ウィリアム・パトリックのレビュー一覧

  • 孤独の科学 なぜ寂しくなるのか なぜつながりを求めるのか

    Posted by ブクログ

    本書の要点は、以下のとおり。
    ●孤独感を感じるのは、社会的生物であり「群居せざるを得ない」種である人類が進化の過程で獲得した機能であり、痛みや冷たさを感じるのと同様に生存に必要な機能である
    ●孤独感を感じると過度に警戒的になって複雑な関係性を制御する実行制御力が大きく損なわれることとなる。原初の社会では、孤立した際に周囲のもの全てに脅威を感じて警戒モードに入ることは生存確率を高める結果を生んだであろうが、現代の複雑な社会ではそれがマイナスのループを生んでますます孤立し孤独感を強める結果になりかねない。
    ●さらに、現代社会の設計思想が人類の本質に最適化されておらず、コミュニティは弱体化し、人々は表向きは繋がりよりも経済的利益を追求するように生きざるを得ない。孤独感を感じる生物種がこうした社会を形成してしまっているが故に、孤独は現代社会の巨大な課題であるが、重要政策課題とは捉えられていない。
    ●社会全体で、コミュニティを維持し、再構築し、強化する取り組みが必要だろう。
    ●一方で、個人としてできることもある。人は他者に何かをしてもらうよりも、他者に貢献したときの方が繋がりを実感できる性質を持っている。孤独感の負のループに陥りそうになったときには、些細なことで良いから他者貢献や他者との繋がりを生むような行為を意識的にとっていくことが大事である。まずは第一歩として孤独感の正体と対処法を科学的に認識することが大事である。

    選択圧による帰結として孤独感を説明する客観性と納得性、そのうえで救いを提示する良書。

    孤独感を回避する手法として、バーチャルな手段の限界には言及していたが、AIパートナーについてどうなのかも言及して欲しかった。

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    2026年08月23日
  • 疾病捜査官――感染症封じ込めエキスパートの事件簿

    Posted by ブクログ

    感染症封じ込めのための仕事の現場を臨場感ある文章で楽しめる。
    楽しめると書くと、不謹慎なような気もするが、感染症という常に身近に存在していても、自分が罹るまではなかなか意識することのない事柄について、認識を改める一助になった。
    特に、エボラ出血熱やエイズに対して、漠然と恐ろしさを感じていたのに対して、身近なインフルエンザや、現状のコロナウイルスに対しては慣れのような感覚が自分に生まれていて、この本をきっかけに、過大な恐怖心と、薄まっていた危機感を正してもらえたような気がする。
    また、定期的に起こるウイルスの変異によってパンデミックが引き起こされる可能性が常にあること、それを防ぐためにワクチン接種や、基本的な感染対策を実行し続けることが有効であることも理解できた。
    基本であるからこそ怠りがちな手洗いうがい、マスクの使用について見直そう、と改めて思えたのは、すごく大きな気持ちの変化だった。

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    2024年10月05日