山中朝晶のレビュー一覧
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ネタバレ2025年の26冊目は、J・B・ターナーの「復讐の岐路」です。原題が良いですね。
主人公は、ニューヨーク市警の内務監査局に勤務する警官ジャック・マクニール。1人息子をある事件で亡くし、内務監査局に移動しますが、今度は、別居中で
敏腕ジャーナリストである妻を自殺と思われる状況で亡くしました。当然、自殺では話が進みませんから、ある陰謀に巻き込まれての結果でした。
ジャックは、かつて父が警官を弟も警官という警官一家で生きて来た、正に警官の中の警官と言えます。いかなる時も法を遵守して来たジャックが、妻の復讐の為とは言え、私的制裁とも言える行動に後戻り出来なくなって行く様子、葛藤が読みどころです。
難点を言うならば、強大な力を握っているはずの敵が、如何せん弱過ぎる所、ピンチらしいピンチ無く進んでしまう所でしょうか。まぁ、事件は完全に解決しておらず、続きの2作目が有るという事なので、そちらに持ち越しという事でしょうか。
☆4.4 -
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ワシントン・ポーシリーズでおなじみMWクレイヴンの別シリーズ。
本書はワシントン・ポーシリーズの息抜きに書かれたということだが、まさにその通りにポーとは鏡写しのような主人公、ベン・ケーニグの物語である。
ワシントン・ポーは時には暴力的手段も辞さない硬骨漢ではあるが、あくまで組織に属した法の代理人であり、許せない犯人を前にしてもその一線に懊悩したりするシーンが多々ある。
本作の主人公ケーニグは、一応保安官局の所属ではあるが、とある事情により「幽霊」となっており、法のお目こぼしを受ける存在である。
だからこそ、容赦なく、徹底的に悪人を殺していく。
まさしくポーの鬱憤を晴らす存在である。
そんな作品だが、単なるメアリ・スーに終わっていないのはさすがのクレイヴンの腕である。
表題にもあるとおり、ケーニグは脳腫瘍により恐怖という感情を失っている。
この症状は彼を容赦ないキリングマシーンにもするが、一方で用意周到さや警戒が必要な場面において、恐怖というチェックを失わせてしまう。
それゆえ、かなり強いケーニグだが作中で何度もぶちのめされている。
そんなある種の人間臭さが、またこの作品の魅力を引き立てている。
B級映画的作品だが、まさしく息抜きのエンタメとしてよく出来ている1作だ。 -
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どうしても、MWクレイヴンということで、ワシントン・ポーと比較してしまう。
作者もそれを意識してか、舞台をアメリカ、それもテキサスと言う正反対のロケーションを設定。さらに端々にアメリカの法執行機関の描写や、銃描写、さらにはアメリカの風俗描写が挟み込んである。
知らなければ、ジャック・リューチャ―シリーズに似ていると思って読むかも。
また、リューチャ―は作者も明確に想定しており、途中にキャラ比較のような描写もある。
独立した作品として読んだとき、テンポのよいアクション・ハードボイルト作品として十分に楽しめる。
しかもクレイヴンらしく、話の構図も十分に練り込まれているし、主人公らのキャラもよく立っている。
是非、シリーズ化して欲しい。
…でも、どこか偏屈な辺りポーに似ている! -
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『ストーンサークルの殺人』など、ワシントン・ポーシリーズで知られるM.W.クレイヴンの別シリーズのスタートを予感させるアクション小説。
主人公のベンジャミン(ベン)・ケーニングは連邦保安官局特殊作戦群(SOG)の元指揮官である凄腕だが、恐怖心を失ってしまうという病状を患っている。そんな彼はある事件をきっかけにSOGから姿を消す。
各地を転々と彷徨っているベンはある小さな町で、何故か自分が指名手配されていることを知り、その場で警察に取り押さえられてしまう。
取り押さえられたベンの前に友人であり、かつての上司であるミッチェル(ミッチ)・バリッジが現れる。ミッチはベンに愛娘のマーサ・バリッジを探して欲しいと依頼する。
ベンは友人の頼みを承諾するが、捜査の先にある陰謀が渦巻いていた。
自分はミステリーにあまり興味がなくて、ワシントン・ポーシリーズも触れていない。
