ダン・シモンズのレビュー一覧
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7人の巡礼が「時間の墓標」を目指して辺境の惑星「ハイペリオン」を旅するが、その旅の合間に1人1人が語る自らの過去から、次第に物語の全体像が明らかになっていく、という構成になっているようだ。ただ、各人の語りは個別に行われるので、どうしても本作全体の設定は掴みづらいように思われる。時代設定はどうやら28世紀のようなのだが、現代とのつながりはもはや感じられないので、SFというよりはファンタジーという印象を受けた。
物語全編を通じて登場する「怪物」が重要な意味を持ってくることが示唆されるが、上巻を読んだだけではまだ全体像が掴めない。下巻を通読してようやく本作の感想を述べられるように思う。 -
Posted by ブクログ
表紙は領事とソル、それからマスティーン?
当作品はローカス誌オールタイム・ベスト2012年、1998年でランクインしている。
他にヒューゴー賞も受賞、とのことで期待大。
ただ賞は所詮は他人が選んだもので、必ずしも名作/自分の好みというわけではないい。
のため4部作と知っていたがまずは本上下巻。
『ミレニアム』は一度に買って失敗したし。
そんな警戒をよそに、神父の話で早速心を掴まれた。
まあ怖いし濃い。
こんな濃い話を最初に持ってきて大丈夫なのかという心配もよぎったが、杞憂だった。大きなストーリーの中に関連したオムニバス形式のストーリーが展開していく。その一つ一つのストーリーがよくできていて、いちいち感情移入をしてしまう。
上巻はそれでも全体のストーリーは各ストーリーを進めるための仕掛けくらいに考えていたのだが、徐々にそれぞれの話が関連していることに気づく。
よく構成が練られているなあ、という感想。
もう一度読み直して色々確認したい。
だけではなく、自分が無知のため全く気づいていなかったのだが、さまざまな引用や名前一つ一つに意味があることを巻末の解説によって知る。これに気づくと気づかないでは、あるいは知っていると知らないのでは、物語に感じる厚みが全く異なると思う。知らなくても充分楽しめその出来に感嘆することはできるが、知っていれば言葉が出てくるたびに膝を打ったであろうと思うと、自分の無知さが残念でならない。
まずはジョンキーツの詩集を読むことから答え合わせをしてみようか。 -
Posted by ブクログ
今まで生きてきてSFというジャンルを全く読んだ事がありませんでした。唯一ジャケ買いしたウィリアム・ギブスンのニューロマンサーという本を昔々読んだことがあるくらい。そしてダン・シモンズと言われても拙者デュフフフォカヌポォのコピペくらいでしか知らなかったのですが、このコロナ禍で夜遊びも出来ずクラブでDJしたり踊ったりできなくなったせいで、夜はネトフリやアマプラを観る時間が増え、そして今までほとんど観たことなかったアニメ作品を観るようになりました。免疫が無かった分、夢中になりました。中でも涼宮ハルヒの憂鬱というアニメにハマって恥ずかしながら今さらながらヲタ化、推しの長門有希というキャラクターが作中で読んでいたのを観て興味を持ち手に取った一冊でした。
SFもアニメも全く通ってこなかったので、流行りも定番やテンプレも解らないのですが、その代わり古い作品でもオールディーズだと感じずに新鮮に感じることが出来る、という新たな発見がありました。昔のアニメの絵柄に違和感とか古さを感じない、みたいな。これは他の文芸ジャンルや実写映画などではもう感じられない新しい体験でした。
ラノベやヤングアダルトが文芸ジャンルの入り口にしっかりと根を下ろした現代では、わかりやすくそして全てを解説説明的に書かれた作品がほとんどだと思います。しかしSFの説明されない空想の世界やアイテムや理論などを並べられて置いていかれそうになり、自分の想像力を働かせて解らない事を補完する、この行為こそが文学的な体験だと思わされる一冊でした。書いてある文章だけで完結しているのならわかりやすく映像でも良いわけですよね、そして映像は決して活字を超えられない。自分はそこにこの本とSFというジャンルの魅力を感じました。
顔色の悪い神父、脳筋女探偵、猥雑な詩人、伝説的な英雄、赤ん坊と学者、そして名前すら明らかにならない領事…登場人物も実はとても純文学的ではないでしょうか。
個人的に長文の自然の描写を読むのが得意ではないのですが、SFというジャンル上、自然や情景が空想である以上、描写が長くなって当たり前だと思うのですが、その点だけがちょっと辛かったです、ましてかなりの長編のシリーズ4冊なので…あと故生頼範義氏の表紙が素晴らしいのですが若干のネタバレありました。
しかし翻訳はとても素晴らしかったです。言い回しなどに全く古さを感じなかったし違和感も感じませんでした。こんなことあるんですね、SF翻訳者のレベルは昔から高かったのか…現代アメリカ文学の翻訳者にも見習って欲しいです。ただ後書きでアツくネタバレ書くのやめてもらっていいですか…
SFっていいですね。
説明して欲しくないんすよ解ります?
