佐川光晴のレビュー一覧
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父親が横領で逮捕され、埼玉の家も処分するため、母の姉の住む北海道へ移住することになった陽介。母の姉の恵子は、寝たきりになった祖母の世話を行いながら、孤児や家庭に問題があって家から出た中高生たちの世話をしていた。親のいない家庭に問題のある少年少女たちと、厳しい恵子との生活の中で、様々な出会いをしていく。
タイトルから、ユーモア小説家と思いきや、親が逮捕されたところからスタート、虐待などで問題のある家庭の人々、離婚など、ちょっと盛り過ぎなんじゃないの?というレベルで色々あるため、割と重め。だが、ストーリーがそこそこ進んでいくため、息をつかせず読ませる。
一方で、時系列が突然戻ったり、会話の直後 -
Posted by ブクログ
盲学校が舞台の将棋小説で、小学4年生の男の子・及川正彦の成長物語でもあります。
実は本作で初めて、目の見えない人でも楽しめる将棋盤と駒があることを知りました。
手で触って駒の種類を判別し、記憶と触ることで戦況を把握、対局を追っていく。
え、そんなこと可能なの……?と、驚きました。
記憶力、理解力、思考力がすごい。
生まれつき視覚障がいのある正彦が将棋の魅力にどっぷりハマり、世界を広げていく。ストイックなまでの努力でどんどん強く、逞しくなっていく姿から目が離せない。
子どもたちが新たに出会う世界に目をキラキラさせて楽しみながら学び、切磋琢磨しながら成長していく様子がいい。
根気強く丁寧に生徒 -
Posted by ブクログ
「禍福は糾える縄の如し」という
格言を小説にしたかのような。
尾道で生まれ育った真記が
思春期に家族との関係を考える第一章。
東京に進学し、得意の英語を使った
観光案内のボランティアを通じて
自分の将来や恋を考える第二章。
第二章のラストに訪れた転機から
看護師になってクルージングに同行し
仕事と人生を考える第三章。
そして4章で今までの出来事が
どれも大切な要素だったと思わせる。
それぞれの章で真記に関わってくれる
周囲の人たちがまたいいんだなぁ。
東京のバイト先の大将とか
船医として一緒に働く外科医の女性とか。
ひとりごとになると広島弁が出る
真記のキャラクターが愛しくて
途中辛いこ