心理学、脳科学、生理学、社会学、哲学、人類学、生物学など非常に幅広い観点から「孤独」について論じ、そこから脱する方法と社会への提言を述べた本。
孤独感は、喫煙や肥満や運動不足と並ぶ、疾病と若年死の重大な危険因子であると述べている。
人間は社会的な生き物であるため、孤立感を覚えているときには「攻撃に
...続きを読むさらされているようにも感じ、健康を損ね、人生がつまらなくなり、人と協力してうまい解決策を見つける能力が衰え」てしまうそうだ。
孤独の苦しみから脱する方法は、少々逆説的ではあるが「他者に手を差し伸べること」が必要であるとしている。誰かとつながりたいという欲求は、誰かを受け入れて満たすことによって、そのふれあいを通して満たされるからだ。
以下引用
「社会的なつながりに満足していると安心感を覚える。安心感があると、より創造的に考えられる。そのうえポジティブな情動を期待し、しばしばそれを味わう。これは長い目で見て生理的に良いだけではなく、気分もすぐき高揚し、それが持続する。気分が高揚すると、他者に対するその後の行動にも良い影響が出て、それが今度は私たちに対する他者の行動にも良い影響を与える。するとそれがまた創造的な協力関係を促す。因果が巡り巡って、ポジティブな影響がさざなみのように四方八方へ広がり続ける。」
こうして、多くの人が自分を中心にその周りまで安心感を伝播させてゆくことができたなら、幸せな社会になっていきそうだ。
孤独は社会を良くする原動力であるのかもしれない。