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50歳を目前にして、美貌のかげりと老いを自覚する元高級娼婦のレア。恋人である25歳の青年シェリの突然の結婚話に驚き、表向きは祝福して別れを決心しつつも、心穏やかではいられない……。香り立つような恋愛の空気感と細やかな心理描写で綴る、「恋愛の達人」コレットの最高傑作。
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Posted by ブクログ
49歳、元高級娼婦レアの色香漂う熟女の魅力が、余すところなく伝わってきます。美しい描写です。まとっている香水の香りまで漂ってきそうです。 彼女と恋人関係にあるのが、25歳のシェリ。本書のタイトルになっています。年の差恋愛というだけでも、ドキドキがとまりません。2人の6年間の馴れ合い生活の後、シェリ...続きを読むは19歳のエドメと結婚。 シェリとエドメの新婚生活のぶつかり合いも読みどころですが、レアとシェリが別れた後の、それぞれの激しい心情の揺れの表現も、これまたスゴイ! 寄せては返す波のようにバシバシ打ち寄せてきて、夢中になって読んでしまいます。老いと若さの対比については、遠慮なしです。(レアについて、シワや白髪とか)シェリは、レアの肉体の衰えに失望しつつも、結婚後も心は彼女に引き寄せられていく。本物の恋です。 レアとシェリが対峙する最終場面は、最強にして最高の筆致でした。レアの潔さは素晴らしかった。男前ならぬ女前に、拍手です。 少し前にサラッと読んだ『ミス・サンシャイン』(吉田修一)も、年の差男女の恋で、「あらっ」と思ったのですが、1920年にこのような小説が発表されていること、衝撃です。 内容的にインパクトありですが、この小説全体が一つの絵画のようでした。文章表現から溢れ出る美しさに、最後までうっとり。
美しい。プルーストやジョットが称賛するのが納得。フランス文学って恋人たちの表現が愛おしい。ルパンも好きだ。 コレットの書く色や自然、食事、家具なんかの雰囲気がこんな風だと知ったので、他の本も是非と思って買ってみた。フランス語で読めたら素敵だろうなあ。他のを読む前に他の訳のシェリも読んでみたい。 ミシ...続きを読むェル・ファイファーの映画も観たいなあ。
49歳で老境となってしまう時代。忍び寄る老いを感じながら、若い恋人が結婚し自分から離れていくのを鷹揚に構えながらも不安定なレア。続編もあるようだが、美しければ美しいほど、若さが失われていく実感が強いのかもしれない。ましてやその美貌だけで生活してきた身では、お金はあっても心は満たされず焦燥感でいっぱい...続きを読むなんだなぁと感じた。
本を読むのは速いほうだと自負しておりますが、この本はなかなか読み進められず、一度挫折してしまったぐらいです。 途中で投げ出すのは嫌だったので、気を取り直して最後まで読みました。 私との相性があまりよくなかったのだろうなと。 この訳者のほかの本を読んだときには夢中で読んだので、原文の作者との相性の問題...続きを読むでしょうか。 あとがき&解説には、私が知りたかった情報が書かれていたので、最後まで読んでよかったとは思っています。
最初の数ページ、美しく若い少年のような愛人シェリが、50歳直前の高級娼婦レアの真珠のネックレスを弄びながら、僕にくれよ、僕の方が似合うよ、としゃべっているその場面に、思ったのはよくある大人の女向けのコミックスや安い小説類との、ものすごい類似性だった。 つまり最初に軽蔑し、それでも興味からずるずる読ん...続きを読むでしまったというわけだ。 シェリの恋煩いとか、レアの才知ある言動とかそんなものは、それほど魅力を感じないが レアがついに受け入れざるを得ない老いというものと完全に向き合わされるラスト近くは、ああこれが書きたかったのかと納得した。 評価が全て美と社交界におけるしゃれた知性のみから成る生き方は、さぞや苦しいことだろう。 互いの見てくれよりも中身を尊ぶ思考を持とうとして、それが出来ない美的感覚の強さは、悲劇かもしれない
なんて芳醇な大人の恋愛小説なんだろう。 自身の肉体の老いに加え24歳も年下の男性を愛した女の毅然とした姿がそこにあった。悩み、苦しみ、傷つきながらも己が人生にプライドを持つ女の美しさ。 鮮やかな色彩描写で浮かび上がる麗しのパリを舞台に繰り広げられる恋。 身を焦すその激しさは今を生きる私たちと何ら変わ...続きを読むることなく、読者の心を揺さぶる。
時は19C末~20C初頭のフランス、49歳の元高級娼婦(ココット)が、24コ下の恋人と別れなくちゃいけなくなって色々悩んじゃう話。 正直なところ、何もかも自分の境遇と違い過ぎており、感情移入は難しかった。同じ娼婦を取り扱った小説でも、ゾラ『ナナ』とかデュマ・フィス『椿姫』なんかの方が、ド直球で分...続きを読むかりやすかった。 まぁ、もちろんこの小説はこの小説で面白かった。特徴的なのはやはり主人公のレアが持つ気高さだろう。 現代日本の娼婦(売春婦)ってのがどういう生活をしているのか全く知らないけど、ここで描かれる高級娼婦というのは、フランスの裏社交界の花形で、美人で頭も良い才色兼備な女性で、彼女たちに熱を上げすぎて破滅する富豪もたくさんいたのだとか。ゾラ『ナナ』はそういう話だったはず。 最近はAV女優の人がエッセイか何か本を出して話題になっていたし、恋愛って観点から考えたらただ体をかさねるより、ちゃんと文化人たる知性があった方が良いんだろうな。 で、そんな彼女だから、高級娼婦としての引退後も、そうやって生きてきた自分自身に誇りを持っている。でも、好きになっちゃった25歳の青年は、そんな自分でも気が付けばのめり込み振り回されちゃって、もう大変。彼の気持ちがわからないの。外国人と話してるみたい。そんな不安も抱いちゃう。49歳の、恋愛の達人とでも呼ぶべき人生を歩んできたのに。 それが辛い道であろうとも、自分の生き様を貫き、相手にとっても自分にとっても最後まで素敵な人であり続けた、そんな人間の物語なのかなと思った。 円熟した大人の恋愛など私が理解できるはずもないのだが、これからまた素敵な人と巡り会って、そしてこの小説を再度紐解いたら、沢山のものが見えてくるんだろうな。
言葉の流れが優雅でオシャレだった。 高級娼婦という特別な立場だが、レアの気持ちは女性なら誰もが一度は体験するのではないだろうか。 シェリが去ってゆくラストシーンは悲しい。
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