柏井壽のレビュー一覧
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京都の老舗料亭「糺の森山荘」に婿養子として入った八代目当主・朱堂旬(すどうしゅん)は、普段は冴えない風貌で、下働きの従業員にしか見えない。
ところが彼は、人気写真家・金田一ムートンというもう一つの名を持っていた。
…のシリーズ第二弾。
以前、自分は驚くほど低い評価をしているのだけれど、何が気に入らなかったのだろう?
少し“狙い過ぎ”に感じたのかもしれない。
まあ、相変わらず、ペントハウスのガラス張り浴室でシャワーを浴びてからへんし~ん!…というのはなんだか気障でムズムズするが…
頼りない風の旬だがなんだか憎めない。
意外に口は上手くて、しっかりものの番頭頭・伏原宣家(ふせはらのりいえ)や、やりて女将の妻・明美をうまく使っている。
一方、ムートンは意外に毒舌であり、能力を隠さないキャラであり、謎解きも主に彼の仕事。
バレそうでバレない二つの顔だけど、ちょっとハラハラな場面もある。
ムートンと、助手の竹田友紀(たけだゆき)とゲストキャラが実在するお店で食事をする場面もお約束。
作者が知り尽くした京都の魅力が余すところなく語られる。
まだまだネタはありそう。
今回は、壺の話が一番良かった。
第一話 大路の紅葉
第二話 十日ゑびすの壺
第三話 人形寺の雛人形
第四話 葵祭の車争い
第五話 祇園祭の無言詣 -
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ネタバレカール・エビスせんせは、英国人のミステリー作家。
太めの野口英世(笑)といった風貌で、1959年生まれ。
東京に6年住んだが、京洛大学の文学部に招聘され、日本文学の講座を持つことになった。
それを機に京都に移り住み、憧れの庭付き一戸建京町家に暮らすようになって半年。
教室で助手を務める、九条葵(くじょう あおい)が身辺の世話などもしてくれる。
お話の「型」としては…
葵がお茶を点てて、季節にふさわしい和菓子とともに教授に差し出す。
小説の取材も兼ねて、葵のアドバイスで神社仏閣を巡り、おいしい店でランチを頂く。
葵とはそこで別れ、小平菊乃の店、『喫茶菊乃』へ足を運んだり、または川嶌葉子(かわしま ようこ)営む古書店『竹林洞(ちくりんどう)書房』を訪れたり。
夜は食事と酒のために、先斗町の『小料理フミ』に通う。
女将は、増田フミ。70は超えているけれど、声も顔もつやつや。甥のヨシトの料理も絶品である。
この、女たちの人生もいろいろで、教授が京都で出会うあやかしや、神社仏閣の縁起、伝説などに絡んでくる。
小説に出てくるご飯や和菓子の店は、上記女たちの店以外は基本的に実在しており、興味があれば訪れることができる。
神社仏閣のいわれや伝説を、女たちのストーリーに絡め、現代的に置き換えることによって理解しやすいようになっており、名前だけは知っていた、という事柄でも新たな興味をそそられる。
著者は京都に在住し、その真髄まで知り尽くしている人の一人だと思うが、京都初心者の教授に寄り添う形で、ていねいに京都の案内役を務めてくれる。
五摂家のひとつ九条家の流れをくむ家のお嬢さん、という設定の葵。
京都には実際に、驚くほど古い家系や伝統が伝えられており、それを守っていくことは大変な仕事だろうと常々思っているが、その葵の気持ちや悩み、決意などが控えめに、それでいてしっかりと描かれているのも好ましい。
京女だなあ、と実感。
第一話 宗旦狐(そうたんぎつね)
出町桝形商店街で、いつもお揚げさんを十枚買うという美人。
第二話 鐵輪(かなわ)の井
能「鉄輪(かなわ)」を観る。
自分を捨てて後妻をめとった男を呪うという物語。
ロンドンに残してきたワイフを思い出し、冷んやり。
その帰り、菊乃の店の階段で、気流しの男性とすれ違う。
第三話 六道の辻
「せんせにはあっちのひとがようけ付いて来てはります」と葵。
“洗い地蔵”を洗うとすっきりした。
幽霊も生きた人の中に紛れ込んで普通に暮らしている…京都に限ってはすんなり信じてしまえる気がする。
急に有名になって商売を広げた“幽霊飴”に、京都っ子としてチクリ。
第四話 嵯峨野の竹林
嵯峨野に思うのは女の悲しみ。
「祇王寺」「滝口寺」
京都人ではない女の前に、“どこの馬の骨ともわからない”という言葉とともに立てられる戸あり。
第五話 おかめ伝説
内助の功?
