トーマス・マンのレビュー一覧

  • 魔の山 下

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    1999年に観た2本の映画「マトリックス」と「ファイトクラブ」が、四半世紀たったいまもfavouriteだ。この2本の映画は、ひたすらに画面が暗い。暗い画面の中に、ひとりの憂鬱な男。クソみたいな人生。しかし、男はやがて気付く。こんな世界は偽物だと。ザックの声と、ブラック・フランシスの声が、目を覚ませと、魂はどこにあるのかと、呼びかける。こんなにも気持ちを昂らせてくれる映画はそれまで観たことが無かった

    私がトーマス・マンの「魔の山」を読んだのは、その3年後くらい、2002年の頃だった。「魔の山」のラストシーンで、私は同じような、いやそれ以上の気持ちの昂りを感じた

    「魔の山」のラストシーンでは

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    2025年11月16日
  • 魔の山(下)

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    上下合わせて☆4.8くらい。

    長いけど、読みたいと思わせてくれる小説だった。

    一人でスキーをする場面が、印象的だった。自然との闘いではなく、思索的な旅だったのがよかった。

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    2025年10月20日
  • 魔の山(上)

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    高校生のとき挫折したけど、何回も読み返したい本になった。

    ドストエフスキーのような思想が積み込まれた本だけど、彼と違うのは、この本の通奏低音がカオスではなく、教養小説的な自己刷新であること。一つの大きな出来事がきっかけになるのではない。サナトリウムという非生活の中での、現実的な生活を通して、人との関わりを学んでいく。そうした、ナイーブな存在から大人になる過程を描いている。

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    2025年10月17日
  • トーニオ・クレーガー

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    「人生の過ごし方」を深く考えさせてくれる本だと感じました。
    主人公は芸術家として人と違う存在でありながらも、そのことで人から一目置かれると自らが思う姿が描かれています。
    また、嫉妬の場面や、人に冷たくしてしまう場面などを読みながら、「自分にも似たような動きがある」と感じました。結局、人は同じような感情や行動を繰り返しているのだと気づかされます。その描写に共感。
    この本を通じて、自分を少し上から見つめるような視点を持てるのではないかと思います。

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    2025年08月14日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    情景描写がすごく美しい。同じ芸術家をテーマにした2作だけどなんだか違う。自分と自分の外側と。芸術家も所詮人間。いい意味で。

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    2025年08月03日
  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    おすすめされた?本
    ドイツ文学は硬いイメージがあったけど、さくさく読めた。

    この世界に馴染めない 
    それでもトーニオは人生を愛し続ける 
    あなたもそんな気持ちを抱いたことがあったのですか?

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    2025年07月23日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    ネタバレ

    ショタコンの教科書だ…たまげたなぁ

    大抵の小説が情景描写から入るところが、この作者は異次元の存在だから大抵美少年の描写から入る。まあドイツは美少年多いからね、しかたないね。
    祖母が「いやらしい本だから読むな」というのでいついやらしくなるのかとページを捲るうちに読破してしまった。
    それが、当たり前だけど素晴らしい。美少年が出てきて、虚しい片想いをしてノータッチで終わる。萩尾望都とか好きな人は好きじゃろ?こういうの。美しい思い出の片想いなんだなぁ。美少年は偉大なんだ。

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    2025年01月03日
  • 魔の山 上

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    この小説は私にとって非常に大切な作品です。私の「十大小説」を選ぶとすれば『魔の山』は確実にその中に入ることでしょう。それほどこの作品は力強く、強烈なインパクトがあります。とにかくスケールの大きな作品です!

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    2024年08月22日
  • 魔の山 上

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    100分で名著で現在説明されている。昔読んだような気がするが定かではない。結核患者の従兄に会いに病院に行ったところ自分も具合が悪くなり、そこに逗留するようになったところまでが上巻である。5章で病院の人々と自分がかかわっていくことが説明され、ここが上巻の半分ぐらいを占める。

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    2024年05月27日
  • 魔の山(下)

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    主人公ハンス・カストルプの高地国際療養所での周囲との交流と成長を描いた小説、
    とあらすじはシンプルだが登場人物たちの議論や言動の濃密さとその影響を受けてハンスが精神的に変化していく様は圧倒的な描写で流石にビルドゥングス・ロマンの大傑作。忘れられない読書体験。人間関係のさまざまな側面、自然、病、科学、政治・経済、宗教、哲学、心霊、文化、遊び…とありとあらゆるテーマが飛び交い、延々と言葉が積み重ねられていく描写は人によっては「退屈」と感じられるのだろうし、長い『魔の山』登山を楽しんでいた私自身でも「一体何を読んでるんだ?」と混乱してくる場面もあったが、多感な青年の成長とは理路整然や首尾一貫よりは混

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    2024年01月19日
  • 魔の山 下

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    長期滞在が続くハンス・カストルプは、ショーシャ夫人との出来事のあとも、様々な出会いと別れを重ねていく。

    まぁ、本を手に取った時点でわかっている話(700ページ近い厚さ)ではあるが、下巻もとにかく長い(汗)。ストーリーそのものだけにしぼればもっと短くできそうなものだが、音楽(レコード)やオカルト(こっくりさん的な降霊術)などにハマる長々とした描写も含め、ダラダラと論争や語りが続くところに意味のある小説なんだと思う。

    上巻以上に重要な出会いと別れが続き、単調であるはずのサナトリウム生活には話題が尽きない。多様な登場人物との触れ合いがこの小説の魅力だ。病いと死に隣り合わせのため、面白おかしいとい

