鴨長明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
養和ようわの飢饉(1181)。治承・寿永(じしょう・じゅえい)の乱(1180-1185)
死体の額に阿の文字を書く僧侶。阿は真実と求道心、吽は智慧と涅槃。
他人を頼りにすると、我が身は他人の所有物となる。他人をかわいがると、心は愛情のために使わされる。
庵(いおり)の西は見晴らしがよい。西方浄土に思いをはせる。
春は藤の花。紫の雲。
夏はほととぎすの声。冥土の山路の道案内。
秋はひぐらしの声。はかない現世の悲しみ。
冬は雪。積もり消えてゆく罪過。
朝、行き交う船を眺める。水上を船が通過したあとに残る波。桂の木に風が葉を鳴らす夕方。
松風の音に秋風楽(しゅうふうらく・雅楽)を重ねて合 -
Posted by ブクログ
ネタバレ無常観と人間味のいい感じの混じり具合。さいこ〜。
なんとなくフェルナンド・ペソアにも通じるところがあるなとも思った。
テンション爆上がり秘曲披露事件とか、長明個人のなんかユーモラスなところとかも愛らしいなと思った。
飢餓に見舞われた貴族の人がいまだそれとわかるいでたちで物乞いをしているというのも、そこまで触れられている感じではなかったけど、皮肉味があるというか、なんというか。
付録の『発心集』の一篇が思いのほかめちゃくちゃ面白かった。最後の最後で、予想を裏切る終わり方というか、おおー!そっちいく?!みたいになった。やるじゃん!!!と思った。ぜひ『発心集』の方も全篇読んでみたいな。 -
Posted by ブクログ
「日本3大随筆」にも数えられる、古典の名作中の名作。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という書き出しも非常に有名で、日本で義務教育を受けた人であれば誰もが1度は眼にしたことがあるはずだ。わたし自身もこの書き出しに引きずられて、読むまでは本作は徹頭徹尾無常観を綴っているのかと思っていたが、かならずしもそういうわけではなく、後半では今でいうブログのような感じで、タイトルにもなっている「方丈」における隠遁生活や、そこでの感情が率直に語られている。俗世から離れ仏道を極めるために出家したのに、かえって草庵に執着してしまい、それもまた仏道に背くことであるという記述は、なるほどと思いまた深
-
Posted by ブクログ
鴨長明の感覚に共感する。
たどり着いた行き方・考え方に、とても穏やかなものを感じる。
最後の結びの章の謙虚さ、自己を冷静に見つめる姿勢にも静かな誠実さを感じる。
文章もわかりやすく流麗で素晴らしい。
短いが、日本が誇る素晴らしい文学作品だ。
2017.3.12
久しぶりに読んだ。
非常に短くわかりやすい。
心の平穏、ささやかで穏やかな生活にたどり着いた長明は、それまでにずいぶん苦しみを味わったことだろう。
だからこそ、この境地に至ったのだろうね。
2002.1.4
とても読み易い。短いし、段ごとで完結しているような感じで、すっとなじめる。ものすごく悲観的だけれど。俗世間の良い面は一切 -
-
Posted by ブクログ
『方丈記』は誰もが知っている古典文学である。しかし「その内容は?」と聞かれたら、せいぜい「行く川の流れは絶えずして」という冒頭文と、「無常観」というキーワードを答えるくらいが関の山。あなたも私も何となく、世捨て人となった作者がみずからの達観した境地を綴ったものと、勝手に想像していないだろうか。だが、この無常観にはちゃんと理由があった。それが「災害」である。
作者はその生涯で天災・人災を含め、五つの災害を経験している。その中には東日本大震災にも匹敵する大地震があった。昨日まで当たり前のように存在していたものがあっけなく消えてしまう。人も街も永遠ではない。『方丈記』が活写した年代は、六年に渡る源平