広井良典のレビュー一覧

  • 人口減少社会のデザイン

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    人口減少していく日本社会が、経済成長に頼らずに存続できる方法はあるのか、いわゆる「脱経済成長論」について、東京一極集中問題、街のあり方、医療サービスの問題点、税制の改善点など、さまざまな角度から論じている。
    私自身、ここ30年の日本経済の停滞を受け、これから積極財政を行ったとしても、人口の減りゆく日本で、大きな経済成長を遂げることができるのか、懐疑的であったためこの本を読むに至った。

    以下本書の内容を自分なりに要約した。

    人口が減少していくことで直面する問題として、まずはじめに地方の過疎化が挙げられる。高度経済成長期より東京に人口が流入し始め、小さな町の中心部では、シャッター通りが散見され

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    2025年08月04日
  • 人口減少社会のデザイン

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    書店で偶然に本書を見つけ、「2050年、日本は持続可能か?」の帯に興味をそそられる形で、購入しました。

    本書の内容は、人口減少を発端とした、現代日本社会の様々な社会的問題点を指摘したものとなっていますが、写真やグラフを随所で挿入し、また、論文等についても、注釈ではなく、文章中で引用していたので、非常に理解しやすかったですね。

    著者の主張の中では、「人生前半の社会保障」をより重点的に厚くすべきという点と、「歩いて楽しめるまちづくり」については、非常に共感することができました。
    特に、若い世代への社会保障の押し付けは止めるべきという主張は、明確な根拠も示された上で主張されていたので、納得感が高

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    2025年05月26日
  • ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来

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    図やグラフを用いて、筆者の資本主義の捉え方を理解できた。今の社会構造が資本主義による部分がとても大きいこと、拡大・成長を志向する時代であるということを俯瞰で見る視点をもてた。

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    2025年04月01日
  • 田園回帰がひらく未来 農山村再生の最前線

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    「右肩下がり」で「行き詰まり」。持続可能な未来が思い描きにくい昨今の日本に、ささやかながら実現可能な明るい未来像を示してくれている。様々な観点から「田園回帰」の可能性が論じられており、どの章も勉強になる。実践例をテンポよく示した大江正章氏の論考に特に元気づけられた。

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    2024年11月28日
  • 商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間

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    商店街衰退は人口減少による必然的帰結ではなく、モータリゼーションを軸とした都市計画の当然の帰結であるという論と、商店街は住民の消費需要を支える機能だけでなく、コミュニケーションの場を提供するという機能によってショッピングモールやネットショップに対する優位性を持っているという論が軸で、強く共感した。
    そのような商店街を活性化させるために最も大切なのは「人」で、震源店からはじまり、多くの人を巻き込む活動をターニングポイントとして活性化活動が推進されていくというステップ。
    そして、行政も明確にウォーカブルシティを目指した政策を打ち出し、市街地中心部への車両乗入れを規制するなどで憩いの場となる空間を意

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    2024年11月23日
  • 商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間

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    商店街の現状と今後どうあるべきかがいろいろな方の意見、事例を元に紹介。
    それぞれの章の終わりにポイントがまとめてあるため分かりやすくなっている。

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    2024年04月20日
  • 科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて

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    経済と科学だけでなく、医療や福祉政策についても理解できた。各国の社会福祉制度の比較がわかりやすく、一部分だけで判断していたと思えた。

    著者の提言の意味合いが強いが、一つの視点として把握した方がいいと感じる。

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    2024年04月11日
  • 科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて

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    一つ上の視座から資本主義を考えることができました。図解でわかりやすく説明しているので、読みやすかったです。

    科学が導く人類の先を考えるきっかけになるとともに、今を生きることの尊さも同時に感じることができました。

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    2024年02月09日
  • 無と意識の人類史―私たちはどこへ向かうのか

