山中朝晶のレビュー一覧
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色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。
ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。
物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語である。主人公は元軍人の刑事マグレディ。タフで優しく、女性にモテる。フィリップ・マーロウの系統に属するキャラだ。私自身はあまりこの主人公に感情移入することができなかったが、とても面白く読んだ。他の多くの方が指摘されているようにラストが美しい。
タイトルに真珠湾と入れたことで、逆に色がついてしまったようにも感じる。そこは惑わされずに、原題で興味を覚えた方は手に取ってみては? 抜群の没入感が味わえると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。
軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。
死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。
猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンスを崩さない主人公然がもはやハードボイルドとなる目まぐるしいまでのジャンル融合小説だった。
結末は1945年12月(原題〈Five Decembers〉でもある五回目を迎える12月)。
いくつもの出来事、関係を犠牲、置き去りにして今日に至る中で、結局のところ因縁のあの事件の犯人探しに帰結していく展開と、「もしもあのとき…」の歴史の分岐点の夢想を主軸に、戦争がもたらす混沌、悲運、空虚さが刺さる壮大なミステリ。
この書きぶり、この目線の作品にエドガー賞が与えられるとは米国ミステリ文壇も捨てたもんじゃないですね。 -
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ネタバレ・あらすじ
旱魃に苦しむオーストラリア内陸の町リバーサイドが舞台。
その町では1年前牧師による銃の乱射事件が起きた。記者であるマーティンが取材を行った住民の殆どは牧師に対して好意的な様子…。
人気があり敬虔な牧師がなぜ銃乱射事件を起こしたのか。
・感想
牧師の動機を探るうちに色んな要素や過去が判明するタイプのストーリー。
個人的には戦地取材でPTSDとなったマーティンがこの事件の取材を通して「ジャーナリズムとは」と己の仕事、やるべき事を見つめ直していくリハビリの過程が面白かった。
どこまでも客観的にものごとを見て、書いてきたマーティン。
初めて当事者になる事で今までの自分の無感覚や「真実以外への無関心さ」を自覚するくだりは良かった。
(本邦のマス◯ミは真実とかどうでも良いらしいけど)「真実を知る権利」ってなんだろう?
それを錦の御旗に横暴なことしてる印象あるからあんまりあの手の人たちは好ましくないけど、この作品は作者自身がジャーナリストだったらしく葛藤や矛盾などが書かれていて面白かった。
三部作らしく解説に残りのあらすじ載ってたけどなんか意外な展開になりそう。
オーストラリア舞台の作品は初めて読んだけど、日本の公安的立ち位置のキャラが結構いい味出してた! -
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オーストラリア内陸の町リバーセンドの教会で、牧師が銃を乱射し五人を殺害する事件が起きた。一年後、町へ取材に訪れた新聞記者のマーティンは、住民が牧師を庇う証言をすることに気づく。だが、町外れに住む男だけは、住民の言葉を信用するなと警告するのだった。そんな中、山火事が町を襲い、火災現場からかつて行方不明になった観光客の他殺体が発見される。この事件にも牧師が関わっていたのか―?牧師の過去と、彼が事件を起こした真の理由とは。
オーストラリアの暑く乾いた田舎町のブックカフェから始まる物語。報道内容が二転三転して、トラブルになること間違いなし。推理の過程で主人公があれこれ悩み過ぎ。だからこの厚さになったのか。
先日の神保町ブックフェスティバルの話の続き。HPB70周年記念のトートバッグを販売していた。ポケミスが70冊入るのが売りだが、社員さんによれば、80冊は入るそうだ。他のグッズについてたずねたところ、ブックカバーの案が出ているとのこと。楽しみです。 -
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ネタバレいよいよピルグリムと言う名前を得た「わたし」の、
サラセンを探す旅が始まった。
顔も名前もわからない犯人に対して、わずかなヒントを元にひたひたと近づいていく。途方もないことに感じるのに、確実に距離は縮まっていく。
少ししっくりこないのが、このピルグリムと言う人物、
あまりにもノーマルでごく普通の感情を備えた人のように描かれていること。
凄腕の諜報員にしては非情さに欠けているような。。
わたしのイメージの中の諜報員はもっと冷徹で判断を誤らない。
この先、彼がどんな行動でどんな手際でサラセンを追い詰めていくのか、気になる。
- - - - - ここからネタバレ- - - - -
それにしても船小屋から通じる隠し通路の存在には
かなりわくわく! -
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というわけでスパイ小説です
池上彰さんの本でスパイ小説を読みたくなったタイミングでたまたま『真珠湾の冬』の訳者山中朝晶さんで検索かけたら見つけました
こんな出会いも推奨したい
全3巻の第1巻なんですが
すごいです
あらすじで「アメリカは名前のない男にすべてを託す!」とありますが、1巻終わった時点でまだ託されておりません
題名の『ピルグリム』も全くなんのこっちゃわかりません
では、1巻では何が語られたのか?
ほぼ登場人物紹介です
主人公「わたし」の半生、彼と闘うことになる(であろう)テロリスト〈サラセン〉の半生、主人公の相棒役を務める(であろう)警部補の人となり
テロリスト〈サラセン〉がどんなテロを計画しているか
こんなんが長々と続きます
二人の対決は始まっていません
でももう面白い
たっぷりと登場人物の背景を頭に叩き込まれ
どんな闘いが始まるんじゃい!というワクドキのドキワクで2巻へ! -
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ネタバレ2023私が読みたい本3選に選んだ1冊を読み終えました。
読み応え十分な作品で、タイトル通りに第二次世界大戦の前後、ハワイで起こった凶悪な殺人事件を追うマグレディ刑事の視点で描かれたストーリーです。
殺人事件と戦争?戦争のどさくさに紛れた殺人ではありません。
犯人を追うマグレディが戦争という苦難に巻き込まれながら、最終的には犯人を追い詰めるというのがざっくりとしたストーリーです。
開戦の色が濃くなってきたハワイ、犯人を追い訪れた香港の地で捏造された事件で勾留され、そのタイミングで開戦をむかえます。
そして物語の舞台は日本へ。
東京が焼け野原となっていく焼夷弾による絨毯爆撃、悲惨な戦争の姿からは残酷な殺人以上に目を背けたくなる。
基本のストーリーは殺人事件の犯人を追うことですが、戦争がもたらす悲劇が本作に深みと重みをプラスしていきます。
ハワイで殺された被害者の1人が日本人であった事、時代設定に第二次世界大戦を選んだこと、そこで日本の文化に触れ日本語を学ぶこと。
全てが計算され尽くしています。
休日に手にして正解でした。
説明
内容紹介
世界最大のミステリ文学賞エドガー賞最優秀長篇賞受賞作
太平洋戦争迫るハワイ、香港、そして日本。彼は真実を追い求めた――
1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めた彼はそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本軍に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。解説/吉野仁
《ニューヨーク・タイムズ》を筆頭に、各書評誌紙で年間ベストミステリに選出。歴代エドガー賞受賞作家が激賞した、屈指の傑作
「とんでもなく面白い物語だ。圧倒された」――スティーヴン・キング(『ミスター・メルセデス』『IT』)
「時代を超えた犯罪叙事詩である」――デニス・ルヘイン(『夜に生きる』『ミスティック・リバー』)
「なんという作品だろう! 没頭させられ、文章も美しく、ときにショッキングで、とても感動的だ」――エリー・グリフィス(『見知らぬ人』『窓辺の愛書家』)
著者について
刑事事件調査員など様々な職種を経て、現在弁護士としても活動中の作家。ハワイ在住。2022年に本作でエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞受賞。