広井良典のレビュー一覧
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高齢化と人口減少。
社会保障と国家財政の破綻。
若者軽視の政策の是正。
成長至上の資本主義の見直しと地域社会。
こうした私個人としても、そして全社会的にも重大な関心事がひとつの円環の中で議論される。
一つ一つの議論が圧倒的に新しい、ということはないけれども、これら総体へのソリューションを「人口減少社会のデザイン」と名付けたことはまさに秀逸だと思う。
とくに、成長がすべてを解決できた時代の成功体験にしがみつき、本来今の世代の中で解決すべき社会保障問題を未来の子どもたちへの借金として押し付けていることに対して、ある意味完全自己責任で弱者のセイフティネットのない米国以上に無責任
、と断じていることには強い共感を覚える。
なお、成長一本槍を見直し、「今幸せか」を問うことは、ある意味死生観そのものを問うことでもある。人口成熟の現代は、思想のビックバンの可能性を秘めているとの第6章の議論はいささか試論的ではあるものの大変興味をそそられた。
私自身、例えば熊野古道や出羽三山など、これまでのいくつも聖地探訪登山をしてきた。
そしてその結果、明治維新に際して神仏習合を破壊したことは日本人の精神構造に大打撃を与えた、という仮説を抱いているのだが、本書の神仏儒を一体的に捉える感覚や、ある種アミニズム的に自然を精神世界の根底に位置づける著者の思考は、僭越ながらそれと何か一脈通じるようにも思えたのだ。
実務としての地域社会構築の取り組み含め、示唆に富む本。 -
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この本を読むきっかけは、雑誌「ひらく」の連載を読んでいて知ったということです。
著者の本は少々読んだことがありましたが、ずっといい続けてきたことが、一応この本で一定の整理がついたようです。
最後に書いていますが、コロナ禍で、執筆する時間が取れ、筆が動いたと。
イントロダクション 生の有限性、地球環境の有限性
第1章 無と死を考える時代
第2章 有限性の経済学
第3章 超長期の歴史と生命
第4章 無の人類史
第5章 「火の鳥」とアマテラス
第6章 有と無の再融合
エピローグ 時間の意味
あとがき
著者は高校時代から「生きる意味」を深く掘り下げ考えるということの重要性を感じ、大学、研究生活と続き、母の痴ほう症など色んな経験の積み重ね、また、人との出会いでこの本が書けたということだ。
無から有そして無、しかしながら「無」はただ単なる「無」ではなく、意味ある「無」にすべく、どれほど有意義な「有」を過ごせるのかが重要なポイントのようです。 -
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ネタバレ2015年副題として科学・人間・社会の未来。
目次として
はじめにー「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義
序章 人類史における拡大・成長と定常化ーポスト資本主義をめぐる座標軸
第1部資本主義の進化
第1章資本主義の意味
第2章科学と資本主義
第3章電脳資本主義と超資本主義vsポスト資本主義
第Ⅱ部科学・情報・生命
第4章社会的関係性
第5章自然の内発性
第Ⅲ部緑の福祉国家/持続可能な福祉社会
第6章資本主義の現在
第7章資本主義の社会化または「ソーシャルな資本主義 第8章コミュニティ経済
終章 地球倫理の可能性―ポスト資本主義における科学と価値 -
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ネタバレ人口減少社会という確実に見えている未来に向けたあり方を考えるためのヒントとして読書。
幅広いデータに基づいて論理展開されており、
納得感のある論であり、良著。これからを生きるヒントとなりそうな本。
メモ
・今後の持続可能性に関する重要論点
財政、世代間継承性における持続可能性
格差拡大と人口における持続可能性
コミュニティないしつながりに関する持続可能性
・aiによる日本未来シナリオ、都市集中型か、地方分散型かが最大の分岐点
⭐︎経済成長あるいは一人当たり所得水準が一定レベルを超えると幸福度との相関が弱いものになっていく。幸福を左右する要因は
コミュニティのあり方、つながり
平等度ないきは格差
自然環境とのつながり
精神的、宗教的なよりどころなど。
・都市のありようを歩行者が歩いて楽しめる姿にしていくということ。それがコミュニティあるいは福祉的な意味、環境面での効果、経済の観点からもプラスの意味を持ってくる。
・工業化、情報化・金融化ときて次はローカル化に進むのではないか。AI分散型システムにより。グローバル化が落ち着き。持続可能性・幸福への関心が高まっていくのではないか。
・人類史において拡大と成長を大きく2回繰り返しており、定常期には心のビッグバンや精神革命のようなことが生じている。次なる定常化においては?
