河野万里子のレビュー一覧
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ネタバレ主人公の拙い策略による父の婚約者の事故死。文字にしたらすごく衝撃的だけど、割と深刻に書かない風。
模範的で聡明な淑女で、孤独をはらう「結婚」に夢を見るアンナ。父を手に入れるために策略的にバカンスをする駆け引き上手だけど、やっぱり善良。刹那に生きるプレイボーイの父。その血を引いた遊び人の娘、セシル。まずこの三人の人物描写がすごく上手い。父の見栄や、セシルが父と二人の考えなしな生活を堅実に塗り替えようとするアンナを憎むところが、本当に人物が息づいている。セシルがただひたすらアンナを憎んでいるわけではなく、本文に書かれていたように、「相反する二つの気持ち」、アンナを尊敬する気持ちを持っているところも -
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ネタバレ初めて読んだのが高校1年の夏とかで、それ以来、毎年夏にこの小説のことを思い出していた。
コーヒーと一緒にオレンジを丸かじりするシーンがやけに印象に残っていて真似っこするんだけど思ってたのと違う、を夏が来る度に繰り返してる。
セシルの父譲りの自由奔放さに憧れたり、フランスのヴァカンスに憧れたり、この作品は小説としてより映像的なアイコンとして私の中に君臨している。
セシルの万能感やわがままっぷりが可愛くてたまらなかった。
父親の子供らしさやいい加減なところもキャラクターとしてチャーミング。
親子共々の子供らしさが素敵なんだけど、それがこの物語の悲劇の輪郭を強くしている。
セシルの言動によって周 -
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49歳、元高級娼婦レアの色香漂う熟女の魅力が、余すところなく伝わってきます。美しい描写です。まとっている香水の香りまで漂ってきそうです。
彼女と恋人関係にあるのが、25歳のシェリ。本書のタイトルになっています。年の差恋愛というだけでも、ドキドキがとまりません。2人の6年間の馴れ合い生活の後、シェリは19歳のエドメと結婚。
シェリとエドメの新婚生活のぶつかり合いも読みどころですが、レアとシェリが別れた後の、それぞれの激しい心情の揺れの表現も、これまたスゴイ!
寄せては返す波のようにバシバシ打ち寄せてきて、夢中になって読んでしまいます。老いと若さの対比については、遠慮なしです。(レアについて -
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セシルは血のつながった父を一人の男性として意識している。そこに亡き母の代替となりうるアンヌが現れ、大きな脅威となった。エルザのような軽い女性は許容できるという対比が、アンヌの存在をより際立たせている。
さらに行間を読み、セシルとレエモンに肉体関係があったと解釈することで、セシルの行動や心理がより深刻で病的なものとして映り、アンヌへの敵意が絶望的な抵抗として響いてくる。
1950年代のフランス文学作品でありながら、そこに描かれた複雑な愛情、嫉妬、所有欲は時代を超えて共通する感情であることを改めて確認した。正統派解釈と享楽的解釈の両方で楽しむことで、文学の醍醐味を存分に味わえる傑作である。 -
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Posted by ブクログ
自分を可哀想に思うのは気持ちよくて、それが当たり前のように書かれていて、そういう説明のない観念的な人間の本能、矛盾と情熱と快楽が混ざっていて、命なんていくつあってもきっと足りないようなストレスと刺激、美しい日々が描かれていた。フランス人の激しい恋愛はこんな感じか〜と思うと羨ましさと同時に自分では絶対にこなせないだろうなという感じがする。果たして幸せなのはどっちなのだろうか?神なき人間の悲惨さなのだろうか?
全体的な雰囲気が映画 “Call me by your name” のように美しく、読んでいて鮮明に景色が浮かび上がり優雅な気持ちになれる、その世界にずっと浸れる感じが気持ちよかった。 -
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Posted by ブクログ
素敵な物語だ。ドイツの港町ハンブルグに住む黒猫のゾルバのもとに、船から投棄された原油にまみれて瀕死のカモメが墜落する。カモメは、これから卵を産み落とすという。そしてゾルバに三つの約束を誓わせる。
1.卵を食べない
2.ヒナが生まれるまで、卵の面倒を見る
3.ヒナに飛ぶことを教える
そして、ゾルバは仲間の猫たち<大佐>とその<秘書>、<博士>や<向かい風>と約束を実行すべく奮闘する。だが、三番目の約束をどうするか。猫は飛べないのだ。そしてゾルバは、タブーを破ることを提案する。
本作に登場する猫とカモメ、ネズミ、チンパンジー、そして人間。「異なる者どうし」は、どうしたらともに生きていく -
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