岩田健太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
HPVワクチンによる全身の痛みという副作用の報道を見て、怖いと思った。しかし、著者は、ワクチンは通常の医療行為と同様に一定のリスクがあり、副作用のみを過大視して使用を止めてしまえば、ワクチンによって得られるベネフィットも消失してしまうので、リスクよりもベネフィットが大きく上回るならばワクチンは有用であり、同時に、副作用に対する補償を制度化してそのリスクを和らげることが肝要であると主張しているものと理解した。まったく同感である。
完全な医療というものはなく、薬でも手術でも、リスクを伴うものであるという認識が薄れているように思われる。著者が言うように、発病前に施すワクチンも、発病後に行う治療も同等のものとして捉え、最終的には、リスクとベネフィットを考慮した上で、個々人の判断で行うべきであろう。その際、副作用のような「被害」を過大にアピールし、ワクチンによる効果を過小評価することは慎まなければならない。
エビデンスに基づく科学的な知見と判断こそが求められるべきという点でも著者に同意する。 -
Posted by ブクログ
面白かったです。
大学生とかに是非読んでほしいです。
一時間目:性と感染症
二時間目:中高生はセックスしてよいのか?
三時間目:性を伝えにくくしているものとは?
四時間目:正しいセックスなんてない
五時間目:絶対恋愛という可能性
私も性教育をした経験があるので、どう伝えるか悩むところもたくさんありますが、感染症という切り口から一般の人たちにどう伝えるのか、その伝え方が面白かったです。
知っていることも多かったですが、様々な文献(論文はもちろんですが、小説など)も引用されているの印象的でした。
近親婚、いとこ婚については詳しく知りませんでした。
リスク回避のためにセックスしないというのは寂しい話です。
今の大学生には少し難しいというか、実感がないかもしれないですが是非一読していただきたい本です。
学校の先生や、医療者にはもちろん読んでいただきたいですね! -
Posted by ブクログ
「ー健康情報にだまされるな 」これがこの本のサブ
タイトル。
健康情報の中で、相反する主張を少なからず見かける昨今、いい勉強をしたと思う。
〈本から〉
健康「トンデモ」本に共通する特徴があることが
わかってきました。(略)
特徴その1 極論が多い
その2 「西洋医学は信用できない」「化学では
説明できないこともある」を連発する
その3 科学を批判するわりに、科学の権威を
ありがたがる
その4 人間に関するデータは少なく、ほとんど
動物実験
その5 「自然治癒力」「日本古来の」「古代
からの」「自然免疫力」「抗酸化作用」
といった「キラキラワード」を多用する
その6 論理の飛躍、拡大解釈、過度の一般化
新谷弘実著『新谷式 病気にならない食べ方の習慣』
例えば、NK細胞活性をあげる漢方薬で、肺癌患者の
腫瘍マーカー(血液検査)を改善させたり、食欲が
増したりといったマイルドな効果が期待できますが、
肺癌そのものが治るわけではありません。「自然
免疫力を高めて病気がゼロ」というのは高望みという
ものです。(略)
新谷氏が主張する「病気にならない食事」というのは
ありえない幻想に過ぎません。
崎谷博征著『この4つを食べなければ病気にならない』
いきなり「西洋医学は病気を治せない! 病気を
治すのは原始人食と自然治癒力」と「トンデモ」
ワード全開です。(略)
原始人のやり方が正しい、という前提がそもそも
間違っていると思います。だ、すでに指摘したように
このようなロジックはすぐに破綻します。仮にこの
仮説を認めたとして、こうした食材は生で食べなければ
いけません。火を通すとたんぱく質などは変性します
から。塩やだしで味付けをしてもいけません。
それこそ「原始人の食事」というものです。まあ、
「古代人の食事」を謳っておきながら、くだものは
ミキサーでピュレをつくったり、蒸したりオムレツを
作ったり、本書では言ってることとやってることは
全然噛み合っていません。(略)
船瀬俊介氏『3日食べなきゃ、7割治る!』
これは断食で風邪、腹痛、下痢、頭痛、便秘、
アトピー、水虫、腰痛、うつ、糖尿病、心臓病、
肝臓病、透析患者まで治ると謳っています。
何のことかと思えば、例のカロリー制限をすると
長生きできた動物実験の話でした。(略)
しかし、こうした実験は同書が主張するような
「万病を治す(15頁)こととは何の関係も
ありません。やはり、「体毒を追い出す」とか、
「自然治癒力」というトンデモ的なキャッチフレーズ
で読者を煙に巻きます。(略)同書の中にも傾聴に
値する部分はありますが、その大体はデタラメで、
そのデタラメは「現代科学では説明できない」ため
ではなく、「現代科学の応用のしかたがデタラメ」
なためです。
内海聰氏『1日3食をやめなさい!』
「食べ過ぎが不健康の原因」というしごくまっとうな
前提から「だから1日3食はよくない」という極論に
飛躍します。相撲取りなどは1日2食で大喰らい
ですから、カロリー摂取量と「1日3食」は直接
関係ないんですが。(略)
この「昔はがんがなかった」というロジックは
