岩田健太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
岩田健太郎さんの著書。テーマがとても興味深い。
「主体性は教えられるか?」というテーマについて、日本の教育現場(医療教育も含めて)を通してその問題を考える。
著者が内田樹さんの論を頻繁に引用していることからもわかるように、かなり内田さんのことを信奉しているような気がしました。考え方もかなり似ているように感じましたし。
あえて難癖をつけるとすれば、何度も同じような話をしていて、まわりくどい気がしました。この内容であれば、もう少しコンパクトに収まるように感じます。
あともうひとつ、大切なのは「主体性のない人」に「主体性を教える」ことよりも、「主体性のない人」と共に「どうすればうまくやっていけるか」を考えた方がいいんちゃうかな、と。まぁ、岩田さんのことやし、そこまでも考えが及んでいそうですが。
そもそも、私自身、「主体性のなさ」という部分にあまり問題を感じていないということが本書を読んでわかった。
テーマに対する結論としては、筆者も言うように「微妙」。サッカーのなでしこジャパンの選手が「主体性がある」という意見も、よく知らない自分にとっては煙に巻かれた感じ。
ですが、全体の論としては考えさせられますし、かなりおもしろい。終始楽しめた本でした! -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者自身、タイトルに対する結論は出せていないが、それでも非常に参考になった。本書に書かれているエピソードは、医学界において著者が経験したことを中心に書かれているが、本質的には一般の企業内や家庭内でもよく起こっていることと類似しているように感じた。自分自身や自分の周囲の環境に照らし合わせてみると、耳の痛い話が多い。
若い人はもちろん、企業の管理職クラスの方々にぜひお読みいただきたい本である(私が言うのはおこがましいかもしれないが・・・)。
また、主体性という観点で私に足りないのは、「他社の視点による規定を受けやすい」という点であると感じた。今は「他者視点による規定」を避けるため(すなわち自分の意思をブレさせないため)、人から距離をとってしまうことがある。ただ、真に主体性があれば、その必要もなくなるはず。そして、謙虚に人の意見に耳を傾けているならば、臆せず主張していきたい。そうすればもっと主体的に生きれるのだと思う。
ニュアンスとして、”主体性は教えられるというよりは伝染させられる”ものと考えた方がしっくりくる気がする。自然と主体性が伝染する空間をいかにつくることができるか、これからも考えて行きたい。 -
Posted by ブクログ
感染症の権威としてわかりやすい本を書かれている岩田先生の本で、フォトリーディングしてサクッと読もうと思ったが、語り口が面白いこともあってついついジックリ読み込んでしまった。
この本は確かに『予防接種について』書かれた本であるが、その背景にある考え方、物事には両面性があり、複雑なことは複雑なまま、ありのままを捉える必要がある、といったような『考え方』を示した本でもある。
ワクチンの問題にとどまらず、現在の日本の問題の背景には、物事の一面だけを見て断罪し、徹底的にこき下ろす(政治が良い例)、といった未熟な考え方があると思う。自戒も込めて、複眼的・俯瞰的な思考が出来るようになりたいものだ、と思った。 -
Posted by ブクログ
ワクチンをめぐるいろいろを臨床医師が考える。効果と副作用をめぐる戦後日本ワクチン史も。筆者は,予防接種をめぐる単純化された報道を苦々しく思っている様子。
新聞・テレビは,予防接種の副作用被害をことさら強調したり,逆にワクチン導入の遅れを批判したりする。ワクチンは利益もあればリスクもあるのに,その比較考量をしないで,感情的な議論に終始する。政策もそれに大きく影響される。
筆者の観察によれば,戦後のワクチン行政は,報道に翻弄されてきた。ひたすら「叩かれないように」という基準で,ワクチン接種を中止したり,再開したりしてきた。その具体例を挙げながら,予防接種の戦後史が語られる。
戦後,GHQの占領下で,予防接種は強制的に行なわれた。副作用による損害を賠償するような仕組みもなしに,不衛生な日本を徹底的にきれいにしようという発想。ついこないだまで空襲や原爆投下で市民を殺戮していたアメリカが,個々の日本人の意向を尊重するはずもない。
その後,ジフテリア事件という副作用被害や,ポリオ生ワクチンの緊急輸入などを経て日本の予防接種も変遷を遂げるが,いまだ充分な制度になっているとは言い難い。個人の自由を尊重するとされるアメリカで,予防接種がかなりうまくいっているのは逆説的だが,見習うべき点は多い。
本書の副題は「ワクチン嫌いを考える」。予防接種を忌避する人々が多いそうだが,筆者の見立てによると,彼らはまず「医者とか薬って嫌」という感情が先にあって,それを補強する為に「人工より自然がいい」とかあとづけで根拠を構築する。好悪が善悪にすりかえられてしまっている。
好悪の感情は誰しももつものだし,それはそれでしょうがない。ただそれを,往々にしてひねくれた,筋の通らない勝手な理由づけでもって,「自分の嫌いなものは悪いものなんだ」と納得してしまうのはまずい。予防接種嫌いにはそれが多いようだ。
ホメオパスの著書からの引用があったが,論理破綻もいいところ。でもこういう言説だからこそ,感情的に人に訴えかけるところがあるようで,支持者も多いみたい。しかし,やはり大事なのは疫学的な事実に基づき,リスクとベネフィットを比較考量して制度設計,意思決定をしていくこと。
そのうえで,ある程度の健康被害は避けられないから,それは適切に補償していく必要がある。感情的になってはいけない。ゼロリスクがないのは原発も一緒。ゼロリスクを目指すと,隠蔽につながる。 -
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ネタバレ特に第1章が面白かったです。
医療の話というよりは、他者との関わり方について多くのことを
教えてもらいました。
結局は医療行為も医者と患者の関係性の中でしか実施されない訳ですから
より良い関係性をつくっていく事は治療上不可欠な訳です。
医者と患者が対等でないという著者の意見にとても賛成です。
たまに病院に行く時があります。
病院に行ってどの科を受診するか分からない時などは
正直教えてほしいです。何故なら相手はプロだからです。
ですから、受付で「どの科を受診ですか」と聞かれると
時々戸惑います。逆に教えてと言いたくなります。
患者さんの意思を尊重するのは良いと思いますが、
病院は病気に対応する専門家の集団ですから、
病気に対する情報の量・質は患者と非対称で然るべきです。
お医者さんに対して卑屈になる必要はないですが、
プロなんですから「お任せします」で、ある程度済む話ではないでしょうか。
そもそも「医者と患者が対等」とはどのような状態かイメージしにくいです。
同じ人間というの当り前で、医者ー患者の枠組みで考える必要もありません。
よく見かける「患者様の権利」なのでしょうか。
それは患者については述べられていますが、医者ー患者の関係性を謳っているとは思えません。
ちょっとした気遣い、配慮なのかと思います。
少なくとも自分自身が医者でない以上、病気の事は医者が圧倒的によく知っています。
しかも、その知識と経験を持ち寄って、自分の病気を診てくれる訳です。
謙虚な気持ちで「よろしくお願いします」ではダメですか?
