佐川光晴のレビュー一覧

  • 猫にならって
    モモに乗っかったネコの温もり感じながら、「あるある、えー」とつぶやきながら読破。「猫を飼っていることを条件に部屋を貸す」なんて素敵なアイデア。どっかでやってそう。「たまに猫になるのが夢」「我関せずという猫のたたずまいに救われる」「気まぐれな猫に付き合うには精神的なゆとりがなくちゃいけない」「なにもの...続きを読む
  • おれたちの約束
    高校生になった陽介。父親が服役中であることは隠して、勉強に邁進する高校生活を一人静かに送るのかなと思っていたら、意外や意外、友だちに恵まれて楽しい寮生活をすごし、ひょんなことで父親のことを学年全体の前で話すことになる。そんな風に楽しく高校生活を送れると思っていなかったので、なんだか嬉しい。そんな陽介...続きを読む
  • おれたちの青空
    物語だけど、どこかノンフィクションぽく、人と人との関わりが濃くて面白い。
    おれのおばさん、の続編。
    同級生の卓也の今まで、おばさんの大学〜おばさんになるまで、タイトルの陽介の高校受験にまつわる今後への話は20ページほどの3編。卓也の境遇、思い、人への優しさなど深くわかる。

    おばさんは大学時代からの...続きを読む
  • 駒音高く
    ほのぼのとした読後感の短編小説集。
    将棋を題材というより、将棋に関係した人を題材にしている。
    登場人物は多彩だ。将棋会館の掃除を担当する初老の女性、将棋に打ち込む少年少女、将棋担当の新聞記者、還暦を超えた棋士、等。
    将棋を知らなくても楽しめるだろうけれども、将棋界のことをある程度知っていると、楽しみ...続きを読む
  • 牛を屠る
    屠殺、というものに興味をもったのはいつだったか。
    品川(芝浦)のことを知ったのは何気なく写真集を手に取ったのがきっかけだったように思うし、岐阜の養老のことも知識としては知っていたし地形や社会史との関係で解釈していた、ただし実作業工程までは当然わかっていなかった。

    屠殺場で働くきっかけを「偶然」と表...続きを読む
  • 牛を屠る
    なんとも読み応えのある、屠畜の仕事の貴重な体験談。初っ端から引き込まれる。
    入り込むことのできない世界を見せてもらった。著者のいた大宮と、機械化が進んだ芝浦との違いも興味深かった。関連書籍を読んでいきたい。
  • 牛を屠る
    解放出版社版を読んだ。表紙がよりリアル、かな。
    この手の内容の本は初めて読んだ。淡々とリアルで、違和感を感じる以前にグイグイと読み終えてしまった。被差別部落・云々に関しては、恥ずかしながら知識が無いので浅い読書しか出来ていないのだろう。同系他者の著書とは食い違う現実が描かれているようだが、どれも恐ら...続きを読む
  • おれたちの約束
    随分長い事積読したものだ
    しかし、読み始めたら一気に読んでしまった
    今回は、おばさんとの再会は無しか
    続刊も既に文庫化されている様だし、もう少し楽しめそうだ
  • 鉄道少年
    幼少期の記憶がないのは辛いけど、鉄道を通して愛され、育てられた鉄童と呼ばれた存在だったことが分かっていく。
    大人になり、変わらず鉄道を愛し、新幹線の整備士になり、結婚し、幸せになって本当によかった。
    と、国鉄の古き良き時代も味わえた。
    特に鉄道ファンではないけど、郷愁というか、切ない感じが良かった。...続きを読む
  • おれのおばさん
    ある日突然自分を取り巻く環境が変わる。

    小公女ならずとも、むかしからよくあるテーマだけど、この主人公が平凡なようでいて、なかなかにスーパー中学生なので、そこがいい。

    変に卑屈にならず、賢いので自分を取り巻く環境に自分をうまく適応させることができる。

    タイトルの「おれのおばさん」もすごいけど、主...続きを読む
  • おれたちの約束
    素直に陽介や卓也の成長が気になり読んでしまうシリーズ。今回の作品は震災も絡み、当時の東北の状況をあらためて思い起こさせてくれた。
  • おれのおばさん
    おばさんの運営する養護施設に住む羽目になってしまった中学生の話なのだが、周りの人々と交流しながら、前向きにたくましく成長して行く姿に引き込まれた。続編もすぐに読みたい。
  • 主夫になろうよ!
    いろんな夫婦のカタチがあっていいと思えました。

    また、夫婦どちらも仕事も家事もできる方が何か起きても家族の生存力が高いっていう意見にも納得です。
  • 日の出
    主人公の生き方に深く共感を得、考えさせられる物語である。

    人生において大切なことを幸三郎は言う~~
    【本文より】
     「大切なのは、努力を怠らないまじめさと、どんなときでも冷静な思考を保つ精神力なんだ。」
  • 日の出
    清作から曾孫のあさひへと続くファミリーヒストリー。
    もう一人の主役幸三郎は作者の祖父がモデルとか。
    日本と韓国との歴史的問題提起もあっていろいろ考えさせられる。
    何が正しいのか判断出来る教育の大切さを思う。‌
  • 大きくなる日
    子供の成長を疑似体験でき小説。山あり谷ありなのよね。それが楽しいんだよね。なんでも一緒だ。立ち止まったら終わり。
  • 大きくなる日
    四人家族の横山家を中心に、少年と家族の心の成長を瑞々しい筆致で描く家族小説。
    子供の成長は早い。本編の太二少年も、自らを「都営地下鉄三田線」と名乗っていた幼少期から、あっという間に高校受験。多くの人々との出会いを重ねて一人の人間を形成していく。この小説のいいところは、少年だけでなく家族の成長もリアル...続きを読む
  • あたらしい家族
    おれのおばさんシリーズは大好き←うろ覚えだけど(^_^;)もう一度読み返したいと思う。
    アキラの存在もいいし、善男と婆さんたちのやりとりがいい!
    善男が善男っていう名前なのもいい。
    有里が善男をゲットする様もいい。
  • 鉄道少年
    プロローグから第二話まで、鉄童と呼ばれていた時のゆかりの人を訪ねる話が続き、このまま記憶を取り戻す旅が続くのかと思っていたら、良い意味で裏切られた。まるで転轍機で別の路線へ進むように妻・友紀子との日常や、雑誌「鉄道の友」編集者との交流が語られる。特に「鉄道の友」に寄せられた6巻のカセットテープを聞く...続きを読む
  • おれのおばさん
    「人と人はお互いの何もかもを知らなくてもつきあっていけるのだし、だからこそ、いつかすべてを知っても、それまでと変わりなくつきあいつづけられるのだ。」

    父の横領が発覚し、進学校を退学、一家は離散。この理不尽な状況を嘆くのではなく、自分を客観視し、すぐに行動にでる主人公。それは彼が置かれた環境が、児童...続きを読む