広井良典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「高齢者ケア」、「ターミナルケア」、「心のケア」など、ケアという言葉を耳にしない日はない。
しかし、そもそもケアとは人間にとっていかなる意味をもつものなのだろうか?
本書は「ケアする動物としての人間」という視点から出発し、高齢化社会におけるケアをめぐる具体的な問題を論じながら、ケアのもつ深い意味へと接近していく。
現代という時代に関心をもつすべての人に贈る一冊。
[ 目次 ]
プロローグ ケアとは何だろうか
第1章 ケアする動物としての人間
第2章 死は医療のものか
第3章 高齢化社会とケア
第4章 ケアの市場化
第5章 ケアの科学とは
第6章 「深層の時間」とケア
エピローグ -
Posted by ブクログ
『コミュニティを問い直す』で著者に興味を持ってこれも読もうと思い立った。
環境負荷を考えると、マテリアルな消費が持続可能な範囲で行われる必要があり、人口に着目すると、人口が一定になる必要がある。これはどちらも『定常化社会』というコンセプトに結びつく。
というのが本書のメインテーマ。『持続可能な未来へ』が工業化社会をバブルと言っていたけど、人口爆発も間違いなくバブルで、永遠につづくのは不可能だから、たしかにこのコンセプトは大事になってくると思う。
いくつか本書の中で出てきて印象に残ったのをメモ書き程度に↓
「ケインズ政策」
日本では公共工事のイメージが強いが、ヨーロッパに於いては福祉国家 -
Posted by ブクログ
人口が減少していく未来の日本社会について、今の段階でなぜそのようになってしまっているのか、今後どのようにしていくべきなのかについて、さまざまな観点で学べる本。
著書に書かれていることに対して、データによる根拠もあるが、必ずしも全てそうではないということ、結果にはさまざまな要因が絡んでいるだろうこととして自分なりに解釈する。
外国と比較した日本の財政の状況や医療制度の問題、高度経済成長期の日本の背景から現在の状況を引き起こしていると言えるその理由などは勉強になった。
これからの時代に迫ってくることは、これまでの延長線で考えてきた施策では立ち行かないこと、これまでの日本の高度成長期によって現状のよ -
Posted by ブクログ
唯一予測できる未来として、人口減少が気になっています。
さまざまな視点から人口減少を考察されていて、分かっているようで分かっていないことも多かった。
・ドイツも日本と同様に人口減少社会
・女性の就業率が高い国のほうが概して出生率も高い。社会システムの対応が重要
・これからの人口減少時代は地域で過ごす時間の多い層が増えていく。こどもと高齢者は地域との関わりが強いから
・地方の人口流出はいまではなく高度成長時代に多かった。今は地方の高齢者が亡くなって人口が減少している。
・年金マネーが首都圏に集中する
・今は高度成長時代に起こった大量の若年世代の首都圏流入が、数十年のタイムラグをへて別の形で顕 -
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人類史における拡大・成長と定常化のサイクルは、3つのフェーズに分けられる。
それは、狩猟採集社会、農耕社会、そして産業化(工業化)社会である。各社会では、成長の後、定常化するまでに、人の意識にはそれぞれ変化があったのだとか。
狩猟採集社会では、心のビッグバンがあり、人間のこころという固有の領域が生まれた。農耕社会では、枢軸時代/精神革命があり、キリスト教などの普遍宗教が生まれた。
そして、産業化(工業化)社会では、地球倫理という考え方が生まれた。つまり、地球資源や環境、人間の寿命は有限であることを意識し、宗教の多様性を理解しつつ、それらの根底にある自然信仰を積極的にとらえていくというこ -
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日本の高齢化率が特に高くなっていくのは、長寿が原因だと思いがちだ。しかし、そうではなくて、少子化が大きな原因であることをデータで証明。
また、女性の就業率が高い国の方が概して出生率も高いことも他国との比較で明確にしている。
少子化の避けられない日本にとって「若い世代の生活や雇用の不安定ないし困窮が、少子化の一つとなり、若い世代への支援こそが『人口減少社会のデザイン』にとって非常に重要」だと筆者は言う。
しかし、やみくもに少子化を否定するのではなく、これも他の先進国の国土面積と人口の比較から、日本はある程度人口は減っても良いとするなど、非常に現実路線。
これならやれる、というラインを見つけ出 -
Posted by ブクログ
人口減少社会を迎え、私たちはどう社会をデザインしていくか、AIを使ってシュミレーションするという一冊。
都市集中ではなく地方分散型にすることで、持続可能性は実現するというのがAIが出した結論。
昭和は、人口も経済も右肩上がりで個は排除され集団が優先された時代。
平成はバブル崩壊に伴う失われた20年により大きな方向転換を余儀なくされた時代。
そして、令和を迎えた今、集団よりも個、都市よりも地方が重要視されるべき。
地方都市の中心部がシャッター街になっている行政の失敗は、ある意味でアメリカの車中心社会を真似たから。
歩いて楽しむ街、コミュニティ作りに力を入れているヨーロッパの成功例は真似るべき -
Posted by ブクログ
★本書のメッセージ
「成長」に代わり「定常」であることを新しい豊かさとよう
★読んだきっかけ
戸田氏の『働く理由』に引用されていたため。今後の社会において、どういった働き方をしたいのか考えたく、読んでみた。2001年に書かれた内容であるが、現在にも十分通ずる内容。そう思うと、今の政府の在り方・価値観は全く転換するに至ってないのだと分かる
★本の概要・感想
人口が減少し、GDPも伸びていかない社会で、どのような国・政策の在り方がよいかを考える。社会保障や政策の知識が無いとスムーズに理解するのは難しい。
ムリに成長を志しても苦しいだけだろうなぁ。
★本の面白かった点、学びになった点
*「成長