佐川光晴のレビュー一覧

  • 牛を屠る

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    作者が作家になる前に勤めていた埼玉の屠畜場での日々を綴る自伝的エッセイ。
    職業的に、差別問題や命のあり方に重きをおかれそうだが、職の尊さをテーマにしているので、親近感を覚える作品だ。
    大卒の作者が、初日に先輩から「おめえみたいなヤツが来るところじゃねぇ!」と怒鳴られてから10年間、職を全うした経験をは、今の新人社員やこれから職業に就く若者に是非読んでほしい。

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    2014年09月21日
  • おれたちの青空

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    ネタバレ

    「おれのおばさん」の続編ですが、短編式で3作収録されています。
    主人公は父親の逮捕が原因で養護施設に預けられるが、そこで多くの事を学んで成長していく。
    今回は養護施設を立ち上げた「おばさん」の話と、主人公の仲間の過去と成長の話と、主人公のその後を描いていて、内容は感動もあるが、短編だけにあまり満足感が得られなかった気がします。
    これの続編も出ているのでそちらも読みたいと思っています。
    最後に、施設と言うと暗いイメージが多いと思うのですが、こちらは愛情あふれる施設(実際にそういうところがあるかはわからないが)で、そういう場所がたくさん存在すれば救われる人がたくさんいるだろうと祈る気持ちと希望が湧いてきました。

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    2014年05月10日
  • おれのおばさん

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    中学生が大人になっていく過程の、成長物語、かなぁ。
    あの事件が起こらないまま成長したら主人公はちょっと鼻持ちならない大人になっていてもおかしくないけど、周りの人たち(大人も子どもも)のいろんな事情を知って、たくましくなったんじゃないかな。

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    2019年05月26日
  • 「とうさんは、大丈夫」

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    仕事熱心で家庭でもよきお父さんである児童福祉士の主人公がある出来事をきっかけにだんだんとうつ症状に陥り理想と現実の中で妄想にさいなまれ病んでいく。ただこの主人公には支えてくれる家族、奥さん子供達がいたから、ギリギリでのところでなんとか持ちこたえることができた。これって現実社会の一端なの…と気分は沈む。

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    2013年06月10日
  • 虹を追いかける男

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    社会で生きることの問いと結論を描いた物語二編。

    佐川光晴作品は『金色のゆりかご』に続き2冊目。
    屠殺場で働く自分自身への自問自答と説明を描いた『生活の設計』は、自答な文章なだけにやや堅苦しい印象を受けた。
    しかし内容は面白い。
    一種の新書や教科書を読んでいる説明文で、屠殺場の世の中の偏見を訴えている節も感じる。

    表題作の『虹を追いかける男』も面白い。
    不器用な人間の過去と今後の生き方を描いていた。
    人物の心情を深く掘り下げた作品が好きな私にとっては、説明口調が残る文章にやや物足りなさを感じる。
    でも無意に掘り下げないからこそ、その人物達と物語構成が際立つ作品もある。この本は後者に当てはまる作品だと私は感じた。

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    2012年03月25日
  • 永遠の誓い

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    今回の佐川さんの小説は、著者の地元を舞台に、ある教育一家に生ずる波紋を巧みな設定で描いている。フィクションだけれど、かなり知り合いのキャラクターや家族関係が投影されているような色合い。 埼玉県の公務員から希望して中学校教師に転じた男と教育一家に育った保育士の妻。著者の住む埼玉県志木市を舞台に、若い教員家庭の平穏だったはずの新婚生活に、学校教育の現場で生じたトラブルが思わぬ波紋を投げかける。 勤務先の中学校で起きた事件がどう展開していくのか、はらはらする場面もあるけれど、平穏な解決へと向かうと知って一安心。これは展開次第では通俗的なサスペンス小説にもなりうるような、、、そうならないところが佐川さんか。 なぜか、しゃべる言葉が第三人称的になる若妻の口調が可愛いらしさを強調して印象的。

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    2011年07月16日
  • 虹を追いかける男

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    著者のデビュー作である『生活の設計』(2001年1月、新潮社刊)と『虹を追いかける男』(2003年6月、双葉社刊『極東アングラ正伝』を改題)の2編を収録。どちらの作品も、作家・佐川光晴の創作の背景がうっすらと見えてくるような内容。もっとも、これまで読んだのは数作品にすぎないのだから、大きなことは言えないのだが、、、登場人物のキャラクター造形や舞台設定に既視感を覚える。『生活の設計』は発表当時、かなりセンセーショナルだったのではないかと思う。北大卒でありながら、現役の屠殺場に勤務する従業員が書いた生活記録のようなタッチの物語はかなり強烈な印象だ。饒舌な語りゆえに、職業選択についての説明がうまくゆかぬ苛立ちと葛藤が良く表現されている。 もう一編の『虹を追いかける男』は、元塾講師の主人公が、旅先で知り合ったアングラ劇団で役者をやっていた男・森欄外に翻弄されながら、その男の不器用な生きざまをなぞる日々を描いてかなり面白い。

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    2011年07月16日