山中朝晶のレビュー一覧
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全3巻の1巻目を読んだだけで感想を書きたくはなかったが、書かずにはいられない。
「これだけは保証しておこう。本書の出来は、あなたの予想を超えている」。というミステリマガジンの絶賛レビューに期待して読み始め、少し疑いを持ち始めたところで、片足を引きずったニューヨーク市警の黒人警部補ベン・ブラッドリーが主人公の「わたし」を探し当ててパリを訪れる。ブラッドリーは「わたし」に米同時テロのある悲痛なエピソードを話してこう言う。
「彼らの命を奪ったのは降り注ぐ瓦礫や火災ではない。彼らは他人の命を救おうなどと考えたから死んだ。そのことにわたしは怒っているんだ。いったい、この話のどこに正義がある?」
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ネタバレ2026年の4冊目は、シャーロット・ヴァッセルの「果てしない残響」です。ロンドン警視庁カイウス・ボーシャン警部を主人公としたシリーズの2作目になります。エドガー賞受賞作という事で先に翻訳されたのでしょうが、1作目が未訳の為、前作からの繋がりが分からず、少し残念に思いました。
そして、今作がエドガー賞受賞に値する程、素晴らしいのかと言われれば、個人的には少し疑問を感じます。
クライマックスに向けて、その片鱗は感じられますが、そこまでではないように思います。カイウスを中心とした捜査チームの3人は、それなりに魅力的ですし、寄宿学校から消えた女子生徒の事件は、それなりにアット驚く結末です。ミステリーと -
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3 遠くの敵
「思想」「歴史」「宗教」の隔たりが“遠さ”として表現されている、ということで良いのかな。
ピルグリムは、主人公“わたし”に与えられたコードネーム。…でいいはず。
夏に『夏のピルグリム』という女子中学生冒険家出小説を読みましたが、旅の桁が違いました。
頭脳明晰な復讐を糧にテロリストとなったサラセンのテロ計画阻止に アメリカ、サウジアラビア、アフガニスタンからヨーロッパ各地への追跡劇です。
ですが、私は 彼らが今どこにいるのか読み取れないので、そんな感じで読みました。
各項のラストは、いつも思わせぶりなカッコ良い一行です。そこもですね、カッコ良いんだろうとわかるんですが、何が? -
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ふたつ事件をロンドン警視庁の刑事たちが追う… 英国の階級社会を風刺したミステリー #果てしない残響
■あらすじ
ロンドン警視庁の刑事カイウスが劇場に訪れたとき、観客が倒れて亡くなってしまう。彼はかつて女学園で起こった失踪事件を調べていたらしく、カイウスは事件の再捜査を考えていた。
一方、テムズ川で女性の死体が発見される。当初は事故死と思われたが、過去の横領事件との関連性が浮かび上がる。さらにイギリスの下院議員で権力者であるハンプトンから、事件を詳細に調査せよと指示される。関連のなさそうなこの二つの事件、どんな背景があるのか…
■きっと読みたくなるレビュー
濃厚濃密なイギリスのミステリー、 -
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スパイものの一作として、かのひまわり師匠にご紹介いただいた本作。まさか、3巻まであろうとは。
タイトルの名前のない男たちの通り、未だこの巻では誰がどのような役割を果たしていくのかは、予測することのみ。
それぞれの立場とそこに至る経緯を、諜報する側とされる側で描いていく。
一部は14節、二部は34節と、短章に分けられている。元は何かに連載でもされてたのか?
翻訳物では主語が見失いがちという苦手意識がありますが、本作は節ごとに主体が切り替わるため、多少読みやすいかな。
また本作はスパイ・スリラーとも呼ばれているようですが、実際には、社会的な恐怖が成立してしいく状況を描く物語なのかな、と思うの -
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ネタバレ2025年の26冊目は、J・B・ターナーの「復讐の岐路」です。原題が良いですね。
主人公は、ニューヨーク市警の内務監査局に勤務する警官ジャック・マクニール。1人息子をある事件で亡くし、内務監査局に移動しますが、今度は、別居中で
敏腕ジャーナリストである妻を自殺と思われる状況で亡くしました。当然、自殺では話が進みませんから、ある陰謀に巻き込まれての結果でした。
ジャックは、かつて父が警官を弟も警官という警官一家で生きて来た、正に警官の中の警官と言えます。いかなる時も法を遵守して来たジャックが、妻の復讐の為とは言え、私的制裁とも言える行動に後戻り出来なくなって行く様子、葛藤が読みどころです。
難点 -
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ワシントン・ポーシリーズでおなじみMWクレイヴンの別シリーズ。
本書はワシントン・ポーシリーズの息抜きに書かれたということだが、まさにその通りにポーとは鏡写しのような主人公、ベン・ケーニグの物語である。
ワシントン・ポーは時には暴力的手段も辞さない硬骨漢ではあるが、あくまで組織に属した法の代理人であり、許せない犯人を前にしてもその一線に懊悩したりするシーンが多々ある。
本作の主人公ケーニグは、一応保安官局の所属ではあるが、とある事情により「幽霊」となっており、法のお目こぼしを受ける存在である。
だからこそ、容赦なく、徹底的に悪人を殺していく。
まさしくポーの鬱憤を晴らす存在である。
そんな作 -
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どうしても、MWクレイヴンということで、ワシントン・ポーと比較してしまう。
作者もそれを意識してか、舞台をアメリカ、それもテキサスと言う正反対のロケーションを設定。さらに端々にアメリカの法執行機関の描写や、銃描写、さらにはアメリカの風俗描写が挟み込んである。
知らなければ、ジャック・リューチャ―シリーズに似ていると思って読むかも。
また、リューチャ―は作者も明確に想定しており、途中にキャラ比較のような描写もある。
独立した作品として読んだとき、テンポのよいアクション・ハードボイルト作品として十分に楽しめる。
しかもクレイヴンらしく、話の構図も十分に練り込まれているし、主人公らのキャラもよく -
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『ストーンサークルの殺人』など、ワシントン・ポーシリーズで知られるM.W.クレイヴンの別シリーズのスタートを予感させるアクション小説。
主人公のベンジャミン(ベン)・ケーニングは連邦保安官局特殊作戦群(SOG)の元指揮官である凄腕だが、恐怖心を失ってしまうという病状を患っている。そんな彼はある事件をきっかけにSOGから姿を消す。
各地を転々と彷徨っているベンはある小さな町で、何故か自分が指名手配されていることを知り、その場で警察に取り押さえられてしまう。
取り押さえられたベンの前に友人であり、かつての上司であるミッチェル(ミッチ)・バリッジが現れる。ミッチはベンに愛娘のマーサ・バリッジを探し -
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昨年話題となった書。ハワイで刑事をしている主人公、マグレディの元に殺人事件の一報が入る。残酷な殺され方をされていた人物を探っていく中で被害者の身柄が判明しハワイだけにとどまらない事件になる予感がする。そんな中、日本の真珠湾への奇襲攻撃が始まる、というのがさわりの内容。はじめはシンプルな警察小説だが、真珠湾攻撃から一転、一気に間口が広がり大河小説、冒険小説へと変貌していく。ただマグレディの行動はシンプルでどんな環境においても犯人逮捕へと突き進む。この読み筋が面白い。リーダビリティが抜群でサクサク読める。加えて様々な要素を備えた作品でもある。先ほど挙げた項目に加えてロマンスや謎解きの要素もある。そ