これを著者は「お医者さんごっこ」という表現で伝えていると思います。
「お医者さんは偉い」という幻想と著書は言いますが、
相手に対して敬意を払うという、コミュニケーションを円滑に進めるべく
必要不可欠な自分自身の立ち位置だと思うのです。 -
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本書には、主に以下の3点について書かれている。
1.糖質制限の是非
2.健康本。トンデモ本の特徴。
3.自分の感性を大切にして食べる
岩田健太郎医師の本はわりと読んでいる。本書と同じく、食について書かれたものでは前著『「リスク」の食べ方食の安全・安心を考える』 (2012年、ちくま新書)や、後発の『実践 健康食 安い・美味しい・簡単』 (2022年、光文社新書)も読んでいる。
どの本も似ているが、健康に関する考え方には賛同している。「極端に走るのは良くない。中庸が一番」という考え方は何事にも適用できる。
ここに挙げた3冊のうち、どの本も読んでいなければ、まずは一番新しい『実践 健康食 安い・美味しい・簡単』がお勧めである。 -
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本職の医師による、感染症の解説書。
専門知識がない人でも読めるように、かなり分かりやすく書かれている。
挿絵は「もやしもん」の作者によって描かれており、数も多く、かなり豪華な出来。
セールで安かったので興味本位で読んでみたら、予想外に面白かった。
著者の方がかなり腕の良い医師なのか、その言説からは色々と学べる所があった。
特に、
・薬にはリスクがあること
・治療には診断が必要なこと
が度々強調されており、強く頷けるものになっている。
正直、茶化したような軽めの文体は、ちょっと合わない所もあるけど……。
それでも感染症という分野をわずかでも知ることが出来て、読む価値のある本だったと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナ禍でさまざまな医者アカウントをX(旧Twitter)をフォローしたけれど、その中のひとり。
思想はあまり好きではないけれど、情報の正確性的には信頼できる感染症のプロ(医者)、というのが私の印象。そんな人が食事について書いた本というのに興味が湧いて手に取ってみた。
ドラマや漫画をそこそこ読んでいる印象で、かつ「きのう何食べた?」のドラマが好きなのはXのポストで知っていたけれど、本書のいう健康食というのは「きのう何食べた?」の主人公シロさんが作る自炊飯であるというのが著者の言いたいことのようです。
私がこの本で一番その通りだな、と思ったのは『将来、発見させるかもしれないエビデンスを顧慮する』かな。毎日同じものを規則的に正しく摂り続けることは、ひょっとしたらその食品に思わぬ健康被害の因子が見つかるかもしれないから、不規則に食べるのが良いという考え方は、ときどき違うスーパーや産地の食品を買ってリスクを分散させている自分の考え方にも共通していて共感できた。
しかし、最初に書いたけど私はこの人の情報はある程度信用できるけど人間性があまり好きではないと後半の自分や家族がいかに効率よく家事や料理を協力しているかというこれでもかというほどの文章に「はいはい、わかりましたよ。ご立派ご立派」と少々鼻白む気持ちになった。この人が神戸のどこに住んでいるのかどんなスーパーに通っているのかは知らないが、旬の野菜や果物や魚が並んでいるスーパーが誰にでも近くにあるわけじゃないし(現に私の近くのスーパーには旬の魚なぞほとんど出てこない。毎度お馴染みの魚ばかりで安さを重視すればそれしか食えない、野菜もいつも同じものばかりで値段も通年ほぼ変わらない)
この人の発言や言葉には、強者の恵まれた人特有の鈍感さと冷酷さがあって、本人はそれにまったく気づいていない。世の中の人間の大半は、著者ほど努力家で勤勉で正しくはあれないのだ。
まぁ、そういう著者の人間性に若干辟易はするけれど、言ってること自体はその通りだと思うし、まぁ、良書ではないかと思う。(少なくとも間違ったことは書いてないし)