鴨長明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この世の儚さと、そんな状況での幸せな生き方についての思いを親しみを込めて綴られる、800年前に書かれた歌人のエッセイ。短すぎる本編に驚く。
物に拘った生活に対し、最低限の衣食住環境で自然との触れ合いを喜びとして楽しく生きることの満足を語っていて、断捨離やミニマリスト、ノマド生活者の共感を得るのではないだろうか。
どんなに大きな屋敷を作っても自分が起住する場所はせいぜい5畳程度だし、災害で儚く消失することを思えば、簡単に移動できるよう身辺のものを厳選し、月や自然に親しむ、無料で得ることのできる趣味を持つ、といった物との決別。
不必要な労働で得た財産を守るために心身をすり減らすことをやめ、心穏やかで且つ豊かな人生に憧れを覚える。 -
Posted by ブクログ
今年開催する、読書会のテーマ本として選出しました。
何に一番驚いたかと言えば、その短さ。
私が関心を寄せている光文社古典新訳文庫で読むと、本文は50ページしかありません。
この読みやすさをもっとアピールすれば、読書家の入り口に立つ若者にもっと刺さりそうなものなのに。
今だったら、SNSを駆使したミニマリストアカウントからの発信に形を変えるに違いありません。
『京都でのごちゃごちゃしたエリートコースをやめて、田舎でミニマリストになったKAMOの生き様!』
といった風です。そのくらいカジュアルに読める作品でした。
あと、知らなかったことがあります。
事前知識では彼のミニマルなライフスタイルの描写に焦点が当てられていましたが、本文の半分ほどは、当時の災害について語られていたこと。
大火事や地震、竜巻といった当時のたくさんの命を奪った出来事に詳しく触れています。
なぜ彼が住まいや仕事を捨て、移動住居に独り住むことになったのか。彼が人生を通じて気付いた価値観、その一因を垣間見る事ができました。
追記
時代も場所も全く変わりますが、次のような本との繋がりを感じます。また読み返してみようかな。
セネカ 人生の短さについて
ソロー 森の生活
佐々木典士 ぼくたちに、もうモノは必要ない
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Posted by ブクログ
『方丈記』の概要は、水木しげる版のマンガで掴んだ。養老孟司の解説を読みたかった。その一点で本書を購入した。
結論から言えば、その解説から新たに学ぶことはなかった。養老孟司が『方丈記』を高く評価していることは知っていた。諸行無常を描いていることが、その理由であることも知っていた。
ただし、養老孟司の解説を読んで思うところがあったので、私個人の推理に過ぎないが、記しておく。
鴨長明は鎌倉時代を生きた人であるが、鎌倉時代というのは人々の生活に変化が起きた時代ではないのか。具体的には「都市化」が起きはじめた時代ではないかと思う。「都市化」と言っても現代のような都市ではないだろう。
しかし、都を中心にその周辺にまちが形成され、商人が生まれ、経済というものが成立し始めた時代ではないかと思う。
浅学ゆえ、この推理が正しいのかどうかは分からない。分からないが、そうだとすれば、「変わらないもの」が世間に現れた初期に、鋭敏な感性を持った鴨長明が著したのが『方丈記』ということになる。
さらに、そうだとすれば、鴨長明が「家」にこだわった理由もわかる気がする。「家」は変わりにくいものだからである。変わりにくいはずの「家」さえ変わっていく。鴨長明の一生でさえそうだった。だんだん小さい家になり、最後は一丈四方の庵で『方丈記』を書いた。
変わらないものが社会に現れ始めたときに、「万物は流転するのだ」、「諸行は無常なのだ」と記した。
ゆえに、『方丈記』がいまだに残っていると思えてならない。