あらすじ
災厄の数々、生のはかなさ……。人間と、人間が暮らす建物を一つの軸として綴られた、日本中世を代表する随筆。京都郊外の日野に作られた一丈四方の草庵で、何ものにも縛られない生活を見出した鴨長明の息遣いが聞こえる瑞々しい新訳! 和歌十首と、訳者のオリジナルエッセイ付き。
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Posted by ブクログ
さすがに原文を読んでもさっぱりわからないけど、このように訳を読んでみると、現代でも活かせることがたくさんあると思った。古典はあまり読まなけど、いいものだなと。
やどかりは小さな貝を好む。そのほうがよいと知っているのだ。それと方丈の庵を作った自分を重ねる。
「世間に近く住むことがどういうことか、どうなるか、すでに知っているから、もう何かを望むこともないし、あくせくすることもない。静かに暮らすことだけを考え、余計な心配のないことそのものを楽しんでいる」
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まず率直にエッセイとして面白い。鴨長明の無常感が、人と住まいを軸に展開されていき、素直に共感した。
その一方で、解説にも書いてあることだが、長明は現世を達観しているとは言い難い。仏道修行に身が入らず、芸能への情熱を残し、世間の目を気にする素振りもある。その揺れる長明の心は、現代を生きる私たちと何ら変わりのないものだ。だからこそ共感出来る。何度でも読み直したい一編である。
現代語訳と原文が共に収録されているため、私のような古典ビギナーにも親しみやすかった。次は原文を読んで、美しい和漢混淆文のリズムに浸りたいと思う。
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みんながこういう生活いいよねと思い
それを叶えるための行動をする
だが色んな問題がありなかなかうまく行かない
実は鴨長明も同じ問題に直面していて
方丈記を読んでいると
同じ志を持った者がすこし離れたところで
同じ悩みを持ちながらこの生活を目指している感じがして
孤独を忘れられる
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方丈記は、鴨長明の無常観を感じ、隠遁生活の中で作られた作品である。本文自体が短く、読みやすかった。その上で、世間の暮らしを忠実に記し、人間の何かに迫られながらする生活を嘆いているように感じた。例えば、死ぬ人と生まれる人、建物を壊しては作る人、人間関係を気にする人がいるが、どれも一定のものではない。移り変わってゆくのである。可変的なものによって保身を図り、欲を満たすのは愚かであると長明は言っている。
私は誰もがこの事実に気づいているのに、見て見ぬふりをしている様に思う。その事実を淡々と語っているので、読者は「方丈記」を読んでいるときだけでも、達観した気分に浸ることができる。少なくとも、心を動かすような煽情的な表現を使っていないところが良いポイントだ。
また、隠遁生活の中で男の子を通じ合う点を見出す点から、気楽な人となら、関わりを持ちたいと長明は考えていたのではないだろうか。
交友関係や住居、見栄、欲望などは、他人と関わり、影響されることで生まれる。これを回避するために、隠遁生活実行する長明には驚かれる。しかし、考え方としては、私にも似たような部分があって、昔も今も人間は変わらないことを痛感できる。
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方丈記が爺さんの散歩日記なんだと、新訳を読み始めて気が付きました。
今の時代では出来ない生活だけど、いつかは同じ様な生活してみたいと感じました。
いつかは鴨さんが歩いた道を辿ってみたいです。
二人目の心の師に出会いました。
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現代小説ばかり読みふけって、ふとこちらを読んでみたら、あれれ、面白い。
学生の頃は何にも感じてなかった冒頭の文にも感じずにはいられないくらい感情移入して読めました。
なんというか、800年前感じる無常感について現代っ子の私でも理解できる話ばかりでなんだか不思議な感じ。竜巻、京都にもあったんだー
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『ゆく河の流れは絶えずして、元の水にあらず。』
私が唯一覚えている冒頭。
