ダン・シモンズのレビュー一覧
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ネタバレ続きが楽しみ。
内包する世界観の広がりと厚みがすごい。入れ子構造になっていて、色々な人の視点でハイペリオンの世界が語られるにつれ、ハイペリオンの世界の姿が徐々に明らかになっていく構成になっていて、ついつい引き込まれてしまう。
それぞれのストーリーもホラー的だったり、恋愛だったり、詩的だったりとテイストが変わるので全く飽きない。退廃的な世界観も好み。ハードなSFよりも、ジーン・ウルフのような幻想ファンタジー系SF(?)が好きな人には特におすすめ。
何度もジョン・キーツ(John Keats)の名が出てくるので、興味が湧いた。彼の生涯がジェーン・カンピオン監督、しかもベン・ウィショー主演で映画化されているようなので是非観てみたい。 -
Posted by ブクログ
「面白い小説」にはそれなりの頻度で出会うのですが、「読んで良かった小説」については、これまで数える位にしかめぐり合ったことがございません。そして、そんな小説は「読みはじめたら止まらない」性質を兼ね備えているものです。
400字詰め原稿用紙にして7000枚。全8巻約4500頁におよぶ大叙述詩《ハイペリオン・シリーズ》は、「ハイペリオン」、「ハイペリオンの没落」、「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」の全4部で構成されます。
前半のハイペリオン2部作が濃密な設定と緻密な構成で楽しませてくれる一方で、後半のエンディミオン2部作は前半で残された謎を回収しつつ、情熱と愛嬌に満ち満ちた冒険譚です。とりわけ後半2部作には、終始釘付け状態。理由は簡単。こういったハートフルな王道物語が好みのど真ん中だからです。
この1ヶ月間、一刻も早く先を知りたい衝動と一節一々を噛み砕いて読みたい欲望とのジレンマの中で(結局は前者に譲りましたが)、読み進めた甲斐がありました。作中のいくつもの場面で、感動と驚きを覚えましたが、本書の後半からは、ずっと涙を浮かべながら読む始末。天衣無縫の結末に至っては(そして下巻表紙の真意を理解したときは)、ここまで7人の巡礼者とアイネイアー、そしてロールと苦難を共感した読者への最大のご褒美でしょう。
実は、このラストシーンは随分前から感づいていました。だからといって、それが陳腐になる訳ではありませんし、作中の言葉を拝借するならば、ロールは「あわれなのろまなロール・エンディミオン。なにかを知るのは、いつでもいちばん最後と決まっている」のです。
振り返ると、この《ハイペリオン・シリーズ》は、総じてキャラクターに魅力がありますね。前半2部作では、連邦の領事やマイナ・グラッドストーン、フィドマーン・カッサード大佐にマーティン・サイリーナス、そしてシュライク…等々。でも、やっぱり後半2部作のロールとアイネイアーでしょう。彼らの冒険に喜怒哀楽を委ねることが、実のところ、ここまでの感動を呼び起こしたのですから。
一方で、明らかにならなかった点や読んでいて辻褄が合わなかった点もちらほら。辻褄が合わない点は、まあ些細な事だと目を瞑りますが、領事と宇宙船の顛末だけは詳しく解説して欲しかったです。
さて、そんな読みはじめたら止まらない《ハイペリオン・シリーズ》を、時を経た後にあらためて読み直してみよう。新たな発見と感動が待ち構えていることだから。 -
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物語は終わりません。
本書は、続く「ハイペリオンの没落」、さらには「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」と全4部に連なる大叙述詩の幕開の巻です。従って、1000ページにおよぶ頁をめくっても返ってくる答えはありません。物語は謎ばかりを残して、終わらないのです。
…が、それでもこの興奮は暫く抑えられそうにありません。読んでいる途中から、続編を買いに走りましたよ。直ぐに続きを読めるようにと。
