熊谷玲美のレビュー一覧
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感染症封じ込めのための仕事の現場を臨場感ある文章で楽しめる。
楽しめると書くと、不謹慎なような気もするが、感染症という常に身近に存在していても、自分が罹るまではなかなか意識することのない事柄について、認識を改める一助になった。
特に、エボラ出血熱やエイズに対して、漠然と恐ろしさを感じていたのに対して、身近なインフルエンザや、現状のコロナウイルスに対しては慣れのような感覚が自分に生まれていて、この本をきっかけに、過大な恐怖心と、薄まっていた危機感を正してもらえたような気がする。
また、定期的に起こるウイルスの変異によってパンデミックが引き起こされる可能性が常にあること、それを防ぐためにワクチン接種や、基本的な感染対策を実行し続けることが有効であることも理解できた。
基本であるからこそ怠りがちな手洗いうがい、マスクの使用について見直そう、と改めて思えたのは、すごく大きな気持ちの変化だった。 -
Posted by ブクログ
この本を読むと、考古学者の一番の苦労は資金繰りなんじゃないかと思わせられる。いかに研究助成金を申請するか。アピールポイントとして発掘するのに的確な場所を見つけなくてはならない。そのために、人工衛星からの情報がいかに役に立つか。埋もれている遺跡を見つけることはできないだろうと思っていたけれど、過去は現在に色々な形で影響を残していて、植生や地形からわかることがいかにたくさんあることか。さらに著者は、考古学で過去の人々の生活を知ることの面白さと、それが未来へも繋がっていくこと、そのために現代で解決すべき問題にも触れている。たとえば女性のこの分野への進出について。盗掘についての警鐘と、それを防ぐための教育。考古学を限られた人だけのものにしないという発想から、クラウドソーシングの利用まで、話題は多岐に渡っている。放題は、考古学と人工衛星という思いがけないものを結びつける面白さがあるが、原題は"Archeology from Space - How the Future Shapes our Past”で、本書全体を表すには、邦題よりもこちらの方が適切だと思う。
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ダイエットのために読みました。
マイクロバイオーム(腸内細菌)を軸に様々な栄養素や食品が身体に及ぼす影響をまとめてあります。
多数の人間で実験されたことを根拠に書かれていることが多いので、信憑性はありそうです。
腸内細菌は食べ物の消化吸収を助けてくれるだけでなく、体全体に影響を及ぼしている。そしてその腸内細菌には個人差があるため、「○○を食べて痩せました!」的なSNS等の報告は、その人には合っていただけで、自分には合わないかもしれない。ダイエットには答えがない。といったことが分かりました。
ただ、腸内細菌にとっていいことは書いてあったので、それを一つひとつ試してみて、自分の腸内細菌が喜ぶエサ(食品、栄養素)は何かを探っていこうと思います。
自分の腸で共に生きる腸内細菌たちを大切にしていこうと思える本でした。
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Posted by ブクログ
例えば、糖質ゼロダイエット。
例えば、キャベツダイエットやリンゴダイエットなど、特定の食材だけ食べるとか、あるいは食べないというダイエット。
世の中には何百、何千といった数のダイエット法が蔓延している。
この『ダイエットの科学』、乱立するダイエット法や“健康そう”で“素晴らしい”健康食品に警鐘を鳴らすことから始まる。
そこまでは比較的良く見受けられる“現代の食に対する啓蒙本とさして変わらない。
ただこの本の面白いところは、様々なダイエット法、そして油やお酒など、一般的に“悪”とされている食材を切り口に、腸内細菌に焦点を当てて論じているところ。
この本を読めば「太りやすいって聞くし、この食材は食べない!」とか「〜さんが痩せるって言ってたから私もこの方法を試す!」と言った考え方がいかに短絡的かが分かる。
たとえこの本の中から明日から使えるダイエット法が見つからなかったとしても、そういった短絡的な思考から解放されることは保証します。
食べたものが自分の体にどのように作用していたのか、とか、自分の腸内細菌の状態は唯一無二のもので、「この成分を取れば体に良い」というのは文字通り個人差があることとか、食に対してもっと真摯に取り組めるようになるのではないかと。
文庫本に比べて文量、内容的に少し読み応えがありますが、いつもトピックを読んでくださっている皆さんにおすすめの本です。
気になった方は是非。
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テイラーの核融合の話であり、教育書でもある。
表題に書いたとおりです。核融合の話が出てくるのは本のかなり後半の方であり、前半の大部分は放射能や放射性物質の話、テイラーの幼少期や両親の話となります。
テイラーのような天才(ギフテッド)についての考察も非常に多く、テイラーの両親がテイラーの才能をどうやって引き出したのかも語られています。また、テイラーと同じような才能を持ちながら、両親の間違った教育によってつぶれてしまったデイヴィッド・ハーンも引き合いに出しており、その比較もまた興味深かったです。それらの話を推測でおわらせず、専門家の意見や考えをしっかり提示しているのも良いところです。