「トンデモ」健康本によく見られる主張ですが、
しかし間違いです。明治24~31年の平均寿命は
男性で42.8歳、女性で44.3歳でした。
大多数のがんは50歳以上の高齢者に発症しますから、
寿命が短い時代にがんが少なかったのは当たり前です。
(略)
昔は良かった、という内海氏のロジックは我々の
感情に共感を与えます。しかし、現実には現代人の
方が昔の人よりもずっと健康なのです。たとえがんが
増えたとしてもそうなのです。(略)
僕が「トンデモ」健康本に批判的なのは、単にそれが
科学的に妥当ではなからではありません。「トンデモ」
健康本は極論を断言口調で使う傾向にあります。
それは一種の脅し文句です。トランス脂肪酸を食べると
不健康になるぞ、電磁レンジを使うと不健康になるぞ
と人々を脅します。医学や栄養学を学んでいない
一般の人たちはその脅迫に怯えます。(略)
そして、「そんなものを食べると健康になれない」と
いって他者に毒を振りまき、脅迫するようになるの
です。このような社会が豊かで素晴らしい社会と
いえるでしょうか。(略)
不食ははたして本当か
秋山氏は気功法、ホメオパシーに傾倒して、その後
「食べない」という選択肢をとりました。これが
不食です。(略)6つの論文がありました。そのうち、
4つはホメオパシーの効果を肯定的にとらえたもの
でした。しかし、より新しい2つの論文はホメ
オパシーの効果はプラセボ効果に過ぎない(
つまり効いていない)と否定するものでした。(略)
森美智子氏が、少食によって
1寿命が延びる 2免疫力・自然治癒力が高まる
3若返る
と書いてますが、それを実証したデータはありません。
森氏のいう免疫力、自然治癒力とは何かも分かり
ません。「栄養学では説明できない現象はある」と
「トンデモ」な人はすぐにいいますが、それはそれと
して、「説明できない現象」そのものの存在を示す
必要があります。(略)
藤田紘一郎氏『50歳からは肉を食べ始めなさい』
肉を食べれば、老いを防ぐだけでなく、がんや
心筋梗塞などの生活習慣病も遠ざけ、薬いらずの
身体を作ってくれます(7頁)
これは残念ながらデタラメです。個々のエピソード
は尊重しなければなりません。と同時に「個々の
エピソードを過度に一般化してはならない」のも
事実なのです。藤田氏個人が肉を食べて糖尿病が
よくなり、体重が減ったというエピソードはよい
でしょう。しかし、それが万人に適用できるかは
厳密な臨床試験を必要とします(それが一般化
というものです)。
本書では「感性が大事」という話をしています。
すなわち、「健康本とかで「あれを食べろ」、
「これを食べるな」といった言説はあまり気に
せず、自分のセンサー(感性)を磨き、感性に
任せるままに自由に楽しく食事をするのが一番」
という主張です。
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Posted by ブクログ
新書なのに,想定読者が医療者…?不思議なコンセプトではあるけど,リスコミ全般についてまとまってるので一応一般にも有益。正しい情報を伝え,パニックを回避し,リスクそのものを減らしていくコミュニケーションの方法論。
日頃のコンセンサス・コミュニケーションと緊急時のクライシス・コミュニケーションを区別すること。科学的に正しいことを言うだけではなく信頼を勝ち取ること。感情的になる聞き手を否定しないこと。マスコミと良い関係を築き,うまく利用すること。リスクへの対処という目的を見失わないよう常に心掛けること。
どれもごもっともな指摘。ただいちいちちょっとウエメセなのが気になる人もいるかも。あと,度々出てくるSTAP批判批判は要らないんじゃないかなぁ,とか。
第一章のリスコミ総論がほとんどの分量を占めていて,第二章の各論が実践編。ここ20年話題になった六個の感染症についてケーススタディするという寸法。扱うのは,エボラ出血熱,西ナイル脳炎,炭疽菌,SARS,新型インフルエンザ,デング熱。 -
Posted by ブクログ
プレゼンのノウハウといった戦術面もかなり丁寧だが、それよりも、戦略、すなわちコミュニケーションの確立といった目的を重視した書籍であり、医療関係者のみならず、組織において対外的な役割を担っている人には読む価値が大いにある。
些末情報に翻弄されて本質がおろそかになる例:
「レンガがある。その横にレンガがある。その隣にも、その上にも、そのまた上にもレンガがある」→東京駅
恒常的な問題に無関心である喩え:
人が犬を噛んだ場合の対策マニュアル、講演、チームの立ち上げがされ、その間、犬は人を噛み続ける
P246-247.トンデモ主張における一定の戦略
「ワクチンは100%安全とは言えない」(ゼロリスク追求)
「私には効かなかった」(アネクドータル(逸話的))
「ワクチンはナチュラルではない」(天然、自然志向)
「病気にかかって免疫をつける」(複数リスクの相対的評価が出来ない)
「ガリレオだって異端」(ガリレオ作戦)
「ある学説によると」(情報の出所の不確かさ)
「彼はいい人だ」(情に訴える)
「業界の陰謀だ」(陰謀論)
日本人だけ特別ダメ、という論調はたいてい間違ってる。日本人だけ特別優秀、という論調がたいてい間違ってるのと同じくらいに。