佐川光晴らしい、人間に対する愛情を深く感じる連作短編集です。どの登場人物も、自分にまっすぐに生きている姿が印象的です(過去の自分の行動を後悔している人もいますが、彼も自分のありのままの姿を真摯に受け止めています)。
ともすると説教臭い小説になりそうですが、人々の生活の各所に現れる猫たちの気儘な姿や
...続きを読む、その猫に癒され・絆されて、ふと気を許す人々の姿が読後感を暖かいものにしてくれています。
ガラス作家の「ミカズさん」が本当に素敵な方で、こんな大人な男になりたい、とも思いますが、こればっかりはなんとも、「運命次第」というところでしょうか。