トーマス・マンのレビュー一覧

  • 魔の山 下

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    マンの超大作の下巻。中心的な登場人物はハンス・カストルプ、セテムブリーニ、レオ・ナフタ、ペーペルコルン氏。ハンス、ヨーアヒム、セテムブリーニ、マダム・ショーシャのあいだで保たれていた均衡が破れる。マダム・ショーシャの転院もさることながら、最大の原因はレオ・ナフタという反近代的――反セテムブリーニ的――な知性の登場である。ハンスは、セテムブリーニの人格には好意を抱き続けるがナフタの懐疑的で破壊的な知性に取り込まれかかる。しかし、そこでさらに登場するのが反知性的な権力者としてのペーペルコルン氏である。ハンスは、ペーペルコルン氏の登場によって知性への憧れを曇らされる。このような展開のなかでハンスの立

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    マンの超大作の前半部分。中心的な登場人物は、ハンス・カストルプ、ヨーアヒム・チームセン、セテムブリーニとマダム・ショーシャ。
    ヨアヒムの付き添いで結核療養所に入院したハンスの「成長」の物語。結核療養所という特異な空間において、セテムブリーニとショーシャとの関係がハンスに複雑な「成長」を遂げさせる。セテムブリーニはハンスを理性的に成長させる。だが同時に、ショーシャとの神秘的な関係を通じて、ハンスは理性的には解決できない自己のありかたに直面する。
    ハンスとマダム・ショーシャの神秘的な関係に心底魅了された。

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    2009年10月04日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    『トニオ・クレーゲル』…これほどまでに全編一字一句余すところなく共鳴できる作品は、これから先二つと出会えないと思う。感受性が最も鋭敏な思春期の頃に出会えてよかった。今ままで読んだことのある中で恐らく最も好きな本。
    『ヴェニスに死す』…当時の私には語彙があまりに難解すぎて途中で断念。別の訳者(名前失念)の訳で最近読み直したが読むペースが遅すぎて噛み締められなかったのでまた読みたい。

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    2012年01月03日
  • 魔の山(上)

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    思ってたよりガチガチの内容じゃなかったです。上巻は気軽に読めます。でも下巻はちょっとハードだったかな。脳みそが沸騰して何度か挫折しそうになりましたが、不思議と時々読み返したくなります(初めて読んだのは高校生の時。そして一度処分して、やっぱり読みたくなって買い直した)。スケールの大きい討論が繰り返されているのと、「死」が色濃く出ているので、小さなことで悩んでいる時に読むと効きます。でも、あのラストには納得がいかない…。あまりにもあっけなくて…いや、でも、あっけないから「こそ」ってことなのかな。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    カラマーゾフ読んでたら、無性に魔の山を詠み返したくなったのでのっけてみた。でも再読してないので、詳しいことがさっぱり言えない(笑)
    カラマーゾフ2巻読んでたら、コレは結局のところ人間群像が織り成すユーモア小説かいな?って感じがしてきて、ユーモア小説だったら、なんつっても魔の山だろー!!と思ったんで。カラはまだシリアスに話が展開するんだろうか?ってのが読めなくって、どうもその中に差し挟まれるキャラのお茶目ぶりの処理がよく分かってないんですけど、魔の山は全編渡って皮肉な笑いに満ち満ちてる。
    隔絶されたサナトリウムに集う特権的なイっちゃった人たちが、ひたすらなんの特にもならない世間になんの寄与もしな

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    下巻ではハンスはすっかり魔の山に毒されている。
    ペーペルコルン氏はあまり好きじゃない。むしろ、ペーペルコルン氏の「人物の大きさ」に惹かれ、でもセテムブリーニ氏を「愛すべき」というハンスが好印象。
    終盤、サナトリウムがヒステリーに満ち、同時に平地でも戦争が始まる部分の雰囲気が、時代の空気を表しているようだと思う。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    時々、こういう長い長い小説を読みたくなる。
    主人公ハンスが山上のサナトリウムに到着し、そこでの慣習を笑い、自分はそうならないと言いつつ少しずつ慣れ、染まっていく上巻。
    ハンスがショーシャ夫人のことをつい気になって見つめてしまう描写を、「不潔な関係」と表現する辺りが好き。不潔なプラトニックさってあるよね。

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    2009年10月04日
  • 魔の山(上)

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    中学の時、友人から誕生日プレゼントに頂きました。一言で語りつくすことが出来ません…。マンの作品は人物表現も秀逸だが、『ベニスに死す』にしろ情景描写とそこへの投影が素晴らしい。セテムブリーニやらに流されつつ一読しましたが、一冊の本として大きな模様が完成されていて一つ一つの文がこれほどまで完璧に精微に編込まれている作品はこれ以上には存在しないと思います。ただ読んでいると少し息が詰まります。マンなどのドイツ文学を読んでいるとフランス文学のエロティックな抜け落ち感が恋しくなりますよね…。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    生とは、死とは、愛とは、理性とは。思考の実験採択と病の誘惑に溺れ、魔の山の虜になったハンス・カストルプ。感心するほど“単純さ”を貫き通す彼の姿を、ユーモアとアイロニーをたっぷりこめた目線で描いたこの作品、素材の小難しさを超える文章の面白さが楽しめる。全二巻。