昔から何となくこの一節が好きで、ふと思い出す。
今まで読んだことなかった方丈記を読んで、私が求めている生活はこれだ!て思える内容だった。
忙しい生活を送っていると、何も感じることなく「やっと今日が終わった。しんどかったな。」て終わることが多いけど、これを読んで毎日変わっていくから、1日を楽しく過ごしていける心の余裕も大事だなって思えた☺︎
Posted by ブクログ
Twitterで気になっていた光文社古典新薬文庫の方丈記。隠居したはずなのに未練たらたらやーんっていうのがツボって買ってしまった(笑)
方丈記、ちゃんと読んだことなかったんだけど、こういう話だったのか。
というか、鴨長明住宅好きだよね(笑)やたらこだわっている気がする。
なんやかんやで好きなことしてるのが一番やでって言われた気がする。気のせいかもしれんけど。自分のペースで人生楽しもうぜ、みたいな。
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無常観と人間味のいい感じの混じり具合。さいこ〜。
なんとなくフェルナンド・ペソアにも通じるところがあるなとも思った。
テンション爆上がり秘曲披露事件とか、長明個人のなんかユーモラスなところとかも愛らしいなと思った。
飢餓に見舞われた貴族の人がいまだそれとわかるいでたちで物乞いをしているというのも、そこまで触れられている感じではなかったけど、皮肉味があるというか、なんというか。
付録の『発心集』の一篇が思いのほかめちゃくちゃ面白かった。最後の最後で、予想を裏切る終わり方というか、おおー!そっちいく?!みたいになった。やるじゃん!!!と思った。ぜひ『発心集』の方も全篇読んでみたいな。
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とても美しい日本の文章。諸行無常の概念をを寂寥感と侘しさを交えながら水のように書いている。
流れる時の中、戻らない全てを引き戻そうとはせず、ただ見つめることは難しい。現代ならば尚更のこと。今に、心と、耳と目を澄ますこと。心がささくれてしまったらまた読もうと思う。
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「日本3大随筆」にも数えられる、古典の名作中の名作。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という書き出しも非常に有名で、日本で義務教育を受けた人であれば誰もが1度は眼にしたことがあるはずだ。わたし自身もこの書き出しに引きずられて、読むまでは本作は徹頭徹尾無常観を綴っているのかと思っていたが、かならずしもそういうわけではなく、後半では今でいうブログのような感じで、タイトルにもなっている「方丈」における隠遁生活や、そこでの感情が率直に語られている。俗世から離れ仏道を極めるために出家したのに、かえって草庵に執着してしまい、それもまた仏道に背くことであるという記述は、なるほどと思いまた深いと感じた。また、本作は「災害文学」としても知られており、著者がじっさいに見た竜巻や地震の様子がつぶさに描かれていて、なかなか興味深い。なかでも饑饉の様子は凄惨極まりなく、現在は世界各地からの観光客で溢れかえる京の街中に、牛馬が通れないほど屍体がゴロゴロと転がっていたという記述は、想像するだに恐ろしい。そのほか、急に遷都が決まったあとのバタバタとした様子など、当時の社会を知るうえでの貴重な史料となっており、その観点からも興味深く読むことができた。
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方丈記の
ゆく河の流れは絶えずして〜
の文章が好きで、手帳にも書いている。
有名なところのみ。
全部読んでみると方丈記って長いんだなという事を知った。
鴨長明は自然を愛して、自分の気の向くままに、一人だけの小さな草庵で暮していたようだ。
今からずっと昔の鎌倉時代の人でさえ、現代人と何ら変わりなく、お金持ちを見ると惨めな気持ちになったり、ボロを着ていると恥ずかしいと思う。
そんな気持ちになるくらいなら、町から離れて一人きりで暮らす。そうすれば天気や四季の移ろいや自分の食べるものなど、それだけに気を配っていれば良いと言う事になる。
自分はそんな生活は現実的にはできないけれど、心の中では鴨長明イズムを持って伸びやかにいきたいなと思った。
Posted by ブクログ
