広井良典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ人口減少社会という確実に見えている未来に向けたあり方を考えるためのヒントとして読書。
幅広いデータに基づいて論理展開されており、
納得感のある論であり、良著。これからを生きるヒントとなりそうな本。
メモ
・今後の持続可能性に関する重要論点
財政、世代間継承性における持続可能性
格差拡大と人口における持続可能性
コミュニティないしつながりに関する持続可能性
・aiによる日本未来シナリオ、都市集中型か、地方分散型かが最大の分岐点
⭐︎経済成長あるいは一人当たり所得水準が一定レベルを超えると幸福度との相関が弱いものになっていく。幸福を左右する要因は
コミュニティのあり方、つながり
平等度 -
Posted by ブクログ
これからの時代は、都市集中ではなく、地方分散の流れがますます進んでいくという著者の展望に、共感しました。
本書では、国内外の豊富な事例を交えながら、人口減少社会のあり方を幅広いテーマで考察されていて、とても示唆に富んでいます。
特におもしろかったのが地域再生のテーマ。「中心部からの自動車排除と歩いて楽しめる街」というヨーロッパの事例は日本でもぜひ広がっていってほしいです。
高齢者がゆっくり楽しめる市場や空間が広がっていけば、高齢者のお出かけは増えて健康になり、楽しみも増える。わざわざ都会に出かけなくても地域内で買い物ができたら、買い物難民だって解消するし、産業も発展し、地域も活性化する好循環に -
Posted by ブクログ
ネタバレ人口減少時代に突入している日本で、
今後の社会のあり方の考え方を学ぶため、購読。
本書は、都市政策や地域活性化などにも言及しているが、
核となるのは、それらを受けた、
社会保障のあり方への提言だ、と思う。
○本書をまとめると、社会保障のあり方は、
・事後から事前へ―人生の前半への社会保障を厚く
・フローからストックへ―住宅などへの保障を
・サービス・ケアの重視へ
・都市政策、まちづくり、環境政策と、社会保障の統合
以下、参考になった部分の要約。←は私のコメント
・現在の日本の地方都市の空洞化は、国の政策の失敗の帰結ではなく、むしろ政策の成功によって、実現した結果である。
←自動車のための -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、現在の資本主義体制が、資源の枯渇や格差の問題などが現れている点を含めて、人類の幸福や精神的充足をもたらしているのかという現状を踏まえ、資本主義とパラレルに発展してきた科学技術が人間にとって何をもたらし、それの資本主義との関係性を探っていくものである。
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資本主義とは何かについてまず考察しており、著者は「市場経済+限りない拡大・成長」を志向するシステム、と定義する。これは利潤の量的拡大による全体のパイの拡大が社会の利益につながるという議論が前提としてある。これを達成するために、個人が社会から独立した存在であることと、人間は自然を支配できることを思想的な出発点としている。
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このような -
Posted by ブクログ
なぜ、都市の人々、特に若者が農山村に向かうのか。農山村は受け入れる準備はあるのか。この現象にはいかなる多様性があるのか。この動きを定着させる戦略とはーはじめにより
「田園回帰」をめぐる様々な論点があるなかで、2015年11月17日に実施されたシンポジウム「都市・農村共生社会創造全国リレーシンポジウム」の東京会場での基調講演とパネルディスカッションをまとめた記録&提言集。
印象的だったのは、
「田園回帰」の動きが、「豊かさ」と「貧しさ」の再定義につながると提言されていたこと。
物質的な豊かさから、関係性の豊かさへ。
中山間地域に空き家を抱えて、管理と運用に困っている私も、何かで -
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第二部は”社会システム”という切り口からコミュニティを問い直していく章でした。主に都市計画や福祉政策の歴史的展開の振り返りや、社会システムの国際比較を通して、現在のコミュニティや公共を分析していくというテーマです。
具体的には、第一部の視座に加え、「公-共-私の役割分担/力点の相違」「社会システムをインフォーマルな形で支えるもの」「土地の公共性の変化」「フロー/ストックからみた公平性」「住宅政策」「コミュニティの世代的継承性」などの様々な視点から分析をし、関連付けをしていました。
一番印象に残ったことは、ある地域のコミュニティを分析するためには、社会システムという様々な視点からも詳し -
Posted by ブクログ
社会政策を専門とし、これまでにも新書版を含めて多数の著書を持つ広井良典氏が、産業革命以降200年以上に亘り続いてきた資本主義社会に綻びが見える現在、資本主義の後に来る社会を予想・提言したものである。
テーマは壮大で、各学術分野に跨る分野横断的な内容となっているが、広井氏は他の著書と同様に丁寧に論考を進めている。
主旨は概ね以下である。
◆人類の歴史には、人口や経済の「拡大・成長」と「定常化」を繰り返す3回の大きなサイクルがあった。第1は、約20万年前に現生人類が登場し狩猟採集が始まった段階、第2は、約1万年前に農耕社会に移った段階、第3は、18世紀の産業革命以降である。また、過去2回の定常期は