トーマス・マンのレビュー一覧
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とてもよかった。
まずは、表題作『トーニオ・クレーガー』から。
繊細で、感傷的で、扱いにくいこの感情を、何と呼ぼう。
しかしその危うい心を、柔らかに緩やかに収束させるラストに、ほっとさせられる。
「つまり、いまそこに座っているあなたはね、なんのことはない、要するに〈普通の人〉だってこと」
トー...続きを読むPosted by ブクログ -
サークルの後輩が卒論の題材にしてる(トニオクレーゲルの方)ということで読んでみました。
ただ外国の純文学は初めてだったので、特にヴェニスに死すの方はかなり読むのに苦労が。
ただ、これは…面白い!
正直作品全体の命題とかは全然把握しきれないんですが、示唆に富んだ言葉や表現の密度が桁違いで、凄まじく刺激...続きを読むPosted by ブクログ -
≪内容≫
『トニオ・クレーゲル』
孤立の苦悩と、それに耐えつつ芸術性をたよりに生を支えてゆく青年の物語。
『ヴェニスに死す』
水の都ヴェニスにて、至高の美少年に魅せられた芸術家の苦悩と恍惚を描いた作品。
≪感想≫
ヴィスコンティ監督の「ヴェニスに死す」がこの秋、ニュープリント上映されている。銀座テ...続きを読むPosted by ブクログ -
「トーニオ・クレーガー」、深く心に残る。
芸術と生について、
主人公が抱えている葛藤、美意識、憧れと卑下、渇望、迷い、
そういうものを取り込んで、向かう人生。
とてもパーソナルな、それでいて普遍的な、傑作。Posted by ブクログ -
言い忘れていました。この2篇に関しては、岩波文庫よりもこの新潮文庫の訳文のほうに、私は慣れているのでした。そして、岩波の「トニオ」に載せた「リザヴェータさん」はこっちのほうで、つまり岩波では「リザベタさん」でしたね。やっぱり、リザヴェータさんのほうがいいな。その1点だけでも、こちらを私の底本にしたい...続きを読むPosted by ブクログ
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『トニオ・クレーゲル』…これほどまでに全編一字一句余すところなく共鳴できる作品は、これから先二つと出会えないと思う。感受性が最も鋭敏な思春期の頃に出会えてよかった。今ままで読んだことのある中で恐らく最も好きな本。
『ヴェニスに死す』…当時の私には語彙があまりに難解すぎて途中で断念。別の訳者(名前失...続きを読むPosted by ブクログ