オースン・スコット・カードのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
残酷描写といえば、で、もうひとつ。
オーソン・スコット・カードの短編集。ジャンルはSF。
作者自身があとがきで「これらの短篇すべてで繰り返されているモチーフがある──残酷なまでの苦痛と、グロテスクなまでの醜悪さだ」というだけあって、そういった描写はかなり多いです。
一方、1970年代までに書き上げられた作品群(寄稿の序文が1980年)は、心理的に歪んだところが少なく、凄惨であってもどこか素直で、不思議と読みやすい。複雑なコード進行やアレンジに頼らなくても名曲は名曲、そんな感じ。
好きな作品
「エンダーのゲーム」
良く出来てる!同じタイトルの長編もある(映画にもなった)のは知ってるけどまだ読んでません。この短編で十分完璧じゃない?と思えるくらい好き。
「王の食肉」
羊飼いの造形がうっとりするほど美しい。でも、その対岸に際立つ残酷さ。彼がすることの、そしてその運命のおぞましさ。「Kingsmeat」という原題も「Kingsmen」を下敷きにしたであろうオシャレ感で、その洗練がまた、酷い。
「無伴奏ソナタ」
それがなくては生きられないものを求めて、求める度に罰される。それでも幸福だと言わなければいけない。そんな人生、そんな社会。
作中に響く音や歌の美しさと、次々に降りかかる残酷さ。対比の中で主人公の一生が描かれる。
悲しい話だけど、最後の一ページにわずかな救いがあり、そして、かすかな響きに耳をそばだてるような息遣いだけを残して、終わり。
珠玉です。
目新しくてカッコいいSFはどんどん出てくるけど、こういう、ある種ノスタルジックなものも、かなり好きです。 -
Posted by ブクログ
いや〜この読後の満腹感ね
読んだわ〜SF読んだわ〜っていうね
いやラーメンも好きなのよ?ラーメンと半チャーハンと餃子セットなんて最高なのよ
でもやっぱ中華料理ではないじゃないあれは
また別ものじゃない
もっとこう床が油でつるっつるのさ、いわゆる中華料理店であの油っこいのを腹いっぱい食べたときの
あー中華食った〜っていうね
あれ(なんの話やねん!)
そんな油っこいSFの最高峰のひとつ『エンダーのゲーム』はやっぱりめちゃくちゃに面白かったなー
面白いSFの条件ってやっぱり説明し過ぎないことだと思うんよな〜
読者が想像で補う部分がたくさんあって、だけどちゃんとヒントもたくさんあってっていうさ
もう想像だけでもう一本作れるんじゃないかってくらいのね
なので中身については説明しません!
名作レビューの予感しかしないな(単にうまい言い訳を思いついただけ) -
Posted by ブクログ
分かるかい?
必要なときに「ありがとう」と声に出して言えることが、とても大切だということが
「ありがとう」
もっと大きな声で!
「ありがとう!」
もっと!
「ありがとう!!」
まだだ!まだいける!
「ありがとう!!!」
やかましわ!( ゚д゚ )クワッ!!
はい、茶番はこのくらいにして
ありがとう、ほんとありがとう早川書房!
ありがとうハヤカワ文庫!
遂にあのSFの歴史に残る名作オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』を新訳です
そしてさらに「トールサイズ」で発売です
「トールサイズ」ってなに?