舞台は、辺境の惑星「ハイペリオン」。殺戮者シュライクを封じ込めた<時間の墓標>が開き始め、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへの侵攻を開始。そして宇宙連邦は、<時間の墓標>へ7人の巡礼者を派遣する。<時間の墓標>に赴く途上で開陳される巡礼者の数奇な運命は、宇宙世界の骨格を形成し、宇宙連邦やアウスターに幾つかの説明を加え、そしてハイペリオンを廻る数々の謎を残す。物語が紡がれたとき、巡礼者ら一行は、<時間の墓標>に到達するが…
巡礼者の各々の語りが、いわゆる群像劇となって物語は進んでいきます。司教の物語終盤に感じる不条理、戦士の物語における手に汗握る脈動感、学者の物語の涙隠せぬ喪失感など、幅広い展開に多才だなぁと思うところ、しばしば。このあたりは、訳者あとがきで存分に述べられていますが、とにかく色んなネタをこれでもかと言わんばかりに詰め込んでいるみたいですね。いわゆるオマージュ的な描写もチラホラ。探偵の物語に登場する「ギブスン」は、やっぱりそうなんだろう。
多才なだけでなく、物語に惹きつける筆力は、最近読んだ小説のなかでも随一でした。真実の片鱗が見え隠れしつつも、肝心なところが良く解らないところも、続きを読ませる仕掛けでしょうか。まんまと掛かっています。
個人的に大長編ってのは、飽きを感じさせて、苦手な方なのですが、久方ぶりにそれを感じさせない、パワー溢れる作品に出会えました。
さて、続きを読もう。 -
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「エンディミオン」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
SF叙事詩。赤銅色。
ハイペリオンシリーズ第3作。
前2作から300年余を経過した人類社会。
<ウェブ>の崩壊と共に自由社会が放棄され、往時の没落から一転、キリスト教会パクスが人類を統べている。
かつての最後の巡礼たちの物語は、禁書『詩篇』として読み継がれ、旧<ウェブ>の諸惑星は恒星間距離を隔てて生き延びていた。
シリーズ後半戦は、3人(と1人)の冒険譚として幕を開けます。
新たな世界の萌芽となる少女;アイネイアー、床屋で髪を切るヒーロー;ロール・エンディミオン、素晴らしき友人;アンドロイド・ベティック、小憎らしい独立A.I.;「宇宙船」。これを追うのがパクスの鉄の意志;フェデリコ・デ・ソヤ神父大佐。
もう、これだけでいかにもワクワクしてくる痛快無比のSFアドベンチャーの予感ですが、さらに前2作で明らかになった秘密を下敷きに敷き広げられる謎、惑星世界、宇宙の行く末が、ページを繰る手を止まらせません。
『ハイペリオン』の6つの巡礼の物語が多ジャンルにわたる映画を見ているようなものだったとしたら、『エンディミオン』の惑星巡りの物語は古今東西のSFを選りすぐって読んでいるようなもの。
そして要所に織り込まれる不穏な伏線…。
『エンディミオンの覚醒』の怒濤のエンディングまで一気読みです。
再読。(5) -
Posted by ブクログ
「ハイペリオンの没落」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
SF叙事詩。水晶色。
1991年ローカス賞。
ハイペリオン4部作の第2作。
前作「ハイペリオン」で広げられた謎、謎、謎が解き明かされていきます。
全〈ウェブ〉を飛び回って展開する物語。ミクロからマクロにまで至る設定の緻密さによって、描かれるシーンのひとつひとつが贅沢すぎる!!
シュライクとは何なのか…を芯にして、〈ウェブ〉の趨勢、〈コア〉の思惑、アウスターの実体、そして時間を跳び越えて語られる「この宇宙」の可能性。
そして、読者の神の視点までも物語に織り込んでしまうダイナミックさ。ひたひたに没入してしまいます。
「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」の2部作で、まずはひとつの終焉を迎えます。
しかし後半2部作では、素敵な冒険譚「エンディミオン」、感動と希望のエンディング「エンディミオンの覚醒」が待っているのです!
読み進むべし。(5)