なので、M.W.クレイヴン作品はこの『恐怖を失った男』で初めて触れる。
本作の作劇はM.W.クレイヴンの代表的シリーズであるワシントン・ポーシリーズとはまた違うだろう。
まずアクション小説らしく物語が停滞することなく転がっていく。
その物語を引っ張るフックが持続するのが上手い。謎を次々と放り込み、一つが解決したらその次、またその次と謎を持続させるのが上手いのかも。それもあってずっと先が気になりっぱなしだった。しかもリーダビリティが高いのも相まって700ページ近くある分厚さの割にあっという間に読めてしまった。
また、そのプロットを牽引するキャラクターがとても良い。
主人公がある謎や問題に直面したときに、どうするかと考えるより先に動くのは恐怖を失っているからというのもある。そこに立ち向かう姿勢が、取り敢えず動いてヤバくなったらそのときはそのときというあっけらかんとした感じで、シリアスになりすぎないのが良かった。
あとがきを読んだ感じ、ベン・ケーニグの物語はまだ続きそう。このキャラクターは魅力的なので、今後また新たな事件に立ち向かってほしいと感じた。
それとM.W.クレイヴンの代表作であるワシントン・ポーシリーズを読んでみたくなった。 -
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昨年話題となった書。ハワイで刑事をしている主人公、マグレディの元に殺人事件の一報が入る。残酷な殺され方をされていた人物を探っていく中で被害者の身柄が判明しハワイだけにとどまらない事件になる予感がする。そんな中、日本の真珠湾への奇襲攻撃が始まる、というのがさわりの内容。はじめはシンプルな警察小説だが、真珠湾攻撃から一転、一気に間口が広がり大河小説、冒険小説へと変貌していく。ただマグレディの行動はシンプルでどんな環境においても犯人逮捕へと突き進む。この読み筋が面白い。リーダビリティが抜群でサクサク読める。加えて様々な要素を備えた作品でもある。先ほど挙げた項目に加えてロマンスや謎解きの要素もある。そしてラストは冒険小説ならではの自然の驚異にも立ち向かう。圧巻の流れはエドガー賞受賞も納得。また第2次世界大戦における日本の描き方もフェア。某有名映画のようにはならず立ち位置がフェアなのが好印象。
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ネタバレ昔ながらのハードボイルド小説だと思ったーースーパーマンではない主人公が愚直に、ボロボロになりながらも忠義や信念を貫き通し、時には良い関係になれるのではと期待された「女」とも別れ、「子」とも人生が交わりながら深く関わることなく、孤独の中でただ生きていく。
みたいな、一昔前の懐かしきボガードの香りがするぜ、「君の瞳に乾杯(カサブランカより)」
とはいえ本作は旧ソ連の関係者が鮨詰め状態なので、最後まで登場人物一覧を見返し「君、だれだっけ」の繰り返しであった。そこを加味しても結構最近にはない伏線や物語の組み立てで面白かった。
途中から「推理小説じゃないなこれ」と思ったので純粋にストーリー展開を楽しんでいたのだが、それもまた正解だったように思う。
全ての黒幕は「まぁそうだよね」というところに収まったし、ポリーナは可哀想だったところもあるけど、私個人としてはエヴァとアレクサンドルが幸せに長生きしてほしい。
600pに渡る長編、主人公がボロボロにされてからの展開が怒涛で楽しかったと思うのは私だけだろうか(実に後半100pくらいである) -
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ワシントン・ポー・シリーズが面白かったので読んでみた。ミステリーではなく、アクション小説。文庫本で600ページを超えるので飽きるかなぁと思っていたが、読み切れた。
伏線が最後にきちんと回収されストーリーも単純のようで単純でないとこは流石。
主人公は、連邦保安官の特殊部隊にいた経歴を持つが、怪我から恐怖を感じなくなる特殊な病気。シリーズものになるからか?キャラとして不明な部分も残して終わった。
ポー・シリーズではポーを取り巻く女性とのやり取りが楽しいが、主人公の同僚のジェンとの会話は刺々しく、「くそったれ」的は発言で、読み進むと段々ユーモアを感じさせるが、ジョークは面白くない。
残念なのは、B級グルメにシーンがあまりないこと。食いしん坊ではないのか、主人公は。。。