佐川光晴のレビュー一覧

  • 牛を屠る
    【本の内容】
    作家専業となる以前、埼玉の屠畜場に勤めていた日々を綴る。
    「おめえみたいなヤツの来るところじゃねえ!」と先輩作業員に怒鳴られた入社初日から10年半。
    ひたすらナイフを研ぎ、牛の皮を剥くなかで見いだした、「働くこと」のおおいなる実感と悦び。
    仕事に打ち込むことと生きることの普遍的な関わり...続きを読む
  • おれのおばさん
    養護施設『魴鮄舎』。そこは陽介の迫力ある個性的な叔母さんが仕切る場所。エリート一家が崩壊して、ここ北海道の叔母の施設に世話になることになった秀才陽介が、本当の賢さ優しさ逞しさを獲得していく様が小気味よい。本当に中学生?と思うことしばしばではあるけれど。人は困難にあったときが、成長する最大のチャンス。...続きを読む
  • おれのおばさん
    『ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴鮄(ほうぼう)舎に入ることになる。急激な暮らしの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに...続きを読む
  • 虹を追いかける男
    「生活の設計」は先に「牛を屠る」を読んでいた為か、少し冗長な印象を受けた。

    その分「虹を追いかける男」は純粋にたのしめた。スピード感もあって飽きさせない上に、「縮んだ愛」のように終わり方に違和感もなかった。
  • ぼくたちは大人になる
    両親が離婚し母親と暮らす高校3年男子の1年を描いた青春小説。ただの爽やか物語でなく屈折して不安定なこの時期の男子の心情をリアルに描いていて共感する事がたくさん。主人公が成長するエピソードもユニークだし良かった。
  • 「とうさんは、大丈夫」
    ちょっと想像していた内容とは違ったな・・。
    「とうさんは、大丈夫」というタイトルではあるが、内容は全然大丈夫じゃなかったです・・(~_~;)
    真面目な仕事人が陥りやすいと言われる「うつ病」・・
    特に主人公の澤村が仕事に真摯な姿勢を持つ人物だけに、精神が崩壊していくさま?に心を痛めた。
    結局のところ、...続きを読む
  • 縮んだ愛
    障害児学級を受け持つ教師の告白。
    過去の教え子(直接ではない)が暴漢に襲われ意識不明となるが、その容疑で逮捕される。告白を読む限り、彼は犯人ではないのだが、彼は事件当日のことを語らない。
    物凄く想像力をかき立てられる作品である。容疑は事実なのか、誰かを庇っているのか。そして、その真相を想像するのが作...続きを読む
  • 永遠の誓い
    相当面白かった~!
    さりげなくとってもリアルなんだけど、佐川さん特有の雰囲気で
    べちょっとしていないから、嫌悪感がなく読めました。
  • 虹を追いかける男
    二篇。ふとしたことで屠殺場で働くことになった男が、共働きの妻と子どもそれなりに楽しく暮らしているが、自分が働く屠殺場というものに注がれる世間の目に苦悩する。詳細な屠殺描写が必見。もう一篇は、両親の死をきっかけに北海道へ旅した男が、以前は山谷でアングラ演劇をやっていた怪しげな男と出会い、その男の生き様...続きを読む
  • 縮んだ愛
    大学時代の恩師から、お勧めされた作家の初読書。読みやすい文章で、ボリュームとしても薄い方なのでサクサク読んでしまった。
    「わたし」は障害児学級を担任する教師。この小説全体は、「わたし」の元に現れたかつての教え子・牧野(障害児ではなかったが、問題児として有名だった)が何者かに襲われ、意識不明の昏睡状...続きを読む
  • おれのおばさん
    佐川さんの文体はやっぱり好きだ。
    人間は脆いけど、つながった人間は強い。
    人生の巡り合わせ、自分らしく生きること、権利と義務、不遇の中での幸せなど、人生色々を疑似体験させてもらえるような作品。
  • 駒音高く
    将棋にまつわる短編集

    私は将棋が好きなので、より作品を楽しむことができましたが、将棋に興味がない人でも楽しく読める内容なのではないでしょうか

    年齢に関係なく、将棋にすべてを捧げている姿はどの章の主人公もカッコ良かった
    各章がちょっとずつ関わっているのも良かったです
  • あけくれの少女
    バブル世代の女性の話。でも、全然華やかじゃない。苦労苦労の連続。

    親ガチャだと思うけど、それを小学生の頃から冷静に受け止め、真面目に努力して行動する姿は素晴らしい。けど、なんだか心に響かなかった。

    話が進んで面白くなってきたかと思うと、途中で思い出話のように過去に戻ったりと、すんなり話が進まない...続きを読む
  • 主夫になろうよ!
    感想
    どんな形でもあり得る。常識に縛られない。ジェンダーの壁は社会が作ったもの。打ち壊すのは個人。家族の形は柔軟に強かに。
  • おれたちの青空
    『おれのおばさん』シリーズ第2弾。養護施設で暮らす卓也、児童養護施設の運営者おばさん後藤恵子、父が逮捕された陽介のストーリーとなっている。第1弾の比べ勢いはないが心情がよくわかる。これからどうなるのか次回にも期待。
  • 駒音高く
    読みやすい。将棋を指す人は趣味の人もプロもプロを目指す人もいるがそれぞれに物語があり続きが気になる話もある。
  • おれのおばさん
    おばさんがかっこいい。児童養護施設は何かしら訳ありの子達がほとんどだが、主人公の葛藤と心の成長が微笑ましかった。
    「人と人はお互いの何もかもを知らなくてもつきあっていけるのだし、だからこそいつか全てを知っても、それまでと変わりなくつきあい続けられるのだ」刺さる言葉でした。続編があるようなので読んでみ...続きを読む
  • 猫にならって
    猫にまつわる短編連作集。
    のら猫との出会いから、物語がどんどん展開していくのが面白かった。
    「時には、猫のように生きてみる」のも、確かにいいかもしれないと思わせてくれる1冊。
  • 猫にならって
    野生に生きる動物達は何も考えずに与えられた人生(猫生?)を送っているだけ。
    それが案外シンプルで良いのかもしれない。人間も時には猫みたいに決断するのも良いのかも…。
  • 猫にならって
    8篇からなる連作掌編小説。猫の生き方に人は学ぶことが沢山あることを教えてくれる一冊。猫の出番が少なく、盛り上がりに欠けたのが残念。