識している。そこに亡き母の代替となりうるアンヌが現れ、大きな脅威となった。エルザのような軽い女性は許容できるという対比が、アンヌの存在をより際立たせている。
さらに行間を読み、セシルとレエモンに肉体関係があったと解釈することで、セシルの行動や心理がより深刻で病的なものとして映り、アンヌへの敵意が絶望的な抵抗として響いてくる。
1950年代のフランス文学作品でありながら、そこに描かれた複雑な愛情、嫉妬、所有欲は時代を超えて共通する感情であることを改めて確認した。正統派解釈と享楽的解釈の両方で楽しむことで、文学の醍醐味を存分に味わえる傑作である。

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2025年08月31日

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あたしこの本だいすき。セシルあんたのやり方とか気分で動くやり方がときに残忍でほんと狂ってるよっていうのを赤裸々に思考回路まで丸出しで書かれてて読んでて声出して『コイツ、マジかよ、、』って言いながら読んだ、、
全部理屈で決めたくなる時とかにまたこの本のこと思い出したいなあ

読んだ後の余韻がすごいよ

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2025年08月30日

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読んでる途中は早く物語が進んでほしいっていう感覚があったけど、読み終わったときすごくすっきりした気持ちになった。こころにも似てた。すごく哲学的だと思った

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2025年08月12日

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自分を可哀想に思うのは気持ちよくて、それが当たり前のように書かれていて、そういう説明のない観念的な人間の本能、矛盾と情熱と快楽が混ざっていて、命なんていくつあってもきっと足りないようなストレスと刺激、美しい日々が描かれていた。フランス人の激しい恋愛はこんな感じか〜と思うと羨ましさと同時に自分では絶対にこなせないだろうなという感じがする。果たして幸せなのはどっちなのだろうか?神なき人間の悲惨さなのだろうか?

全体的な雰囲気が映画 “Call me by your name” のように美しく、読んでいて鮮明に景色が浮かび上がり優雅な気持ちになれる、その世界にずっと浸れる感じが気持ちよかった。

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2025年07月24日

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避暑地での話だいすき。
難しい言い回しじゃないのに、簡潔に感情を表現できている凄さ。これぞ文学。

10代ならではの破天荒さ。わかるわかる。
こうやって大人になるんだな。悲しみよ、こんにちは。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

18……同い年のはずなのに自分よりあまりに聡明で広い視点を持つ彼女は純粋に凄いなと思ったけど、
でもやっぱりまだ大人ではないなと思う。もちろんのこと、わたしも。
でも18で愛の物語をあそこまでリアルというか、その場で実際に起こっているような感覚で読めてしまうものを書けるのは、やっぱり環境とかもあるんだろうか。
絶対に自分の持ち得ない、サガン独特の視点がとても面白かったし、愛をこの本いっぱいに感じた

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2024年12月12日

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ネタバレ

とても面白いいい作品でした!
思春期特有の気持ちの落ち着かなさや、大人への憧れ、勉強と恋愛との葛藤など、、
気持ちの整理のつかなさや、どこかムカムカする様子など非常に繊細に書かれていて読んでいて面白かったです。

本編も短いですので、いろんな人におすすめできる作品だと思います!!

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2024年09月14日

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ネタバレ

18歳になるセシルと父親レエモンは、愛人のエルザも含めた三人で、地中海沿岸の避暑地に遊びに来た。セシルはこの地で、青年シリルと出会い、愛し合うようになる。
そこへ、亡き母の友人であるアンヌが偶然やって来てレエモンは心を奪われ、エルザより夢中になる。
レエモンはアンヌとと結婚したい、と心から願うようになり、今まで関係して来た女性たちを切り捨て、アンヌにプロポーズする決意をする。
セシルは自由な父と子の生活が乱されることを恐れ、アンヌを生活から追い出そうとする。
シリルとエルザを突き合っているように見せかけて、エルザとレエモンに再び関係をもたせてしまう。ショックのあまり、アンヌは車を走らせ、事故とも自殺とも思えぬ形で死んでしまう。
思いもせぬ結末にセシルはショックを受け、事故から一年たった後でも、眠れぬ夜にアンヌを思いだす。そして、その時の感情に名前をつける。「悲しみよ、こんにちは」と…

