中原尚哉のレビュー一覧
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ケン・リュウ / 桜坂洋 / アンディ ウィアー / デヴィッド・バー・カートリー / ホリー・ブラック / チャールズ・ユウ / チャーリー・ジェーン・アンダース / ダニエル・H・ウィルソン / ミッキー・ニールソン / ショーナン・マグワイア / ヒュー・ハウイー / コリイ・ドクトロウ / アーネスト・クライン / D・H・ウィルソン / J・J・アダムズ / 中原尚哉 / 古沢嘉通3.6 (31)
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Posted by ブクログ
本書は、第二次世界大戦で日本とドイツの枢軸国が勝利した改変世界が舞台。アメリカ西海岸は「日本合衆国」として日本国の統治下にあるが、生き残ったアメリカ人は「ジョージ・ワシントン団」を結成し、度重なるテロ行為により、日本合衆国に打撃を与えていた。日本合衆国の大尉である石村紅功は、かつて自身の両親を日本国に対する反逆の疑いで告発した人物。ある日、彼のもとに架かってきた一本の電話。それはかつての上司、六浦賀(むつらが)将軍からであった…
本書はもちろん、フィリップ・K・ディック「高い城の男」の影響を受けており、「21世紀版『高い城の男』」として紹介までされているようですが…正直、誇大広告の印象は拭え -
Posted by ブクログ
ネタバレ(上・下巻全体のレビュー・感想)
第二次世界大戦で枢軸国が勝利し、アメリカ西海岸は大日本帝国が統治し、日本合衆国(USJ)となっている世界(時代は1988年が中心)。
表紙から推察して、メカがもっと活躍するかと思って読んでいたけれど、予想に反してメカの登場シーンは少なかった(上・下巻を並べると表紙絵がつながるのは嬉しい感動。)。
設定はとっても面白いし、翻訳者さんが漢字を上手く使いこなされているお陰で、現実世界の日本ではなく”大日本帝国”が存続している感じが上手く伝わってきました。(解説を読んで、本書で必要不可欠な”電卓”は原文ではportable calculatorを縮めた" -
Posted by ブクログ
これは、プロモーションによるミスリードだと思う。
いい意味でも、悪い意味でも。
しかし、それぐらい大声をあげて喧伝すべき小説だと思うのです。
ニッポンオタクの韓国系アメリカ人でアメリカ在住の著者が、「日本が戦争に勝ち、以来アメリカは日本に支配されている」という世界を今、この時代に描いたという、その側面こそもっと、スキャンダラスに取り上げられてもいいはず。
著者の出自や物語の舞台設定に垣間見える「無国籍感」こそが、この小説の最大の特徴だと思う。
やはり翻訳小説には翻訳小説の文体というのがどうしても存在してしまって、日本文学のそれとは仕方なく乖離してしまうのだと私は思う。それは言葉を「置き換える -
Posted by ブクログ
本書は四分冊の三冊目になる。長い物語なので、中弛みのようなものを感じてしまうのを否めないが、それでも第二次世界大戦と現代とがリンクしてきて、最終巻の大団円に向かう準備ができてきたように思える。また、現代のパートでは、ビットコインを予言するかのような電子通貨が登場する。作品が書かれた頃は、電子マネーはあったと思うけれど、政府が信用を担保しない電子マネーなんて、少なくとも一般的ではない。よくそんな時代に想像できたなと思う。暗号技術は電子マネーと関係が深いので、作者がよく調査した結果なのだろうな。脇のエピソードであるが、個人的に最も驚いた部分だ。
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Posted by ブクログ
アメリカの作家パオロ・バチガルピ、2015年発表の小説。アメリカ南西部の諸州が旱魃で危機的な状況に陥った近未来を舞台にしたSF作品。警世の書としてのリアリティはあるのですが、中身はハードボイルド調の極めて通俗的なエンターテインメント。面白いけれど、一寸物足りない、という感じです。
水不足が深刻化し多くの難民が発生、河川の水利権を廻って各州の秘密組織が暗躍、州軍間の緊張も高まり内戦の一歩手前という状況にある近未来のアメリカ南西部が舞台。廃都と化しつつあるアリゾナ州の州都フェニックスでの不穏な動きの調査に赴いたラスベガスの秘密工作員、崩壊して行くフェニックスを執念で取材し続ける女性ジャーナリスト -
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦中の暗号に隠された謎とは?
海底ケーブルの事業で窮地に陥った暗号解読者の子孫たちが、その謎に挑む。
大戦中と現代が、暗号(クリプト)によって絡み合う。
題名の「暗号書(クリプトノミコン)」は、もちろん「ネクロノミコン」のもじり。
いやー、毎度ながら、物語はブツ切れで終わってますな。
あれですね、この人の小説は、読み終わってから、「あ〜おもしろかった」と思うものではないです。
いろいろ考えながら読んでいく過程がおもしろい。
筋道きっちり立てた小説が好き…というヒトには向かないかもしれんね。
しかし、SF…というには、無理があるかも。かといって、どこのジャンルに入れるかと問われる