・これからの社会保障
人生前半の社会保障の強化。最近スタートラインの格差が広がりつつある
ストックに関する社会保障の強化。 -
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これからの時代は、都市集中ではなく、地方分散の流れがますます進んでいくという著者の展望に、共感しました。
本書では、国内外の豊富な事例を交えながら、人口減少社会のあり方を幅広いテーマで考察されていて、とても示唆に富んでいます。
特におもしろかったのが地域再生のテーマ。「中心部からの自動車排除と歩いて楽しめる街」というヨーロッパの事例は日本でもぜひ広がっていってほしいです。
高齢者がゆっくり楽しめる市場や空間が広がっていけば、高齢者のお出かけは増えて健康になり、楽しみも増える。わざわざ都会に出かけなくても地域内で買い物ができたら、買い物難民だって解消するし、産業も発展し、地域も活性化する好循環に。
今こそ、クルマ依存型の社会構造から脱却した、持続可能なまちづくりを目指すべきだと思います。 -
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ネタバレ人口減少時代に突入している日本で、
今後の社会のあり方の考え方を学ぶため、購読。
本書は、都市政策や地域活性化などにも言及しているが、
核となるのは、それらを受けた、
社会保障のあり方への提言だ、と思う。
○本書をまとめると、社会保障のあり方は、
・事後から事前へ―人生の前半への社会保障を厚く
・フローからストックへ―住宅などへの保障を
・サービス・ケアの重視へ
・都市政策、まちづくり、環境政策と、社会保障の統合
以下、参考になった部分の要約。←は私のコメント
・現在の日本の地方都市の空洞化は、国の政策の失敗の帰結ではなく、むしろ政策の成功によって、実現した結果である。
←自動車のための道路で分断された都市計画
住宅と土地を個人が所有し、スクラップ&ビルドする
住宅政策。
・若い世代への支援が重要。人生前半の社会保障の充実を。
・日本では、人口減少はむしろよいのかもしれない。
狭い可住地面積に密集しすぎている現状が、
揺れ戻しで人口減少し、ある均衡点に落ち着く。
問題は、際限のない人口減少である。
そのためには、合計特殊出生率が2.0くらい必要。
←人口が増えすぎたのは、将来への期待感からかも。
右肩上がりだから楽天的に産めよ増やせよとできる。
逆に現在は、将来の見通しが暗い。
この暗い見通しが、さらに出産をためらわせる。
つまり、人口(ストック)と出生数(フロー)
の間には、自己強化型のフィードバックループがある、ということだ。
・日本は、集団が内側に向かって閉じている。
―知っている者同士の間では極端なほどに気を遣い、
仲間意識を持つ。
逆に見知らぬ者、ソトの者に対しては関心を向けないか、
潜在的な敵対関係を持つ。
←まさにその通り。ウチとソトで異様な仲間意識の差がある。気持ち悪い。
・社会資本整備はS字型で進む
←これはよくある普及のロジスティック曲線。
y=1/(1+exp(-x))
・第4のSは情報化らしい。
←このあと、物質・エネルギー、情報、時間 など、
かなり哲学的な内容になるので、読みとばしてよい。
・日本の福祉は、社会保障の給付に見合った負担を
負わせることを回避し、
将来世代にそのツケを回している。
これは、困難な意思決定を先送りして、
その場にいない将来世代に負担を強いるという点で、
高福祉の欧州、低福祉のアメリカと比べて、最も無責任な対応だ。
・住宅などのストックに関する社会保障が、日本では現在足りていない。
また、年金制度の在り方は、
公的年金の必要性が相対的に薄い層(高所得層)に
過剰ともいえる年金が支給されている。 -
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ネタバレ本書は、現在の資本主義体制が、資源の枯渇や格差の問題などが現れている点を含めて、人類の幸福や精神的充足をもたらしているのかという現状を踏まえ、資本主義とパラレルに発展してきた科学技術が人間にとって何をもたらし、それの資本主義との関係性を探っていくものである。
