トーマス・マンのレビュー一覧

  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    『芸術』と『生活』の対立に悩む主人公を描いた青春小説。
     
     多感な青春時代に読んでいれば、あるいは何かの影響を受けたかもしれないけれど。
     三十路手前の今となってはすでに手遅れという感もあり。

     もっとも青春とは心の若さという説もある。
     思い悩むだけの情熱がまだ残っているかどうか、試してみるのも一興だろうか。

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    2013年01月06日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    薦められて読んでみた本。面白かったなあ。
    芸術か実生活か、直感か理性か…

    『魔の山』の時にも感じていたのだが、トーマス・マンの筆致は強くてシリアスでありながら、どこか諧謔的で、一寸とぼけたようなところがあると感じるんだよね。そこが好き。テレビ「ドラゴンボール」のナレーションみたいなところがありはしないか?
    満足です。
    そして、推薦者がコレを推す意義もひしひしと伝わってきました。

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    2013年01月04日
  • 魔の山(上)

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    時間とは何であるか?
    生命とは?有機体とは?
    人類、人種とは?病、死とは?
    愛とは???

    人文の総体みたいな本だな。面白い。そして長大!下巻が待ってる…

    シリアスがコメディで、コメディがシリアスっていうね、表裏一体。悲劇も遠くから見ると喜劇ってやつですか。
    話の舞台が舞台なだけに、ブラックユーモアもちらほら。痛快ですらある。

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    2012年11月26日
  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    表題作は、これこそ今の自分にぴったりだと思った作品。大学生の頃に読めてよかった。
    中島敦と同じような悩み方だと感じたが、これはドイツ人と日本人の気質が似ていると言われているのと何か関係があるのだろうか。

    「マーリオと魔術師」はやや古めかしい感じも受けたが、政治と文学についても考えさせられた。今の日本においても、読まれる価値はあると思う。

    内容もそうだが、挿絵も素敵で、手元に置いておきたい一冊です。

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    2012年11月17日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    ヴィスコンティの映画は大好きで、初原作。いつか読もうと思っていたもの。
    やっぱり原作秀逸。映画の映像美はいわずもがなだけど、こちらはこちらで面白いというもの。
    トーマスマンは初めて読んだけれどもこのねちっこくてどこまでも深い穴倉のなか。みたいな感覚すき。
    美に対する哲学というか思想?。この羨望の気持ち、よく分かる。
    激しい葛藤、世紀末のような大混沌。ひとから見れば恐ろしいほどに滑稽。

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    2012年11月14日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    二作カップリング本。
    どちらも芸術家の苦悩を描いているが、質が異なる。
    前者は若い作家が「文学とは、創造とは?」と思い悩むが、
    後者は分別のある大成した老作家が旅先でトラップに嵌まってしまう話。
    読み比べるのも楽しい。
    ところで、学生時代、サークル仲間に「貸して~」と請われて渡したこの本、
    とうとう返ってきませんでした。
    借りたものを返却しないまま音信を絶つってぇのは、どういう了見なのかね?
    で、後日、岩波文庫の『ヴェニスに死す』を改めて購入したのでした。

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    2012年09月24日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    ネタバレ

    ある芸術家の生き様の軌跡。
    肥大化し膨れ上がった自意識、彼の思想は、極限まで高められた内省に源泉を持つ。
    凡人と才能ある人々を区別することの意味。むしろ区別するという行為自体が極めて凡人的なのかもしれない。
    悩める俗人。


    「恋が人を豊かにし、生き生きとさせることを知っていたからだった。」

    彼が愛したのは、容姿端麗で、活発な青年とブロンドのお転婆娘。彼らは詩を軽蔑する。
    彼は叶わぬ恋に身を焦がす。そしてそれが彼の内的な自己否定であり、彼らに愛され承認されることによる自己肯定への欲求なのかもしれない。

    「なぜなら幸福とは、と彼は自分に言って聞かせた。愛されることではない。愛されるとは嫌悪を

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    2012年06月09日
  • 魔の山(上)

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    内容はとても面白い。ただ一度読破しただけでは少し理解に欠けるかもしれない。
    言い回しにセンスがあるなぁ とか思いながら読破。純文学好きなら一度は読んでおいても損のない本。

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    2012年05月26日
  • 魔の山 下

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    世界史にも出てくる名著。
    正直かなり長く、読むのがしんどかったが、途中から引き込まれていったことは否定できない。
    非現実的な「魔の山」と主人公の生活ぶりは、とても面白かった。
    最後の急展開には驚いたし、生きて帰ってきていたらいいなと思う。

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    2011年11月10日
  • 魔の山 上

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    ネタバレ

    上下巻合わせて1200ページ余りながら、不思議な物語と精神論・宗教論が混ざり合い、非常に難解な物語でした。
    読み進めることが、まさにタイトルのごとく「魔の山」を登ることのようでした。。。