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    歴史、哲学、物理学を駆使して「無」あるいは「死」について考察していく本。現在は人類史の3回目の「成長・拡大」からの「定常化」の時期にあり、その先の「無」は何なのかを考える。生と死は断絶したものでなく融合していて、認知症はそんなファジーな位置にあると。
    なかなか理解し難い部分もあったが、宗教、文明、環境さらには「火の鳥」「アマテラス」などを引き合いに説明を試みてくれている。

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    2023年12月30日
  • 無と意識の人類史―私たちはどこへ向かうのか

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    死とは、生とは、有とは、無とは…?哲学的な問いに対して学問的見地から迫ろうとする本。ちょうど1週間前に読んでたシュレディンガーの生命とは何かが引用されていたり、仏教「超」入門に書かれていた思想に通ずる考察があったりと、最近読む本の話題・興味としては近しいものだった。生と死の連続性はなんとなく分かるが、有と無の連続性は結局ポイントがずれていた気がした。定義の問題になるのでは…
    老年的超越という概念が面白かった。

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    2023年09月26日
  • 人口減少社会のデザイン

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    人口減少社会は、感覚的に、ぼんやりと認識しているが、日常生活では具体的には把握しづらい。その感覚差を埋めるため手に取る。
    本書では、様々なデータや論文を引いて、社会や制度、死生観など幅広く、状況の説明と施策の提示が行われている。
    人口はある程度、減少しても良い、など、お!と思わせる話もあり、硬い書ですが、一気に読める。良書。

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    2023年08月27日
  • 科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて

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    資本主義の定義、その背景にある哲学、社会課題の因果などがわかりやすく整理されている。特に福祉課題と環境課題はともに世代間の問題であり、日本はいずれも先送りしており、将来世代にツケを残し続けているということや、この二つの課題を含めて、持続可能性や世代間格差をテーマにする政党がいないことも、悲しい現実である。

    教育投資を年金の比較などもわかりやすく先のない日本の政策を明示している。

    これからのポスト資本主義には、世代間格差、人生前半の社会保障(再分配機能の強化)がより一層必要になるため、それに対応した国に有望な人的資源も集まるだろう。

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    2023年07月25日
  • 科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて

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    資本主義社会が行き詰まっていることは、徐々に、一般人の私たちにも広まりつつあるが、じゃあ、具体的にどんな社会が必要なのか、そのシミュレーションをしてくれるのが広井さんだと思う。
    斎藤幸平がポスト資本主義の在り方をマルクスに求めたのに対し、広井さんは持続可能な福祉社会を提唱する。
    生産性の考え方を、「労働生産性」から「環境生産性」に転換していき、資源消費や環境負荷をできるだけ抑え、むしろ人は積極的に使うという考え方だ。

    持続可能性と地球環境を重視するという基本スタンスから、まずは「緑の成長」(資源消費や環境への負荷を最小限なものにしながら経済成長ないしGDPの増加を追求する)を過渡的な姿とし、

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    2023年06月09日
  • 科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて

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    著者の主張に全面的に同意。日本の政治家(とそれを選んでいる有権者=多数派の高齢者)は経済成長の幻想を抱き、借金や環境破壊等で将来世代にたくさんのツケをまわしている。本書だけでなく至る所で同様の主張や議論があるのに、オープンな場で政治家が議論しているのを寡聞にして知らない。本当に気が滅入る、、
    資本主義は市場経済ということに加えて拡大成長を志向しているのが特色だというのが勉強になった。地球資源が有限である以上、この資本主義が変容を迫られているのは自明。だが持続可能な社会と資本主義は相容れないのでは?という疑問があったが、成長ではなく再分配を強く志向する欧州型の資本主義へまずは移行するのは確かに現

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    2023年05月11日
  • コミュニティを問いなおす ――つながり・都市・日本社会の未来

