山中朝晶のレビュー一覧
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こいつは凄い名著に出逢ってしまったぞ!!
私はハヤカワ海外ミステリが好きなのだが、これは圧巻の名作。
一言で言えば【捜査ミステリx歴史スペクタクル】!
殺人事件の捜査が第二次世界大戦という時代の大きな波と絡んだ壮大なスケールの物語。
主人公にとって事件の解決はすなわち「自らの人生を取り戻す」ことを意味する。
事件捜査の展開も複雑に絡み合ってて面白いし、ハワイから見た世界大戦という点で歴史小説としても興味深い。
500ページ近い長さながらも物語に没入してあっという間に読めてしまった!
戦時中パートでは戦争がいかに人ひとりの運命を狂わせるのかを痛感した。ほんとに戦争になったとたん人権や人として当たり前の尊厳が踏みにじられることが恐ろしい。
将来もしハワイを訪れることがあれば必ずパールハーバーに行こうと思ったし、祖母が存命のうちに東京大空襲の話をもう一度ちゃんと聞いておこうと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の海外ミステリ。というかハードボイルドなのかなエンタメ要素があふれている。明晰な頭脳を持った理想的な主人公が、襲ってくる危機を乗り越えながら謎を解く。
デビュー作でミステリ三冠を制したというけれど。ハードボイルドで始まり少しずつソフトなストーリーに流れていく。こういう所が固いばかりの謎解きや銃の打ち合いとは違った雰囲気を持っている、読まれる期待の新人ということで、ストーリー運びも面白くて旨い。
父は顔も見ないうちに家を出、母親も幼いバン・ショウを置いて出て行った。幼い頃は里子に出されたというような生い立ちだったが、幸い祖父に引き取られる。祖父(ドノバン=ドノ)は裏の稼業が実は泥棒でこれが個性的で面白い。バンは祖父から家業の厳しい訓練を受ける。頭脳明晰、運動神経も抜群、分析力判断力も人並み優れた才能を持ち合わせている上に、スリルを求める年頃で、祖父の期待通り次々に危ない仕事もこなしながら成長する。
18歳の時、頑固な祖父と言い争い荷物をまとめて陸軍に入ってしまった。
ここでも水が合いレンジャー部隊に配属されアフガンなど中東戦線で活躍、今では軍曹になっている。
ところが捨ててきたはずの祖父から珍しく手紙が来る。様子がおかしい、らしくない弱気がほの見え、負傷して療養中でもあり10日間の休暇をとって帰省してみると、祖父が撃たれて瀕死の状態で倒れていた。
祖父は法の裏をくぐった成功者だった。だが最後に危ない橋を渡り損ねたのだろうか。顔なじみだった昔の祖父の仲間にあってみると、仕事からは手を引いていたらしいという。すでにバーの経営も若いものに任せていた。後継者のことも遺言の用意もできていたらしい。
が、ダイアモンド強奪事件が起きていた。総額500万ドル。仲間は祖父は関係していないという、仲間にも何の連絡もなかった。
だが家には盗聴器、隠し部屋にあったはずの現金も消えている。会っていなかった10年、祖父に何があったのだろう。バンはこの事件に巻き込まれていく。
登場人物が少なく、名前も憶えやすい。だからとても読みやすい。
メインストーリーに祖父と孫の過去の話が入る。9歳、10歳、14歳、そして祖父と決別した18歳の夜。祖父の無骨な教育方針が、子供の頃には憧れであり成長するにしたがってそれが重荷になり反発もする、二人の下手な交わりを挿入することで情感も漂い読みやすくなっている。
やはり祖父には何かある。
バン・ショウが限りある休暇を使い、深入りしていくに連れて派手なアクションシーンもあり、携帯電話を使ったハイテク技術も、舞台になったシアトルの地理を生かした海や島の情景も緊張感があって面白かった。
まさに
固ゆでから半熟に至る人情がらみの演出も、これがデビュー作なのかと思いながら、★5を付けた。 -
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「優れた作家は二行あれば登場人物の全てを表現することができる」
と言ったのは、十八世紀の御者ヒマーワリ・メーロンですが、クレイヴンは、まさにその優れた作家に分類されるべき作家だ
ワシントン・ポー&ティリー・ブラッドショーの一番の親友コンビシリーズで大好きなクレイヴンの新シリーズは「きゅうりを漬け込んだ男」じゃなかった『恐怖を失った男』ことベン・ケーニングの大アクションシリーズだ
皆殺しだ!