なんか要するに文庫本のちょっと大きいやつで、その分字も大きいのよ
普通の文庫本のブックカバーが使えないということで、一部のゆーき本さんには不評みたいですが、ローガンのわいにはもうさらに「ありがとう」です
「ありがとう」ポイントが貯まりまくっております
SFの名作=難解という古い時代の方程式をぶっ壊す新訳の傑作です
だがしかーし!今の子たちずるいわーとも思う
もちょっと苦労しないといざ社会に出たときにあーだこーだあーだこーだ(老害締め)
作品の中身については下巻のレビューで!(ほんと?) -
Posted by ブクログ
異星種族バガーの侵攻に対抗すべく集められた子どもたちの1人、エンダー・ウィッギンが訓練施設「バトル・スクール」での訓練を経て成長していく物語の下巻である。本巻でも作者オースン・スコット・カードによるエンダーへの追い込みは容赦がないが、厳しさを乗り越えてこそ「勝利」がある、という当時のアメリカ社会において一般的に支持されていた精神論を反映してのことだろう。しかし、優秀であるがゆえの孤独はリーダーという立場にある者にとっては避け得ないことである、という本作が提示する哲学は時代を越えた普遍性を帯びており、アメリカ海兵隊大学において本作がリーダーシップ演習の教材として使用されていることにも納得がいく。
物語そのものも終盤に向けて一気に緊張感が高まり、特にエンダーがコマンド・スクールに移籍してからは結末まで一気に読ませていくし、最後には驚きの仕掛けが待っている。個人的にはデモステネスとロックの動きを詳細に追ってみたかったところだが、天才ゆえの悩み、苦しみ、そして孤独という本作が提示するテーマを体現しているのはやはりエンダーであることに鑑みれば望蜀だろうか。昆虫型の異星種族と地球人類との戦いや、異星間戦争の最中に繰り広げられる地球上の覇権争いといった要素は、貴家悠・橘賢一のコミック『テラフォーマーズ』にも示唆を与えているようにも思われ、作中に仕掛けられたアイディアの影響力の大きさも随所で感じられた。 -
Posted by ブクログ
天才的な才能を持つ少年の成長物語である。異星人バガーの侵略に対抗可能な戦闘員を育成するために設立されたバトル・スクールに入学させられたエンダー・ウィッギンが、数々の試練をクリアしながら自身の才能を開花させていく……という書き方をすれば聞こえはいいが、作中これでもかと主人公に対する追い込みが執拗に続くので、なかなかつらい気持ちになる。こうした困難を乗り越えていく主人公の成長が本作の主軸ではあるのだが、むしろ無重力空間における身体操作や戦闘方法の描写が緻密なところや、作中に登場する「デスク」によるゲームの描き方、本作が書かれた時代にはまだ想像の領域だったであろうインターネットの状況が現在の目で見ても違和感を感じないところなどの方が驚きが大きかった。しかし、特段大きな展開もなく主人公が課題をクリアしてステージが上がって……という過程が繰り返されるので、SF特有の高揚感をあまり感じなかったのだが、物語としては主人公エンダーがディンク・ミーカーと話すあたりから俄然面白くなってきて、本巻の終盤でのピーターとヴァレンタインの動きで今後の展開がとても楽しみになってきた。下巻に期待。
-
Posted by ブクログ
「エンダーのゲーム」続編にして、前作同様ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品。今作はミステリー色が強く、上巻が出題編とすれば、下巻は解答編。エンダーが行う『代弁』はまさに犯人を暴く名探偵さながら。真実を知って愛と赦しを抱けるか。魂の救済をめぐる人間模様に引き込まれる。
後半のピギー族との交渉は、言語やメンタリティの壁で四苦八苦する、ファーストコンタクトものの緊迫感がある。また生態学SF、時間遡行SFとしても面白い。
全体的に宗教や倫理にからむ要素が強く、かなり考えさせられた。作者がモルモン教信者ということで、ちょっと興味もわいたし。斉藤由貴……。 -
Posted by ブクログ
「エンダーのゲーム」続編。前作はバトル・アクションの側面が強かったが、本作では様々なジャンルを包括した緻密な構成のストーリーが魅力的だ。3000年を旅したエンダーは、伝説の存在が最強の力を備えて宇宙人の秘密を抱え、正体を隠して一般人の中で縦横無尽に活躍するという、なろう小説の主人公感がハンパない。しかしそこに説得力をもたせることに成功しているのが見事で、天才を書くのはやはり天才なのかと作者の力量に感服。ルシタニア星とピギー族をめぐる謎、リベイラ家の秘密などが強く興味を引き、精密なSF設定とミステリーのブレンドが最高に面白い。心理学や宗教性などの要素も色濃く、泣けるシーンも多い。小説としては「エンダーのゲーム」より面白いけど、映像化は難しそうだなぁ。