トーマス・マンのレビュー一覧

  • 魔の山 上
    有名な古典なので敷居が高いと思われがちだが、純粋にエンターテインメント小説として楽しめる。そこそこ長いが、肩肘はらずに読んでほしい。
  • 魔の山 下
    ナフタ登場で上巻より愉快度は下がるが、それでもトランプで駄目人間状態(?)のカストルプ青年などミドコロは多い。
  • 魔の山 上
    だいたい、ハンスの行動は最初から変だった。
    普通の健康な人間にとって、病や病者とは通常禍々しくて遠ざけるべきものであって、誰も病者の群れの中に三週間も身を置こうなどとは考えないだろう。
    そんなことを考えるのは、早すぎた父母の死(二人とも【彼の五歳ど七歳のあいだに死んだ】)から類推して、自らの体内にも...続きを読む
  • 魔の山(下)
    長い。とにかく長い小説である。
    作家というものは、とにかくいくらでも長い物語を物語れる稀有の人たちであるということを実感させられた。
  • 魔の山(下)
    いわゆる教養小説の代表作に位置し,明治の日本文学にも多大な影響を与えていることから,研究目的で読む分にはやりやすいだろう。
  • 魔の山(上)
    前々から気になってた作品。今年読んだ本で引用されたり考察されたりが続いたのでこれは読むタイミングだなと。主人公ハンスの人間的の成長や変化が、爽快でサクサク面白いというのとは全く逆の濃厚さというか重厚長大さというかで描かれていく。どうしたらこんなのが書けるのか。
  • トーニオ・クレーガー 他一篇
    構成がとても美しかった。些細な表現もリフレインされ、本当によく作り込まれている…。妥協がない作品。
    トーニオが社会とのあいだで自分自身を見つめ、壊し、再構築していく過程に、彼の真摯さと希望を感じた。
  • 魔の山(下)
    ゲーテのヴィルヘルムマイスターと並ぶドイツ教養小説の名著。1924年作。
    主人公ハンス・カストルプはスイス山奥のサナトリウムでの療養という非日常の世界で、出会い啓蒙喪失葛藤を通して成長していく。
    思想、政治、イデオロギー、宗教、哲学、文学、オペラ、自然科学、神秘体験等とにかく広範なリベラルアーツや当...続きを読む
  • 魔の山 下
    結局完全に理解できないまま読破してしまいました。けれども読み終わってから、心がゾワゾワするような感じがします。いつか再読したい作品です。
  • 魔の山(下)
     ついに読み終わりましたよ、上下巻1400ページの大作!

     若い時なんで読まなかった、いえ、読めなかったのでしょうね。大作ということならもっと長大編を読みましたものね。でも、とにかく夏の暑い盛りに(豪雨もありましたが)汗かいてよくこの歳で読めたと自分で感心してます。

     作家倉橋由美子さんは病気に...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    読み切った!やったあ!という気持ちが強い。

    どちらも芸術家を主人公とした話で、その精神性がフォーカスされている。自分を俯瞰する視線から絶対に逃れられないことについての嘆きはよくわかる。そういう人が芸術家なりえるということも。「ヴェニスに死す」はここから脱しようという老年の男の話である。芸術家という...続きを読む
  • 魔の山(上)
    舞台は第一次世界対戦前、スイスの山奥にあるサナトリウム。ヨーロッパ中から結核患者が集まって療養している。
    マンは講演で「私は一生を通じて一つの物語を語りつづけてきた市民的作家であって、市民性から脱却する過程を語りつづけてきた。」と言っており(河出書房版解説)、
    主人公「ハンス カストルプ君」は、「ド...続きを読む
  • 魔の山(下)
     上下巻の大長編なので読み通すのに精一杯、というのが正直な所だが教養小説を志向しただけに、様々な、そして趣の異なった魅力がふんだんに詰まった小説だった。
     第一としてはセテムブリーニ、そしてナフタとの議論、この部分が通読して一等面白かった。第二はシャーシャ夫人との恋の行方だろうか。第三にはマンの本作...続きを読む
  • 魔の山 上
    とにかく長い。退屈。特に何も起きないまま上巻が終わる。ちょこちょこ動きはあるのだけれど。サナトリウムでの様々な人々との交流を通した青年の成長物語、とでもいうのかしら。病気、死、宗教、戦争、いろんなテーマを登場人物を通してひたすら討論していく場面が続く。しんどい。下巻、盛り上がりを見せてきたところで終...続きを読む
  • 魔の山(上)
    ハンス・カストルプは、ダボスのサナトリウムで療養中のいとこを訪ねたが、滞在中に病に罹り、そこでの長期療養を余儀なくされる。療養生活の中でショーシャというロシア婦人に思いを寄せるようになり、謝肉祭の夜に告白する。しかし、それは彼女が翌日サナトリウムを発つという日であった。
  • 魔の山 下
    とてつもなく大作。
    様々な人が入り混じり
    通り過ぎ去っていく…
    そしてハンス青年は変わらず…

    彼の心はどこか空っぽだったのかもしれませんね。
    最終的には強制的に魔の山からは
    去らざるを得なくなり、
    必然的にこの物語は幕を閉じます。
    いつかはやってくるのですよ。
    自主性を持つ日が…

    結局のところセ...続きを読む
  • 魔の山 上
    これは読むのに苦労したなー…
    なぜならば終盤のハンス青年の
    ほのかな思いが成就するときに
    他の言語でしゃべっているのを表現するために
    カタカナ混じりの会話になってるのよ。

    平凡な位置青年であるハンスが
    いとこの療養に付き合いうために
    3週間の期限付きでサナトリウムに
    行くことになったけれども…

    ...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    大作「魔の山」の前に、トーマス・マンの雰囲気をつかもうと思って読んだ。「ヴェニスに死す」は別の訳で読んだので割愛。「トニオ・クレーゲル」は魔の山を読む前に読むには丁度いい小説だと思う。多少、観念的で暗中模索気味な読書になるが、読み通せば感じるものはある。傷口が拡がるような感覚じは読み通して良かったと...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    トーマス・マン。
    とにかく長大・重厚な作品を書いた大作家という印象だが、本書は比較的ボリュームの軽い、中編を2編収める。
    とはいえ、ここにも「過剰なる叙述の片鱗」と言ってもいいような、詳細かつ細部に分け入っていく、畳みかけるような描写がある。
    2編に共通しているのは、「決して混じりえぬものへの憧憬」...続きを読む
  • 魔の山(上)
    本当は岩波文庫で読もうと思っていたんですが、新潮文庫に日和ってしまいました。
    それでも、読むのは大変でした。
    なにせ長い!

    読む前は、なぜいとこが療養しているサナトリウムに3週間も見舞いとして滞在するのか、そこが疑問でした。
    だって、結核って伝染病でしょ?
    なんで見舞いに3週間?

    見舞いと言えば...続きを読む