    と冗談はさておき、
    本書は、主人公ハンス・カストルプの結核を中心に、病気という面から「生と死」の考察と、サナトリウムという療養所のある平地と隔離された街を「時間」の考察という、2つの大きな主題から成り立ちます。
    主人公のハンス・カストルプは、優柔不断というか、自己主張の少ない青年で、従兄弟のヨーアヒムを見舞うために、3週間の予定でサナトリウムを訪れます。しかし、サナトリウムで結核と診断され、長期療養を言い渡

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    2011年11月05日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    早朝に変なことつぶやいてたらツイッターのフォロワーさんにオススメ頂いたトニオ・クレーゲル。
    ちょっと難しい言葉があったけど、勧めてもらった理由は納得しました。まあ自分は迷える俗人というか迷えるクズですけど。自分とは何であろうか?とかマジョリティーに中々属しない人なんかは共感する部分がありそうな。

    ヴェニスに死す は美しい話だけど恐ろしいなやっぱり。苦悩の追求と陶酔の狭間の文学って感じ。映画版を昔これまた人に勧められて観ました。当時はおっさんドーシタみたいに思って凄い映画だとは思ったけど中身は理解できてませんでしたけど、今は少しはわかるような気がします。

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    2011年10月09日
  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    マンの短編小説、『トーニオ・クレーガー』と『マーリオと魔術師』を収録。トーニオの抱える矛盾は、いままさに青年である自分にも深く共感できるものだ。その意味で、この小説には単なる芸術家の本質の問題ではなく、あらゆる青年が抱える問題が汲み尽くされていると思う。そして後者は、一種の政治小説。ファシズムという問題を予見したこの小説は、現代でこそまた改めて読まれるべきだろう。

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    2011年03月29日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    難解。高校の時はヘッセなんかもたくさん読んだ。この、日本語訳に更に現代語訳がないと真に理解には到らない気もするけれど…それは多分、しない方がいい。

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    2011年02月24日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    作者の芸術家観が窺える。トニオ君の鬱屈した少年期は、現代のオタ・非コミュな人達には痛いほど分かるのでは。ハンスとインゲは「リア充」ってやつですね。


    「春は仕事がやりにくい。これは確かだ。ではなぜなんでしょう。感ずるからですよ。それから、創造する人間は感じてもいいなんて思い込んでいる奴は大ばか者だからですよ。」

    「あなたが言うべきことをひどく大切に考えていたり、そのことのために心臓をあんまりどきまぎさせたりすれば、まず完全な失敗は間違いない。悲壮になる、センチメンタルになる。それでどうなるかというと、何か鈍重な、不手際で大真面目な、隙間だらけの、鋭さを欠いた、薬味のはいっていない、退屈平

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    2010年10月22日
  • 魔の山 上

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    訳もわからず、政治談議などはすべて飛ばすという荒技で読みとおした。
    よく分からないがものすごい衝撃を受け、これこそ生涯の一冊だと心に決めてしまった。
    多分、この本の中に世界があると感じたんだと思う。「mondo libro」だ。
    勢いに乗って、ドイツ語版まで買ってしまった。
    しかし最初の一文を読んで、(私にとっては)入り組んだシンタックスに恐れ入ってしまい、それっきり読んでない。もうちょっと読まないと元が取れないなあ。

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    2009年12月12日
  • 魔の山 上

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    山頂のサナトリウムで、共に暮らす知人が次々に結核に倒れていく中で、議論し恋愛する現実離れした登場人物たち。
    衣食の心配なくこんなところで人生論ぶちかましているなんて、いいご身分とも思ってしまう。
    ハンス・カストルプがあっという間にスキーが上達したのに驚いた。雪の中の単独行のシーンは幻想的だった。
    ヨアヒムが亡くなったのも悲しかったけど、幽霊が出てきたシーンはもっとぐっときた。

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    2009年10月04日
  • 魔の山(上)

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    上下巻。
    ハンス・カストルプとは、真夏のマンションの屋上で邂逅した。うだる熱気に晒されながら魔の山を彷徨したものだった。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    難解。きっと何度読んでも読むたびに新しい訓が得られるに違いない。

    食堂、横臥療法中の音楽鑑賞、ショーシャ夫人の肖像画、は面白い。
    ヨアヒムの死は美しいし悲しい。
    手回しオルガン弾きと生臭坊主とは胡散臭い。
    ハンスは何故下山し戦地に赴き空しくあっけなく散ってしまうのか、その意味がまだ理解できない。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    山の上の世界と下の世界。
    平凡に育った若者が隔離状態にある山の上で急進的な政治思想や哲学、覆った道徳・宗教、性、友情、死、自然に触れある種の光明を見出すまでの話。青春小説でありながら完璧な教養小説。政治・哲学・宗教についてはやや難解。社会全般に係る普遍的主題を全て盛り込んだ長大な小説は「実際的なファウスト」といった印象。

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    2009年10月04日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    遠い昔、この本を原作にしたルキノ・ビィスコンテイ監督の映画を見ていて、いつか読みたいと思っていた。美少年ビョルン・アンデルセンがずっと印象に残っていた。改めて読んでみると、小説の少年とアンデルセンには全く違和感なく、彼だからこそ映画化が実現したのではないかと思う。なんて、映画中心の感想になってしまいました。

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    2025年12月09日