熊谷玲美のレビュー一覧
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感染症封じ込めのための仕事の現場を臨場感ある文章で楽しめる。
楽しめると書くと、不謹慎なような気もするが、感染症という常に身近に存在していても、自分が罹るまではなかなか意識することのない事柄について、認識を改める一助になった。
特に、エボラ出血熱やエイズに対して、漠然と恐ろしさを感じていたのに対して、身近なインフルエンザや、現状のコロナウイルスに対しては慣れのような感覚が自分に生まれていて、この本をきっかけに、過大な恐怖心と、薄まっていた危機感を正してもらえたような気がする。
また、定期的に起こるウイルスの変異によってパンデミックが引き起こされる可能性が常にあること、それを防ぐためにワクチン接 -
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物事はもっとシンプルだったのかもしれない。好奇心の赴くままに、やりたいことができていれば、ゲーム感覚で核融合炉だって作れてしまう。しかし、そのレシピを理解する知能、あるいはそのレシピと出会うかどうか、これはやはり遺伝子、環境、運によるのだろう。誰もがそうなれる訳ではない。
本書は、科学の魅力に取りつかれ核融合炉を作った少年の話。またそうした才能を巡る、教育論的な内容。ギフテッドか否か。それを見抜くのは難しい。どの分野に秀でているか、経験させてみないとわからないからだ。理解できる親の素養も必要だし、時には、庭で爆発物をイジる子供を好きなようにさせてあげる寛容さも必要という事だ。
本書はまた、 -
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この本を読むと、考古学者の一番の苦労は資金繰りなんじゃないかと思わせられる。いかに研究助成金を申請するか。アピールポイントとして発掘するのに的確な場所を見つけなくてはならない。そのために、人工衛星からの情報がいかに役に立つか。埋もれている遺跡を見つけることはできないだろうと思っていたけれど、過去は現在に色々な形で影響を残していて、植生や地形からわかることがいかにたくさんあることか。さらに著者は、考古学で過去の人々の生活を知ることの面白さと、それが未来へも繋がっていくこと、そのために現代で解決すべき問題にも触れている。たとえば女性のこの分野への進出について。盗掘についての警鐘と、それを防ぐための
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ダイエットのために読みました。
マイクロバイオーム(腸内細菌)を軸に様々な栄養素や食品が身体に及ぼす影響をまとめてあります。
多数の人間で実験されたことを根拠に書かれていることが多いので、信憑性はありそうです。
腸内細菌は食べ物の消化吸収を助けてくれるだけでなく、体全体に影響を及ぼしている。そしてその腸内細菌には個人差があるため、「○○を食べて痩せました!」的なSNS等の報告は、その人には合っていただけで、自分には合わないかもしれない。ダイエットには答えがない。といったことが分かりました。
ただ、腸内細菌にとっていいことは書いてあったので、それを一つひとつ試してみて、自分の腸内細菌が喜ぶエサ( -
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例えば、糖質ゼロダイエット。
例えば、キャベツダイエットやリンゴダイエットなど、特定の食材だけ食べるとか、あるいは食べないというダイエット。
世の中には何百、何千といった数のダイエット法が蔓延している。
この『ダイエットの科学』、乱立するダイエット法や“健康そう”で“素晴らしい”健康食品に警鐘を鳴らすことから始まる。
そこまでは比較的良く見受けられる“現代の食に対する啓蒙本とさして変わらない。
ただこの本の面白いところは、様々なダイエット法、そして油やお酒など、一般的に“悪”とされている食材を切り口に、腸内細菌に焦点を当てて論じているところ。
この本を読めば「太りやすいって聞くし、この食材は食 -
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テイラーの核融合の話であり、教育書でもある。
表題に書いたとおりです。核融合の話が出てくるのは本のかなり後半の方であり、前半の大部分は放射能や放射性物質の話、テイラーの幼少期や両親の話となります。
テイラーのような天才(ギフテッド)についての考察も非常に多く、テイラーの両親がテイラーの才能をどうやって引き出したのかも語られています。また、テイラーと同じような才能を持ちながら、両親の間違った教育によってつぶれてしまったデイヴィッド・ハーンも引き合いに出しており、その比較もまた興味深かったです。それらの話を推測でおわらせず、専門家の意見や考えをしっかり提示しているのも良いところです。
という -
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食事についての現状における決定版。様々な食材や食べ方の効能を実際に調べられている範囲でまとめている。実際にきちんと調べられていることはあまり多くなく、巷で言われていることの多くが宣伝。
基本的に人は個々人で食事に対する反応は異なる。遺伝子や腸内細菌によるもので、一卵性双生児間でも太り方などは異なるケースがある。その人にあった食事法というのがあるし、腸内細菌は抗生物質の取り方や食事で大いに変わる(が、良い方向に変えるのは時間がかかる)。
単品の食事法は、食べられる種類を減らすことで摂取カロリーが大幅に減り痩せることにつながるが、栄養素は減り、その後体が慣れることでリバウンドを引き起こし良いこ -
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トルーマンからアイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンまでの大統領によるアメリカの歴史が核の問題を中心に語られる。どのように冷戦が始まったか、ソ連との関係、軍産複合体の陰、アメリカの中南米、ベトナムへの介入などアメリカの帝国主義的、負の側面が暴かれる。ケネディとフルシチョフによるキューバ危機は本当に核戦争一歩手前だったし、その後も危険な状態はいくらもあったことが明かされると、改めて運の良かったことに驚かされる。アメリカにとっては、中南米、アジアは征服されるべきアメリカの権益範囲だとしか考えていないと感じる。その一方でベトナム反戦運動が起こり、サイゴンは陥落し、最終的にはニクソンが辞任に追
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ネタバレ各章の冒頭部分にある枕の話がうざったいが、他はとてもわかり易い。黒体放射や宇宙背景放射など、個人的には他書であいまいにしか理解できなかったことも明快に書かれている。天文学は遠くの星を見ているのでなく、昔の光を見ているのだというのがよく分かる。
恒星には太陽のように種族Iと呼ばれる比較的若く、金属(Liより原子番号が大きいもの)を含む群と種族IIである金属含有量の少ない星(銀河周辺部の星がまばらな領域や銀河中心部にまとまっている)がある。
宇宙誕生直後には金属をほとんど含まない種族IIIがあったはずで、これをファーストスターと呼ぶ。これらは宇宙が誕生してから2000万年から2億年の間ぐらいには