トーマス・マンのレビュー一覧
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ネタバレ上巻に引き続き、サナトリウムで過ごすカストルプ
いつのまにか従兄弟よりも施設に馴染み、さまざまなことに興味を持ち楽しんで過ごす
従兄弟のヨーアヒムは、ここの生活、治らない自分に苛立ち、早く普通の生活に戻らなければとあせっていく
やがて、ヨーアヒムはついに医師の忠告を振り切り、軍隊に帰っていく
月日がたつにつれ、季節はうつり変わりにそして、カストルプは植物に興味をそそられ
瞑想にふけり、セテムブリーニやナフタの宗教や、思想に耳を傾け、サナトリウムに溶け込んでいく、怖いくらいに‥
もうこの世界から抜け出したくない
抜け出せなくなっていく
まさに魔の山
雪山で遊びながら遭難しかけたり、周りの人々との -
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ネタバレまさに魔の山
いろんな意味で!
一人の青年が就職の前に少し休養するつもりで訪れたサナトリウム
従兄弟が長い間療養していたため
ほんのお見舞いのつもりで‥
はじめは会う人それぞれの病状をまさに人ごととして捉え、同情し、自分とは違う世界のこととして馬鹿にしたような態度をとる
が、しかし
彼もまた同じように病んでいたのだ!
そしていろいろなものに影響されていく
死を間近に見て、人々やドクターとの関わりから
生命を、人体を学びはじめる
そしてそしてさらに恋も!
もう大丈夫?って思うほどの思いつめかたをして
支離滅裂になっていく姿は怖い
狭い世界の中で
心までも病んでしまいそうな日々
はたしてこの後 -
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セテムブリーニとナフタの論戦が所狭しと繰り広げられるが、肝心の登場人物たちの造形は、いささか記号的人物のように感じられて仕方がない。/
第一に主人公ハンスだが、ショーシャ夫人に心惹かれるが、彼女がいったん山を降りると、手紙のやり取りで恋情をつのらせることもなく、たちどころに夫人を忘却の彼方へと打ち捨ててしまったように見える。
また、『八甲田山』ばりの死の行軍に足を踏み入れるも、肺に浸潤を抱えているにもかかわらず、生還後に深刻な病状悪化があった様子など微塵もない。/
第二に従兄弟のヨーアヒムにしても、明るくて豊満なマルシャに惹かれるが、胸の内を告白するでもなく、ハンスに恋の悩みを打ち明けるで -
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厳めしい文学者、貴族の称号を持つグスタフ・アシェンバハはある日の散歩途中、突然旅への誘いに見舞われた。理性的な彼は芸術に倦んで、疲れたからだ。はたして、内面の旅でもあり、ヴェニスへ導かれる旅の始まりだった。
映画「ヴェニスに死す」を私は先に観た。よくわからなかった。
その後、ヴェニス、すなわちヴェネツアを訪れたことがある。まるまる2日間、街を、路地をさ迷いサン・マルコ広場でゆっくりとし、リド島にも渡った。
行ったと行かないではかくも認識がちがうものものなのか。当然だが文学「ヴェニスに死す」は描こうとしているころのものが、ヴェネツアの風物と深いかかわりを持っている。
行った人はわかるだろ -
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ネタバレ表題のとおり2作品を収録。
どちらの作品も共通しているのは、主人公は文芸家(詩人・作家)で、叶わぬ恋をしており、叶うところまでいかないところに美や陶酔を感じている。と、これだけ書くとなんだか進展がなさそうな感じがするが、実際進展がない。ストーリーとしてはあまりメリハリがないが、その一瞬一瞬の詩的表現が耽美的でどちらかといえばそこを楽しむ話だと思う。
進展のない話だが、ここで下手に主人公がアクションを起こして失敗して・・・なんて展開になると逆に野暮な気もする。
『ヴェニスに死す』では美少年をストーキングしたり、かなりアウトに近い行動もあるが、ギリシャ神話すらも持ち出して表現する己の恋心情の圧倒的 -
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祖母がこれは面白いからと熱烈に勧めて来たので、読んだ一冊。
何とか読んだものの、当時の私には難し過ぎて何だか良く理解できなかったというのが正直なところ。
「トニオ・クレーゲル」の方はほとんど記憶に残っていないです…
そして、「ヴェニスに死す」は何て暗い話なんだろうと^^;
ヴェニスは美しき水の都だと思ていたのですが、この本では臭く不吉な雰囲気の街として描かれていてちょっと驚いた記憶があります。
読後、祖母に良く分からなかったと言ったら、2回3回と読み返せば理解が深まると言われたのですが、気力がなくてまだ再読はしてません。
でも、いずれもう一度読みたい一冊であることは間違いないです。 -
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表題二篇が収録された本作。『ヴェニスに死す』が読みたくて手に取りました。
初老の芸術家アシェンバハは旅行先のヴェネツィアに滞在していたところ、同じホテルにポーランド人家族が居るのに気付く。その家族のなかに美少年タージオ(タジュ)を見つけ、一目で心を奪われてしまう。アシェンバハは遠目から海辺で姉たちと遊ぶ少年をじっくりと眺める時間が至福となり、次第に少年の後ろを付けたり、視界に入ることに喜びを感じるようになる。
アシェンバハの行動は傍から見れば変態的です。自分の子どもほどの年齢の少年に熱を上げ、自らを滅ぼす道へ突き進んでいきます。
ではアシェンバハにとって少年に出会ったことは破滅の始まりだった -
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古典は難しい。というのはその時代背景が分かっていないとキャラクターの性格や行動に共感しにくいことがあるからだ。主人公のハンス・カストルプはハンブルグ出身の無垢で「単純な」青年であり、その性向は当時の比較的裕福な階層の若者としては平凡なものなのだろう。物語は彼が「魔の山」と呼ばれるスイス高原ダヴォスのサナトリウムで療養中のいとこを尋ねると頃から始まる。そこで出会う患者たちとの関係を深めていくうちに、彼も(おそらく肺病に)罹患し、生活を共にすることになる。理性と道徳という視点から人間のあるべき姿を説くセテムプリーニとの対話ややせ細ったロシア人のショーシャ婦人への仄かな思いなどが延々と語られるのだが
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『トニオ・クレーゲル』
「普通の人」とはどんな人か、「普通でない人」はどんな人か、「才能のある人」と「才能のない人」はどちらに属するのか、そもそもすべては別のカテゴリとして別れているものなのか、そして自分はどこに当てはまるのか。
自分がどうあるべきか分からなくなり不安になったことのある人に読んでほしい一篇。
10代のうちに読んでいたらもっと精神的に成長できたかもなぁと感じた。
『ヴェニスに死す』
アシェンバハが「美」に呑み込まれていく様は底なし沼に足をとられた人のようだった。終盤の狂気っぷりは物語としてはとても面白かったけれど、人としてはさすがに気味が悪かった。
現代でいうならアイドルにハマ