「行く川の流れは絶えずして~」有名な冒頭。約800年前に書かれたあれこれは現代にも当てはまることばかり。きっと800年後も同じことの繰り返しを人間はやっているはず。だとしたら今生きている私達がしていることってなんなんだろう?とか思いにふけってみたり。達観してるように見える作者が実は俗世を気にしてるという点もリアルっぽくて良い。読む側の年齢によってもこの古典の中身の受け取り方は変わってくるんだろうなと思いながら、しばらく寝かせて再読できればいいなと思う。
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1000年以上前の書物なのに現代にも通じる考えや共感出来ることばかり。冒頭の「ゆく河の流れは絶えずして」、この一文で社会を表しているのがすごい。そうだよね。誰もが羨む成功者も豪華な家々も、川を流れている水と同じで、ずっと留まることは出来ない。時間が経てば、豪邸は朽ち果て、どんなにイケメンやスーパースターでも歳をとって老けるし、病気にもなって、次第にみんなから忘れられ、最後は一人で呆気なく死ぬ。この世の全てのものは栄枯盛衰である。大災害が起きれば、建物も人も全て一瞬で無くなってしまう。だったら家とか物に拘泥するのはバカバカしくないか?そんな、良くよく考えてみれば、当たり前だけど、大切で忘れがちなことを方丈記から教えられた気がした。
このことを心に持っておけば、人生につまづいた時に物事いつまでもうまくいくとは限らない、いつかは廃れるものだからな、と思えて楽になりそう。悟りを開いたような感じ。こんな風に生きて、気楽に生きれたらなあ。人生に辛くなった時は、方丈記を読み返したい。
発心集の「貧男、差図を好む」も面白かった。
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ピアノと本と聖書だけで、他のものを一切持たず、山の中に籠る生活、すごく精神的にいいというのはわからなくもないけど、今の自分にとっては、あまり現実的じゃない。
設計図を描くちょっと変わった男の話も面白かった。鴨さんからすれば、つまらない妄想なんてせずに、天国の宮殿を望むような生き方をした方がよっぽどいいらしい。
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この世の儚さと、そんな状況での幸せな生き方についての思いを親しみを込めて綴られる、800年前に書かれた歌人のエッセイ。短すぎる本編に驚く。
物に拘った生活に対し、最低限の衣食住環境で自然との触れ合いを喜びとして楽しく生きることの満足を語っていて、断捨離やミニマリスト、ノマド生活者の共感を得るのではないだろうか。
どんなに大きな屋敷を作っても自分が起住する場所はせいぜい5畳程度だし、災害で儚く消失することを思えば、簡単に移動できるよう身辺のものを厳選し、月や自然に親しむ、無料で得ることのできる趣味を持つ、といった物との決別。
不必要な労働で得た財産を守るために心身をすり減らすことをやめ、心穏やかで且つ豊かな人生に憧れを覚える。
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今年開催する、読書会のテーマ本として選出しました。
何に一番驚いたかと言えば、その短さ。
私が関心を寄せている光文社古典新訳文庫で読むと、本文は50ページしかありません。
この読みやすさをもっとアピールすれば、読書家の入り口に立つ若者にもっと刺さりそうなものなのに。
今だったら、SNSを駆使したミニマリストアカウントからの発信に形を変えるに違いありません。
『京都でのごちゃごちゃしたエリートコースをやめて、田舎でミニマリストになったKAMOの生き様!』
といった風です。そのくらいカジュアルに読める作品でした。
あと、知らなかったことがあります。
事前知識では彼のミニマルなライフスタイルの描写に焦点が当てられていましたが、本文の半分ほどは、当時の災害について語られていたこと。
大火事や地震、竜巻といった当時のたくさんの命を奪った出来事に詳しく触れています。
なぜ彼が住まいや仕事を捨て、移動住居に独り住むことになったのか。彼が人生を通じて気付いた価値観、その一因を垣間見る事ができました。
追記
時代も場所も全く変わりますが、次のような本との繋がりを感じます。また読み返してみようかな。
セネカ 人生の短さについて
ソロー 森の生活
佐々木典士 ぼくたちに、もうモノは必要ない
