山口恵以子のレビュー一覧
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月刊誌で「食堂のおばちゃんシリーズ」を読んでいるので、本屋でこの本を見つけ購入。
主人公の朝子はオペラ歌手を目指すが、扁桃腺手術で断念。音大のピアノ科の助教授に憧れるも夢破れ、海に入水と間違われて助けられた勝弥に声優を勧められる。旅館の跡取りとして見合いの日に逃げ出して、NHKの声優試験に行く。そのまま家出して住み込みで喫茶店に勤める。偶然、勝弥に再会し、一夜を過ごした事で結婚へ。両親は激怒するも、勝弥が工場の跡取り息子なことと、国立大学を出ている事でコロッと手のひら返し。勝弥が他の女三人と関係持つものの、相手が玄人という事で母親は問題にせず。
ほんの初っ端から、怒涛の展開。親も子もいい加減、 -
Posted by ブクログ
文庫なんだけど、つい昨年に書かれた作品が読める。雑誌連載に書きおろしを加えて単行本なしで文庫で発売するって、かつて角川文庫で文庫の常識が変えた角川春樹の作戦かしらん。たしかに、こういう軽く読める作品が廉価で手に入るってのはいい。
けっこうこのシリーズもおなじみの登場人物が増えてきて、メイ・モニカー・ジョリーンの3人組の出番がここんとこ少ないな。パン屋の姉弟も存在としては出てきたけど本人たちは今巻では顔見せず。
今巻で存在感を出したのは、ストーカー騒ぎを治め、落ちぶれた昔の恋人をバッサリ斬った瑠美せんせいかな。いつもどおり安定のほのぼの感でごちそうさまでした! -
Posted by ブクログ
イヤミスとまではいかないけれど、読後感がなんともといった作品。決して作品が悪いわけではなく、あまりにも現実的な作品だと感じ、なかなか読んでいて厳しい。舞台設定は昭和ではあるが、現代にも十分通じる内容。
親が子どもに過度の期待をしてしまうのはよく聞く話であり、我が子可愛さがあるので仕方ない部分もある。しかし、それがずっと続くようでは子どもとしても窮屈。親としては一生懸命子どもに尽くしているのに、周囲はなかなか分かってくれない。逆に子どもからすると、いわゆる毒親と言われる存在になってしまう。そうなってしまうと、永遠に分かり合うことはないのだろうなと思う。そうした親子関係を描いた長編。 -
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相変わらず安定のほのぼのぶり。1編読み切りでなく、きな臭さが次編に続きそうなところがあったけどわかってみればほのぼののうちみたいなものだった。
主人公ともいえる二三が安らかに最期を迎えるためには麻薬を使ってもいいんじゃないかと考えるこんな場面があった(p.226)。
老い先短い命なら、麻薬もありなんじゃないだろうか?
不意に、そんな考えが頭をよぎった。
麻薬の力で楽しい夢を見ていれば、老いの孤独も死の恐怖も忘れたまま、安らかに最期を迎えられるのに。
二三も昔、授業でアヘン戦争を習ったし、麻薬が恐ろしい薬だということは充分承知している。しかし、寂しさに耐えて死を待つだけの晩年を送る人が -
Posted by ブクログ
ネタバレ八島財閥の令嬢にして、美貌の人気女流画家・多江子は、画家としての新境地を切り開くべく、戦時下の上海にやって来た。
西欧諸国とアジアの文化が隣り合う租界で、過去のスキャンダルの真相を知る特高の工作員に、画家の立場を利用してある男に近づくよう脅された多江子は…
セットと衣装にめちゃくちゃ予算をかけたゴージャスな映画を観たような感じ。
面白くなかったわけではない…けれど、多江子をはじめ、純情と欲望を併せ持った登場人物たちにもうひとつ気持のピントが合わなかったような。
たまたま、つい最近原田マハの「#9」を読んだばかり。
同じ上海を舞台に、魅力的な女性を主人公にしながら、時代背景が違うだけでま