平凡無垢な青年ハンス・カストルプははからずもスイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった。日常世界から隔離され、病気と死が支配するこの「魔の山」で、カストルプはそれぞれの時代精神や思想を体現する特異な人物たちに出会い、精神的成長を遂げてゆく。『ファウスト』と並んでドイツが世界に贈った人生の書。
Posted by ブクログ 2020年02月11日
この上下の大長編を読み終えて無言で本を閉じることはありえるだろうか。否、ありえない。私たちはニヒリズムという平行線から逃れ、ベルクホーフという山あいで生み出した綜合的な思想の萌芽を見逃さずにはいられない。退廃主義、退嬰的、ニヒリズム、ペシミズム、デカダンス、などありとあらゆる悲観主義を表す言葉は物語...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年09月06日
上巻からは想像できないくらいの死。ナフタが登場してセテムブリーニとの宗教論争、政治論争、平和論争が延々と続き、終盤のペーペルコルンの登場で突然円周率の計算についてのご託がはじまって、ひょっとしたらハンス・カストルプの将来の姿かと思わせる。初読のときラストが衝撃だった。物語としては「ブッデンブローク家...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年12月28日
本当に世界最高傑作とよんでいい大作。
ヨーアヒム•チームセン、ペーペルコルン氏、圧倒的な一人一人のキャラクター。
そのような一人一人と過ごす時間がずっと続いて欲しいと思うが、これまた圧倒的なフィナーレを迎えてしまう。
大学生諸君に読んでいただきたい。
そうして、十年ぐらいしたら、再読してみて...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月11日
サナトリウムという特殊な閉鎖された状況下で主人公が様々な経験を通じて肉体的・精神的に成長する様を描いた教養小説。
哲学的な内容から宗教、民主主義、失恋などテーマが盛り沢山で読み始めは難解なものかもしれません。難しいとお感じになられた方は「時」の流れに注目しながら読み進めることをお薦めします。何と言お...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
マンの超大作の下巻。中心的な登場人物はハンス・カストルプ、セテムブリーニ、レオ・ナフタ、ペーペルコルン氏。ハンス、ヨーアヒム、セテムブリーニ、マダム・ショーシャのあいだで保たれていた均衡が破れる。マダム・ショーシャの転院もさることながら、最大の原因はレオ・ナフタという反近代的――反セテムブリーニ的―...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
下巻ではハンスはすっかり魔の山に毒されている。
ペーペルコルン氏はあまり好きじゃない。むしろ、ペーペルコルン氏の「人物の大きさ」に惹かれ、でもセテムブリーニ氏を「愛すべき」というハンスが好印象。
終盤、サナトリウムがヒステリーに満ち、同時に平地でも戦争が始まる部分の雰囲気が、時代の空気を表しているよ...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年04月03日
下巻に入ると俄然興味深くなってきた。フリーメーソン会員であるセテムブリーニとイエズス会士のナフタによる論戦は20世紀初頭の時代精神を感じさせるし、そうした形而上学的議論を吹っ飛ばすペーペルコルン氏のわかり易い器の大きさとその退場の仕方は現代的だ。物語は「人間は善意と愛を失わないために、考えを死に従属...続きを読む
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