ええ話だと思う。
第六話 百夜通い
古い伝説も、現代の多くの女の心情に重なるところがあると感じながら読んできたが…
深草の少将は、現代ならストーカー?! -
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京都案内などの著者が多く、その嗜好も通っぽいグルメ系
かと思いきや、意外とB級グルメな食を好む方の様です。
しかもグルメ本やネットを使わず、人に聞いたり自分の
勘で店を探す姿勢には共感しました。
ただ全体的にはカレー系が多かったかな。辛いものが好き
らしいです。
一方で宿泊する街ではうまい寿司屋を探すそうですが、
これが年季が入っていて面白いです。何より最近観光地化
が激しい小樽の寿司を批判しているのも頼もしいと感じ
ました。
それからフードライターへの苦言も忘れません。
本当のフードライターとは店を見極めることが必要で
ある、と。
例えば夫婦二人で切り盛りする店を雑誌で紹介して
しまうと店側としてはそれ以上店を拡げることを考えて
いない場合などが多く、迷惑な話でしかないことがある、
と。
本当にグルメを愛する人への一冊です。 -
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ネタバレレシピを買う、そんな不思議な小堀商店のお話。鱧の源平焼き、小袖くずしのような和のものだけでなく、オムライスや焼肉まで、ステキなストーリーとともに料理をつくる。
最初の源平焼きのストーリーが衝撃、その後同じパターンで話が進む。面白いのは、京都ならではの文化も匂いを纏っていること。
例えば、草履片々、木履片々。黒田官兵衛が、本能寺の変で動転している秀吉に、慌てると片方に草履、もう片方に木履を履く。それでも走れる。落ち着いてゆっくり迷っていたら潮はすぐに引いてしまう。それを聞いて、秀吉は飛んで行った。そんな話しを、差し込みながら人間模様とレシピを繋げていくところが非常に面白い。 -
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京都の旅から帰ってきました。今回柏井さんの新書を4冊持って行ったのですが、結果的に1番役に立った(旅途中、最も鞄から取り出した)本がコレでした。食べ物も、旅スポットも、そんなにテーマが統一されているわけでは無いのですが、所謂観光旅をしない私の好みに合った場所がたくさんあったということなのでしょう。実は、約40年前の受験で兄貴の下宿に宿泊しながらこの時ばかりとまるまる一週間京都を観光しました。そこで銀閣寺、清水寺、金閣寺、嵐山等々の観光スポットは回り尽くしたという自覚があって、その時の旅スタイル、歩き通す旅が最も楽しい発見のある旅として私の身に染み付いたのです。だから、京都に来たらもう有名な場所には行かないことにしています。
京都に着いていの一番に行ったのは、夜な夜な怨みを抱いて通った女の実家の井戸(「鐡輪の井」)です。貴船神社は丑の刻まいりで有名。そこへ、五条上がるのこんな所から毎夜三時間はかけて呪いに行く。しかし安倍晴明の力の前に女は逃げ帰る。そして身を投げた所らしい。ここの井戸の上にペットボトルの水を一晩置くだけで、縁切りの水として霊剣新たかになるらしい。これがまた、地図アプリでピンポイントで場所を示されても見つけられない微妙な場所にあり、本の文章を精読してやっと印を見つけてたどり着いたのです。この井戸にも鍛治屋町敬神会が解説書を置いていた。他の場所も教育委員会の説明板など大抵付いている。しかし、本の解説はそれとは明らかに違う原典から解説しており、安直な所から情報を得ていないこともわかった。
その他にも、土蜘蛛伝説に繋がる源頼光の大蜘蛛退治の蜘蛛塚二つ(上品蓮台寺と北野天満宮の角)、大工の嫁が八百年都を災禍から守り続ける神さまになる「おかめ塚」、実はこちらにも飛梅があり菅原道真産湯の井戸まである「菅大臣神社」、平将門の首が晒されていた場所「神田明神」、猫の恩返しの伝説のある猫寺、全体的に、怨みや不運を避けるための塚や施設が京都には其処彼処にある。京都だから、それが1000年以上伝えられているのが珍しく無いのが、とても珍しいと思った旅でした。 -
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「鴨川食堂」シリーズ第5弾!
今回も、様々な地方から、食に対する複雑な思いを抱えたお客様が訪れる。
求められるものも、ただ懐かしいというものではなく、今までにないような変わった依頼もあって、流さんも二週間が期限ではだんだん難しくなってきた。
こいしは相変わらず、つけつけと思ったままのことを口にするが、ずいぶんとお客様の気持ちに寄り添うようになったなあと感じる。
謎解きも詳しく描かれるようになり、流が依頼人にかける言葉も温かい。
第一話 親子丼
外食はインスタ映えが大事!
並んででも名店で食べたかったのに、フツーの食堂に連れて行った彼氏とは別れたが…
第二話 焼売
気難しい老女が、自分基準であの日食べなかったシュウマイに残す未練とは。
第三話 きつねうどん
依頼人の、あまりにも運のない人生に言葉を失う。
後悔するか、小さくても幸せを見出すか…
第四話 おでん
長年連れ添った夫婦でも、なんと心の内に抱く想いの様々なことか。
かけ違えたボタンはかけ直せる?
第五話 芋煮
意外な結末!
正反対の幼馴染はこれからも仲良くやっていけそう。
第六話 ハヤシライス
切ないお話だった。
大人の恋。