思わずニヤけてしまう表現がそこら中にあって、わいとクレイヴンは非常に相性が良いと思われる
ニヤリーしたくて何度も読み返したくなる文章だらけだ!猫灰だらけだ!
恐怖を感じないというのは諸刃の剣的設定もよい
そしてこの手のアクションは頭悪くド派手なのが最高だ
皆殺し&大爆発&大ピンチの連続連発大安売りの在庫一掃セール!
クライマックスはまさにそれ
クレイヴン分かってるなー
次回作も楽しみや! -
Posted by ブクログ
物語の始まりは1941年11月26日のハワイ・ホノルル!
タイトルからも既にピンっ!とくるところ…
陸軍を退役し、ホノルル警察の刑事になったマグレディは惨殺された男女の奇怪な事件の捜索を始める
そしてマグレディは事件を追ってハワイを離れることになるが、あの奇襲攻撃により時代の激しい波に飲み込まれてしまう
犯人は誰か、事件の真相は?
マグレディの運命は?
もうこれ以上は無理…(笑)
とにかく丁寧な調査のうえに書かれた歴史小説であり、スパイ小説でもあり、マグレディ刑事自身の人間物語でもあり、壮大なスケールで描かれたハードボイルドミステリーでもあり…
なんといっても、私はマグレディ刑事に魅力されたのよ!
眼球を突かれたり、神経を切断されるかもしれないけど…(笑)
もちろん愛する女には紳士だわよ…イヒッ!
だからラストは私が望むもので良かった
あっ!そうすると恋愛小説でもあるかな??
とにかく
納得の!納得の!
エドガー賞最優秀長篇賞受賞作なのでした
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Posted by ブクログ
名作★5 人間がやってしまう最も愚かな所業「戦争」狂気と凄惨さに希望も見えない #破れざる旗の下に
■あらすじ
南北戦争時代のアメリカ南部ルイジアナ。歩兵連隊に従軍していた外科医のウェイドは、辛い体験をして伯父チャールズの農園に身を寄せていた。その農園の奴隷として働いていた黒人女性のハンナは、かつて幼い息子と生き別れてしまい傷心の毎日を送る。
巡査のピエールは、農園主スアレスが殺害された事件を追っていた。ハンナが関係していると睨んだピエールは自身の根拠だけで逮捕してしまう…
■きっと読みたくなるレビュー
名作★5 日本人には馴染みが薄い、アメリカ南北戦争の悲劇を描いた戦争小説です。
将校をはじめ、奴隷、警察、傷痍軍人、奴隷廃止論者など様々な人間を描く群像劇で物語は展開されます。決して長い物語ではないですが、一文一文に重みのある純文テイストの小説になっています。
この本を読んでると、その時代、その場所で生きているかのような錯覚を覚えてしまう。略奪や殺人が当たり前のように行われていて、すべての人が不幸を抱えている世界。
意味があるのかないのかわからないうちに、次々と人が亡くなっていく。豊かで幸せな暮らしや、自由を勝ち取るために戦っているはずなのに、そこには悲劇と惨劇しかないんです。
見るに堪えない奴隷の扱いが、もはや動物以下であまりにも酷い。魂が抜けてしまった彼女がたちが、どんな惨めな気持ちで日々生きているのか。現代の日本人である私では解釈しきれず、受け止めることもできませんでした… 可哀想なんて陳腐な言葉では整理できない、まさに地獄の在り様に虚しさしか残りません。
それでも差別の現実に疑問を感じ、手を差し伸べてくれる白人たちもいる。しかし差別を受けている人間の気持ちは、その立場にならない絶対に理解できない。抗うことができない虚無感が胸に広がっていき、何処に怒りを向けていいかもわからなくなるんです。
