佐川光晴のレビュー一覧
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物語の舞台は札幌にある児童養護施設『魴鮄舎』
主人公は、父親が愛人に貢ぐために横領して逮捕されたせいで名門中学を退学し、母親とも別れて暮らさなければならなくなった陽介。
『魴鮄舎』は母親の姉ではあるが、パワフルすぎてアンタッチャブルで疎遠になっている恵子おばさんが経営してるのだった。。。じゃじゃーん。
母親とおばさんの生き方、考え方の違い、思いのすれ違い、でもそれぞれが自分の道を懸命に生きている。
フツーはこんな父親とはさっさと離婚、と思いきや、この陽介の母は離婚せず、家を手放し、息子を仲たがいしている姉に頭を下げて託し、住み込みで働きつつ、夫の刑罰軽減のために奔走し、借金返済の道を選ぶんですよねぇ・・・あ、ありえんっっ!!!
しかも、陽介がまた幼い少年らしく泣いたりするわりには、賢さの賜物なのか、妙にしっかりといろんなことを考えたりするのだ。そのアンバランスさが中学生らしいというか・・・、なかなか興味深いものがある。
そして、自分や母親をこんな目に合わせた父親をどうしても憎めないのですねー。優しい父親らしいです。
そんな父親が単身赴任先では愛人にマンション買ってあげるために横領までしちゃうんだから、人間ってホントわからないですよねー。うわー、コワコワですぅ~ww
とはいえ、人は逆境に陥ってこそ真価を発揮するもの。
困難にあったときこそ、成長する最大のチャンス!
な~んて、まったく簡単なことではないけれど、そしてこんな理不尽な目には遭いたくもないけれど、順風満帆な人生なんて、ちょっとつまらないと思いません?w
また『魴鮄舎』には、いろんな仲間がいる。問題も起きる。でも、仲間と、支援してくれる人と一緒に、それらをも受け入れ、時には立ち向かい、糧としていくのだ。
負けない、折れない。
でもそれは自分の力だけでなく、必ず誰かの助けがある。具体的な手でなくても、いつかの誰かの言葉だったり、いつかの誰かとの思い出だったり、読んだ本の中にあった言葉だったり。
そんなこんなでいろいろあるけど、ここはひとまず大団円・・・とはならない。おばさんはラストになってまたまた唐突な宣言をするw
いくら頑張ってやってても、自分に嘘をついて生きているんじゃしょうがない!
なーんて思ってはみても、なかなか実行には移せなかったりするものですが、このおばさんはあくまでもパワフル!一度きりの人生、体を張って生き抜くつもりのご様子、波乱万丈どんとこいっ!ってなもんですww
あれ?前評判が高かったせいか、読んでる時は「それほどでも?」って感じでしたが、結構語っちゃってますねww
「おれのおばさん」には続きがあるみたい?
とりあえず続けて読んでみよ~っと♪ -
Posted by ブクログ
陽介は名門中学で勉強に勤しむ14才。過保護気味の母と銀行員の父と3人で破綻の無い人生を送っていたはずだった。
ある日父が業務上横領で逮捕される。3,500万円を着服し、愛人に1,000万円のマンションを購入。残った2,500万円を運用し穴埋めしようと画策するもリーマンショックの影響で全て水の泡と変わった。
陽介は母と犬猿の仲の叔母に預けられる。
叔母は北海道で児童養護施設の寮母をしている。
叔母は穏やかで上品な母と違い、とにかく豪快でユニーク。
寮生と野球拳をやろうとして止められたり、ミスで割れてしまった卵を使ってホットケーキ大食い大会を開催するなど豪放な人物。
かつては医大を中退し劇団を立ち上げたりと若いころからパワフルだったようだ。
陽介は自分を律して、施設暮らしとはいえ学力を下げない様に日々勉学に勤しむが、高飛車な所は無く、仲間たちと楽しく生活をする。
親友とも言うべき施設で暮らす卓也とも心を通じ合わせる。
さまざまな事件が勃発するが、皆、心優しい責任感のある大人の協力で乗り越えて行くので有った。
そんな中で芽生えた淡い恋、親へ反発、また感謝が彼を成長させていくのでありました。
この陽介君、秀才なのですがそれを鼻に掛けた所は無く、さりとて自分自身はしっかり持っているという素敵な男の子で。
さらに寂しさや不安で泣いてしまったり、好きになった女の子と一緒にいるだけで頭おかしくなってしまうくらいうれしくなってしまったりと母性本能もくすぐる要素が有ります。かわいいですね。
母は父親と離婚せず、父の更生を手助けし、金を一緒に返すという決断をするのですが、駄目おやじと30年会っていない私としてはそんな男見捨ててしまえ!と冷たい思いで見てしまいますが、人生いろいろですね。
続編有るみたいなので機会があったら読みたいです。 -
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小説家でもあり、主夫でもある、兼業主夫を営む著者。
ここ最近、女性の活躍に関する話題や育児世代を対象としたキュレーションサイトの増加から、「主夫」に関する記事や記述も多くみられるようになり、「主夫」本も多く発行されるようになっています。
この著者もずいぶん前から「主夫」だったと思うのですが、たぶん、以前から主夫という存在もまた社会のマイノリティとして影を潜めていて、ようやく少しずつ表舞台に出られるようになってきた(需要が高まってきた)ということなのかもしれません。
長年、主夫を営んでいるだけあって、佐川さんの言葉はどれも説得力のあるものになっています。
主夫のお悩み相談室と題した最初のQ&A集は、これから主夫になる人、なりたての人にとって、とても心強いものになります。
また、主夫コラムとして連載されていた「主夫のつぶやき」もまた、謙虚な語り口ながら、家庭のことをとても大切に思う気持ちが込められ、主夫としての「仕事」の面白さ・大切さを伝えています。
