佐川光晴のレビュー一覧

  • あたらしい家族

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    内容(「BOOK」データベースより)

    医学部入学を目指し大学浪人中のアキラは、いとこの善男が営む老人グループホーム「八方園」に下宿することになる。三十半ばでバツイチ、元役者、めっぽう口が悪くて老人たちを婆ぁ呼ばわりする善男だが、なぜかホームに暮らすみんなからの信頼は厚い。赤の他人ながら共同生活を送るうち、彼らは互いにかけがえのない存在になっていく。著者の代表作『おれのおばさん』に繋がる連作短編小説。

    なかなかの佳作である「おれのおばさん」のスピンオフで、おばさんの別れた旦那の話です。アナザーストーリーではありながら元ネタ読んでなくても十分楽しめる内容で、家族という単位のあり方を描きたかっ

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    2017年10月29日
  • あたらしい家族

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    『おれのおばさん』に続くお話。
    医者を目指す浪人中のアキラは、従兄の善男が営む「八方園」に下宿しながら、手伝いながら…
    そこには7人のお婆さんが生活している。
    その後も色々と人が加わってくるのだが、
    あとがきにもあったように、まさしく「八方園」での形は『あたらしい家族』である。
    今後、現実にもこんな形の施設が出来てくるのでは?と予感させるようなお話だった。

    2017.5.20

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    2017年05月20日
  • 主夫になろうよ!

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    家庭での仕事は、どちらかが負うのではなく、
    両方ができたほうがいい。
    掃除、洗濯、料理は、
    家族の健康、家族のシアワセにダイレクトに繋がる仕事。
    やるほどに頭も使い、感性も鋭くなり、技術も上がる。
    「自分が作ったもので、子供が大きくなる」
    これほどのやりがいはない。
    男性側の視線で主婦(主夫)の仕事を見直されると、
    ないがしろにされている、当たり前だと思われている家での仕事の多くが
    それこそ自分にしかできない、意味のある仕事なのだと分かる。
    「作家という職業だからできるんでしょ」と関係ないものと思わず
    自分だったらどう対応するか、と考えるところからはじまる。
    なんにしてもゴハンひとつも作れない

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    2017年01月26日
  • ぼくたちは大人になる

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    勉強もスポーツもできる医学部希望の高校三年生・達大。顔もいいので、女子高生たちの密かな憧れでもある彼だが、性格はかなり屈折している。正義感が尖り過ぎていて、その言動が周囲を傷つけるのだ。18歳の少年が、本当の大人になる前の挫折と揺れる心、そして新たな出発を描く青春小説。
    人間の価値は、いかに他人との違いを見出だせるかである。本当の大人はそれを組織の中で活用するが、子供の場合、自分の利益にしか使えない。協調できず挫折することもあるが、それも大人の階段の一歩である。

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    2016年09月18日
  • あたらしい家族

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    『おれのおばさん』シリーズ外伝。老婆ばかりの老人グループホーム「八方園」に下宿することになった大学浪人中のアキラ。彼の視点で、ホーム経営者の後藤善男と老婆たちの不思議な共同生活を描く。
    何とも賑やかな毎日から、一転して一人の老婆の死亡、そして新しい家族の誕生。慌ただしくも、そこにはお互いの信頼と敬う気持ちが垣間見れる。存在を認めることが、家族の正しい姿なのかもしれない。

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    2016年07月04日
  • 山あり愛あり

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    人と出会うタイミングってやはり出会うべくして出会うのでしょうか。やりたい事とやるべき事も違うのかも。これを読むとこれから出会える人が、どんなタイミングでどんな人を連れてくるのか楽しみになります。

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    2016年03月06日
  • あたらしい家族

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    佐川さんは、以前『おれのおばさん』を読んでましてこれで2冊目。
    この作品は『おれのおばさん』続編にあたります。とはいえ『おれのおばさん』の内容はすっかり忘れてるのですが。

    なかなか面白い人物設定です。役者崩れの年の離れたいとこの善男と彼が面倒を見る8人のしたたかな婆さんたち。そこに飛び込んだ浪人生の主人公・アキラ。それだけでも面白い。
    でもちょっとガチャガチャした雰囲気がありますね。そこが欠点かな。

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    2016年05月15日
  • おれのおばさん

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    都内名門中学に通う主人公が、父親の不倫→横領→逮捕で叔母の児童養護施設に急遽預けられる所から物語が始まる。冒頭で自分を表す一人称の話が興味深い。本来''ぼく"であった主人公が"おれ"と言わなければならない程人生が変わってしまうが、色々な過去を持つパワフルな叔母や児童養護施設の仲間等と触れ合ううちに少しづつ成長していく様に心打たれる。身勝手な大人に振り回されても子供達は必死で生きているのだ。ラスト1行の叔母へのエールは成長した"本当のおれ"と言う意味で胸熱くなった。

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    2015年11月10日
  • おれたちの青空

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    前作のおれのおばさんの続編。前回主人公の陽介は最後だけ。スピンオフ的なものでなかなかに青春なのと、おばさんの過去がちょっとわかった。
    皆旅立ったのでこの後は無さそうだな。

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    2015年10月12日
  • 永遠の誓い

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    ほんわか恋愛ものかと思って読んだら、意外とハードな面もあり、可愛い嫁と、新米教師の夫がほんとの夫婦?になっていく姿と、いった話だった。子どもが出来て、ベテラン教師になってからの二人を読んでみたいかも。

    再読。
    全く覚えてなかった…。
    テンポの良い会話に引き込まれてサクサク読んだ。
    新婚さんが夫婦になっていく感じ。

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    2018年02月24日
  • 主夫になろうよ!