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    2021年09月22日
  • 魔の山 上

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    ハンス・カストロプみたいな境遇にあった当時過剰に感情移入して夢中で読んだ。隠遁に近い生活の中で彼は何を見、何を知ったか。全てが非人間的なまでに高速処理される社会において一見何の役に立ちそうも無いこういった経験を、多角的に見つめなおす事ができる稀有な書。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    療養生活を終えたハンスが向かったのは、戦場だった。
    あらゆる混沌を抱えたまま銃を片手に戦地をつきすすむ彼の後姿は、爆煙の彼方に消える。人的資産の浪費として、第一次世界大戦を痛烈に批判。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    ナフタ登場で上巻より愉快度は下がるが、それでもトランプで駄目人間状態(?)のカストルプ青年などミドコロは多い。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    30年ぶりの再読。
    ダボスのサナトリウムで思いがけず長い年月をを過ごすカストルプの物語。時間感覚の麻痺、そして停滞と思索の日々。セテムブリーニとナフタの思想的対立、ショーシャ夫人と微妙な関係、ヨーアヒムとの別れやペーペルコルンとの出会い、雪山での幻視—カストルプは様々な経験を「通過」していく。
    彼は成長も破滅もなく、ただ全てを受け身に取り入れていく。そこに現代的な人間の一つの在り方を感じる。
    前半のワルプルギスの夜までの物語的な流れと、後半のテーマごとの深掘りのゴツゴツ感。作品の成立過程を聞くとなるほどなと思う構造の違いも興味深い。
    最後、戦場で菩提樹を歌うカストルプ。ベルクホーフでの経験が彼

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    2026年02月15日
  • トーニオ・クレーガー

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     久々の岩波文庫。最近引っ越した家の近くに小さな小さな個人経営の書店があり、岩波文庫も揃えていたので、せっかくだからと薄くて読みやすそうなコイツを読んだ。浅はかな理由だけどしょうがない。
     解説で三島由紀夫らが影響を受けたと書かれているあたり、ひと昔前はかなり広く読まれていたのだろうか。芸術家とその対極としての一般市民、そのどちらにもなり切れない自分という、存在の置き場がない不安みたいなものを、芸術を愛する男の青春という切り口で描く物語。

     市民社会に疎外感を覚えてしまう少年時代、芸術家になりきれないもどかしさを覚える青年時代、そしてその悩みが昇華されてゆく終盤。そんな物語展開。とりわけ、終

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    2025年08月11日
  • トーニオ・クレーガー

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    主人公トーニオの、自己矛盾に起因する愛と孤独を理解するのが難しく、いま一歩踏み込んで読めなかった。
    ・トーニオはリザヴェータから「迷子になっている市民」と言われたように、市民的なものへの憧れ・愛を捨てきれず、一方では、「愛されるなんて、吐き気を催しながら虚栄心を満足させることだ」などと考え、自分を理解し、愛してくれるマクダレーナ(黒い瞳の少女)には見向きもしなかった。さらには、インゲボルグ(青い瞳の少女)には、好きと言ってほしいなどと思っていて、彼の孤独の複雑さがうかがえる。
    ・望むような愛情が返ってくることはないと知りつつ、彼は結局、市民への愛情を捨て切れなかった。それでも満足していた?「こ

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    2025年07月23日
  • トーニオ・クレーガー 他一篇

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    ネタバレ

     本作は、トーマス・マンの自伝的要素が一番強い作品で、カフカが何度も読み返したらしい。

     主人公トーニオが幸福な青春期を過ごしてから大人になり自分を取り戻す話。

     故郷に帰り、実家のあった場所に帰ったり、そこには思い出の胡桃の木があったりするけど、ホテルで詐欺師と疑われたりもする。

     でも、愛すべき平凡な人たちを再び発見したトーニオ。自分のことを芸術にハマって迷子になった普通の人、と女友達に言われて、故郷に旅に出たおかげだった。

     1章ラストと9章(終章)ラストがつながるソナタ形式で、私は感情がブワッと昂ぶりました。

    「これは価値ある、実りあるものだ。
     ここには、憧れと、憂鬱な羨望

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    2025年05月17日
  • 魔の山(下)

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    ネタバレ

    タイトルは小説の内容とはほぼ関係ないが、このサナトリウムの隔絶された世界で繰り広げられる人間絵巻は、読み応えがあった。多彩な人物との交流の中で、主人公のハンス・カストルプが大きく成長する過程が描かれる。色物関係はわれらがアイドル、ショーシャ婦人との交流は上巻ラストにかけて、素晴らしい筆致でクライマックスを迎え、ワルプルギスの夜という箇所でクライマックスを迎え、下巻での収まり方への繋がりも胸が高鳴った。下巻は論争の場や死の匂いも感じられ、世界文学として一気に高みへ引きあがる。もっともっと読書に充てる時間が必要と痛感した。時間切れだけど。

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    2025年05月13日
  • 魔の山(上)

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    ネタバレ

    ドイツ教養小説の雄。学生時代からいつかは読みたいと思って40年以上(笑)。岩波か新潮かは、実際に数ページ読み比べて、継続性から迷わずに新潮の決定。フランス語での会話でのカタカナ表記などやや違和感もあるが(岩波はどうだったか?)、基本読みやすい文章で、少しずつ読み進めて、長年の積読だった大きな山を登り終えた。(下巻へ)

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    2025年05月13日
  • 魔の山 下

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    一人の青年が街から遠く離れたサナトリュウムという特殊な社会で、色んな影響を精神的にも肉体的にも受けて成長していくが、結局戦争というごちゃ混ぜな渦の中に消えて行くという…

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    2025年04月17日
  • 魔の山 下

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    下巻では自分の従兄が死亡してしまう。そして交霊術が行われ従兄とであう。山を下りて軍隊に入り爆撃の場面に遭遇して歩き回るところでこの小説は終わる。
     会話以外の説明のところでトーマス・マンの思想が書かれているのであろうがはっきりとはわからない。

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    2024年05月30日