広井良典のレビュー一覧
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人口減少していく日本社会が、経済成長に頼らずに存続できる方法はあるのか、いわゆる「脱経済成長論」について、東京一極集中問題、街のあり方、医療サービスの問題点、税制の改善点など、さまざまな角度から論じている。
私自身、ここ30年の日本経済の停滞を受け、これから積極財政を行ったとしても、人口の減りゆく日本で、大きな経済成長を遂げることができるのか、懐疑的であったためこの本を読むに至った。
以下本書の内容を自分なりに要約した。
人口が減少していくことで直面する問題として、まずはじめに地方の過疎化が挙げられる。高度経済成長期より東京に人口が流入し始め、小さな町の中心部では、シャッター通りが散見され -
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書店で偶然に本書を見つけ、「2050年、日本は持続可能か?」の帯に興味をそそられる形で、購入しました。
本書の内容は、人口減少を発端とした、現代日本社会の様々な社会的問題点を指摘したものとなっていますが、写真やグラフを随所で挿入し、また、論文等についても、注釈ではなく、文章中で引用していたので、非常に理解しやすかったですね。
著者の主張の中では、「人生前半の社会保障」をより重点的に厚くすべきという点と、「歩いて楽しめるまちづくり」については、非常に共感することができました。
特に、若い世代への社会保障の押し付けは止めるべきという主張は、明確な根拠も示された上で主張されていたので、納得感が高 -
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商店街衰退は人口減少による必然的帰結ではなく、モータリゼーションを軸とした都市計画の当然の帰結であるという論と、商店街は住民の消費需要を支える機能だけでなく、コミュニケーションの場を提供するという機能によってショッピングモールやネットショップに対する優位性を持っているという論が軸で、強く共感した。
そのような商店街を活性化させるために最も大切なのは「人」で、震源店からはじまり、多くの人を巻き込む活動をターニングポイントとして活性化活動が推進されていくというステップ。
そして、行政も明確にウォーカブルシティを目指した政策を打ち出し、市街地中心部への車両乗入れを規制するなどで憩いの場となる空間を意 -
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資本主義社会が行き詰まっていることは、徐々に、一般人の私たちにも広まりつつあるが、じゃあ、具体的にどんな社会が必要なのか、そのシミュレーションをしてくれるのが広井さんだと思う。
斎藤幸平がポスト資本主義の在り方をマルクスに求めたのに対し、広井さんは持続可能な福祉社会を提唱する。
生産性の考え方を、「労働生産性」から「環境生産性」に転換していき、資源消費や環境負荷をできるだけ抑え、むしろ人は積極的に使うという考え方だ。
持続可能性と地球環境を重視するという基本スタンスから、まずは「緑の成長」(資源消費や環境への負荷を最小限なものにしながら経済成長ないしGDPの増加を追求する)を過渡的な姿とし、 -
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著者の主張に全面的に同意。日本の政治家(とそれを選んでいる有権者=多数派の高齢者)は経済成長の幻想を抱き、借金や環境破壊等で将来世代にたくさんのツケをまわしている。本書だけでなく至る所で同様の主張や議論があるのに、オープンな場で政治家が議論しているのを寡聞にして知らない。本当に気が滅入る、、
資本主義は市場経済ということに加えて拡大成長を志向しているのが特色だというのが勉強になった。地球資源が有限である以上、この資本主義が変容を迫られているのは自明。だが持続可能な社会と資本主義は相容れないのでは?という疑問があったが、成長ではなく再分配を強く志向する欧州型の資本主義へまずは移行するのは確かに現 -
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人口減少社会のデザイン
著:広井 良典
著者の研究グループでは、AIを活用した日本社会の未来シミュレーションを行い、①人口②財政・社会保障③都市・地域④環境・資源という4つの持続可能性に注目し、日本が2050年に向けてじぞく可能であるための条件やそのためにとれるべき政策を提言する内容の成果をまとめている。
日本社会の持続可能性を実現していく上で、「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐がもっとも本質的な選択肢であり、また人口や地域の持続可能性、そして健康、格差、幸福等の観点からは「地方分散型」が望ましいという結果が示された。
構成は以下の7章から成る。
①人口減少社会の意味
②コミュニ -
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高齢化と人口減少。
社会保障と国家財政の破綻。
若者軽視の政策の是正。
成長至上の資本主義の見直しと地域社会。
こうした私個人としても、そして全社会的にも重大な関心事がひとつの円環の中で議論される。
一つ一つの議論が圧倒的に新しい、ということはないけれども、これら総体へのソリューションを「人口減少社会のデザイン」と名付けたことはまさに秀逸だと思う。
とくに、成長がすべてを解決できた時代の成功体験にしがみつき、本来今の世代の中で解決すべき社会保障問題を未来の子どもたちへの借金として押し付けていることに対して、ある意味完全自己責任で弱者のセイフティネットのない米国以上に無責任
、と断じている -
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この本を読むきっかけは、雑誌「ひらく」の連載を読んでいて知ったということです。
著者の本は少々読んだことがありましたが、ずっといい続けてきたことが、一応この本で一定の整理がついたようです。
最後に書いていますが、コロナ禍で、執筆する時間が取れ、筆が動いたと。
イントロダクション 生の有限性、地球環境の有限性
第1章 無と死を考える時代
第2章 有限性の経済学
第3章 超長期の歴史と生命
第4章 無の人類史
第5章 「火の鳥」とアマテラス
第6章 有と無の再融合
エピローグ 時間の意味
あとがき
著者は高校時代から「生きる意味」を深く掘り下げ考えるということの重要性を感じ、大学、研究生活と続き、 -
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ネタバレ2015年副題として科学・人間・社会の未来。
目次として
はじめにー「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義
序章 人類史における拡大・成長と定常化ーポスト資本主義をめぐる座標軸
第1部資本主義の進化
第1章資本主義の意味
第2章科学と資本主義
第3章電脳資本主義と超資本主義vsポスト資本主義
第Ⅱ部科学・情報・生命
第4章社会的関係性
第5章自然の内発性
第Ⅲ部緑の福祉国家/持続可能な福祉社会
第6章資本主義の現在
第7章資本主義の社会化または「ソーシャルな資本主義 第8章コミュニティ経済
終章 地球倫理の可能性―ポスト資本主義における科学と価値