また本作には様々な登場人物が出てきますが、特筆したいのは第三勢力レッドレッグのヘイズ大佐。規律を重んじる軍人たる人物でありながら、偏った思想の持ち主。梅毒に侵され、常に苦しみの中にいる。
戦争に加担する狂人ながらも、人間性を味わってみると、実は至極当たり前の価値観を持っている。現代でも起きている強欲に満ちた戦争の卑劣さに、あらためて気づかさるのです。
そして彼らの歩みの終着点、勝っても負けても行きつくのは地獄。たとえ生き残ったとしても、罪の意識や過去の悲痛な思いは消えることはないんです。血にまみれてしまった希望は、いったいどんな輝きを放つことができるのでしょうか。
戦争の恐ろしさや狂気を丸ごと体験させてもらえる作品です。不安定な国際社会である今こそ読んでおくべき一冊でした。
■私とこの物語の対話
どんな理屈があろうとも、戦争に正しさがあるなどと言わせてはいけない。
他の動物に比べて優秀な頭脳をもっているはずの人間が、狂暴で残忍なだけの生き物になってしまう。戦争に巻き込まれている地域にいる人々も、当然ひとりひとりに家族があり、大切な財産がある。あらためて戦争なんて一日も早く終わらせるべきということを学ばせていただきました。 -
Posted by ブクログ
ハードボイルドで渋く、非情な面もありながら優しさも持ち合わせている主人公ベンは、数々の特殊部隊で経験を積んだ銃器・格闘のスペシャリスト。「恐怖」の感情を失っているので、淡々と戦闘の準備をし、淡々と敵を倒していく。しかし感情そのものを失っているわけではないため、味方が殺害されれば憤るし、相手に対する同情心や憐憫も持ち合わせている。恐怖を感じないからこその無敵感が痛快。
著者のキャリアに裏打ちされた詳細な描写、手に汗握る戦闘シーンと息の詰まる隠密行動、ウィットに富んだ会話など、この方だからこそ書けるストーリー。ワシントン・ポーシリーズとはまた違った面白さ。
ただ、邦題がちょっとチープな印象を与えてしまっているように感じる。 -
匿名
ハードボイルド・アクション小説
アクションに次ぐアクション!
一気読み必至!
私はハードボイルド初心者でしたが、読みやすい!
超オススメ!
ワシントン・ポーシリーズのファンでなので、違うと知った瞬間ガッカリしたのも束の間、
表紙のゴリラみたいな白人男性に一目惚れし、即ジャケ買い。
読み始めたら、一気に引き込まれました!
スーパーヒーローのように最強な主人公ベンの行動力と判断力が素速いだけでなく、
彼は脳の病気により恐怖を感じる感覚が欠けているため、
どんなピンチや修羅場にも恐怖を感じることなくぐんぐん向かっていって敵をやっつける!
もはや無双状態かと思われたが、果たして、、、!?
始めから終わりまでずっっと緊迫感があって、中弛みもなく楽しめました。
作者の読書量の多さによるウイットのきいた言い回しや、
英国陸軍の経験と知識が活かされて、読み応えもあります。
どうしてもポーと比較してしまうけど、ポーよりベンの方がドライで治安が悪い気がします。
どちらも魅力的で好きですが。
超有能なジェンも、サミュエルも、良いキャラしてる!
一応海外ミステリのカテゴリなら、しいて言うならホワイダニットですかね。
解説によると、本国では第2弾が24年10月に本国で刊行されるそうです。
羨ましい......