ダン・シモンズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語は終わりません。
本書は、続く「ハイペリオンの没落」、さらには「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」と全4部に連なる大叙述詩の幕開の巻です。従って、1000ページにおよぶ頁をめくっても返ってくる答えはありません。物語は謎ばかりを残して、終わらないのです。
…が、それでもこの興奮は暫く抑えられそうにありません。読んでいる途中から、続編を買いに走りましたよ。直ぐに続きを読めるようにと。
舞台は、辺境の惑星「ハイペリオン」。殺戮者シュライクを封じ込めた<時間の墓標>が開き始め、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへの侵攻を開始。そして宇宙連邦は、<時間の墓標>へ7人の巡礼者を派遣する。<時間の墓標>に赴く途上で開陳される巡礼者の数奇な運命は、宇宙世界の骨格を形成し、宇宙連邦やアウスターに幾つかの説明を加え、そしてハイペリオンを廻る数々の謎を残す。物語が紡がれたとき、巡礼者ら一行は、<時間の墓標>に到達するが…
巡礼者の各々の語りが、いわゆる群像劇となって物語は進んでいきます。司教の物語終盤に感じる不条理、戦士の物語における手に汗握る脈動感、学者の物語の涙隠せぬ喪失感など、幅広い展開に多才だなぁと思うところ、しばしば。このあたりは、訳者あとがきで存分に述べられていますが、とにかく色んなネタをこれでもかと言わんばかりに詰め込んでいるみたいですね。いわゆるオマージュ的な描写もチラホラ。探偵の物語に登場する「ギブスン」は、やっぱりそうなんだろう。
多才なだけでなく、物語に惹きつける筆力は、最近読んだ小説のなかでも随一でした。真実の片鱗が見え隠れしつつも、肝心なところが良く解らないところも、続きを読ませる仕掛けでしょうか。まんまと掛かっています。
個人的に大長編ってのは、飽きを感じさせて、苦手な方なのですが、久方ぶりにそれを感じさせない、パワー溢れる作品に出会えました。
さて、続きを読もう。 -
Posted by ブクログ
「エンディミオン」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
SF叙事詩。赤銅色。
ハイペリオンシリーズ第3作。
前2作から300年余を経過した人類社会。
<ウェブ>の崩壊と共に自由社会が放棄され、往時の没落から一転、キリスト教会パクスが人類を統べている。
かつての最後の巡礼たちの物語は、禁書『詩篇』として読み継がれ、旧<ウェブ>の諸惑星は恒星間距離を隔てて生き延びていた。
シリーズ後半戦は、3人(と1人)の冒険譚として幕を開けます。
新たな世界の萌芽となる少女;アイネイアー、床屋で髪を切るヒーロー;ロール・エンディミオン、素晴らしき友人;アンドロイド・ベティック、小憎らしい独立A.I.;「宇宙船」。これを追うのがパクスの鉄の意志;フェデリコ・デ・ソヤ神父大佐。
もう、これだけでいかにもワクワクしてくる痛快無比のSFアドベンチャーの予感ですが、さらに前2作で明らかになった秘密を下敷きに敷き広げられる謎、惑星世界、宇宙の行く末が、ページを繰る手を止まらせません。
『ハイペリオン』の6つの巡礼の物語が多ジャンルにわたる映画を見ているようなものだったとしたら、『エンディミオン』の惑星巡りの物語は古今東西のSFを選りすぐって読んでいるようなもの。
そして要所に織り込まれる不穏な伏線…。
『エンディミオンの覚醒』の怒濤のエンディングまで一気読みです。
再読。(5) -
Posted by ブクログ
「ハイペリオンの没落」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
SF叙事詩。水晶色。
1991年ローカス賞。
ハイペリオン4部作の第2作。
前作「ハイペリオン」で広げられた謎、謎、謎が解き明かされていきます。
全〈ウェブ〉を飛び回って展開する物語。ミクロからマクロにまで至る設定の緻密さによって、描かれるシーンのひとつひとつが贅沢すぎる!!
シュライクとは何なのか…を芯にして、〈ウェブ〉の趨勢、〈コア〉の思惑、アウスターの実体、そして時間を跳び越えて語られる「この宇宙」の可能性。
そして、読者の神の視点までも物語に織り込んでしまうダイナミックさ。ひたひたに没入してしまいます。
「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」の2部作で、まずはひとつの終焉を迎えます。
しかし後半2部作では、素敵な冒険譚「エンディミオン」、感動と希望のエンディング「エンディミオンの覚醒」が待っているのです!
読み進むべし。(5)