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    理屈でなく現実に、子供を育て、掃除洗濯をし、料理をつくりながら、小説家として主夫を実践している佐川氏の、屈託なく、前向きで、すがすがしい実践を基にしたエッセイ。
    半面、主夫の生き方に感心するということは、女性で同じことを実践している人(主婦で仕事を持っている人)が現実には多いかもしれない現実を思うと、男性という性はまだまだなんだと実感する面もある。

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    2015年08月26日
  • おれたちの青空

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    『おれのおばさん』の続編。
    児童養護施設で育つ子供たちの成長と施設を運営するおばさんの過去を回想する三作。
    子供たちはそれぞれの過去や現状の中、強くたくましく育っていく。
    そして施設を旅立つ日がやってくる。
    強い絆で結ばれていることが伝わり、温かい気持ちになれる。

    2015.5.10

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    2015年05月10日
  • 主夫になろうよ!

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    主夫になるには!主夫歴数十年の佐川氏によるハウツウ主夫。
    こんなふうに、さらり(見てくれや、自分の立ち位置にウロウロしない)とやっていける人でなければ、主夫は難しい。
    社会の制度だけでなく、本人や周りの意識改革のほうが必須なんだろうなあ。

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    2015年05月01日
  • 主夫になろうよ!

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    奥さんが学校の先生で日々忙しくされてる。
    そして著者は、もちろん作家。そして主夫。
    こういう作家さんもいらっしゃるんだな~
    出来る方がやればいいのです。そしてそれを自然に出来るって凄い事。
    羨ましい夫婦です。
    面白くてサクサク読めました。

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    2015年04月21日
  • 牛を屠る

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    作者が作家になる前に勤めていた埼玉の屠畜場での日々を綴る自伝的エッセイ。
    職業的に、差別問題や命のあり方に重きをおかれそうだが、職の尊さをテーマにしているので、親近感を覚える作品だ。
    大卒の作者が、初日に先輩から「おめえみたいなヤツが来るところじゃねぇ!」と怒鳴られてから10年間、職を全うした経験をは、今の新人社員やこれから職業に就く若者に是非読んでほしい。

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    2014年09月21日
  • おれたちの青空

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    ネタバレ

    「おれのおばさん」の続編ですが、短編式で3作収録されています。
    主人公は父親の逮捕が原因で養護施設に預けられるが、そこで多くの事を学んで成長していく。
    今回は養護施設を立ち上げた「おばさん」の話と、主人公の仲間の過去と成長の話と、主人公のその後を描いていて、内容は感動もあるが、短編だけにあまり満足感が得られなかった気がします。
    これの続編も出ているのでそちらも読みたいと思っています。
    最後に、施設と言うと暗いイメージが多いと思うのですが、こちらは愛情あふれる施設(実際にそういうところがあるかはわからないが)で、そういう場所がたくさん存在すれば救われる人がたくさんいるだろうと祈る気持ちと希望が湧

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    2014年05月10日
  • おれのおばさん

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    中学生が大人になっていく過程の、成長物語、かなぁ。
    あの事件が起こらないまま成長したら主人公はちょっと鼻持ちならない大人になっていてもおかしくないけど、周りの人たち(大人も子どもも)のいろんな事情を知って、たくましくなったんじゃないかな。

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    2019年05月26日
  • 「とうさんは、大丈夫」

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    仕事熱心で家庭でもよきお父さんである児童福祉士の主人公がある出来事をきっかけにだんだんとうつ症状に陥り理想と現実の中で妄想にさいなまれ病んでいく。ただこの主人公には支えてくれる家族、奥さん子供達がいたから、ギリギリでのところでなんとか持ちこたえることができた。これって現実社会の一端なの…と気分は沈む。

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    2013年06月10日
  • 虹を追いかける男

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    社会で生きることの問いと結論を描いた物語二編。

    佐川光晴作品は『金色のゆりかご』に続き2冊目。
    屠殺場で働く自分自身への自問自答と説明を描いた『生活の設計』は、自答な文章なだけにやや堅苦しい印象を受けた。
    しかし内容は面白い。
    一種の新書や教科書を読んでいる説明文で、屠殺場の世の中の偏見を訴えている節も感じる。

    表題作の『虹を追いかける男』も面白い。
    不器用な人間の過去と今後の生き方を描いていた。
    人物の心情を深く掘り下げた作品が好きな私にとっては、説明口調が残る文章にやや物足りなさを感じる。
    でも無意に掘り下げないからこそ、その人物達と物語構成が際立つ作品もある。この本は後者に当てはまる

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    2012年03月25日
  • 永遠の誓い

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    今回の佐川さんの小説は、著者の地元を舞台に、ある教育一家に生ずる波紋を巧みな設定で描いている。フィクションだけれど、かなり知り合いのキャラクターや家族関係が投影されているような色合い。 埼玉県の公務員から希望して中学校教師に転じた男と教育一家に育った保育士の妻。著者の住む埼玉県志木市を舞台に、若い教員家庭の平穏だったはずの新婚生活に、学校教育の現場で生じたトラブルが思わぬ波紋を投げかける。 勤務先の中学校で起きた事件がどう展開していくのか、はらはらする場面もあるけれど、平穏な解決へと向かうと知って一安心。これは展開次第では通俗的なサスペンス小説にもなりうるような、、、そうならないところが佐川さ

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    2011年07月16日