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三大随筆の一つ『方丈記』。読むまで知らなかったのだが、全体の分量がとても少なく、400字の原稿用紙20枚程度の文章しかないのはあまり知られていないのではないだろうか。
前半は五大災厄について、後半は方丈の庵について記されている。どちらも精緻な描写で読む者の前に現れてくる。
人生の節目に読むと見えてくるものが変わるのが古典なので、また、時間を空けて読み直したい。
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ミニマリストの思想。最初の1行が名文。住居について強いこだわりを持っているので、何かトラウマがあったのかとも思う。不遇の身にあっても誇り高く生きようとの気位を感じる。
1、ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。→全ては変化する。
2、家屋にいくらお金をかけても、天災(火事、竜巻、飢饉、地震 )、人災(遷都)により状況はいつでも変わる。身一つの方が災いなく、煩わしくない。
3、落ちぶれ、3メートル四方=方丈 の庵に暮らそうとも心は安らかなのでハッピーだ。大事なのは心の持ち方なのだ。
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どんな栄華を誇ろうとも心が貧しくては満足することはない。大事なことに気付いて、平凡と安らぎに満ちた生活を送る鴨長明が、とても身近に思えました。昔の方も同じようなことを考えているとわかると励まされます。
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こんなにも鴨長明に親しみを覚える日が来るとは思わなかった。
悠々自適の生活、移りゆく自然を愛で和歌と琵琶を嗜む穏やかな日々。それなのに俗世への想いを捨てきれない鴨長明の葛藤、生きる上での苦悩…。作者の息遣いと共に、学校の授業では分からなかった『方丈記』の魅力を知ることが出来た、記念すべき一冊。
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私には素直で行き届いた現代語訳に感じられ、解説を含め本全体として伝わって来るものがありました。深刻な自然災害が急増する中で、以前より身近になったのかもしれません。個人的には、幼い少年と友だちになるようなタイプだったんだ、というところが一番ぐっときました。
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大火や飢饉、大地震が立て続けに起こり、物に執着しても仕方が無いと痛感し、簡易な方丈の庵で暮らす。出家して山に暮らしながらも、短歌や楽器は断ち切れず、人間味がある。
ストレスからは逃げれば良い、簡易な庵と趣味さえあればどこででも生きていけると。
肩の力が抜けて、そんな暮らしも良いかもしれない。
Posted by ブクログ
【読もうと思った理由】
個人的に好きでよく見ている養老孟司氏が、自身のYouTubeチャンネルで語っていた。「僕が日本の古典で一番好きなのは、方丈記である。なぜなら方丈記の中には、人生で直面する災厄が全て語られている。また現代人が忘れかけている、花鳥風月の大切さにも気づかせてくれる」と仰っていた。
日本三大随筆にの一つにも数えられている「方丈記」を恥ずかしながら最後まで読んだことが無かったため、この機会に読もうと思った。
【鴨長明とは?】
下鴨神社の禰宜(ねぎ)・鴨長継の子として生まれる。歌人として活躍し、後鳥羽院による和歌所設置に伴い、寄人(よりうど)に選ばれる。琵琶の名手でもあった。1204年(50歳)、和歌所から出奔し出家遁世する(法名は蓮胤)。『新古今和歌集』に10首入集。歌論書に『無名抄』、説話集に『発心集』がある。方丈記の成立は58歳ごろと考えられる。
・禰宜とは…神職の職称(職名)の一つである。「祢宜」とも書く。今日では、一般神社では宮司の下位、権禰宜の上位に置かれ、宮司を補佐する者の職称となっている。
・寄人とは…「和歌所(わかどころ)」の職員。和歌の選定に当たる。
【あらすじ、概略】
鎌倉時代前期の1212年に鴨長明によって書かれた随筆。『枕草子』『徒然草』と並んで三台随筆のひとつと言われている。前半は鴨長明が体験したさまざまな天変地異を記している。冒頭で「人の世は水の泡のようにはかなく変化してやまない」としてあるが、当時は安元の大火、治承の辻風(竜巻)、治承の遷都、養和の飢饉、元暦の地震が連続して起こっており、これらを具体例としてあげている。後半は、世の無常を痛感した鴨長明は、出家し、日野山に「方丈の庵(約3メートル四方)」を建て、そこで残された生涯を送ることを決意する。心をわずらわすこともない静かな生活。しかし、それに徹しきれない自己を発見することになる。