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資本主義とは何かについてまず考察しており、著者は「市場経済+限りない拡大・成長」を志向するシステム、と定義する。これは利潤の量的拡大による全体のパイの拡大が社会の利益につながるという議論が前提としてある。これを達成するために、個人が社会から独立した存在であることと、人間は自然を支配できることを思想的な出発点としている。
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このような思想を前提とした、資本主義と科学技術の発展を歴史的に概観していくと、「拡大・成長」の時代と「定常化」の時代があることがわかる。現在は第3の「定常化」の時代であり、この時代をポスト資本主義社会としている。
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この社会におけるビジョンとは、これまで考えられてきた思想(=機械的自然観・個人の独立性)が持つ外在的な考え方から、内在的な思想(=個人・コミュニティ・自然を相互依存的な観点で考えること)への変化を求めている。その上で、著者は「緑の福祉国家」または「持続可能な福祉社会」を提案している。これは、格差などの構造的な問題に対して①過剰の抑制 ②再分配の強化 ③コミュニティ経済、の方向性を持って対応する新たな社会構想として、提案し、結論としている。 -
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なぜ、都市の人々、特に若者が農山村に向かうのか。農山村は受け入れる準備はあるのか。この現象にはいかなる多様性があるのか。この動きを定着させる戦略とはーはじめにより
「田園回帰」をめぐる様々な論点があるなかで、2015年11月17日に実施されたシンポジウム「都市・農村共生社会創造全国リレーシンポジウム」の東京会場での基調講演とパネルディスカッションをまとめた記録&提言集。
印象的だったのは、
「田園回帰」の動きが、「豊かさ」と「貧しさ」の再定義につながると提言されていたこと。
物質的な豊かさから、関係性の豊かさへ。
中山間地域に空き家を抱えて、管理と運用に困っている私も、何かできるかも…と思わせてくれた一冊でした。
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第二部は”社会システム”という切り口からコミュニティを問い直していく章でした。主に都市計画や福祉政策の歴史的展開の振り返りや、社会システムの国際比較を通して、現在のコミュニティや公共を分析していくというテーマです。
具体的には、第一部の視座に加え、「公-共-私の役割分担/力点の相違」「社会システムをインフォーマルな形で支えるもの」「土地の公共性の変化」「フロー/ストックからみた公平性」「住宅政策」「コミュニティの世代的継承性」などの様々な視点から分析をし、関連付けをしていました。
一番印象に残ったことは、ある地域のコミュニティを分析するためには、社会システムという様々な視点からも詳しく、詳しく分析する必要があるなぁということです。 そのためにも、他の地域の歴史や福祉/都市政策と比較するための知識・比較の軸を養っておかなければいけません,,,!
まずは、各地方自治体の5カ年地域福祉計画などで、何が語られているか知るところからでしょうか。 今まであまり興味をもって読もうという気持ちにならなくなった行政の計画書や報告書が気になってきました。
現状の地域コミュニティを「地域コミュニティ再構築のチャンス!」と捉え未来を創っていくためにも、現在の地域コミュニティがどのように生まれているか、勉強していきたいと思います!