というか本の半分以上は教育の話であり、ギフテッドに対する教育が不十分であり、それにより大切な資源が失われていることや、テイラーのような天才がどうやって出現するのかを様々な事例や実験データを元に紹介しています。
テイラーの物語を読んでいると、彼には飛び抜けて高いレジリエンスが備わっていることがわかります。やると決めたら寝食忘れて没頭する力、それこそが困難なことをやり遂げるための最も必要なものだと個人的には思います。
蛇足ですが、著者と翻訳者の力量により非常に読みやすく、グイグイ物語に引き込まれました。ここ1年で読んだ本でベスト5に入る面白さでした。 -
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食事についての現状における決定版。様々な食材や食べ方の効能を実際に調べられている範囲でまとめている。実際にきちんと調べられていることはあまり多くなく、巷で言われていることの多くが宣伝。
基本的に人は個々人で食事に対する反応は異なる。遺伝子や腸内細菌によるもので、一卵性双生児間でも太り方などは異なるケースがある。その人にあった食事法というのがあるし、腸内細菌は抗生物質の取り方や食事で大いに変わる(が、良い方向に変えるのは時間がかかる)。
単品の食事法は、食べられる種類を減らすことで摂取カロリーが大幅に減り痩せることにつながるが、栄養素は減り、その後体が慣れることでリバウンドを引き起こし良いことはない。様々な食材(中でもポリフェノールを含むトマト赤ワイン、腸内細菌の餌になる食物繊維やヨーグルト、様々な野菜、キノコ、果物)を取ることが重要。1日三食食べる必要はなく、食事間の時間は開ける方が良さそうで、たまには軽い断食などで腸内に刺激を与えていく。 -
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トルーマンからアイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンまでの大統領によるアメリカの歴史が核の問題を中心に語られる。どのように冷戦が始まったか、ソ連との関係、軍産複合体の陰、アメリカの中南米、ベトナムへの介入などアメリカの帝国主義的、負の側面が暴かれる。ケネディとフルシチョフによるキューバ危機は本当に核戦争一歩手前だったし、その後も危険な状態はいくらもあったことが明かされると、改めて運の良かったことに驚かされる。アメリカにとっては、中南米、アジアは征服されるべきアメリカの権益範囲だとしか考えていないと感じる。その一方でベトナム反戦運動が起こり、サイゴンは陥落し、最終的にはニクソンが辞任に追い込まれるのはアメリカ民主主義がまだ健全であったことを示すのだろうか。アメリカにはウォレスに代表される健全な民主主義者が残っていることを期待したい。
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Posted by ブクログ
2026/01/30 読み終わった
本屋でぐうぜん、面白そうなタイトルの本を見つけた。2025年最後のノンフィクションはこれに決めた。
現在宇宙論の背骨である「標準モデル」に対して、その理論では説明できないことが観測されている。それが「アノマリー」。アノマリーと標準モデルをどうやって折り合いをつけるか、について紹介する本、という感じかな。
まー難しかった、宇宙物理の基礎の知識がないので太刀打ちできなかった。ちゃんとメモを取って読んだ。
アノマリーのスタートは当然、観測値が理論値と異なる!ということなんだけど、蓋を開けてみればそのような観測値は実験の失敗や計算ミスなどのエラーだった…という結論も多い。けれど、このようなものの中から新しい物理学的ブレイクスルーが生まれてきたのも歴史の事実だ。
アノマリーの基準として、「5シグマ」という言葉が出てきた。統計的に同じ結果が出る確率が何分の1以下だとシグマの数が上がっていって、だんだん偶然で片付けられない確率になっていく。この概念を最初の方の章で紹介してくれて、ありがたかった。統計の知識がないもので…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各章の冒頭部分にある枕の話がうざったいが、他はとてもわかり易い。黒体放射や宇宙背景放射など、個人的には他書であいまいにしか理解できなかったことも明快に書かれている。天文学は遠くの星を見ているのでなく、昔の光を見ているのだというのがよく分かる。
恒星には太陽のように種族Iと呼ばれる比較的若く、金属(Liより原子番号が大きいもの)を含む群と種族IIである金属含有量の少ない星(銀河周辺部の星がまばらな領域や銀河中心部にまとまっている)がある。
宇宙誕生直後には金属をほとんど含まない種族IIIがあったはずで、これをファーストスターと呼ぶ。これらは宇宙が誕生してから2000万年から2億年の間ぐらいには支配的な位置にあったが、ビッグバン4億年後になると種族IIが優勢になっていたと考えられている。
太陽の鉄組成は質量比で0.14%に過ぎないが、現在形成されている星は通常、2%ほどの金属を含んでいる。