話自体は救いもなく酷いが、みずみずしい感性で書かれた文章が美しい。(筆者のフランソワーズ・サガンが18歳で出版)

不朽、そして永遠の青春小説です。
読んでいて、懐かしい…。

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2025年01月15日

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あまり展開が無いな〜と思っていると要所要所で物語が動く。終盤の展開には驚いたが、セシルが色々見えていないのは若さ故だろうか。セシル怖い。

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2025年10月12日

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人の気持ちを操作するような行動、相手を気遣うフリをして自分の思い通りにしようとするセシルの行動が怖いと思った。大事な人をなくしてしまった後に、その存在の大切さに初めて気づいたのでは取り返しがつかない。

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2025年10月07日

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最近の展開の早い小説に慣れていたので展開の遅さに飽きかけていたところでびっくりするような結末。えー!っと思いながら終わった。昔の小説はすごい。

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2025年09月23日

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「ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう」

凄い書き出し
夏の終わりに読んでよかった、切なくもドライなバカンス小説

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2025年09月18日

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幸せとは何か考えさせられる。人にはそれぞれ性質があってそれに合った生き方をすればいいと思った。別に高尚である必要もないのかも。高尚に生きたければ生きればいいし、軽い付き合いが性に合う人が「真実の愛」みたいなやつをやる必要もない。結局その人がしっくりくるかだから、そこに上下をつけることは違うと思う。
自分がどう生きたいかを考えられて、その生き方に合う人に会えて、共に過ごせたら幸せなのかな。それがなかなか難しいのよな〜。

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2025年09月06日

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女のいやーな感情を如実に表現している。色々な愛があって欲望があって。5人の複雑な関係が退屈しない。嘘をついたり駆け引きしたり、、うんうん、女性はそういう気持ちあるし、いざって時はやるよなあ、、と同じ女として、納得しながら読めた。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

タイトルだけ知っていたが、機会がなくて初読。
南仏の、林の奥の白い大きな別荘でヴァカンスを過ごす、17歳のセシルとその父。父の若い恋人も一緒に過ごしていたが、父はそこに聡明で知的な女性アンヌを招待してしまう。思春期のシリルがヴァカンスで過ごす一夏の恋と、奔放で魅力的な父が2人の女性と過ごすスリリングさが描かれている。
フランス映画のような美しさと繊細さ、怠惰で奔放な夏の海辺の雰囲気と、夏の終わりの寂しさと仄暗さ。とても魅力的な作品でした。

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2025年05月30日

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パスカルっぽさ。
セシルにとって恋愛や策略は、退屈や虚無から逃れるための手段にすぎない。それらは一見感情的な営みだけれど、実際には思考からの逃避であり、自己の情動の空白を覆う仮初の行動だ。掲題の台詞も、感じていない感情を感じているふりをするための形式的な記号にすぎない。
爽やかだけど残酷で、冷たさが残る美しい小説。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

読書会の課題図書だったので読んでみた。
面白い!
フランス映画を観ているような美しい俳優と風景が見えてくるようだった。

父親は現実では私が苦手な人だけど、なんとも憎めない…というより愛されキャラだ。
性に不真面目だけど、優しい人って厄介だよなー

訳者後書きで著者のサガンにすごく興味を持った。自由に豪快に遊びながらも執筆を続けるサガン。すごいな。彼女を描いた映画が没後すぐに作られたとのこと。観てみたいな。

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2025年03月29日

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主人公セシルの性格、生き方が恐ろしくも生き生きとして魅力的に感じた。恋愛は人を変えるという話はよく聞くが、変わらずに自分の人生を持ち続ける人もまたいるんだろう。良い意味でも悪い意味でも周囲の人に影響を与えて変化をもたらすアンヌと、それに抗って自己を貫こうとするセシル。お互いに相手を型にはめて概念的に捉え、1人の感情を持つ人間として見ていなかった。でも、それは共に間違いで、ちゃんと心があった。

