社会で生きることの問いと結論を描いた物語二編。
佐川光晴作品は『金色のゆりかご』に続き2冊目。
屠殺場で働く自分自身への自問自答と説明を描いた『生活の設計』は、自答な文章なだけにやや堅苦しい印象を受けた。
しかし内容は面白い。
一種の新書や教科書を読んでいる説明文で、屠殺場の世の中の偏見を訴えてい
...続きを読むる節も感じる。
表題作の『虹を追いかける男』も面白い。
不器用な人間の過去と今後の生き方を描いていた。
人物の心情を深く掘り下げた作品が好きな私にとっては、説明口調が残る文章にやや物足りなさを感じる。
でも無意に掘り下げないからこそ、その人物達と物語構成が際立つ作品もある。この本は後者に当てはまる作品だと私は感じた。