【感想及び気づき】
本書の前半部分で語られている五大災厄とは、1177年(安元三年)の大火、
1180年(治承四年)の竜巻、
同年の福原(現在の神戸市)遷都、
1181年(養和元年)から
1182年(寿永元年)へと続いた飢饉と疫病、
1185年(元暦二年)の大地震である。
こうして西暦年で見ると、10年以内の間に5大災厄全てが起こっている。
現代のここ20〜30年ぐらいとよく似ている。
1995年…阪神・淡路大震災。
2001年…アメリカで同時多発テロ。
2011年…東日本大震災。
2020年…コロナショック。
2022年…ロシアのウクライナ侵攻。
現在も、方丈記が書かれた800年前も、自分一人の力などでは、到底敵わない事ばかりが身の回りに起こっているのがよく分かる。
鴨長明が若い時に体験した災厄、つまり大火、竜巻、遷都、飢饉、地震、それぞれについての記述には、人の住居がいかに脆く、儚いものであるかがさまざまな描写を通して語られている。特にひどかったのが養和元年から2年に渡って続いた飢饉→疫病まで流行したときには、2ヶ月の餓死者を調べたところ43,200名程だったという。
いつ無くなってしまうか分からない住居に、長明はお金や時間は掛けなくなっていく。最終的に行き着いた住居(方丈の庵)について、一辺が一丈(約3m)の四角形の空間しかない。現在で言うところの、段ボールハウスということも言えると思う。そう、究極のミニマリストだ。タイトルにもなっている方丈記とは、自身の住居のことを指している。
また養老孟司氏が大切にするべきと言っていた、花鳥風月についての記述はこう書いてある。
「もし夜静かなら、窓の月を眺めてすでに亡くなった昔の友を思い出し、あたりに響く猿の声を聞いて涙する。そして、草むらの蛍を、遠くの槇の島の篝火と見間違えたり、明け方の雨の音が、木の葉に吹く風だと思ったりもする。山鳥がほろほろと鳴くのを聞いて、あれは父が母かと思ったり、峰の鹿が慣れて近寄ってくることなどもあって、いかに世間から離れた暮らしかを知る。梟の声がすればしみじみと聞き入り、山中の風光をそのときどきで味わう。」とある。
養老氏が度々自然や花鳥風月を、普段の生活の中で感じるようにと言われてから、公園で鳥の囀りを聴くと、かなり心が落ち着いていることに気づけたのは、今回の読書から得た、良い気づきだった。
「世間から遠ざかって山林に分け入る暮らしを選んだのは、仏教修行のためだった」と書かれている。なのに「都に出かけることがあって、そんな時は自分が落ちぶれたと恥じたりしてしまうこともある」と。
迷いがあるところや、葛藤しているところを隠さず、人間臭さを出しているところが、この本が800年も読み続けられている一番の理由だと感じた。
Posted by ブクログ
鴨長明の時代も見栄だの映えだのあって、でもそんなもんいつか無くなるんだよって。貴族だって立派な家が燃えたら無一文。マウンティングレースから降りたんだけど、ちょっと未練がある。昔から人間って変わらないのだ。
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
著者の隠居生活のエッセイ本
2.よかった点を3~5つ
・読経に気持ちが向かないときは、思いのままに休み、なまける。(p39)
→そんな生活してみたい。
・世界というものは、心の持ち方一つで変わる。(p48)
→このような生活に慣れれば満足なんだと思う。
・もし、気に入らないことがあったら、簡単によそへ引っ越せるようにという考えから、そのようにしている。(p37)
→そんな生活してみたい。
・自然災害の描写は具体的でわかりやすかった。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・なぜ世間から離れた場所にこじんまりと住んでいたのか?世間に対する憎しみのような物があったのではないか?
・このような生活自体に迷いがあったのでは?
3.実践してみようとおもうこと
・
5.全体の感想・その他
・最初の感想は達観した人生だと思ったが、訳者エッセイ、解説を読むと、なぜ方丈記を書こうとしたのか疑問に思うようになった。
本当に達観したのなら、わざわざ方丈記を書き残す必要は無い。
・人生、社会に対する絶望感のようなものを感じる。