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    2023年08月07日
  • 魔の山 上

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    1924年刊。スイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった、青年ハンス・カストルプの精神の軌跡。

    20世紀三大小説家のひとり、との声もあるトーマス・マンの代表作。年配の某文学系YouTuberの方が、『魔の山』はトーマス・マンの中では亜流で『ブッデンブローク家』こそ正統派だ、とおっしゃっていて、なるほどそうなのか~と思いつつも、やはり有名なので先にこちらを選んだ。何よりも、「今読みたい」と直感が働き、これがドンピシャだった。

    というのは、本作で主人公の青年ハンスが、過去に想いを寄せていたプリビスラウとの関係を引き合いに出しながら、ロシアの婦人への恋心をひそやかにしつつ、あまりにも控

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    2023年07月11日
  • 魔の山(下)

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    最後に至るまで思弁的で、冗長で、密度が高く、読むのが辛かった。

    しかし、読み終わって思索してみると、ハンス・カストルプの凡俗さに人間存在の危うさが垣間見れる力作であった。

    女性の描かれ方が考えさせられる。観念、理性が男性に割り振られ、情緒、感情が女性に割り振られている。

    ショーシャが連れ戻ってきたピーター・ベーペルコンの存在感が印象的だった。

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    2023年07月09日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    ネタバレ

    コロナ騒動でカミュ「ペスト」を読み、さて次はと本棚から取り出した。
    「ペスト」よりもどちらかというと「ヴェニスに死す」や「ゾンビ」や「ノスフェラトゥ」など頽廃に惹かれるタチなのだ。
    そもそもヴィスコンティ「ヴェニスに死す」は生涯ベストに入る。
    (ちなみにヴィスコンティはカミュ「異邦人」も監督している。最近の読書をこっそり架橋していたのだ。さらにドストエフスキー「白夜」も入れて文豪映画化シリーズに入れておきたい)
    それで読んでみて。

    「ヴェニスに死す」
    びっくりするくらい原作に忠実な映像化だったのだ。
    というか小説を読むと映像が鮮烈に甦る。
    違うのはアシェンバハの職業くらいか。
    思うだに奇蹟の

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    2020年05月14日
  • 魔の山 下

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    この上下の大長編を読み終えて無言で本を閉じることはありえるだろうか。否、ありえない。私たちはニヒリズムという平行線から逃れ、ベルクホーフという山あいで生み出した綜合的な思想の萌芽を見逃さずにはいられない。退廃主義、退嬰的、ニヒリズム、ペシミズム、デカダンス、などありとあらゆる悲観主義を表す言葉は物語上では一定の水準に収まった一個人の叫びにすらならない悲壮の体現者の特徴にしかならず、どのような感受性も生まれない。それに対してトーマスマンはセテムブリーニの啓蒙主義とナフタの原初主義かつ神秘主義の思想がぶつかり合わせる弁償的論理でハンス・カストルプに新たな見地を植えつけた。その後ペーペルコルンの身に

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    2020年02月11日
  • 魔の山(下)

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    くっそムカつくしイライラする展開ばっかりなんだけど文学作品として最高峰のレベルに位置しているのはわかる。不条理をありありと描いた小説。

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    2018年11月06日
  • 魔の山(上)

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    ドイツの偉大な教養文学というだけあって教養になる物事が山程詰め込まれた本。人間を科学的な面での身体から、精神やら思想やら芸術について突き詰めてあってとても面白い…そして難しい。「文学とは常に“苦悩”について描かれている」という言葉が腑に落ちたし好き

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    2017年02月17日
  • 魔の山(下)

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    若い頃でないと読み切ることが難しい。
    それほど本書は読者に背景を理解するためのハードルを上げる。
    宗教家と教師との長い論争は最たるもの。読者もまたその理解を求められる。

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    2016年12月03日
  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    ネタバレ

    機会があって少し触れたところ、想像以上の面白さに一気にすべて読み切ってしまった。繰り返し読みたいと感じさせる作品で、今後愛読書になりそうである。
    「マーリオと魔術師」についてもその巧みな描写力に圧倒され、まるで自分もその場で催眠術にかかっているかのように空気にのまれながら、マーリオの登場と結末に向かうピンと張り詰めた空気に触れさせられたが、何よりも「トーニオ・クレーガー」が秀逸だった。言葉によるソナタと言う表現は的確で、完璧に構築された全体のなかでモチーフが美しく用いられ、心に迫った。貴重な作品である。
    この作品から我々が受け取るものは数多くあるだろうが、その中で「若きウェルテルの悩み」と通じ

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    2015年01月13日
  • 魔の山(下)

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    堪能しました。

    人文学者で合理主義者、ハンス・カストルプの師であるところのセテムブリーニの長々しい語りだけでも充分興味深かったのに、彼に強烈なライバルが現れる。
    イエズス会の会員であり、宗教のためならテロやむなしとするナフタ。

    この二人がそれぞれハンスを自分の陣営に引き込もうと語る語る。
    ふたりに挟まれた形のハンスは、お互いに極論ばかり言わないで、何とか妥協点を見つけることはできないのだろうかとこっそり思うくらい。

    現在の日本に生きる私は、やはりセテムブリーニの言い分の方が近しいと思える。
    人間の尊厳であるとか、文学が持つ力であるとか、注意深く政治を見つめることとか、経済の重要性とか。

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    2014年10月22日