山中朝晶のレビュー一覧
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壮大なストーリーのマンハントが終了。ラストはかなり盛り上がった。
が、3巻まで必要かと言えば微妙。
話しが枝葉にそれたり本筋に関係ない話が長々とあったり。
大きくは二つの話があるわけだけど、ウィルステロも結局最後は人質の話で簡単に片が付き過ぎ。サラセンもこれだけ壮大なプランを練っておきながら、あっさり全てを諦めるし、女殺し屋に至ってはサラセンの捜査のだしに使ったはずがこちらが次に続きそうだし。
一気に読む分にはいいが、なんとなく消化不良の感はある。
視覚的な作品なので映画化は間違いないだろうが、どんな風に終わるんだろう?
そしてこの作品の続編はいつくらいになるのかな? -
Posted by ブクログ
1巻を受けて、サラセンの行動とピルグリムの追跡行が緻密に、そして濃密に描かれる。ただその分、話の展開が異様にのろい。しかも枝葉に流れることが多い。
サラセンのウィルス培養のとこだってここまで長々描くところもスゴイし、ピルグリムがそれを受けて雇われるわけだけど、それは前巻でわかってるので話が重複していく。あまりにも話が現在と過去が入り乱れるのでどうしても同じ話が出てくる。しかも今回はトルコの富豪事件の章も長いし。さらにはウフッツィ美術館の絵画修復まで。まるでダン・ブラウンだなぁ。
結局、”サラセンがウィルスを開発し、ピルグリムが連絡員の女性をトルコに見つけた”がこの2巻。
もちろん、文章も上手いしキャラもしっかりしてるので退屈せず楽しめるけどね。
3巻で終わると分かってて良かった。このペースで行くと海外ドラマみたいに数十巻になりかねないから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレさすが元CIAの人が書いただけあってリアリティのあるスパイ小説。東西冷戦時代のスタンスを復活してスパイ小説をかけるってことは、現実にロシアの力がしっかり戻ってきてるってことなんだろうなぁ。北方領土還ってきそうないなぁ…。
スパイ同士の手に汗握る防諜描写は読み応えバッチりなんだけど、いらんもんも多い。女主人公の特殊能力は生かし切れてないし、男主人公の出自もだからどーやねんという感じ。そもそもW主人公にする必要があったのかな。エリツィン大統領も本人が登場してるけど、これも活かしきれてないように思えるし。
もう少し絞り込めば、もっと読みやすくケレン味も出てくると思えて少々残念。
章末に出てくる料理のレシピも、イランもんのようで、これはちょっとオモロかった -
Posted by ブクログ
ケチをつけたい点が少なくとも二つはある。そこはかなり気に入らない。ああ、しかし。面白いんだよねえ、これが。スパイものはさほど好きではないので、なかなか手が出なかったのだけど、いやあ、2巻目からはもう一気読み。久しぶりに夜更かししてしまった。
これは良くも悪くも「ハリウッド映画」なのだと思う。実際に映画化も決まっているそうだし、作者は「マッドマックス2」の脚本家だとのこと。小難しいことは忘れて、スピード感あふれるアクションやサスペンスに身をゆだねたい気分の時には最高だろう。
しかしまあ、我ながらへそ曲がりだとは思うが、あまりにもわかりやすいのでは? テロリスト<サラセン>についてもしっかり書き込んであって、比較的独善的な臭いが薄くはあるけれど、「アメリカ=普遍的な善」という基本的な構図を無前提で受け入れる気にはならない。ここが気にならないならこの上なく楽しめるだろうが。
これもまた、近年の米小説では避けて通れない9.11テロが一つの要素になっているけれど、私はアメリカ人が9.11を語るのを聴くと(ごく一部を除いて)違和感を感じずにはいられない。確かにあれは未曾有の被害ではあったが、世界中のあちこちで無数の「9.11」をばらまいてきたのもアメリカだ。序盤で9.11のエピソードが思い入れたっぷりに語られていて、ここは鼻白む。「神を信仰する無数の市民が自分たちを殺すと言ったら、ただ彼らの声に耳を傾けることだ」なんて、いい言葉もあるんだけど。
それから、どうしても気になってならないのが、次の展開を先取りするフレーズが頻発すること。「後で思えば○○に気がつくべきだった」というような言い方がしょっちゅうされて(もう本当に連発)、大方の場合ページをめくるとその意味がわかるようになっている。先へ先へ興味を繋ぐ書き方だが、これって読者を手玉にとってる感じがして好きになれない。品がないと思う。
この二つの他にも、ん?と思うところはいくつかある。アメリカ史上最高の諜報員という設定の主人公が、なんだかあまりにも「いい人」だったり、<サラセン>の陥落がどうにもあっけなかったり。冒頭の殺人事件が本筋とからんでいないこととか、主人公の母の死について語られないのは、続篇への伏線か?そうじゃないならヘンだよね。
わあ、あんなに面白く読んだのに、感想を書いてみたら文句ばっかり。これってほんと、私がハリウッド映画を観た時と同じだわ。スミマセン。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ〈サラセン〉を追う〈ピルグリム〉の旅もいよいよ終焉。これまでの話が一つ一つ終着点へと向かい結びついていく…ことを期待した。結果、たしかにそうなった。しかも先が気になる展開で、まさに一気読みだった。情景が浮かぶのも、さすが元シナリオライター。しかし、最後の詰めが甘いのではないかと思った。ここまで緻密な計画を立てた〈サラセン〉があまりに簡単に出てきすぎではないか?愛に勝る者はないという話は分かるし、非常なテロリストも息子の前ではというのも分かる。しかしなんだろう、ここまで緻密に重ねられたフィクションの割には最後はそこかと少しがっかりさせられた。いやでも裏切られるかも!と思って読んだけど〈サラセン〉との戦いはあっという間に終ってしまった。NYでの犯罪もこじつけた感じが否めない。もっと密接に〈サラセン〉と結びつくと思ったが、ブラッドリーをトルコに呼ぶための手段なのか?と思ってしまった。ただこのことはあとがきを読んで、なんとなく納得。三部作ということで、それなら今後の展開で重要な人物になるのかも?と期待してみる。もし関係なければそれこそなんだかがっかり。
現代社会が抱える問題を上手に描き、読み応えがりながら、エンタメ小説として十分読める作品だった。