佐川光晴のレビュー一覧
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金メダルを目指した体操選手が大会で鉄棒から落下し脊椎損傷になる。同じ体育大学で走り幅跳びの元日本記録保持者だった彼女と結婚し、キャリアウーマンに変身した彼女の支えのもと、主夫として二人の娘の父親として暮らしている。妻の父親は「巨人の星」の星一徹さながらの高校バレーボール界に知れ渡る鬼監督。
新体操の日本代表となった美人の長女、「じゃりン子チエ」を地でいくような大阪弁を話す次女、仕事に没頭するキャリアウーマンの妻、そんな昭和40年男の日常が三篇の連作短編で構成されている作品集。
評価としては4.5の作品だが、連作短編のなかに描かれた家族の温かさを評価して、おまけで☆5つにした。 -
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ネタバレ物語全体を覆う謎解き、佐川作品には珍しくミステリー?かと思いきや、謎解き要素はあるものの、やはりそこは佐川光晴、上手くて読ませる職業小説であり家族小説として展開していく。
温かい小説を読みたい鉄道ファンは是非読んでほしい。
交通手段は生活を便利にするためにある。より早くより快適に目的地につくこと、インフラとしての鉄道はそうでなければならない。新幹線、リニア、在来線のオール電化、高速化、トンネルや架橋…そして人口が集中化する以上、過疎地域のダイヤ減少や廃線も営利企業である以上やむを得ず行われる。そして古き良き鉄道の旅の醍醐味やロマンは影をひそめ滅んでいく。
それでも鉄道はまだまだ滅びないだ -
Posted by ブクログ
反戦、厭戦と朝鮮人差別に関する人道的立場からの反発を主眼に置いた小説。
日清・日露の対戦から関東大震災に至る激動の時代に生きた馬橋清作と中学校の社会科教師として現代に生きる清作のひ孫・あさひの物語が交互に描かれる。
清作は日露戦争で心身とも傷ついて帰ってきた父親の姿を見て、徴兵を忌避し、故郷・小松を捨て、岡山県美作で鍛冶職人としての人生をスタートさせる。その手配をしたのは、近所の商家の息子・幸三郎。彼は、文武両道に秀でた青年で、上級生にいじめられる清作を助けていた。
清作は徴兵拒否を許さない兄・栄作の追っ手に怯え、筑豊の炭坑地帯へと移る。地獄と称される炭坑では、日韓併合で日本に来た朝鮮人労働者 -
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「ここはおめえみたいな奴の来る所じゃねえっ!」怒鳴られた初日から10年間、著者は牛の解体の職に従事することになります。「職業を選ぶ」「働き続ける」とは、自分の人生にとってどういうことなのか――。
どうも僕はこういうなんというか、他の人があんまり見向きもしないようなテーマを扱った本のほうに興味が行くようで。
著者は北海道大学を卒業後、出版社に勤めるも、上司とそりが合わずに、ケンカして会社を辞め、転職活動の末に食肉製造の会社に転職し、そこで働いていたときのことを書いたものです。僕も一時期、スーパーの精肉部門でアルバイトしていたことがありますので、少し分野は違うかとは思いますが、本の中に描