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    大学生のとき以来の広井先生。今も精力的に色々書いてる先生ですが、この本は先生の中心テーマというか関心の盛合わせ基本テキストという感じがしますね。農村型と都市型、都市論や地域に根付いた福祉のあり方など面白く読みました。日本のコミュニティの文脈を語るのに独我論まで持ち出したのはどうかと思いましたが。地球の環境上の限界という制約こそが先生のいう普遍的な価値規範になるのか、あるいはよりローカルなレベルでの価値が成り立ちうるのか。そこが「定常型」という社会のあり方が可能かどうかの分水嶺なのでしょうか。

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    2022年12月04日
  • 人口減少社会のデザイン

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    人口減少社会のデザイン
    著:広井 良典

    著者の研究グループでは、AIを活用した日本社会の未来シミュレーションを行い、①人口②財政・社会保障③都市・地域④環境・資源という4つの持続可能性に注目し、日本が2050年に向けてじぞく可能であるための条件やそのためにとれるべき政策を提言する内容の成果をまとめている。

    日本社会の持続可能性を実現していく上で、「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐がもっとも本質的な選択肢であり、また人口や地域の持続可能性、そして健康、格差、幸福等の観点からは「地方分散型」が望ましいという結果が示された。

    構成は以下の7章から成る。
    ①人口減少社会の意味
    ②コミュニ

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    2022年11月27日
  • 人口減少社会のデザイン

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    高齢化と人口減少。
    社会保障と国家財政の破綻。
    若者軽視の政策の是正。
    成長至上の資本主義の見直しと地域社会。

    こうした私個人としても、そして全社会的にも重大な関心事がひとつの円環の中で議論される。

    一つ一つの議論が圧倒的に新しい、ということはないけれども、これら総体へのソリューションを「人口減少社会のデザイン」と名付けたことはまさに秀逸だと思う。

    とくに、成長がすべてを解決できた時代の成功体験にしがみつき、本来今の世代の中で解決すべき社会保障問題を未来の子どもたちへの借金として押し付けていることに対して、ある意味完全自己責任で弱者のセイフティネットのない米国以上に無責任
    、と断じている

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    2022年07月24日
  • 無と意識の人類史―私たちはどこへ向かうのか

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    この本を読むきっかけは、雑誌「ひらく」の連載を読んでいて知ったということです。
    著者の本は少々読んだことがありましたが、ずっといい続けてきたことが、一応この本で一定の整理がついたようです。
    最後に書いていますが、コロナ禍で、執筆する時間が取れ、筆が動いたと。
    イントロダクション 生の有限性、地球環境の有限性
    第1章 無と死を考える時代
    第2章 有限性の経済学
    第3章 超長期の歴史と生命
    第4章 無の人類史
    第5章 「火の鳥」とアマテラス
    第6章 有と無の再融合
    エピローグ 時間の意味
    あとがき
    著者は高校時代から「生きる意味」を深く掘り下げ考えるということの重要性を感じ、大学、研究生活と続き、

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    2022年03月14日
  • ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来

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    ネタバレ

    2015年副題として科学・人間・社会の未来。
    目次として 
    はじめにー「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義 
    序章 人類史における拡大・成長と定常化ーポスト資本主義をめぐる座標軸 
    第1部資本主義の進化 
    第1章資本主義の意味 
    第2章科学と資本主義 
    第3章電脳資本主義と超資本主義vsポスト資本主義 

    第Ⅱ部科学・情報・生命 
    第4章社会的関係性 
    第5章自然の内発性 

    第Ⅲ部緑の福祉国家/持続可能な福祉社会 
    第6章資本主義の現在 
    第7章資本主義の社会化または「ソーシャルな資本主義 第8章コミュニティ経済 

    終章 地球倫理の可能性―ポスト資本主義における科学と価値

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    2022年01月03日
  • 人口減少社会のデザイン

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    2021.10.27 とても刺激的で、自分も日本の未来のために何かやらなければと動機付けられる。素晴らしいと思う。難題が多いがなんとかしなければと思う。

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    2021年10月27日