See you later, alligator. After a while, crocodile. -
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小説として非常にカロリーが高い。これでもかというてんこ盛り。
辺境の惑星ハイペリオンへ「巡礼」の一団として集まった構成員たちが順番に自らの物語を語っていく。それぞれのまったく異なる目的で集まった彼らだが語りが一つずつ進んでいく中で、惑星ハイペリオンやその惑星の謎や秘密が少しずつ明らかになり、彼らの物語が複雑に絡まり合っていることが徐々に明らかになっていく…。
司祭、軍人、詩人、学者、探偵、領事と職業がバラバラの各人の物語それぞれに代表的なSFテーマが織り込まれていたり、一人称もあれば三人称もあり、文化人類学的アプローチの物語も、ハードボイルドなラブストーリーも、ハードな戦闘描写も、もうなんでもあり。
上下巻苦労しながら読み進めてきて、いやこれどう伏線回収するんだろと思っていたらまさかの回収はすべて続編だった。この作品はこの作品でそれなりの結末を用意するのかと思ってので若干肩透かしを食らった気分ではあるけど、その分すべてが明らかになった時の気持ちよさを楽しみにして続編にも進んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
人工知能(AI)、宇宙航行、若返りを始めとして、ありとあらゆるSFネタが織り込まれている物語。
設定や伏線は相応に回収されていると思うが、こちらの『ハイペリオンの没落』の方は、他の方も書かれている通り、話を追うことの比重が高く、物語そのもののおもしろさは先の『ハイペリオン』には及ばないと思う。
最後、エピローグにページを割いて描いている点はよかった。ここから300年後の物語として『エンディミオン』があるとのことであるが、そのうち読んでみようか。
にわか知識として、キーツの著作に『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』『Lamia (レイミア)』『エンディミオン』がある(fromウィキペディア)。詩人キーツ、名前は知っていたが詩人としての評価はどういう位置づけなんでしょう?全然知らないもので。それがわかっていたらもう少し違った見方ができたかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻に引き続き読み進めた。
ハイペリオンへの旅に参加するものの話がぎりぎりまで続き、どのようなエンディングなのかと最後まで考えながら読んでいたが、さらに別な本へ続くとは知らなかった。
正直、読み進めていて、このまま終わってしまうのはつまらないと思っていたの少々うれしくなったのも事実である。
それぞれの物語がある程度つながりつつあり、さぁこれから面白くなるぞというところで終わってしまった。少々、難しい表現もありさらっと読んでしまったところもあるが、全体の概要はしっかりとらえることができるので十分楽しめる。
SFにあまり慣れていない私でも、この長い小説は最後まで楽しめそうだ。 -
Posted by ブクログ
時は28世紀、転移システムとホーキング航法の確立により銀河系内に系図を拡大した人類は連邦政府を設立し、支配する宙域を<ウェブ>と名付け、巨大なAI複合体<テクノコア>との共生関係の下に繁栄を謳歌していた。しかし、<テクノコア>でさえも把握することのできない不確定要素とされる惑星ハイペリオンでは、謎の遺跡<時間の墓標>が開き時空を超えた破壊者シュライクが解き放たれたとの噂が流れ、大混乱に陥っていた。
時は折しも、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオン目指して侵攻を開始する。辺境の一惑星に過ぎないハイペリオンを狙うアウスターの目的は、<時間の墓標>と関係するらしい。アウスターよりも早く<時間の墓標>に到達して混乱を最小限に抑えるべく、連邦政府は7人の男女をハイペリオンへと送り出す。急速に崩壊していくハイペリオン社会を目の当たりにしつつ、様々な困難をくぐり抜けて<時間の墓標>に近づいていく7人の運命は・・・?