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2025年01月06日

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「木曜日は本曜日」で上白石萌音ちゃんが、人生に影響を与えた本として紹介していた一冊。
明るい話ではなくて、物語全体にどこか重くて気だるい雰囲気がある。
矛盾した気持ちを抱えて、そんな自分が嫌になってくる感情や、自分が自分でいられなくなりそうな恐怖心の描写が丁寧でリアルだった。
風景の説明も鮮明で、セシルが過ごした贅沢で暇なひと夏の空気感が読むたびに伝わってくるようだった。

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2024年12月18日

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セシルの感情の変遷には驚かされる。アンヌについての考えがすぐに変わってしまうのが子供だと思うとともに家族についてずっと葛藤していることは父に対する思いやりと捉えることもできるのでその点は大人になりつつあるというふうに思えるのである。

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2024年11月15日

Posted by ブクログ

セシルは恋人を利用し、エルザの父への未練を利用し、父の女たらしを利用し、アンヌを結果的に追い出した。
誰にもそんなことは気取られないよう実行し、そして思い通りになった。
愛している生活を守るために、正攻法では敵わないアンヌにセシルのやり方で戦いを挑んだ。そういう小説だったかなと思う。よく18歳でこんな心理をここまで描けたものだ。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

なんか……フランスっぽい話だった。お父さんがかなりの放蕩ぶりだけど娘がそこまで嫌そうじゃないのは愛の国フランスだからなのか?私が読んだのは文学全集みたいなやつで、解説で「当時の中高年女性は汚れた本だとして年頃の子供には勧めなかった」と書いていたけど、まあそうだろうな……という感じはする。こんなに救いのない終わりだとは思わなかった。海外文学はやはり翻訳特有の読みづらさがあり、慣れないとなかなかスッと読めないなーと思った。あと、避暑地モノって映画でも良くあるけど、私は富裕層ではないので避暑地で過ごすバカンスに縁遠く、なんだか物凄く遠い話のように感じてしまうなーと思った。

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2025年05月26日

Posted by ブクログ

解説に書いてあるとおり1960年代の学生運動が盛んな時期、血気盛んな学生たちは男女問わずサガンを読んでいたというのだから、当時の時代にマッチした小説だったのだろうと思う。自分はセシルのような女性の考えを上手く咀嚼できなかった(読む年齢によっても違うのかもしれない)。
終盤アンヌが激怒し出ていった時、父に「ばか、ばか!」ととんでもない難癖をつけ、「手紙を書きましょうよ!」と言う神経が全く理解できないけど面白くもあった。(父は「それはいい!」とか言うんだから、似たもの親子だな!と思いながら…)

ところどころに出てくるセシルのセンチメンタルな感情と、それにともなう描写は綺麗ですーっと引き込まれてしまう不思議な魅力があった。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

18才で書く文章かよってのが第一の感想。しかし一方で不安定な年代が持つ敏感な感性があるからこそ持つことができる心理を表現できているんだろう。強烈。読み手の年齢によって感想は大きく変わるだろうね。
主人公含め登場人物の性格が人間味がある。日本人とはやっぱり違うなとも思うけど、なぜか理解できる。しばらくしたらまた読み直すべき本だ。

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2025年03月14日

Posted by ブクログ

よく名作として挙げられていて購入した本。ズレたことを言えば、私もこんなふうにのんびりした夏を過ごしてみたい。主人公は多感な時期にこんな経験。途中までは、何が起こるのだろう?どんな結末に向かうのだろう?と思っていたけどラストの展開には呆然。心がついていかずどう受け止めたらよいやら。少しメンタルが落ちたというのが正直なところ。彼女(と父)は何を思ったのでしょうか。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

多感な時期の少女の心情の移り変わりの描写がすごい。冷静だったりバカげていたり、色んな感情がごちゃ混ぜになるのがリアル。

本の本質とはズレるけど、やっぱり真面目なタイプと自由奔放なタイプは一緒にいてはいけないと思った。どっちも不幸になる。

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2024年12月26日

Posted by ブクログ

半世紀前に、それも18歳の女性が描いた物語と思うと…強烈な印象を受ける。
才がある人間というのは若い頃から作品として形にしてしまう力があるのだろう。そして、その作品が世間に与える影響も大きいが故のものなのだろう。と思えてしまう。

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2024年12月24日

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