日本のフェミニズムの大家、上野千鶴子氏は女性の家事労働の社会的評価の低さに対し、「人を生み、育て、そして老いたときに看取る」という最も尊ぶべき行為がなぜ、社会の最下層のものとして置かれなければならないのか、と問題提起をしています。
「主夫」である自分を、周りの人や社会がどう評価するかは分かりません。
でも、それはとても尊い仕事であり、自信をもって行ってよいものだと思います。
それは、主夫であっても主婦であっても関係ないですね。
家事や育児をこなし、日々の生活を営んでいるすべての人にお勧めしたい一冊です -
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これは楽しい!「牛を屠る」が面白かったので、タイトルにもひかれて読む気になった。肩肘張らない書き方で、すんなり読んでいける。「おれのおばさん」シリーズ作者による「主夫生活のすすめ」はとても具体的で、実践の中から出てくる言葉がしみじみあたたかい。
小学校の先生である妻と二人の息子、四人家族の家事をほとんどすべてやってきたのだそうだ。時には同じ敷地内に住む奥さんのご両親にもごはんを持っていくという。その姿は、ほんとにありふれたごく普通の「主婦」と同じ。そこがいいなあと思う。
「男のナントカ」的にあれこれ能書きを垂れるのでなく、家事を煩わしいものとして「合理化」のワザを語るのでもなく、「丁寧でエコな暮らし」を提案するのでもない。家族が機嫌良く暮らしていくために、必要なこととして家事をする。考え方として、また行動として、このシンプルさが基本にあるところが実に良いのだ。
そしてまた、子育てについても、なるほどなあと思うことがいろいろ書かれている。世のフツーのおとうさん方と違って、子供に関わる時間が圧倒的に多い(PTAも長期休みの相手も担当)著者が、どういう思いで子育てをしてきたかが随所で出てくる。わたしが一番「そうだよね~~~」と思ったのは、「主夫のお悩み相談室」の次のところ。
Q 子どもがぐうたらしてばかりで将来が不安です。どう言えばやる気を出すでしょう?
A 可愛い子にはぐうたらさせよ! 嫌でもがんばらなくてはならないときは来ます。小学3、4年生ぐらいまでは、圧倒的にのんびりした時間を過ごさせよう。( 中略 )子どもの頃にたっぷり休み、学生のころは好きなことをしてさんざん親に心配かけた経験が、大人になって効いてきます。自分が親になったときに、「今度は自分が子どもの世話をする番だ」と受け入れることができる。
いやほんと、わたしなんかまさにこれだなあ。何をするでもなくのんきに過ごしていた子どもの頃や、いっぱしにものを考えてるつもりで好き勝手してた学生時代。ああ恥ずかしいと思ってきたけれど、あれがあってこその今なのだと、なんだかとても胸に落ちるものがあったのでした。別のところの次のくだりにも深ーく共感した。
「大人になってからつくづくおもうのは、子どものころは実にのん気にしていたということで、息子たちにもその気分を味わわせてやりたくて、わたしは日夜家事と仕事に奮闘しているのである」
サラリと語られる経歴からも、真面目だけれど妙なこだわりのない著者の人となりが伝わってくる。この本のもとは北海道新聞での連載で、東京生まれの著者と北海道を固く結びつけたのが、北大恵迪尞での「組んずほぐれつの生活」らしい。恵迪尞を舞台にした小説もあるようなので、読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
父親が横領で逮捕され、名門中学退学を余儀なくされた陽介。
母の姉である児童養護施設を運営するおばさんに預けられる。
そこで出会った仲間たちに助けられながら、色々なこと学びながら、将来の夢も諦めない陽介はたくましい。
作中の『人と人はお互いの何もかもを知らなくてもつきあっていけるのだし、だからこそ、いつかすべてを知っても、それまでと変わりなくつきあいつづけられるのだ』という一節が心に残った。
ここでは言い切ってあるけど、これって意外と難しいことじゃないかなって気もする。
だけど、みんな頑張って生きているって感じられる作品って好きだなぁ。
続編も読みたい!
2014.12.21 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
作家専業となる以前、埼玉の屠畜場に勤めていた日々を綴る。
「おめえみたいなヤツの来るところじゃねえ!」と先輩作業員に怒鳴られた入社初日から10年半。
ひたすらナイフを研ぎ、牛の皮を剥くなかで見いだした、「働くこと」のおおいなる実感と悦び。
仕事に打ち込むことと生きることの普遍的な関わりが、力強く伝わる自伝的エッセイ。
平松洋子氏との文庫版オリジナル対談を収録。
[ 目次 ]
1 働くまで
2 屠殺場で働く
3 作業課の一日
4 作業課の面々
5 大宮市営と畜場の歴史と現在
6 様々な闘争
7 牛との別れ
8 そして屠殺はつづく
文庫版オリジナル対談 佐川光晴×平松洋子―働くことの意味、そして輝かしさ
[ POP ]
2009年に解放出版社から刊行された『牛を屠る』が文庫化。牛や豚の解体作業を通して、働くこと、生きることの本質に迫る。
巻末に、佐川光晴と平松洋子との対談(文庫版オリジナル)を収録。
人生は流れであるという感覚について、「のめり込んでいた場所でできる限りのことをやったら、次の世界が始まっていく」という著者の言葉は説得力がある。
「自分の手と直結した何かを使って働」(平松)いたからこそ紡げる言葉があると知る。
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]