この作品、分厚い文庫本2冊組に生頼範義画伯の気合い入りまくったカバーアートがバーン!といった感じで見るからに押し出しが強いんですが(笑)、構成は<時間の墓標>を目指す男女の巡礼7人が語る各々の身の上話が中心となっており、実質的に中編6本+インターリンクの連作集となっています。見た目から受けるイメージよりもサクサク読み進められます。
読んでみて意外だったのは、作者ダン・シモンズのSFに対する理解と思い入れの強さ。ホラー作家だと思い込んで読み始めた点も影響してるんですが、予想以上に「ちゃんとSF」していて、かつ幅が広いことに驚きました。巡礼の身の上話6編は、それぞれにサブジャンルの異なるSFとして成立しており、「司祭の物語」はSFホラー、「戦士の物語」は戦争SF、「学者の物語」はちょっとセンチメンタルな時間SF、「探偵の物語」はサイバーパンク・・・と、SFショーケースの如き様相を呈しています。こなれたSF者なら「あぁ、これはあの作品当たりからインスパイアされてるな」とにやりとしながら読み進められますし、SF初心者なら正に万華鏡を覗くように様々なSFサブジャンルの「いいとこ取り」を体験できるはず。
そしてなによりも、リーダビリティが高い!舞台となる未来社会の強固な構築ぶり、主要キャラの際立って個性的な造形、歴史から社会構成まで計算された各植民惑星の緻密な描写。愚直なSF作家なら、これらの舞台設定を描写するだけでいっぱいいっぱいで生硬な話になりそうですが、そんな「いっぱいいっぱい感」を微塵も感じさせない職人芸的筆運びが素晴らしい。ストーリー展開と平行して時折登場する、はっとするほど美しい情景描写も見ものです。冒頭の<聖樹船>の幻想的な描写を読んだだけで、「あぁ、このSFは面白いぞ!」と確信できましたもんね。絢爛華麗で外連味たっぷり、躍動感溢れる酒井氏の訳文の力も大きいですね。 -
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いじめっ子は一度いじめられる経験をしたほうがいい、そうすれば他者への思いやりの心が生まれる
それを人類全体に拡大したのが
この本のラストに起きたことだ
レイプされる人間とする人間等々、あらゆる人々の精神がつながって究極の共感感覚が訪れる、
そして人類はあらたなステージへと進化する
本当にそうだろうか
人は自転車に乗ったり車に乗ったりする
自転車に乗っているときは車に対して
車に乗っているときは自転車に対して思いやりがない
簡単に書くと「邪魔だ」と思いながら双方運転している
この心境の変化は乗り物を乗り換えた瞬間におとづれる
立場が変わった人の心理は変化する
過去の経験は一瞬で忘れ去られる -
Posted by ブクログ
いじめっ子は一度いじめられる経験をしたほうがいい、そうすれば他者への思いやりの心が生まれる
それを人類全体に拡大したのが
この本のラストに起きたことだ
レイプされる人間とする人間等々、あらゆる人々の精神がつながって究極の共感感覚が訪れる、
そして人類はあらたなステージへと進化する
本当にそうだろうか
人は自転車に乗ったり車に乗ったりする
自転車に乗っているときは車に対して
車に乗っているときは自転車に対して思いやりがない
簡単に書くと「邪魔だ」と思いながら双方運転している
この心境の変化は乗り物を乗り換えた瞬間におとづれる
立場が変わった人の心理は変化する
過去の経験は一瞬で忘れ去られる