佐川光晴のレビュー一覧
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猫に関わった人たちの、それによって変わっていく物語。
猫って、賢く、愛情深いから。
1編目のミー子が芳子を変えてくれたことが全ての始まりなのね。
2編目のミカズは、最初は好きになれないタイプかと思ったんだけど、話が進む中に何度も登場していって、ああ、この人も猫との関りの中で大きく変わったのだ。
気がかりなのは、チビのその後かな。
でも、きっとしっかり生きたはず、と信じたい。
兄妹たちがもらわれた行って家出をして、でも、それは心が折れたからではないと信じたい。
最後、あの人があったのが、その子孫かはわからないけれど、そう信じてみるもも素敵かもしれないと思う。
ただ、この作品に限るのか、そういう癖 -
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母校である百瀬中学校に校長として就任した柴山緑郎
通称 “シバロク”
47歳の若き新米校長の奮闘記
前任の校長は、市長の教育政策により採用された民間人校長だった。
しかしその政策は早々に失敗し、学校は荒れ放題。
引き継ぎもないままに、後を任されたシバロクだが、どう立て直していくのか。
民間人校長の実態や、先生達の忙しい日々、校長の重責等、なかなか興味深い。
へぇー、と思ったのは、中学の教員は男性の方が多く、女性なら体育会系の身長の高い方が採用されやすい事。
小学校は女性の教員が多いらしい。
今もそうなのかな。
そして、
窓ガラスが何枚も割られる
ドアが壊される
タバコの吸い殻……
と、 -
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ネタバレ中学受験の題材となったとのことで息子と読んでみた。
太二という少年を取り巻く人々のストーリー短編集。
太二の年長から中学卒業までのほぼ1話ずつの構成となっており、全体を通して太二やその周囲の成長が描かれており、読み終わったあとには爽やかな風が吹き抜けるような、清々しい気持ちになれる作品。
主人公の太二は品行方正、文武両道の理想的な男の子。こんな出木杉くん・・・すごく理想的だけど、リアルで出会うことはまぁないな。。。息子も同じ意見らしく二人で「優等生すぎ〜」とツッコミながら読み進めた。
私がこの本で一番ありがたいと思ったところは、登場人物の行動の裏付けとなる行動動機や思考の段階が省かれずに描かれ -
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ネタバレ良くありそうで、なさそうなお話。父親が横領で逮捕され、おばさんのもとに預けられることになった中2の陽介。おばさんは児童養護施設に訳あっていられなくなった中学生14人の暮らすグループホームを営んでおり、そこに暮らす卓也や健司、ありさ、奈津と共同生活を送ることになる。
まず感じたのは、陽介のおばさんの器の大きさ。中学生って自分の子どもでさえもてあますような、大変な思春期真っ只中なのに、14人も面倒を見る。いやいやすごい。大量の卵が割れてしまった時に、ホットケーキ大食い選手権をしたり、子どもが施設に入っている事情を教師がうっかり保護者に漏らした時には正面切って学校と対決したり、夏休みに子どもたちを奄 -
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何かタイトルから、思春期の少年がきれいな叔母さんにあこがれるみたいな話かと思いきや、そういうおばさんじゃなかった。父親が会社の金を横領して捕まって一家離散状態になり、埼玉から札幌で児童養護施設をやってる母の姉に預けられた少年の話。
わりと冒頭で自分で自分のことを考えるときの一人称が「ぼく」から「おれ」になったって話が出ていて、「おれ」になったのは立ち向かわないといけない状態になったからみたいな主人公の思いが書かれていて、なるほどなと思った。
東大進学率も高い私立の進学校に通っていた主人公が、頭がいいだけでなくけっこういい人だった。思春期の頃ってもっと仏頂面だったり頑なだったりしそうだけど、わり