佐川光晴のレビュー一覧

  • おれのおばさん
    主人公の男の子が、まっすぐでかっこよかった。「夫婦であり、親であるということは、そんなにも難しいものなのか」。逮捕されたお父さんが弱い人間だから、そういう弱い人って人間関係が近い家庭というものは作れないのかもしれない。
  • 牛を屠る
    家畜というより、哺乳類を解体するという営みは、差別的な視線ではとても覆いきれない、ものすごく永い──人類が人類になる以前から繰り返してきた行為があるわけです。その末に辿り着いた道具の形があって、その道具に潜むポテンシャルを自分が解放できるようになった時の嬉しさといったらないですよ

    この労働観につい...続きを読む
  • おれたちの青空
    札幌の養護施設を運営する恵子おばさんと、縁により移り住むことになった陽介と卓也のその後を描くシリーズ第2弾。
    深い余韻を残すというのは、こういう作品をいうのだろう。三人の人生の選択を誇張することなく、自然な時の流れのように描かれている。個性的でありながら場面に無理がないので、読む者に一種の癒しを与え...続きを読む
  • おれのおばさん
    主人公の陽介は私立の名門中学に通っていましたが父親が横領で逮捕され、母親は住み込みで働かなければならないため施設に預けられることに。その施設での日々をつづった物語です。おれのおばさんというタイトルは、施設をやっている母親の姉(つまりおばさん)から来ています。主人公の成長物語でもありますが、成長し変化...続きを読む
  • おれたちの青空
    「おれのおばさん」の続編。陽介、おばさん、それから同じ施設にいる卓也の視点で物語が展開する連作集です。卓也の複雑な事情はある程度すでに分かっているのですが、あらためて卓也の視点から語られると、その重みに押しつぶされそうになってしまいます。それでも生きていくことを、日々を大切に過ごすことを選んだ卓也に...続きを読む
  • ぼくたちは大人になる
    最初は、重い本だとの印象が強かったのですが、終わりにかけてスピード感が出てきて本当に読んで良かったと思わせる一冊です、
  • 猫にならって
    猫好きの 猫好きによる 猫好きのための小説
    猫は気高く、気負わず、威張らず、いつもありのままの姿で、大切なこと/ものにまっすぐに生きています。あぁ、猫のように生きたい。
  • 猫にならって
    ねこといる事で色々な気付きを得た人々を描いた連絡短編集です。ねこと暮らした事ないですが、飼いたくなる小説です。
    ガラス職人の家の庭に住み着いた4匹の子猫にきゅんきゅんします。
  • あけくれの少女
    おすすめいただいて読んだ 
    次はどんな展開また何かあるのかと読み進めたけれど最後が真記らしくないなーと…
    まぁそれもありか
  • あけくれの少女
    瀬戸内がすぐそばに見える風光明媚な広島・尾道に育った真記の中学から33歳までの20年のこと。

    ただ20年と言えど、とても努力し何事にも一生懸命で、両親の特に父の言葉を忘れることなくすべてにおいて真面目である…と思った。
    けっして愛情がないわけではない両親。
    特に父は「誰にとっても、一度きりの人生じ...続きを読む
  • 猫にならって
    佐川光晴らしい、人間に対する愛情を深く感じる連作短編集です。どの登場人物も、自分にまっすぐに生きている姿が印象的です(過去の自分の行動を後悔している人もいますが、彼も自分のありのままの姿を真摯に受け止めています)。

    ともすると説教臭い小説になりそうですが、人々の生活の各所に現れる猫たちの気儘な姿や...続きを読む
  • あけくれの少女
    人生は山あり谷あり。
    小説ほど波瀾万丈でなくとも、
    誰にでも明けも暮れもある。

    そこをどう乗り切るかは、
    結局、その人の人柄しかない。
  • おれのおばさん
    なかなかありそうにない設定ではあるが
    主人公の「おれ」が
    初めて会う「おばさん」を通して
    成長していく姿に心揺さぶられた

    親はなくても子は育つ
    どころか
    親がない方が子は育つ
    のかもと思わせられた
  • おれたちの故郷
    『おれのおばさん』シリーズ、第一部完結編。全部読み終えた。完結編は、みんな強い絆で結ばれてとても感動した。なくなるかもしれないという養護施設をそれぞれの考えで守るという姿勢。そして陽介は故郷だとおもえる場所を増やす事に力を使いたいと。この先が楽しみだ。
  • おれたちの約束
    『おれのおばさん』シリーズ第三弾。陽介が札幌を離れ仙台に進学した事から始まる。友達にも恵まれる。そして大震災にあう。陽介にできることは何か。ひとりじゃないということ。感動する青春小説。
  • おれのおばさん
    おれのおばさんシリーズの第1弾。平穏に暮らしてた両親と、おれ陽介は、父が浮気と横領をし逮捕された事で叔母が営んでいる養護施設で暮らす事になる。読みやすい文章と軽快な表現ですぐ読み終えた。続きが気になるところ。
  • 猫にならって
    猫がつなぐ人の縁。
    短編8話を通して、愛らしい猫たちが登場します。
    猫が好き、猫と暮らしている方にはおすすめの一冊です。装丁も可愛らしく、とりごえまりさんと言う絵本作家さんが担当されています。

    8話にそれぞれ登場する人物達が数珠繋ぎのように関わり繋がっていくお話の構成が、短編集でありながらストーリ...続きを読む
  • 猫にならって
    連作短編集。猫は全ての話に登場するが主人公という訳ではなく、タイトルから想像した内容ではなかったが、ほのぼのした気持ちになる読後感で面白く読めた。
    著者の作品は初めて読んだが、機会があれば他の作品も読んでみたい。
  • 駒音高く
    ほのぼのとした作品。

    短編集で1話が短いのが不満だったけど、微妙に話がつながっていて、時系列も進んでいく構成。

    すべて読者の期待通りになるご都合主義という内容でもないのが良い。

    最初の話に出てきた優しい少年が、最後に真っ直ぐ育っているのがわかって嬉しくなる。
  • 猫にならって
    【収録作品】ミー子のおしえ/やさしく透きとおる/それぞれのスイッチ/男の子たち/エイミー先生/気になるあのひと/逃げればいい/猫の恩返し

    猫がつなぐ、緩やかな短編。一人一人が自分の居場所を見つけていく。温かい気持ちになれる。