トーマス・マンのレビュー一覧

  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    ドイツの作家トーマス・マンが1903年に発表した"トニオ・クレーゲル"と1912年に発表した"ヴェニスに死す"を収録。どちらも映画されており、特に"ヴェニスに死す"は有名な作品です。どちらも芸術家を主人公にした作品で、作中ではそれぞれが苦悩する姿が描かれます。"トニオ・クレーゲル"は、作者自身の自伝...続きを読む
  • 魔の山(上)
    時々思想部分が難しく読みづらいところもありますが、それでも不思議と話に吸い込まれて夢中になって読めました。
    下巻も楽しみ。
  • 魔の山 上
    上巻は3日、下巻は読み終えるのに1ヶ月半もかかってしまった。
    なんと切り口の多い作品。。
    まだ完全には消化しきれていない状態でこの文章を書いている。

    こういった間口の広い作品は、
    フィニッシュをどこに持ってくるかという問題があり、
    巻末の解説でも書かれているように、
    実は作者自身も明確にはそれを決...続きを読む
  • 魔の山 下
    下巻に入ると俄然興味深くなってきた。フリーメーソン会員であるセテムブリーニとイエズス会士のナフタによる論戦は20世紀初頭の時代精神を感じさせるし、そうした形而上学的議論を吹っ飛ばすペーペルコルン氏のわかり易い器の大きさとその退場の仕方は現代的だ。物語は「人間は善意と愛を失わないために、考えを死に従属...続きを読む
  • 魔の山(上)
    全2巻。ドイツ文学・教養小説の傑作。主人公のハンス・カストルプは、いとこを見舞う目的で訪れた結核療養施設で三週間の滞在を予定していたがいつの間にかそこが彼の安住の地となる。下の世界とは隔絶された施設での平穏な、しかし生と死が絡み合った濃密な生活の中で彼は時宜を得た教育者によって哲学的な思索を深化させ...続きを読む
  • トーニオ・クレーガー 他一篇
    『芸術』と『生活』の対立に悩む主人公を描いた青春小説。
     
     多感な青春時代に読んでいれば、あるいは何かの影響を受けたかもしれないけれど。
     三十路手前の今となってはすでに手遅れという感もあり。

     もっとも青春とは心の若さという説もある。
     思い悩むだけの情熱がまだ残っているかどうか、試してみるの...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    薦められて読んでみた本。面白かったなあ。
    芸術か実生活か、直感か理性か…

    『魔の山』の時にも感じていたのだが、トーマス・マンの筆致は強くてシリアスでありながら、どこか諧謔的で、一寸とぼけたようなところがあると感じるんだよね。そこが好き。テレビ「ドラゴンボール」のナレーションみたいなところがありはし...続きを読む
  • 魔の山(上)
    時間とは何であるか?
    生命とは?有機体とは?
    人類、人種とは?病、死とは?
    愛とは???

    人文の総体みたいな本だな。面白い。そして長大!下巻が待ってる…

    シリアスがコメディで、コメディがシリアスっていうね、表裏一体。悲劇も遠くから見ると喜劇ってやつですか。
    話の舞台が舞台なだけに、ブラックユーモ...続きを読む
  • トーニオ・クレーガー 他一篇
    表題作は、これこそ今の自分にぴったりだと思った作品。大学生の頃に読めてよかった。
    中島敦と同じような悩み方だと感じたが、これはドイツ人と日本人の気質が似ていると言われているのと何か関係があるのだろうか。

    「マーリオと魔術師」はやや古めかしい感じも受けたが、政治と文学についても考えさせられた。今の日...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    ヴィスコンティの映画は大好きで、初原作。いつか読もうと思っていたもの。
    やっぱり原作秀逸。映画の映像美はいわずもがなだけど、こちらはこちらで面白いというもの。
    トーマスマンは初めて読んだけれどもこのねちっこくてどこまでも深い穴倉のなか。みたいな感覚すき。
    美に対する哲学というか思想?。この羨望の気持...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    二作カップリング本。
    どちらも芸術家の苦悩を描いているが、質が異なる。
    前者は若い作家が「文学とは、創造とは?」と思い悩むが、
    後者は分別のある大成した老作家が旅先でトラップに嵌まってしまう話。
    読み比べるのも楽しい。
    ところで、学生時代、サークル仲間に「貸して~」と請われて渡したこの本、
    とうとう...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    ある芸術家の生き様の軌跡。
    肥大化し膨れ上がった自意識、彼の思想は、極限まで高められた内省に源泉を持つ。
    凡人と才能ある人々を区別することの意味。むしろ区別するという行為自体が極めて凡人的なのかもしれない。
    悩める俗人。


    「恋が人を豊かにし、生き生きとさせることを知っていたからだった。」

    彼が...続きを読む
  • 魔の山(上)
    内容はとても面白い。ただ一度読破しただけでは少し理解に欠けるかもしれない。
    言い回しにセンスがあるなぁ とか思いながら読破。純文学好きなら一度は読んでおいても損のない本。
  • 魔の山 下
    世界史にも出てくる名著。
    正直かなり長く、読むのがしんどかったが、途中から引き込まれていったことは否定できない。
    非現実的な「魔の山」と主人公の生活ぶりは、とても面白かった。
    最後の急展開には驚いたし、生きて帰ってきていたらいいなと思う。
  • 魔の山 上
    上下巻合わせて1200ページ余りながら、不思議な物語と精神論・宗教論が混ざり合い、非常に難解な物語でした。
    読み進めることが、まさにタイトルのごとく「魔の山」を登ることのようでした。。。

    と冗談はさておき、
    本書は、主人公ハンス・カストルプの結核を中心に、病気という面から「生と死」の考察と、サナト...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    早朝に変なことつぶやいてたらツイッターのフォロワーさんにオススメ頂いたトニオ・クレーゲル。
    ちょっと難しい言葉があったけど、勧めてもらった理由は納得しました。まあ自分は迷える俗人というか迷えるクズですけど。自分とは何であろうか?とかマジョリティーに中々属しない人なんかは共感する部分がありそうな。

    ...続きを読む
  • トーニオ・クレーガー 他一篇
    マンの短編小説、『トーニオ・クレーガー』と『マーリオと魔術師』を収録。トーニオの抱える矛盾は、いままさに青年である自分にも深く共感できるものだ。その意味で、この小説には単なる芸術家の本質の問題ではなく、あらゆる青年が抱える問題が汲み尽くされていると思う。そして後者は、一種の政治小説。ファシズムという...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    難解。高校の時はヘッセなんかもたくさん読んだ。この、日本語訳に更に現代語訳がないと真に理解には到らない気もするけれど…それは多分、しない方がいい。
  • トーニオ・クレーガー 他一篇
    何かを作ることで生活をしていたり、
    何かを生み出さずにはいられない性質を持っている人は
    必ずトーニオと同じ悩みを抱えるのではないかなぁと思います。
    そう言う意味で、少しだけ、生み出すことを仕事にしている私は
    主人公に非常に共感を思えました。

    一緒に収録してあった魔術師の話は気持ち悪かったなぁと思い...続きを読む
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
    作者の芸術家観が窺える。トニオ君の鬱屈した少年期は、現代のオタ・非コミュな人達には痛いほど分かるのでは。ハンスとインゲは「リア充」ってやつですね。


    「春は仕事がやりにくい。これは確かだ。ではなぜなんでしょう。感ずるからですよ。それから、創造する人間は感じてもいいなんて思い込んでいる奴は大ばか者...続きを読む